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レッスン効率を上げるためのアドバイスの捉え方


















みなさんこんにちは!




現在、ありがたいことにたくさんの生徒さんのレッスンを担当させていただいています。
生徒さんが増えればそれだけ個性、性格、考え方などが違った方に出会うわけで、まったく同じ内容、同じ進め方でレッスンはできません。僕自身それがとても勉強になっているのですが、さすがにこれはどうなんだろう?と思うことがひとつだけあるので今回はその話題から書いてみたいと思います。


《あるレッスンでのこと》
このときは楽器のセッティングについてレッスンをしていました。

荻「では楽器を構えて、マウスピースを唇に当てます」
荻「最初に上唇にマウスピースを貼り付けて、、、」

生徒さん「ブーーー!!」

(いや、あの、まだ話としては上唇を貼り付けて、までしか言ってなくて。)

荻「上唇が貼りついたのを確認したら、下唇でアパチュアを作るうごきをするんですが、そのときに、、、」

生徒さん「プーーーーー!」

(いや、あの…)


(話の途中なんですけども!!!!)




こんなレッスンの展開になる生徒さんが結構な人数いらっしゃいます。
気持ちはよくわかります。とてもわかります。吹きたいですよね。話長いですよね。忘れないうちに、手に入れた情報をもとに確認したいですよね。話長いですよね。

わかります。わかるんですが…。


《レッスンは落ち着いて進めましょう》

先日掲載した記事「言葉によるアドバイス(伝える側)」にも書きましたが、何かの行為を言葉で表すと、必ず順序が発生してしまいます。

楽器から音を出すまでの一連の流れは、実際のうごきであればほんの数秒です。
しかし、その一連の流れをひとつひとつ誤解を招くことなく、順序だてて説明するとなると、とっても時間がかかります。

トランペットを演奏するという行為は、自転車を運転するように様々な部分が的確にはたらき、それらのバランスが成立してこそで、面倒であってもひとつずつ正確に積み重ねなければなりません。
そんなに慎重にならなくても、力一杯口を締め付けて思い切り体内の空気圧を高めれば確かに音は出せるのですが、それって、自転車を運転する際に地面を蹴って進んだり、下り坂だけ前に進んでいる状態を「運転できた!」と言っているようなものです。正しくないので、近い将来必ず行き詰まります。


レッスンを効率良く、きちんと積み重ねていくためには、

聞いて

考え(理想や結論、目指すものを脳内完成する)

自分なりに理解し

実践し

評価を受け

再度検証し

次の課題もしくは再度チャレンジ



この流れを丁寧に進めていくことが大切です。

この中で特に大切なのが、「受け取ったアドバイスを自分なりに(きっとこういうことを伝えようとしているのだろうと)結論を出す」→「実践」する、という点です。

言葉には誤解がつきものです。先生も生徒も超能力者ではありませんから、相手の思考を完全コピーして渡したり受け取ったりできません。よって、相手の言葉をそのまま受け取るだけでは理解はほとんどできず、的確に実践することは不可能なのです。


ですから、最初のレッスン風景のお話しが僕の単なるグチではないことをご理解いただけたかと思います。
まずは先生の話を最後まで聞いて、goサインが出たら吹く、という落ち着いたレッスンを進められるよう心がけてもらえるだけでレベルアップにつながりやすくなります。


《ジグソーパズル》
レッスンはジグソーパズルを作っているようなものです。
そのときの目標によってピースの数も絵柄の難易度も様々ではありますが、組み立てて完成を目指すことはいつも同じです。

そして、今組み立てているパズル(課題)は、これまでに作り上げてきたピース(スキル)と必ずどこかで繋がります。

トランペットを練習し、上達するということは、パズルをどこまで大きなものに作り上げていくか、という果てしなく続くチャレンジだと思ってください。

パズルはすんなり組み合わせられるときもありますし、時にはとても難しいときもあります。場合によっては違ったピースを強引に押し込んでしまって先に進めず混乱することもあるでしょう。

そんなとき、協力してくれる人がいるととても助かります。
それが、先生です。


《パズルを完成に導く様々な指導方法》

先生は生徒さんのパズルを完成させることを目標としていることに変わりはありませんが、場面によって、また講師によってその進め方や方法は変わってきます。
では、同じ「レッスン」という時間には、どんな場面があるのか、いくつか例を挙げてみましょう。


[ジグソーパズルというゲームの攻略方法を伝えているとき]
ジグソーパズルはどのように考え、実践すれば完成するのか、方法やコツなどを教えてくれているときがあります。
パズルの絵柄やピース数などは関係なく、もっと大きくて根本的な情報や知識です。今後様々な場面で思い出しては必要となる大切なものです。
「基礎」や「(音楽や作品に対する)考え方」と言っていいのかもしれません。


[パズルのピースを手渡してくれるとき]
ひとりでは見つけられなかったかもしれないピースを先生が「ここにもピースがあるよ」と手渡してくれることがあります。経験年数が少なかったり、レッスン初期はこれが多いかもしれません。初心者の場合、どうしても知識量の関係で視野が狭くなってしまうので、「ああ、こんなところにもピースがあったのか!」といったシーンが多くなるのです。


[どのピースとピースがくっつくのかアドバイスをしているとき]
このシーンがレッスンでは一番多いかもしれません。どれが正しく組み合わさるのか、生徒さんが困っているときに伝えるアドバイスです。

「これはここ!」とだけ言うのと「これはこういった形で、ここはこの形だから一致するんだよ」と、理由を含めた説明をするのでは、理解度も変わってきますよね。

僕は説明がくどいと思われても必ずしっかりと理由を伝えます。そうでないと、同じ状況で困ったときに自分だけで打破できないからです。

それに、理由を説明せず方法だけで覚えてしまうと、教わった人の中の誰かが必ず後付けの根拠ない理由を添えてしてしまうので、結果として都市伝説が生まれてしまうのです。

「楽器を吹くときは腹式呼吸で、お腹に空気を入れるんだよ。そのために腹筋を鍛えておかないといけないんだよ。胸式呼吸はダメだからね。さあ肺活量を増やすためにマラソンをしよう!」

とか、こういうのはきちんと理由を説明し続けなかった先生、都市伝説を否定できない勉強不足の先生、◯◯式とか◯◯メソッドと名付けてわざと神秘的特許商品を作り上げてしまう先生にすべて問題があります。
上記の腹式呼吸の話は全部ウソですから覚えないでくださいね。


[一緒になってパズルを組み立てているとき]
習っている人を後ろからコントロールして、どんどんパズルを組み立てていくような感じです。

パズルのピースを掴むのも、組み立てているのも自分の体なので、この先生がいると自分が突然レベルアップしたかのような魔法にかかります。しかし、そのほとんどは後ろで操作している先生の力なのです。

こういった指導は、経験則ですが吹奏楽指導を中心に活動をしている人に多い気がします。外部講師として突然出現して魔法をかけるのです。この日まで何日も何日も顧問の先生と一緒に勉強して失敗して練習を積み重ねてきたのに上手くいかなかったことが、この先生が現れたら途端にバンドの演奏が変わった!なんだこれは!この先生すごい!金賞いけるんじゃね?

しかし、この先生が去った翌日、音を出してみるとまた以前のバンドの音に戻ってしまいました。昨日のあれは何だったんだろうか…。

このように、本人たちは気づかずに指導者の力にコントロールされて演奏がとても良い状態になる、ということは実際にあります。

しかし、この指導者はなぜそうなったのか理由を教えないので(時間がないから、というのもあるでしょうが、基本は企業秘密的扱いをしているから)、奏者たちは昨日と同じことができないのです。アウトプットの方法を教わっていないのですから当然です。だからまたあの人を呼ぼう、となる。特にコンクール直前に。儲かりまっか?

この方法、僕は主義ではないのでやりません。時間をかけてひとつずつを積み重ね、奏者がアウトプットできるようにレッスンしなければ意味がないからです。

ただ、この方法に似たようなことはレッスンでしています。
教本でも楽曲でも、僕が先に1,2小節吹いたら、同じ箇所の音色や表現を可能な限りマネて吹いてもらう。それを先まで続けていく、という時間です。
演奏する直前に音色や吹き方などのお手数を示すことで、余計なことを考えず、緊張する暇も与えず、音色やスタイルを再現することに夢中になっていくと、自然と頼れることが限られてきて、ソルフェージュ力も高まっていきます。

ただし、この練習の後には必ず理論的な説明を添えます。今、何をしたのか、どんなことが起こったのか、次にどうすればよいのか。

魔法なんてないのです。


[組み立てているのを黙ってみているとき(分析や見守り)]
ずっとこればかりでは困りますが、過保護になっていちいち何に対してもすぐああだこうだ言うのも良くないと思っています。必要なときに必要なだけ的確なアドバイスをするためにも講師は黙って分析し、生徒さん自身が自力で解決できそうなときは、あまり口を挟まずに吹いてもらうとか、最後のまとめとして本番のように最初から最後まで通してもらうなど、そういった時間がこれにあたります。


いかがでしょうか。
あなたがレッスンを受けたり、合奏に参加したら「今はこういう時間なんだな」と冷静に分析してみましょう。そうすれば自分がどうすれば良いのか見えてくると思います。
また、先生のレッスンに対する考え方や進め方をジグソーパズルに置き換えてみるといろいろ見えてきます。突き放すタイプや過保護なタイプ、核心を貫くタイプなど。先生との相性って、先生の性格というよりも、レッスンに対しての取り組み方によって生まれるのだと思います。

やりとりがスムーズになると、今よりもっと先生と仲良くなれるかもしれませんし、理解力も高まりまり、得られるものも大きくなりますよ!


それでは来週は「ハイノート本」の更新です。来週は”note”をご覧ください!
こちらでは”次の次の週”にこちらでお会いしましょう!


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at 00:29, 荻原明(おぎわらあきら), 音楽に対する考え方

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頭ではわかってるのにできないのはなぜ?


















みなさんこんにちは!

テクニック的なことをレッスンなどで教えてもらい、頭の中ではわかっているのに、

『できない!なぜだ!』

と、もどかしい思いをした経験、きっとみなさんにもあると思います。僕は音大受験生の時、それの連続でした。わかっちゃいるのにできないってのは本当にもどかしく、ストレスが溜まりますよね。

いったいなぜそんなことが起こるのでしょうか。そして、実際にどのように考え、実践していけばそれが解消されるのか、具体例を挙げて解説をしていきます。


《影と本体のようなもの》
どう直せば良いのか理解しているのにどうしても直すことができない。これは例えるならば、本体ではなく、影に触れようとして「なんで?!どうして触れないの?!」と言っているような状態です。



まず大切なことは、自分が触れたいと思っている本体はその影ではなく、違う場所にあるのだ、という発想にたどりつけるか、ということ。そしてその本体がどこにあるのかを見つけられる力を持てるかがポイントです。

トランペットの話に戻すと、例えばタンギングのクオリティを高めようとした時、あなたは何について考えますか?タンギングは舌で行っているのだからと、舌のことばかり考えてしまうという方は、結局解決策が見つけられない、なんてことになるかもしれません。舌のことだけにとらわれすぎず、広範囲に目を届かせ、根本的なところはどこなのか(舌を動かしているのは何なのか)そもそもタンギングとはいったいどんなことなのか、それを見つけ、研究することができ力が欲しいところです。

ちなみにタンギングのクオリティを上げるためには空気の流れや体の中の空気圧コントロールを意識することが大切です。舌を動かすこと(舌の筋肉)ばかり意識していても解決しないどころか、どんどんタンギングができなくなる可能性もあります。


《わかってるのにできないのはなぜ?》
タンギングのクオリティを上げるために空気のことを考える。このようにすぐ根本的なところが見つけ出せればまだ楽ですが、ほとんどの場合、様々なものが関係し合っていることが多いです。

例えば、多くの方が悩んでいる「ハイノート(高音域)」について考えてみましょう。

では、僕があなたにレッスンで「音域を変化させるために必要なことは『舌の動き』だよ」と伝えたとしましょう。

舌が動くことによって音の高さが変わるということをまず言葉で理解(知る)ことができました。そしてその場で実際に吹いてみて感覚的にも理解できました。ただ、その時はピッチが少し上下するだけで、リップスラーとか、ましてやハイノートが出せたわけではありません。

生徒であるあなたは「音の高さを変えるために舌は必要」ということは知識としても感覚的にも理解できています。しかし、どうしてもしっかりと吹くところまではできない。わかってるのに結果が伴わない。もっと舌について意識し、もっと動かしてみよう!…うーん、なんだかあんまり動かないなあ。なんでだろう。わからない…。

こうなってしまうかもしれません。

僕は「舌」だと伝えました。これは決して間違っていません。ウソをついているわけでもありません。
あなたは「舌」だと理解できました。しかし、動かそうと意識しているのにできません。

客観的に見てみると、あなたは舌のことで頭がいっぱいになって、だいぶ視界が狭くなっています。
解決できない理由はそこにあります。大切なことは舌が他の何かとどんな関係であるのかに気づくことです。

では、音域を変えられないでいる根本的な原因のひとつがどこにあるのか探ってみましょう。

ちなみに、これから書く考え方や結論は、あくまでもひとつの例です。音域が充分に変化できないのはその人その時で様々な要因が関係しているので、原因はこの話で出てくる結論とは限らないことをご理解下さい。


《根本的な原因を探る》
最初に答え(ここでの例としての答え)を挙げてしまいます。

理由は「唇とマウスピースが貼り付いていないから」

です。舌と全然関係ないじゃん!って感じですよね。
ではなぜそこにたどり着いたのか調べてみましょう。


[舌が動かないのはなぜか]
まず、舌が動かせない理由を探します。動かせないのは口の中が狭いからなんです。口の中が狭い(広がらない)のは「アゴが動いていないから」です。これはきっと思いつきますよね。
試しにやってみて下さい。アゴが動かないように手で顔の下を押さえつけて喋ってみて下さい。

いかがでしょう。きっと全然喋れないはずです。
発音は「舌」で行うのはもちろんそうなのですが、その舌を動かすためにはアゴが柔軟に動くことが不可欠だったのです。アゴの動きというものは、日常あまり意識することがないので気づきにくいのですが、舌とアゴは常に関係し合っていることを覚えておいてください。


[アゴが動かないのはなぜか]
では、なぜアゴが動かないのか、考えてみましょう。
動かないということは「固めている」もしくは「固まっている」と考えられます。要するに力が入っているのです。
アゴは耳の近くにある顎関節(がくかんせつ)が動くことで開閉します。ここをはじめとして、顔面の様々な場所の筋肉に力がかかりロックされてしまうことで結果的に口が開かなく(動かなく)なっているのです。

ですから、トランペットを吹いている時に「口周辺を力で固めている」ことが直接アゴを動かなくしている、ということがわかりますね。

口周辺の筋肉を使ってしまうことはアゴが動かなくなる=この音の出し方は正しくないのでは?という可能性が出てきました。


トランペットを吹いている時の口周辺の形を「アンブシュア」と呼びますが、多くの方がこの「アンブシュア」という言葉を

「トランペットを演奏するために『作る』口周辺の動きや力」

と捉えてしまっています。
こう考えてしまうと、トランペットを吹くためには顔面の筋肉を使って変形しなければならない、と考えてしまい、大変な作業、疲れる動きを自ら行ってしまいます。

しかし、本来アンブシュアは、単に音が出ている時の口周辺の形を指しているだけで、その形をするために必要な力などたいしたことはありません。必要なものは強い筋力ではなく「柔軟な動き」です。したがって、吹いている最中の口周辺は非常にやわらかく、いつでも動ける状態になっているのです。

これがアゴを動かせなくしている原因だったのです。

余談ですが、アンブシュアはフランス語の「アンブシュール」が元です。谷間から平野に開くところとか、河口とか、そういう意味もあります。そうイメージすると、筋肉で絞って音を出すのはなんだか間違っていると意識しやすいかもしれません。


[不安だからこそ固まってしまう]
そうは言っても音を出すための状態を維持するのは結構大変なのでは?と思うかもしれません。

これは、「どんな方法で維持をするのか」が大きく関係しています。

先程の、アンブシュアを口の力で作っている方は、力(筋肉)で維持していくしか方法がありません。
しかしこの方法ではバテるのは時間の問題でしょう。

アンブシュアの状態が維持できるのであれば筋肉以外でも良いわけで、それが「マウスピースの貼り付き」なのです。

そもそも、「プレス」という言葉に惑わされてしまうのですが、マウスピースをプレスする意味をもう一度考えてみて下さい。プレスは

・口とマウスピースの間に隙間を作らないため(息漏れしないため)
・口周辺が多少動いても、ズレたり離れないため(音域変化=アゴの上下=アパチュアの動き)

これだけです。グイグイ押し付けてもこれらは実現しますが、バテやすかったりコントロールがきかなかったり、音色が悪くなったりと副作用が多すぎます。
ですから、唇とマウスピースが貼り付き合っていれば、これらは充分なのですから、それ以上力を込める必要はありません。

[マウスピースの正しいセットの仕方と結果]
貼り付きを確認をするために、ここでマウスピースの正しいセットを実践してみましょう。
マウスピースをセットする時、まず上唇(もしくはその周辺の皮膚)に貼り付いたことを確認したら、次に下唇でアパチュアを作る動きをします。口輪筋の働きによって、かまぼこをひっくり返したような半円形のアパチュアを作ると、結果として下唇が尖る方向に動き、下唇もマウスピースへ貼り付きます。

この動きによってつくられた口周辺の状態(形状)をアンブシュアと言います。
下唇とその周辺の動作はあったものの、強い筋力も強いプレスもありません。ですから、アゴが動けないほど固まることもありません。
これなら、舌が口の中で自由に動いても、それを邪魔するアゴの力は存在していないので、柔らかく開閉し、音域の変化が可能になり、ハイノートを出すための条件のひとつが手に入った、というわけです。


いかがでしょうか。
ハイノートを吹くこと、音域を変化させる条件はこれだけではありません。
ここで知っておいて欲しいのは、

原因の根本はだいぶ違うところにあった

ということ。舌だ舌だと直接的に考えるだけでなく、その原因は本来どこにあるのかを探ってみると、意外な場所にたどり着いたり、発見することがあると思います。

うーん、これは難しい!こんな考え方できないよ!という方も多いかもしれません。でも、それで良いんです。いきなりスムーズに解決まで導けるなんてことはほとんどありません。時間もかかることです。大切なことは、誰かに1から10まで教えてもらってわかった気になるのではなく(今回のお話はまさにこれです)、自分で考えて仮説を立て、実践し、確認、研究をすることです。
これを続ることで、様々なことに気づき、関連付けられ、考え方が柔軟になります。「思考の引出し」が増えることは、結果的に自分の技術を高めることにつながります。なので、最初は間違ってしまっても構いませんから、いろんな角度で考えることをおすすめします。

ということで今週はここまで。
また来週!


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at 05:37, 荻原明(おぎわらあきら), 練習に対する考え方

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ベルが極端に下がってしまう(前編)


















みなさんこんにちは!
とんでもなく暑い日が続いています。水分をこまめに補給して倒れないように気をつけてくださいね。
トランペットは口の中が乾くとコントロールが上手くいきませんから、ご注意ください。

それでは、今回はこれまでに頂いた質問にお答えします。

==================================
私は吹く時、ベルが下がり顔は上に向いています(あごを突き出すようになっています)。周りからよく吹きにくそう、きつそうと言われます。私は歯並びの関係で顎が下がっており、顎を出して吹こうと思うのですがとても吹きにくいです。どうしたら良いですか?
(一部抜粋、修正)
==================================



コメントありがとうございました。
実際に見てみないと確実なアドバイスはできませんが、この吹き方になってしまっている方、結構多いですね。僕が見た限りの記憶なので統計的なものではないので正しいかわかりませんが、中学校の吹奏楽でトランペットを吹いている人が一番多いように感じます。そのあたりに関しては後ほど書きます。

では早速、ベルが大きく下がってしまうのはなぜなのか、いくつかの考えられる原因を挙げてみたいと思います。


《本当に歯並びの問題なのか》
楽器を吹いている時に上下左右に曲がってしまう状態を「歯並びの問題」と考えることが多いと思います。
確かに、歯並びによってはマウスピースを唇に当てた時、まっすぐ構えることができない場合もあります。

しかし、この質問者さんのように非常にベルが下がってしまい、なおかつ顔が上を向くということは、よほどの歯並びでないとそうならないのではないか、と思うのです。噛み合わせとかそういうレベルではなく、正常に食べ物を噛むことができないほどの。
もしもそうだとしたら、きっと僕のところに質問をしてくる前にとっくに歯医者さんに行って治療していることでしょう。

要するに、歯並びによるものが原因のすべてではないと僕は考えています。


《マウスピースの当て方、吹き方を再考しましょう》
そこで、マウスピースを唇に当てる時のことを順序立てて確認してみます。

[支点は上唇]
唇は上下で働きが違います。ですので、まずマウスピースを唇に当てる時に、ハンコを押すようにマウスピースのリム全面を上下の唇にベタっと乗せないように注意しましょう。
最初に上唇だけにリムを乗せます。柔らかな唇にふんわり沈み込むマウスピースのような感覚があると良いですね。押し付けすぎず、かと言って触れるか触れないかのような不安定な状態なのも良くありません。そして、一番大切なのは、

「マウスピースと唇が貼り付いている」状態であることです。

例えばリップクリームや汗などでマウスピースがツルツル(or ヌルヌル or サラサラ)滑ってしまうと、位置を安定させるために口周辺の筋力を必要としてしまうからです。これは、音色の不安定さ、音域を広げられない問題点、そしてバテやすさを助長してしまいます。まずこれらに問題がないか確認しましょう。

上唇のみが貼り付いている時、口は軽く「ぽか〜ん」と開いておきます(顎の力を抜いた時、ほんの少しだけ唇どうしが離れている状態と考えてください)。この「ぽか〜ん」としている口の開きが、結果的に「アパチュア」になります。


[下唇『が』リムへ向かう]
マウスピースが上唇だけに貼り付いている時、下唇に触れてはいけません!とは言いません。触れていて一向に構わないのですが(むしろそれくらいでちょうど良い)、先ほども書いたように上唇と同じレベルでプレスをしないようにしていてください。
結果的には下唇もリムと貼りつくことになるのですが、こちらは貼り付ける順序が上唇と違うのです。

下唇がリムに向かっていく

ことが大切です。

※ここは言葉だと誤解を招きやすいのでできるだけわかりやすいようにしっかり書きますが、よくわからなかったら実践しないほうが良いかもしれません。今回の「ベルが下がる」問題を解決する最大のヒントがここにあるので書いているだけで、実際この内容は僕の個人レッスンで時間をかけてお話しと実践としている部分です。ですので、理屈だけ理解してもらえれば今回のところは充分です。

人間の唇をぐるりと囲むように「口輪筋(こうりんきん)」という名の筋肉が存在しています。
この口輪筋の主な働きは「口をすぼめる、尖らす」運動で、口笛を吹く時や、キスをする時、熱い食べ物を「フーッ」っと冷ます時などに使っています。
この下唇周辺の口輪筋「のみ」を使うことで、マウスピースのリムに向かって下唇が貼りつきます。

口は軽く「ぽか〜ん」と開いている状態で、下唇が口輪筋によってリムと貼りつきあったその状態で、顎全体を「閉じる」方向へ動かしていきます。「ぽか〜ん」の開きでは息の通り道としてはあまりにも大きいので、顎を使ってアパチュアのサイズを小さくしていきます。この動きによって、マウスピースよりも外側、口角近くの開いていた隙間も閉じることになります。

実際には下唇がリムに向かう動きと、顎が閉じていく方向への動きは同時進行です。


これらの動きによって、アパチュアの穴は確保しつつ、その穴の上下の唇の距離が近づいていくその経過で、振動が発生します(空気の圧力によってそのサイズはまちまちです)。なお、唇の振動はマウスピースや楽器の抵抗感があってこそ発生しますので、いわゆる「バズィング」のように唇をギュッと絞って振動させる方法とはまったく違うものです。


以上が唇の振動を正しく発生されるための順序とその方法でした。
これを元に質問の内容を再度検証してみたいと思います。


《ベルを極端に下げた時の状態を確認する》
楽器から音を出している時は、上唇とマウスピースはしっかりと密着しているため、結果として前歯(上)とマウスピースに唇が挟まれている状態と言っても良いと思います。
一方、下唇は、下唇のほうからマウスピースに接近しているぶん、上唇に比べればプレスの力は弱いと言えます。
ですから、この吹き方であれば前歯の生える角度が大きく影響しているとは言い切れないというのが僕の持論です。

では今度はベルの角度を優先した時に、マウスピースと唇がどのように接しているのかを確認してみましょう。

実際に楽器から音を出そうと構えた時、わざとベルを極端に下げていきます。
すると、下唇のほうにマウスピースのプレスが強くなっていくのがわかると思います。

僕はどちらかと言うと歯並びが良いほうですが、マウスピースの支点を下唇にすれば、クラリネットのようにかなりベルを下向きにすることができてしまいます。

しかしこれでは、かろうじて音を出すことはできますが音色も悪く、音域を変えることもほとんどできません。音を出した瞬間に「あ、もうバテそう」とすら感じます。
トランペットは可動できる顎全体(舌も含まれる)が音色も音域もコントロールする場所なのですから、そこを支点にして動けなくしてしまっては何もできなくなる、というのは容易に理解できるはずです。


結果として、根本的な吹き方の間違いがベルを大きく下げてしまっている可能性がとても大きいと考えられます。

では、間違った吹き方をなぜ身につけてしまったのか、思いつく原因をいくつか挙げてみると、

 ・最初に教えた人の影響
 ・ベルが下がってはいけない(まっすぐでなければならない)という風潮
 ・楽器を支える筋力の不足/構え方の問題
 ・誰かの見た目を真似した結果

これくらいでしょうか。
これらについては次回の記事で詳しく書いていこうとおもいます。
まずは、ベルが極端に下がっていて直したい!と思う方は最初のセッティングについてまず確認をしてみましょう。
ただし、奏法を見直すことは、様々な副作用が発生する可能性がありますので、確実に正しいことを教えてもらえる講師の指導のもと、行うことをおすすめします。また、本番前などに行わないようにしてください。音が出せなくなって余計に混乱してしまうかもしれませんので。

それでは、次回はこの続きです。
また来週!


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at 06:14, 荻原明(おぎわらあきら), 構え方・操作

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ノイズ、重音が出てしまう時の対処法


















みなさんこんにちは!
今回のご質問はこちらです。

==================================
こんにちは。
僕は音楽大学を受験しようと思っているのですが、最近になって今まで起こったことがなかったダブルバズが起こるようになってしまい困っています。
唇の閉じ具合やプレスの感じなど様々なことを試行錯誤してるのですが、中々上手くいきません。
起こる原因として考えられることや練習方法などを教えてください。
受験やコンクールに向けてこのままではまずいという焦りだけが募っています。
よろしくお願いします。
(一部修正)
==================================


という内容でした。
音大受験やコンクールなどの前にコンディションが悪くなるのはとてもストレスですよね。
焦ってしまったり、悲観的になってしまいがちではありますが、こんな時こそ、冷静に何が原因かを考え、実践してきたいものです。


《ダブルバズ=ドッペル音?》
始める前にひとつ確認しておきますが、僕は「ダブルバズ」という言葉をこの方のメールで初めて聞きました。察するに、唇が異なる2つの振動を同時に発生してしまっている状態、と考え、このブログを進めていきます。
ちなみに僕の周りでは「ドッペル音」と呼んでいます。ドッペルとはドイツ語で「二重の」と言う意味だと思います。英語のダブル。ドッペルゲンガーなんて言葉、ありますよね。
ということなので、この記事では質問者さんのおっしゃる「ダブルバズ」のことを「ドッペル音」と呼ばせていただきます。

みなさんも不本意に出てしまったこと、あると思います。だいたい汚い音でビャーっと鳴ってしまうんですよね。多くの場合、唇のセッティングのズレから起こっているように感じます。マウスピースを当て直すとすぐ直ることも多いので。
しかし、この質問者さんは、結構な頻度でドッペル音が出てしまうようです。解決の糸口がどこにあるのか、検証してみましょう。


《いつ起こるのか》
まず、ドッペル音がいつ発生するのかを見つけます。

・セッティングが問題の場合
・フォルテやピアノの音量変化時に起こる場合
・音域の変化によって起こる場合
・バテなどのきっかけがあった後から起こる場合
・特定の音、音域に対して起こる場合/楽器が問題の場合
・常に発生してしまう場合

これらをひとつずつピックアップして考えてみます。
 
 
[セッティングが問題の場合]
ドッペル音は、「違う2種類の音が発生できる唇の状態」になっている時に起こります。したがって、マウスピースを唇に付けたその時の状態によって発生することがよくあります。
セッティングをする時に、必要以上に口の周りを動かしていたり、マウスピースの当て方によってアパチュアのバランスが悪くなることがあります。
その場合は一度唇からマウスピースを離して再度セッティングをしなおしましょう。

なお、マウスピースは唇と「貼り付いている状態」をキープすることが大切です。特に上唇は支点になる部分ですから、最初に軽くマウスピースを乗せた時に貼り付いているかを確認しましょう。リップクリームや汗などでツルツル滑ってしまうとアンブシュアが安定せず、ドッペル音が発生してしまうかもしれません。


[音量変化時に起こる場合]
体内の圧力バランスが悪い時の警告かもしれません。体の中の圧力は、音量変化に使われますが、その圧力が強すぎ/弱すぎると、これから出そうとしている音量に対してのその他のパーツの準備とバランスが崩れてしまい、イメージとは違った唇の振動が発生してしまいます。
特に、ディミヌエンド(デクレッシェンド)をかけようとした時にこれらのバランスが崩れやすく、音量を小さくしようとして、必要以上にお腹の支えを解除した結果、音量だけでなくピッチまでもが急激に下がってしまうので、それを阻止しようと口周辺の緊張感を強くすることでバランスを保とうとしてしまう場合があります。その結果、アパチュアの形が筋力によって変化し、唇の振動する部分のばらつきが生まれてしまいます。


[音域変化によって起こる場合]
音域の変化は、腹筋の力(腹圧が強くなり、横隔膜を押し上げる行為)と、舌やアゴによるいわゆる「シラブル」の変化、それらの様々な組み合わせバランスで行います。
しかし、口周辺の変化によっても音域変化はある程度できてしまい、これを使ってしまうとアパチュアそのものの形状を変化させてしまうことにより音質が急激に悪化(くぐもった音)になってしまいます。それだけでなく、今回のテーマであるドッペル音も発生しやすくなります。
常に音のツボにはまった状態を保つためにも、口周辺を「直接的」に動かして音域をコントロールすることは避けるべきです。(二次的に動かされていることに関してはおおかた問題はありません)


[バテなどのきっかけがあった後から起こる場合]
これも結局アンブシュア、アパチュア周辺の変化によって発生してしまっている状態です。一番良い音を出す状態が作れない、保てないことが原因ですから、まずは無理に吹かないこと。休憩を取って回復してから再度チャレンジしましょう。
バテてきても、口周辺やマウスピースのプレスを強くして、なんとか切り抜けようとする習慣、クセを持ってしまうと多発する可能性があるので気をつけましょう。


[特定の音、音域に対して起こる場合/楽器が問題の場合]
ある音を出そうとすると、その音にだけドッペル音が出てしまう場合は、楽器の状態を確認してみましょう。例えば、ウォーターキイの状態(空気が抜けていないか)、マウスピースは適切な接続がされているか、ピストンボタンやボトムキャップのセッティング、、各抜き差し管のガタツキやグリスなどをしっかり塗っているか、その他ネジのゆるみ等。マウスピースもキレイな形であるか、よごれていないかなども。
あとは、管の中のよごれ、こびりつき、凹みも確認したいところです。
特定の音の周波がスムーズでないことが原因かもしれないので、いろいろと調べてみないと何とも言えませんが、他の音にはまったく発生しないのであれば、楽器や道具を疑ってみたほうが良いと思います。
他の楽器を借りて同じ感覚で吹いてみて、発生しないかどうかも確認してみましょう。

マウスピースを最近(およそ1年以内)替えたという方は特に、他のマウスピースで吹いて、どうなるか確認して下さい。逆に、ずっと替えていなくて「最近マウスピースが小さいな」と感じている方も、他のマウスピースで吹いてみて下さい。

考えられる原因を探してみても解決しない場合は、楽器屋さんに相談してみて下さい。


[常に発生してしまう場合]
唇の状態はどうでしょうか。怪我をしていませんか?切れていたり荒れていたりはしませんか?
歯に関してはいかがでしょうか。最近治療をしたとか、歯並びが気になっているとか。
舌が荒れていたり、口内炎になってはいませんか?
塩分の多い食事や、辛いものを食べて唇のコンディションが悪いと発生する場合もあります。

まずは上記のように体の使い方、セッティング、コンディションの安定、楽器の状態などひとつひとつをチェックしてみましょう。何か原因かを見つけることが大切です。
そして、必ず念入りなウォームアップをして下さい。ノイズが発生しなくなるまで1日中ウォームアップメニューをこなしてみるのも悪くないと思います。
一番基本的なツボにあてること(楽器が良い反応をしてくれるポイントを見つけて、そこに狙い続けられる吹き方をする)を心がけ、力で解決する方法だけに頼らないように吹いてみましょう。

場合によっては少しお休みをとって楽器を吹かない、という決断をするのも必要かもしれません。

そういったことも踏まえて、コンディションが悪い時は、プロの奏者に相談してみるのが良いと思います。


いかがでしょうか。
実際に吹いているところを見ていないので、思いつく限り挙げてみました。
「なんでこんな音が出るんだ!コンニャロ」とならないように、冷静に、ひとつひとつ原因を探してみましょう。
これも良い経験になるはずです。

ということで、今回は重音(ドッペル音)が出てしまう原因とその対処法をいくつか挙げてみました。

それでは、また来週!


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at 04:36, 荻原明(おぎわらあきら), バテ・不調・緊張・ミス

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スランプ、潰れにならないために 後編





















みなさんこんにちは!

さて、先日いただいたご相談メールを元に、前回より書いております。
いただいたメールはこちらです。

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高校3年生で、小学校4年生のときから部活でトランペットを吹いている者です。
私は去年の夏頃から、いきなりスランプになってしまい、五線内のBb音さえまともに出すことができなくなりました。
1ヶ月ほど前からようやく五線内のBb音より上の音が出せるようになってきたのですが、それでも五線の上のF音までが限界です。

原因はいろいろあると思うのですが、今一番困っているのは、楽器を吹くときに、体にものすごく力が入ってしまって、ワンフレーズ吹いただけで体がくらくらして立ちくらみがするほどです。口にも力が入ってしまい、高音だけでなく五線下のBb音あたりでも口をものすごく締めてしまいます。
力を抜こうと思っても、音を出そうとするとどうしても力がはいってしまいます。
どうすればいいでしょうか。
(一部訂正)
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なお、現在は質問を受け付けておりません。ご了承ください。

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吹奏楽コンクールが本格的になる今が「潰れ」「スランプ」になりやすい一番危険な時期です。

吹奏楽をやっていない、コンクール出ない、という方にも、楽しく健康にトランペットを演奏し続けるために大切なことを書いていきますので、ぜひご一読ください。

前回は「潰れ」とはどんな状態なのか、そして未然に防ぐための自分自身が気をつけておきたいこと、周りの人のケアについて書きましので、今回は実際に潰れになってしまった、潰れそうだから回避したい、といった方への「解決編」を書いていきます。そしてこのような環境にいる指導をする方に対しても書きましたので、ぜひ読んでいただければと思います。

なお、前回の記事はこちらからお読みいただけます(こちらをクリック)


《音の出る仕組みはとてもシンプル》
潰れやスランプになってしまった時、まず見失ってしまうのは「どうやって吹いていたか」などの奏法面です。
普通に演奏ができる時は、そこまで奏法について考えたり、見直したりすることがありませんが、一旦調子が悪くなると「何がいけないんだろう」という疑問が奏法に向けられるのはある意味当然なことと言えます。

しかし、自分がいつもどのように吹いていたのかをあまり意識していなかったり、そもそもトランペットはなぜ音が出るのか、という根本的な仕組みについて知識が少ない、もしくは断片的な知識しか持っていないと、その「わからない部分」について根拠のない試行錯誤を繰り返してしまいがちです。

さらに、ここで言う疑問点のほとんどは、「アンブシュアとその周辺」への問題視だと思いますが、ああでもないこうでもないといいろいろしているうちに、いよいよどうやって吹いていたかわからなくなる場合がとても多いのです。

そこでまず、「音の出る仕組み」について知っておくことが大切です。
先程も書きましたが、「仕組みなんて知ってるよ」という方も、断片的な状態で知識が止まっていると、繋がっていない知識の部分が引き金になって混乱してしまう可能性もあるので、確認の意味も込めて一度読んでみてください。


トランペットから音が出る仕組みは非常にシンプルです。

『唇に空気を通過させた時に振動が起こるから』

以上。なんてシンプルなのでしょう。


「潰れ」になってしまう原因のひとつに「難しく、複雑に考えすぎてしまう」から、というのがあります。
まずはこのシンプルな仕組みを前提にして、もう少し詳しく確認してみましょう。


《具体的な音の出る仕組み 〜足し算ではなくバランス〜》
唇を振動させるために必要なのは「空気圧」と「楽器とマウスピースから生まれる空気の抵抗感」の2点です。

我々は音を出そうとする時、腹筋に力を入れます。
なぜ腹筋に力を入れるのか。それは、胴体の下半分にある腹腔(ふくくう)という腸などのたくさんの内臓を入れている大きな袋の圧力を高めるためです。お腹周りの筋肉に力を込めることによって、腹腔の圧力が高くなり、そのすぐ上にある「横隔膜」を強く押し上げることができます。胴体の上には肺があり、空気の入っている肺を横隔膜を利用して強い力で押すことで、通常の呼吸よりも強く噴射されます(通常の呼吸ではトランペットからきちんとした音を出すための空気のスピードを得られません)。

この空気の噴射ですが、口が大きく開いていれば一気に「ブハーッ」と出して終わりです。しかし、トランペットを吹く上ではまずアパチュアが作られている状態になっていますね。このアパチュア、非常に小さい穴なので、空気が外へと一気に流れ出そうとしてもここで一旦せき止められてしまいます。

したがって、出たくても出られない大量の空気が体内に残っている状態になるのですが、これがまず第一に大切な要素「空気圧」です。トランペットから音を出し続けるためには体内(肺から口の中まで)に空気が満ち続けていなければなりません。圧力が高まっていると、例えば喉の周りはとても柔らかいので(無駄な力が入っていなければ)、空気圧で気管が押し広げられて、喉そのものが膨らんだように見えます。

そしてもうひとつ。圧力を高められた体内の空気は、アパチュアによってスピードを高められて噴出します。しかしここでもまた壁が現れます。マウスピースです。

マウスピースにもアパチュアのような小さい穴(スロート)があり、その周りにあるカップによって再度抵抗感を高められ、スロートからやっとトランペット本体へと空気が流れ込みますが、この時に発生している抵抗感(カップにぶつかっている空気)、これがとても重要です。

口の中から送り出される空気とマウスピースのカップにぶつかり、はね返ってきた空気のバランスが良い状態になると「唇の振動」が発生し始めます。

したがって、よく勘違いしてしまう唇だけでビービー鳴らす「バズィング」と、トランペットから音を出すために振動している唇の運動は、まったく違う方法なのです。バズィングができたからと言って、正しくトランペットから音を出せるわけではないことに注意が必要です。(バズィングでもトランペットから音が出せてしまうのが勘違いしてしまう大きな原因です)
唇の振動はマウスピースや楽器があってこそ、ということを覚えておいてください。


ということで、

「空気圧」「抵抗感」

この2点、とっても重要です。

今回質問して下さった方は、この「空気圧」を過剰にかけすぎたため、通常であれば楽な音域であったにも関わらず立ちくらみがするほどになったと書いています。
音は、この「空気圧」と「抵抗感」のバランスが良い時に発生するので、上記のようなアドバイスをしたら、楽に吹けるようになったとお返事をいただけました。よかった。

調子が悪い時や、思うように音が出せない時って、どうしても「加える」方向に持っていきがちです。力を込めてしまったり、より多くの息を出そうとしたり。しかし、トランペットを吹く時に一番大切なのは「バランス」です。パワーアップアイテムを手に入れれば入れるほど最強になっていくゲームとは違うのです。


《音の高さが変化する仕組み》
空気の圧力と抵抗感を得られて、めでたく音が出せたら、次は音の高さの変化です。


音の高さが変化する仕組み、これもとってもシンプルです。

「空気のスピード変化」

これが変わればいいのです。なんてシンプル。


では、こちらももう少し詳しく確認してみましょう。

空気のスピードを変化させることのできる体の部分がいくつかあるのですが、どこかわかりますか?

「お腹の筋力(腹筋)」
「口の中のサイズ変化(舌+アゴ)」
「アパチュアのサイズ変化、マウスピースの過剰なプレス」

大きく分けるとこの3箇所です。

しかしこの中でひとつ、悪い副作用が含まれる方法あります。どれでしょうか。


これは想像できるかと思いますが「アパチュアサイズ変化とマウスピースの過剰なプレス」です。

なぜこの部分に悪い副作用があるのかと言うと、アパチュアは唇の振動によって「音を作り出しているところ(音の発信源)」だからです。音色を決めるという大変な仕事を担っているのに、更に仕事を増やすとどうなるでしょう。音色に統一感がなくなり(ほとんどの場合響きのないくぐもった音になります)、ピッチが不安定になってしまうのです。

アパチュアの不安定さは、バテにも直結します。これは危険。

ですから、アパチュアに直接的な影響を与える口周辺の筋力変化や動かす行為、そしてアパチュアを押しつぶしてしまうマウスピースの過剰なプレスは避けるべきなのです。


結果として、息のスピード変化は主に「お腹の筋力」と「口の中のサイズ変化」の2つで行うということになります。

それぞれの有効的な使い方については、過去の記事「ハイノート(ハイトーン)」カテゴリがありますので、ぜひ読んでみて下さい(こちらをクリック)


《マウスピースと唇の位置関係がわからなくなった時》
プレスする行為は悪ではありません。上記に関してはあくまでも「過剰なプレス」について指しています。唇とマウスピースは(特に上唇は)貼り付いている状態をキープすることで安定した演奏をすることができますから、そのための必要分のプレスはするべきだと考えます。

また、下唇に対してのプレスは慎重にすべきです。例えば下唇が支点になるようなプレスや下唇に強いプレスをかけることは、コントロールがきかなくなったり、バテを急速に誘発するので避けましょう。

また、調子が悪い時は、マウスピースを唇につけたその瞬間、「ん?いつもと(調子が良い時と)違うぞ?」と違和感を覚えることがとても多いです。その結果、ああでもないこうでもないと位置を探しまわっているうちに本当にどこが正しい(?)のかわからなくなることが多々あります。結局、どこもしっくりこなくて、一体昨日までどこにマウスピースを当てていたのかと困惑することがあります。

しかしこの違和感を発生させているのは、位置の問題ではない可能性が高いのです。強いプレスによって「マウスピース」と「歯」に強く挟まれた唇の感触が良くない(クッションになっていない)ことなのかもしれません。

そのような場合は、音が出るとか出ない関係なく、ふんわりとやさしく唇にマウスピースを乗せて(位置のことは考えない)、唇のクッションの柔らかさを感じながら息を流してみて下さい。これを何度か繰り返していくうちに、本来の吹き方を思い出すかもしれません。

他にもマウスピースと唇の位置関係がわからない原因に「口の中の状態」もあります。
音を出すためのセッティングをしている時、発音する時の舌の動きは、アンブシュアを形成している筋肉等にも影響を与えます。ですから、一旦唇とマウスピースの位置関係は忘れて、良い音が出る口の中の状態、特に舌とアゴの安定した位置や柔軟に動ける空間について意識してみましょう。それによって「いつもの(調子が良い時の)唇の状態」が戻ってくるかもしれません。

マウスピースの当たっている「感触」で位置を確かめるのではなく、全体のバランスを確認してみるようにしてみいましょう。思いもよらない場所がきっかけになって、安定したマウスピース位置を見つけられるかもしれません。


《鏡を使わない!》
調子が悪くなると、何が原因かを追求したくなります。
中でも「アンブシュアが原因だろう」と思うことが一番多いと思いますが、その時、音を出している自分の顔を鏡に映して「奏法の間違い探し」をすることはやらない方がいいでしょう。

なぜなら、目視で口周辺の皮膚を見ても何もわからないからです。

先程のマウスピースと唇の位置関係でもそうでしたが、違和感を覚える原因はもっと全体的で内部的もしくは精神的なものであることが多いのです。

しかし、実際に鏡を見たことのある方はとっても多いと思います。その中で「ああ、ここがこうなっているからおかしかったんだ!じゃあやめよう→治った!」という方、いらっしゃるでしょうか。少なくとも、僕は調子が悪くなって鏡を見て、治った方に遭遇したことがないのです。

表面的にはいつも通りだからこそ、他の人に気づかれにくいと考えます。



《精神的な面からの解決》

[初心にかえろう]
「潰れ」に関係になくすべての方に当てはまることですが、みなさん誰もが必ず楽器を初めて手にした日があります。その時、どんな気持ちだったか覚えていますか?

きっと何もしがらみもなく、キラキラした楽器に息を入れたら、何だかよくわからないけど「ブー」って音が出て、ピストンを押したら音が変わって「わー、音が出た!楽しい!」って、そんな瞬間、ありましたよね。

あの時の楽しさ、真新しさ、とっても大切です。

音が出せて、やっとのことで曲(らしき)ものが吹けて、大変だけどとっても楽しい!
そして、大勢の人と一緒にひとつの曲を作り上げている感、とても興奮したはずです。

では今はどうでしょうか。楽しんで演奏していますか?
音を出すことが怖いとか、ミスしたらどうしよう、とか、これじゃあダメだ!とか、
そんな思考に取り憑かれて楽しくないまま合奏をしていませんか?

もちろん全員が全員そうではないと思いますが、少なくとも潰れてしまう方の中にはこの大切な気持ちを忘れてしまっている方が多いと思うのです。

単純に楽器から音が出せるだけでも素晴らしいことです。楽しいはずです。あまり深く考えないで、自由に吹いてみる、そんな時間を作ってみましょう。


[ミスして良いんです]
ミス=悪のような空気感が漂うコンクール練習が多いのですが、ミスやエラーは人間だったら誰でもしてしまうものです。
それなのに、指導者が「ミスするな!」と脅迫するような言葉を浴びせかけることはどうしても納得いきませんし、不愉快です。
以前そんなシーンをテレビで見たことがありますが、「これはおかしい!」と感じました。
その吹奏楽部の活動にケチをつけるわけではありませんし、歩んできたストーリーの前後を見ていないから、というのもあるでしょうし、指導者との信頼関係もあるでしょうし、テレビ的演出という「大人の事情」的圧力がかかっていた可能性もありますが、やはりどう転んでも良い気分にはなれません。

もちろん、本番はミスしないほうが良いのは当たり前です。

しかし、合奏時、ミスをした奏者に対して「ミスをするな」って、あまりにも安直すぎやしませんか?
指導者ならば同じミスをしないためにどうすればいいのかを考えさせるように促したり、なぜミスをしてしまったのか即座に分析して、参考にさせるとか、場合によってはミスをしない吹き方とは、というテーマで的確に指導をすべきです。

それができないなら、できる人の力を借りるべきですし、もしも指導者がこれらを全部否定するのであれば「ミスするな!」と言うべきではありません。

なぜなら、ミスをしたくてしている人なんていないのです。

だからこそ、指導者から「ミスするな!」と言われれば、ミスをしてしまった奏者は自虐的になり、周りの奏者は明日は我が身と恐怖感を持ってしまいます。全員ガチガチですよ。

「ミスするな」と言うのは簡単です。しかしその一言に団体全員がマイナスの方向へ向かうということも覚悟しておくべきでしょう。


練習時、ミスはしていいのです。ミスをしたら、そのミスがなぜ起こったのか、そしてどうしたら同じミスをしなくなるのか。これを考え、様々な角度から実践し、経験を積んでいけば良いと僕は思いますし、それがひとつの練習スタイルです。

正しい方向性で練習を積み重ね、経験を積んでいけば必ず、ミスの少ない演奏ができるようになります。


緊張感・厳しさの履き違えは指導者が意識しなければならない大切なことです。
ミスがどうこうなんて小さなことにこだわる前に、奏者全員がもっとおおらかにのびのびと楽しい!と感じられる音楽を自由に作り上げていける方向に指導者は持っていかなければ、と思います。それがたとえコンクールであっても。

こんな話、全国大会金賞を目指している人には納得いかないでしょうね。
僕は「音楽」をやっていきたいです。音楽をやっていて楽しいと思いたいです。その先の結果は別物です。


「潰れ」になりやすい方は楽器を始めてまたそれほど経っていない、特に中学生くらいに多いように感じます。なぜなら、それくらいの経験年数の方は奏法についてあまり具体的に考えたことがない場合が多く、調子が悪い状態と良い状態の差がまだあまり判断できないからです。
なのに、吹奏楽コンクールに向けてガンガン練習させてしまうものだから、気づいた時には潰れてしまっていた、という事態にもなりかねません。
ぜひ指導する側の方の早めの気付きと、そうならないための練習メニューを作るようにお願いします。

なお、奏法についてはやはりプロの奏者によるアドバイスやレッスンが一番的確なのは言うまでもありません。


《潰れてしまった方、スランプで悩んでいる方へ:メッセージ》
あなたは下手になったのではありません。今はただ自分の持っている実力が出せない狭い部屋に迷い込み、閉じ込められてしまっただけなのです。
その部屋から出られる鍵はあなた自身の中にあります。それが吹き方なのか、心の状態なのか。まずそれを探してみましょう。
部屋の外にはたくさんの仲間が待ってくれています。その仲間の中には、外から扉を開けられないか、試行錯誤をしてくれている優しい人もたくさんいます。扉の向こうから(聞こえにくいかもしれませんが)アドバイスをしてくれている人や、「大丈夫だよ」と言ってくれている人もいます。

その部屋から出られたその時、あなたの実力は元に戻るどころか、「もうこの部屋には入らないようにしよう、そのためにはどうしたらいいのかな」という解決策という経験を得て、パワーアップしています。

ぜひ今のこの時間を無駄なものだと思わずに、(今は苦しいかもしれませんが)これも成長するための大切な経験だと思ってください。
でも本当に疲れてしまっていたら、起き上がる力が湧くまではゆっくり過ごしましょう。みんなはずっと待ってくれています。


ということで、2週に渡って「潰れ」「スランプ」について書いてみました。
コンクール前なので話が偏ってしまいましたが、奏法面、精神面ともに健康で楽しく意欲的に楽器を吹き続けていく人がひとりでも多くなることを望んでいます。

それでは、また来週!


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at 07:54, 荻原明(おぎわらあきら), バテ・不調・緊張・ミス

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楽器を構えるとベルが大きく下がってしまう


















みなさんこんにちは!
さて、今回は頂いたご質問からひとつピックアップして、書いていきます。

今回はこちらのご質問です。
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小学校6年でトランペットを吹いています。
3年生の時からやっているんですが、吹くときにベルが下がってしまいます。
ベルを上げようとすると、顔がすごく上をむいてしまって、顔の向きを戻そうとすると、音がきたなくなってしまいます。
唇の形などが合ってないのかなとか思うんですが、私はトランペットにむいていないんでしょうか?(抜粋)
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ありがとうございました。
とりあえず最初にお伝えしておきます。「向いてなくないですから安心して下さい!」

お会いしたこともないのに、大丈夫と言い切るのは無責任で良くないのかもしれませんが、僕が言いたいのは「すぐに決めつけるのはやめましょう」ということです。もし向いていないのでは、という疑問を持つのでしたら、あと10年は吹き続けてからにしましょう。大丈夫です。
では、楽器を吹く上で、悩みよりも楽しみが増えるように、いくつかの考え方や対策を書いていきます。


《トランペットはもともとバランスが悪い》
この質問を書いて頂いた方だけでなく、自覚があるかないかは別として、吹く時にベルが必要以上に下がってしまう方、結構多いです。特に小中学生に多く見られるのですが、その理由のひとつに「楽器が重い」ことが挙げられます。更に、トランペットは横長な形状をしている割に、持つべき場所が若干手前にあるので、どうしても構えるとベルが重く感じるバランスになってしまうんですね。
結果、筋力(腕や握力)の弱いお子さんが持つと、ことさらベルが下がってきてしまう、ということです。

ある意味これはしかたのないことかもしれません。ベルが下がらないようにするには筋力をアップするか、下がってきてしまう前に一旦構えをリセットさせるなど、自覚するしかないからです。

ただ、解決まではいかないかもしれませんが、対策はあります。それは「持ち方」を研究する、ということです。

先程も述べたようにトランペットはバランスの悪い楽器です。それならば、持ち方を工夫して、バランスの良い状態に近づけていければ良いのでは、と思うのです。

トランペットの構え方については過去に記事を書いてあります。ぜひそちらを参考に、自身に合った持ち方を研究してみて下さい。


トランペットの構え方


《ベルが下がってしまう他の理由》
ベルが下がってしまう理由が、筋力ではない場合に考えられることは「支点が下唇にある」ということです。
いかがでしょうか、吹いている時の状態を観察してみて下さい。

トランペットを吹く時、マウスピースをまず上唇の中央に軽く触れて(置いて)あげて下さい。それが「支点」です。上唇はこの場所をキープしてあげるだけで充分です。では下唇は何をしているかと言うと、この部分は顎(あご)という土台にある下唇や舌、顎そのものの動きなどによって音色や音の高さなど様々な要素をコントロールする部分なのです。
マウスピースを当てると単純に考えてしまうと「口の周り」というあまりにもざっくりしたイメージだけでトランペットから音を出そうとしてしまいますが、それぞれの役割はだいぶ違う、ということを覚えておいて下さい。

詳しくは過去の記事「アンブシュア 3」を読んでみて下さい。

さて、マウスピースの支点が下唇にあるということは、下唇を押さえつけていることにつながります。本来ならば「音楽的なコントロール」をする大切な場所を「支える(支点)」という仕事を下唇に任せてしまうと、それだけでもう顎全体はいっぱいいっぱいになってしまうのです。その状態で演奏をしようとするならば、無理矢理に力を込めて顎をガチガチにしてしまったり、使っていなかった上唇(鼻の下)で様々なコントロールをしようとする上下逆の状態になってしまう恐れがあります。しかし、鼻の下周辺の筋力というのは顎や下唇周辺に比べると弱いので、どうしてもすぐバテてしまいますし、そもそもコントロールが上手くいきません(顎のように鼻の下を大きく自由に変形させたり開けたりできますか?)。

ということで、支点は上になる、ということです。

この話題を出したのは、質問の中に「ベルを上げようとすると、顔がすごく上をむいてしまって」というくだりがあったからです。
もちろん、誰でも吹いている時にベルアップをしようとすれば頭が後ろに行くので、楽な姿勢ではありませんが、きっとこの方は「ベルをまっすぐ向けようとしても顔がすごく上を向く吹き方をしている」と予想できます。したがって、マウスピースの支点が下唇になっているのではないか、と思いました。

「顔の向きを戻そうとすると、音がきたなくなる」というのが、いまいちイメージできないのですが、きっとこれも支点がずれてしまったか、一時的に上唇に支点が戻ったことが原因ではないかと考えられます。(吹いていて突然)大きなノイズが出てしまったり、ドッペル音(2つの高さの異なる音が同時に出てしまう)、音域変化(インターバルや音域の広い音階など)で音色が大きく変わってしまう(高音域がくぐもったような細い音など)などの「大きな変化」に関しては、唇とその周辺の変化、特に意図的に変化させてしまった時に起こる現象と思って良いでしょう。

そして、質問を頂いた方がなぜこのような吹き方になってしまったのか、という点については、実際に吹いているところを見ない限りわかりません。もしかすると歯並びの問題があるのかもしれませんし、先程書いた筋力の問題かもしれません、姿勢かもしれませんし、単なる長年(この時点ですでに楽器歴3年)のクセかもしれません(高音域を無理に吹かされすぎてしまった等)。


《支点を戻す》
支点を変える(戻す)というのは、ある意味アンブシュアを強制的に直すことにもつながってしまいますから、いきなり「今日から支点変えます!」は危険です。コントロールができなくなり、一時的に「潰れ」の状態になってしまいます。
ですから、あまり深く考えずに、まずは楽器を構える時に「上唇にマウスピースを最初に触れる」ということだけ常にイメージしてみて下さい。
あとは、顎や舌を大活躍させて演奏することをウォームアップなどの時間で覚え、感覚的に使えるようになっていくことを意識していれば、少しずつですがきっと、本来の良い吹き方(ここでは上記のような体の部分それぞれが一番活躍できる働きを見せる吹き方)になっていくと思います。気長にいきましょう。


ということで、今回は「楽器の構え方」と「マウスピースの支点」について書きました。少し前に似たような記事を書いていますので、今回の記事が気になるという方はぜひこちらもお読み下さい。

参考記事「楽器を構えると疲れてしまう

それでは、また来週!



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at 09:15, 荻原明(おぎわらあきら), 構え方・操作

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アンブシュアを直すべきか 3


















みなさんこんにちは!

学生の方は夏休みまっただ中といったところでしょうか。うらやましい!
コンクールで大変な毎日を過ごしている方は、ぜひ体を休めるということも頭に入れて演奏して下さいね。
体も頭も疲労がピークになると、音がどんどん出せなく(出しにくくなる)「潰れ」という状態になりかねません。せっかく一生懸命練習してきたコンクール曲ですから、万全のコンディションで演奏できるように、ウォームアップをしっかりと行いましょう。
個人練習の時間が取れないからと、合奏中の休憩時間に練習したり、お昼休みを早めに切り上げて個人練習したり、そういったことは極力控えるようにして、とにかく体をいたわってあげて下さいね。勉強も楽器も、一夜漬けでは何も得られませんから、ギリギリになって焦るのは精神力の無駄ですよ。

それでは、今週も頂いたご質問から、アンブシュアについて書いていきます。今回が3回目。内容はこちらでした。
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アンブシュアをなおしたいと考えているのですが、アンブシュアを変えてきちんと吹けない期間が出来てしまうのが怖いです。そこで質問なのですが、アンブシュアを変えた場合どのくらいの期間で新しいアンブシュアに慣れることが出来るでしょうか。
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前々回では「アンブシュアは直さない」ということを書きました。前回の記事では「アンブシュアは完成した製品を出荷する出口でしかない(ここであれやこれや作る場所ではない)」ということを書きました。もしお読みでない方はぜひ過去の記事を先に読んで下さい。

アンブシュアは直すべきか1」 
アンブシュアは直すべきか2」 


《指導者からの指摘》
世の中のトランペット指導をしている人の中には「あなたのそのアンブシュアじゃ、まともに吹けないから変えなさい」と軽く言ってしまう人がいます。しかし、これまで見聞き経験してきた中で、そうしてアンブシュアを「意識的に」変えて良くなった!という人を見たことがありません。僕が知らないだけで世の中にはいらっしゃるのかもしれませんが、多くは(本人がどう思っているかは別として)以前のほうがよかったんじゃないかなぁ、と感じてしまうことばかりでした。

なぜアンブシュアを変えても良くなる可能性が低いのか。それは、これまでにも書いたように「人によって良いアンブシュアが違うから(=模範解答がないから)」なんです。
もしかすると、今の科学技術ならば、その人それぞれに最適なアンブシュアを見つけ出すことができるのかもしれません。演奏しやすいアンブシュアというものが科学的、論理的に解明されるかもしれません。
スポーツの世界では、結構そういった方法で成績を伸ばしていることも多いようですが(聞きかじり)、とりあえずトランペットの演奏に関するアンブシュアではそういったことはまだ聞いたことありません。
だから、根拠はありませんがアンブシュアに関してはそういうの無理なんじゃないか、とも思います。

話を戻しますと、結局「見た目を直そう」としているからおかしくなっちゃうわけで、顔の表面的な動きや形にこだわっている限りはアンブシュアに関しては解決しないと思います。したがって、僕の場合はレッスンで現状のアンブシュアで大きな苦労をされている方には直接的に「直しましょう」とは言いません。ほとんどの場合は、他の話題(口の中の舌、顎など)に着目してもらい、アンブシュアをあまり意識しないように練習を続けてもらうことで、(時間はかかりますが)改善していきます。ただし、生徒さんの状態やいろいろな面を考慮して、頭の片隅に置いておく程度にアンブシュアに対して伝えること(今のアンブシュアだと苦労していませんか?など)はあります。


《方向性、共通性》
「アンブシュアは人それぞれ」と言い続けていますが、これまでに見てきた沢山の一流トランペット奏者の吹き方を見ていると、ある程度の方向性、共通性というのがあると感じています。ひとつは

「口角を横に引っ張らない」

という点。そして

「顎の部分しか使わない」

という点。これらは共通しているように感じます。実際に聞き歩いたわけではないので、立証はありません。あくまでも見た目と動きだけです。

僕は中学校に入り、初めてトランペットを手にした時に先輩から「口をおもいきり横に引っ張って唇を振動させて音を出す」と教わって、それをひたすら信じて(特に懐疑的にもならず)高校も音大の最初の頃もそれで吹いていたように感じます。高校生に入ってからは音大受験のためにレッスンを受け始めたことがきっかけで、徐々にアンブシュアも安定してきていたのかもしれませんが、結局のところアンブシュアを意識的に直そうと思ってはいませんでしたから、そのなごりは常にあったはずです。

顎に関してはこれまでも沢山書いてきましたが、人間は顎(舌、下の歯、下唇、下半分の口輪筋など全て含め)はとても発達し、自由で繊細でしなやかな動きができるので、この部分のみを使う気持ちでいるべきだと思っています。したがって、頭蓋骨部分(上唇、鼻の下、上半分の口周辺筋肉全般、上の歯など)は、反応はしますが(結果として動きはありますが)、意図的に力(筋力)をかけて動かしたり、顎や下唇以上に頭蓋骨部分をメインとして使うべきではありません。ということで、

「口角を引っ張らない」
「顎の部分しか使わない」

この2点はみなさんに意識していて欲しいと思っています。逆に言えば、今「使うべきではない」と言った部分をトランペットを吹く時に使っている方が、「アンブシュアを変えなさい」と指摘されている可能性が高いです。その時、前回までの記事でも書いたように「意識的に直す」のではなく、その使ってしまっている部分はひとまず放置し、本来使うべき部分を積極的に使っていく姿勢でいられるように心がけて下さい。
そうすることで、今まで負担をかけて使ってきた、本来使うべきではない部分の力が軽減され、より使いやすい顎の部分全般で演奏するように少しずつ変化してくるはずです(僕はそういう経緯で今に至ります)。時間はかかるかもしれませんが、そうすることが負担なくアンブシュアを良いものにしていく方法ではないか、と思うのです。

最初の話に戻りますが、「アンブシュアを変えなさい」という先生に出会ってしまった場合、見守ってくれているタイプであれば、いつしか「アンブシュア、良くなってきたね」と言ってもらえる日を信じて上記のようなアプローチで練習に励んでもらえればと思いますが、「僕の真似をしなさい」とか「僕が言う通りにすぐ変えなさい」と強制する人であれば、無視するか離れたほうが良いかもしれません。最終的は判断はおまかせしますが、少なくとも僕の考えでは、良い方向にいかないだろうな、と思ってしまうもので。

ということで、今週もアンブシュアに関して書きました。
次回はアンブシュアのまとめを書きたいと思いますので、引き続きおつきあい下さい。

それでは、また来週!


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at 06:27, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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楽器を構えると疲れてしまう


















みなさんこんにちは!

今回もこちらの記事に頂いたコメントのお返事をしたいと思います。

その前に告知をさせて下さい。昨年初めて行って好評を頂いた「吹奏楽コンクール課題曲 トランペットパート解説」を今年も行います!詳細は後日こちらのブログにてお伝え致しますが、予定としては4月から開始致します。コンクール課題曲を演奏する方はもちろんのこと、具体的に楽曲を演奏する際に必要なテクニック、それらの練習方法についても触れていきますので、ぜひご覧下さい!
 吹奏楽コンクール課題曲2014


当ブログでは随時ご意見ご質問受付中です。練習していて疑問に思ったこと、記事の中でわかりにくい内容など、何でも構いません。こちらの記事のみコメントができる状態になっておりますので、ご自由にお書き下さい。お返事は必ず致します。なお、コメントは公開されてしまうのでちょっと、と思う方はこちらのメールフォームからも受け付けておりますのでどうぞご利用下さい(記事として質問内容を公開する可能性がございます。予めご了承下さい)。

今回のご質問はこちらです。

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姿勢について、どう頑張っても、楽器を持ち上げると肩が上がってしまいます。先輩にそんなに上がっていたらすぐに疲れてしまうといわれたのですが、下げようとすると楽器も下がってしまいます。私自身、すぐ疲れてしまうのでなおしたいのですが、どうしたらいいでしょうか。
(抜粋:一部修正)
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姿勢、というよりも楽器を持つと肩に力が入ってしまう、というお悩みです。
実際に吹いているところを見ていないので正確なアドバイスができませんが、可能性のあるいくつかについて書いてみようと思います。トランペットを吹いた後、肩や体が疲れている方は自分が関係していることがないか確認してみて下さい。

《呼吸からの力み》
呼吸をする、という行為は人間にとって必要不可欠な行為です。往々にして生きるために必要なことというのは「苦痛にならない」行為である、と考えられます。ですから、呼吸というものは辛く苦しい行為ではない、ということですが、しかしながらトランペットを吹くために呼吸をすると、途端に苦しさ、辛さを感じてしまう方が少なくありません。結論から言えば、呼吸が辛いと感じるのであれば、それは正しい呼吸をしてないということです。正しい呼吸ではないので、体に負担がかかってしまい、疲れたり、良い結果を得られなかったりするのです。
呼吸がうまく行かないと、方や体に無駄な負担をかけて息を吸ったり吐いたりしてしまいます。その結果、首や肩にも力が入り、トランペットを吹いている時だけ姿勢がおかしなことになっている、ということです。

呼吸については過去の記事としてまとめていますので、ぜひこちらから読んでみて下さい。


《アンブシュアからの力み》
トランペットから音を出すには、口周辺に力を込めて(引っ張って)唇を振動させることで音になる。と思っていませんか?トランペットは自分の筋力のみで唇を振動させたものを楽器に接続して発音するのではありません。マウスピースや楽器へ息を流した時に発生する抵抗感が唇の振動を発生させているのです。
口周辺に無理な力をかけてしまうと、首から肩、胸など、どんどん力みが全身に伝わってきてしまい、その結果楽器の持ち方が大変な状態になってしまっている可能性があります。
筋肉は影響し合うので、どんどんと体全体が固くなってしまいがち、ということを覚えておいて下さい。


《楽器の持ち方の問題》
コメントには「すぐに疲れてしまう」という表現から、先程書いたような「無理な力をかけている」という可能性と、もうひとつ「筋力が弱い」という可能性があります。こちらのコメントを書いて下さった方は現在中1の女性(名前から推測)なので、もしかすると、少し小柄で力が弱いのかな?とも思われます。その場合は多少乱暴な言い方になってしまいますが、慣れて下さい、とか、少し筋トレしてみましょう。というアドバイスになってしまいます。しかし、他にも可能性はあります。それが「楽器の持ち方」がどうか、という点です。

トランペットというのは、家電製品やスポーツ用品のように「持ちやすさ」「使いやすさ」を追求したものではありません。あくまでも「良い音が出せるか」「正しい演奏コントロールができるか」を最優先で作っており、なんとか持てるように形を整えているものなのです。構造上しかたがないです。ですから、トランペットに関して言えば、ベルが重いんですね、どうしても。そして自立しません。机に立たせたらとても不安定ですよね。ですから、そもそも持ち方が難しいのです。
言い換えれば「持ち方を研究するのも奏者の使命」だと思って下さい。少し大げさかもしれませんが、自分の手、筋力でもできるだけ長時間負担を少なくして持ち続けられ、しかもピストンを押してもブレない持ち方とは。という課題を持って研究して欲しいんです。
どこまで参考になるかわかりませんが、僕の持ち方、一番良いのではないか、と思われる持ち方も記事にしてありますのでぜひ読んでみて下さい。


《楽器の構え方》
いろいろと学校や指導する人、ジャンルなどでも言うことがわかれるのですが、トランペット(マウスピースのリム部分)を口に持ってくる方法はとても簡単でシンプルなほうが良いと考えています。脇を開けて肘を横に、、、なんて言う人がまだいるかもしれませんが(マーチングは別)、できるだけ負担なく構えればそれで良いのです。余計なことはしない。
したがって、トランペットをしっかり両手で握って、肘だけ曲げてみて下さい。個人差は多少あるにせよ、それだけでマウスピースは唇に接近しますよね。それで十分です。あとは力をできるだけ込めないようにして微調整して下さい。


《アンブシュアの可能性》
コメントでひとつ気になったのが「楽器が下がる」という表現です。楽器が下がるのは、重いから、という理由だけなのかもしれませんが、この文章からの推測になってしまいますが、結果として、演奏中に楽器が下がったまま吹いている時間が少なからずある、ということですよね。
考えられるのは2つ。ふさわしくない角度で吹いてしまっている、という可能性。もうひとつは「その下がった状態のところが正しい角度」ということです。

トランペットの構える角度は、その人の噛み合わせによって決まります。噛んだ時に上の前歯が下の前歯に被さる方(日本人に一番多い)は、ベルが少し下がり気味になります。噛んだ時にどちらにも被らない方はまっすぐ。下の前歯が上に被さる方はベルが上がり気味になります。なぜそうなるか、横から見れば一目瞭然です。
ただし、ひとつ注意してほしいことがあります。それは「支点は上唇である」という点です。下唇に負担をかけずに(フリーにして)おくことがトランペットを吹く上ではとても大切なことなので、どういった状態でも上唇にまず支え(マウスピースが当たっている状態)を作ってから下唇にも同じくらいのプレスをしてあげられることが良い音を出すためにも、良いコントロールをする上でも必要なことです。したがって、ベルが下がりすぎる、すなわち下唇が支点になっている状態で絶対に避けて下さい。ダブルアンブシュアになってしまいます。
体の小さい小学生がトランペットを持つとどうしてもこの結果になってしまうので、コルネットを推奨しているところが多い、というも理解できますね。
「ベルはまっすぐ向けなさい」という指導をしている先生、それは間違ってます!もしコメントして下さった方がその指導の下で悩んでしまっているようだったら、ベルは下がってても上がってても良い(歯並びが決めることで他人にとやかく言われることではない)、ということを知って下さい。


さて、いろいろと原因を考えてみましたが、該当するものがあったでしょうか。
他の可能性がないとも言えませんが、まずはこれらを検証してみて下さい。

それでは、また来週!

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at 10:59, 荻原明(おぎわらあきら), 構え方・操作

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美しい音色とは


















みなさんこんにちは!

当ブログこちらの記事にてご質問を募集しており、今回はその中からyukipetさんからのコメントに回答していきます。(現在は質問を募集しておりません。ご了承ください。)

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最近自分の周りで、美しいきれいな音と、ただ鳴っていない音の解釈を混同してしまう人がたくさんいるので、誰もが美しい音と思うような音を出すにはこうするべき。という記事を書いてみてはどうでしょうか?
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yukipetさんコメントありがとうございました。
音色に関して、文章で表現するのは非常に難しいのですが、可能な限りわかりやすく書いてみようと思います。


《トランペットの音色》



人それぞれ声が違うように「トランペットの音色」というのも奏者の数だけあります。ですので、今回yukipetさんがおっしゃっているような「ただ鳴っていない音(この後の返信で「詰まっているような柔らかい音」と表現していらっしゃいました)」がその奏者さんの求め、実際に表現している「トランペットの美しい音色」と解釈した上で出しているのであれば、その方の演奏レベルは別として結構トランペット経験の長い方なのかな?と思いました。

なぜならトランペット奏者さんの中には音色についてあまり考えていない人が多くいるイメージがあるからです。
もちろん僕がそういった方に出会ったことが多かっただけなのかもしれませんが、音を出すことに一生懸命になりすぎて、テクニックやただ音を出すこと、ハイノートを当てること、ピッチ、音程のことなどを優先している方が多い気がします。


で、音色に関してですが、仮に「詰まっているような柔らかい音」イコール「トランペットの美しい音色」と解釈した上で出しているのでしたら、それは間違った解釈と言えます。

過去の記事「ハイノート(ハイトーン)へのアプローチ6」で書きましたが、トランペットのデフォルトの(元々持っている)サウンドはかなり金属的で「ビーン」と張った響きであると考えています。
楽器というのはしっかり鳴らしている状態の時の音色を基本と考えるからこそ、柔らかいサウンドも出せるんだと思っています。経験上、柔らかい音を基本にしてしまうと、金属的で張った音色を出すことは困難なんです。

それは「柔らかい音を出そうとして操作した際、意識的、無意識に関係なくツボに当たらないところを狙い、抵抗の強い吹き方をした時に出やすいから」なんです。

そういった時に出る音は、一瞬「柔らかくて少しアンニュイな(憂いを持った)印象」に聴こえなくもありません。いかにも「軽く吹いている」感じなのですが、これは単にトランペットが鳴っていないからなんですね。

ジャズでしっとりした作品を演奏しているトランペット奏者の中に、それに近い音を出していることもあるのですが、その多くは「そう聴こえているだけ」に過ぎず、やはり楽器はしっかり鳴っているように思います。

試しにやってみるとわかりやすいかもしれません。トランペットを吹く際、マウスピースの重心を下唇のほうにして、ベルを極端に下げた状態で(クラリネットを吹くような構えで)中音域を出してみて下さい。なんだか柔らかく、フリューゲルホルンのような音になりませんか?
逆に上唇への重心をより多くすると、トランペットらしい堅いサウンドになりませんか?
どっちもあまり長時間やらないほうがいいですよ(笑)


《きっかけ》
このような「楽器が鳴らないところ」を狙って音を出すようになってしまったのには何かきっかけがあるはずです。
先程も触れたようにジャズのしっとりしたトランペットの音をレコードやCDで聴いたことがきっかけかもしれません。でも実はその音源ではフリューゲルホルンで演奏していた可能性もありますね。
もしくは、先輩や先生(指導者、コーチ)がそういった音を出しているところを見たからかもしれません(しかし、常にそんな音で吹いているわけではないかもしれません)。
ひょっとすると指導者などから「こういった音を出すべき」と教わったのかもしれません。

そういったきっかけ=情報がなければ基本的には音色に関してイメージを持つことは非常に困難です。

ということは「本来のトランペットが持つ響きのある音色」というものを体験しなければ、こもった音のイメージから脱出することは難しいと思うんです。

影響力のある人が目の前で「トランペットはこう鳴らすんです」と演奏してくれることが何より一番簡単に解決する方法でしょう。

そのためにはやはり沢山のプロトランペット奏者の演奏に出会うことが大切ではないでしょうか。


《レッスン》
その中でも一番手近なものが「(個人)レッスン」だと思います。
勘違いしている音色に対するイメージを払拭するには、目の前で鳴ってるトランペットのサウンドを聴くに限ります。

コンサートホールだとステージと客席の聴こえ方のギャップや、トランペットの生音を聞くことができず(ホールが良い響きを作り出すから)、一緒に演奏するということもできませんから比較がしにくいんですね。演奏している楽曲によっても音色は変化していきますし。

でもレッスン室ですと同じ空間で自分の出している音と先生の出している音の比較が間近でできます。

僕自身も学生時代にレッスンを受けている時に師匠が吹いてくれたサウンドの印象が、音色に対するイメージを明確にしてくれました。


《音色の変化》
トランペットの持つデフォルトのサウンドを知ることができたら、まずその音が常に出せるように心がけましょう。

そのサウンドを拠点として、より激しさのある音色、輝かしい音色、柔らかい音色、弱々しい音色など、イメージのできる限り「音色の引き出し」を持てるようになるのが望ましいことだと思います。

音色の変化は、決して「根本的な奏法を変化させて作るものではなく、デフォルトとなる音色からの発展」ということを忘れないようにして下さい。

様々な音色を生み出すには、様々なイメージの元となる何か(音源やプロの演奏、他の楽器や声楽の演奏等)が必要不可欠で、さらには様々な楽曲を演奏する時に自分自身が強いイメージを持って「こういった音色でこの場所を吹く」と決めていることが絶対です。合奏で演奏する時には、指揮者のイメージしている音色や他の奏者が目指している音色の方向性を感じ取り、自分の音色のイメージを作り上げていくことも必要でしょう。

そういったメロディを美しく歌うこと、美しい様々な音色でホールに自分の音を響かせようとする練習を常日頃から行うことが大切になります。

音は色彩のグラデーションのように無限に変化していくものなのです(ただし、基本となる色が必ずあるのです)。


ということで、今回は「美しい音色」について解説しました。

それではまた来週!


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スランプ


















みなさんこんにちは!

ちょうど一年前くらい前に「調子が悪い時1」「調子が悪い時2」という記事を書きました。
その記事では、どちらかと言うと毎日の練習の中で調子が悪くならないようにするためにはどういうことが必要なのかという予防的な視点で書いています。今回は補足的な内容も含めて、もし調子が悪くなってしまった時の対処法や考え方について書いてみようと思います。


今回の記事が解決法のすべてではもちろんないですし、そもそも解決しないかもしれません。ひとつのヒントだと思って読んでもらえればと思います。


《道に迷っている状態と考える》
実際、自分自身もいつでも調子が良いわけではありません。時には結構長い期間に渡って自分の吹き方に納得がいかず、イライラしていることもあります。いわゆるスランプ状態です。

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そんな時は、こう考えることにしています。

今、自分は(トランペットを吹くことについて)道に迷っているのだ、と。

いつも通っている道を歩いていて、ちょっとした拍子にひとつ角を曲がるのを間違えてしまったためにそこがどこだかわからなくなる。さらにウロウロしているうちにますます知らないところへ進んでしまって、いつも通っていた道がどこにあったのかわからなくなってしまう。そんな状態。

でもこの時って、もう二度と今までの道に戻ってこられないのではありません。ウロウロしていたら突然見覚えのあるところに出ることもありますし、何かのきっかけで戻る道を思い出すかもしれません。ただの遠回りをしているに過ぎないのです。道はどこにでも続いているのだから最悪な状態だと悲観的にならないこと。立ち止まってはいけない、ということ。

そして道に迷ってしまうことは、見方を変えれば今まで知らなかった景色に出会えることでもあります。いつもの道を歩いているだけでは決して知ることができなかった経験ができるのだし、そしてこの道は危険な道なんだ、最初の間違えた角は行ってはいけなかったんだという知識を得ることにもつながります。
書いてて思ったけど、R.シュトラウスの「アルプス交響曲」みたいですねこれ。

悲観的になっていたり、ただ焦っているのではなく、この経験を無駄な時間と考えず、良い勉強をさせてもらっているのだと前向きに考えることで冷静になれると思います。


《調子が悪い時の解決策》
先程も書きましたがこれはあくまでも解決策のひとつですから、実践しても効果がないかもしれません。ひとつのヒントだと思って読んで下さいね。また、「調子が悪い時3」の記事では今回とは違った角度で解決策などを書いています。そちらもぜひ読んでみて下さい。

調子が悪い時というのは大概「ひとつのことにこだわりすぎている」可能性が高いんです。

一番多いのは「アンブシュア」について考えすぎていてわけわかんなくなってる時。

もっとピンポイントで言えば「口の形の作り方」について考えすぎてしまっている時が一番道に迷いやすい。
何かちょっとしたきっかけで今までどうやって口の周りを使って(作って)いたのかわからなくなる。そこでああだこうだと試行錯誤を繰り返した結果、本格的に吹き方がわからなくなってしまうという状態。

この時、ほとんどの人は口の形、アンブシュアを取り戻そうをいろんな力を加えていきます。

過去の記事でも何度か書きましたが、この楽器から音を出そうとした時に「力を加えていく」方法を取ってしまうのは(たとえそれが無意識だとしても)逆効果になることがとても多いんです。
力を加えるのではなく、一度リセットをして「最低限」を見つけることが大切です。ですからアンブシュアについてものすごくシンプルに言えば「上下の唇が接近すれば振動する」ということ。ただこれだけなんです。上唇は上下することが難しいですから(頭蓋骨は体にくっついているから)、顎のほうにある下唇が上唇に接近していくことになります。

ここからスタートしなおしてみるほうが解決は早いです。


《すべてのバランスが大切》
道に迷った時は、様々な角度から解決策を得ることが大切で、例えば空を見れば何か目印があるかもしれません。太陽の位置で方角がわかるかもしれません。電信柱や掲示板にヒントがあるかもしれません。
それと同じように調子が悪い時には客観的に自分の体全体が今どうなっているのかを見つめ直すことが重要です。


■息が通過しなければアンブシュアの意味はありません。
息が通過する、と言ってもなんでも良いわけではありませんね。これから出そうとしている音の高さ、音量、音色、そういった全てのイメージができていなければアンブシュアがとても良い状態であっても、やみくもに息を楽器に押し込んでも解決しません。

呼吸が安定していなければ意味がありません。
アンブシュアのことばかり気にして、適当に息を入れて発音していては、良いアンブシュアであっても解決はしないでしょう。整った呼吸をして、的確な腹筋を使い、イメージ通りの息を安定させて楽器に流していく。管楽器は息の流れがあって初めて音になります。ここをあなどっていては何も解決しません。

姿勢が悪ければ意味がありません。
姿勢が悪いというのは見栄えが悪いだけではなく、肩や肘、それらが接続している鎖骨、鎖骨とつながっている胸骨などが上手に使えなくなることにつながります。上半身に力が入っていると、呼吸がスムーズに循環することができなくなりますし、筋力で楽器を支えようと無意識になっているとマウスピースの過剰なプレスや自分に合ったトランペットの構えた角度がわからなくなります。姿勢が悪いと解決しません。

■楽器のコンディションが悪ければ意味がありません。
まれにあるのですが、調子が悪いなー、なんでかなー?と思ってたら、ウォーターキイのコルクが欠けてて息漏れしてたとか、管の中がめちゃくちゃ汚れていたとか、自分の体にはまったく関係のない理由で今までのように吹けないなんてこともあります。メンテナンスが悪いことが原因だったりもします。

■マウスピースをプレスしすぎても意味がありません。
「音を出さなきゃ!」と意識しすぎると、だんだんと唇にプレスする力が強くなってしまいがちです。しかし、マウスピースを必要以上にプレスする行為は音色にもピッチにも、全てに悪影響を及ぼしてしまいます。唇が生き生きと振動させてあげられるプレスを意識なければ解決しません。

■口の中に意識が及ばなければ解決しません。
ここに着目していない奏者が非常に多いです。アンブシュアでもアパチュアでも、目に見えている「表面的な部分」だけ見ていては絶対に解決しません。
むしろ口の中、舌の位置や顎の使い方(下の歯と上の歯の距離など)、アパチュアの奥などの「目に見えない部分が目に見えている部分を作り出している」と思って下さい。舌の位置ひとつで顔の筋肉や筋、皮膚は動き、表情に影響を与えることができてしまうほどです。
トランペットから良い音を出すための良い口の中の状態を知らなければ解決しません。

■マウスピースを適当に唇に当てては意味がありません。
マウスピースの位置がわからなくなることも多々あります。それはアンブシュアと深く関係しています。
マウスピースの位置をいじればいじるほど道に迷ってしまう可能性が高くなります。
トランペットから良い音を出すための良い位置を知らなければ解決しません。


このように、調子が悪い原因というのは様々な場所が関係して起こっていると考えましょう。
そして大切なことは、どこか一つのバランスが悪いと連鎖的に奏法が崩れてしまう、ということです。
言い換えれば、全身が良いバランスになった瞬間、解決する可能性があるんです。

※過去の記事「調子が悪い時(補足)」で同じ内容で書いてありますが、少し掘り下げて書いてみました。

関連記事として「奏法を考える時間、音楽を感じる時間」も読んでみて下さい。



《調子が良い時をインプットしておく》
そのために大切なことは、「調子が良い時の状態をインプットしておく」ことです。

調子が良いからと言って調子に乗らないこと。シャレになってしまいましたがこれが大切。

調子が良い時というのは何も考えなくてもとても良く吹けてしまします。だから何も意識しない。
なのに調子が悪い時に限って「なんで調子悪いんだ?」といろいろと探りを入れてしまいます。

調子が良い時にも冷静になって「何で今調子が良いんだろう?」と振り返ってみて下さい。
先程書いたような体の使い方全般、それらを感覚的に覚えておけば、もし調子が悪くなってもどこへ戻っていけば良いのかという道しるべになってくれます。


《道に迷った経験を活かす》
最後に、今回調子が悪くなってしまったのは何がきっかけだったのかを思い出しておきましょう。

この角を曲がってしまったらまた同じように迷子になってしまう。と覚えておけばもう二度とそこは曲がりませんよね。


僕がよく陥ってしまうのが、レッスンで生徒の吹き方を真似してしまうことなんです。良い音を出す時とそうでない音が出る時というのは本当に紙一重。ちょっとプレスが強かったり、マウスピースを当てる角度(楽器を構える角度)が変わるだけで全然違うんですね。なので「キミが今吹いてる状態がコレ。」と真似しすぎて調子が悪くなってしまうことがあって、今はあまりやらないようにしてます。怖いから。


ということで、今回は調子が悪い時の考え方と対策について書いてみました。
参考になるかどうかはわかりませんが、焦ったり、深刻になりすぎないように、決してもう二度と調子が戻らないわけじゃないって言い聞かせて練習してみて下さいね。
文章中に過去の記事リンクも沢山貼りましたので、そちらもぜひ読んでみて下さい。

それではまた来週!


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at 15:56, 荻原明(おぎわらあきら), バテ・不調・緊張・ミス

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