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吹奏楽コンクール課題曲2015トランペット解説【5.暁闇の宴 / 朴守賢】後編



















みなさんこんにちは!
只今「ラッパの吹き方」ブログでは、2015年度吹奏楽コンクール課題曲トランペットパート解説を行っております。今回より課題曲5「暁闇の宴」について書いています。前回の記事では作品について触れる前に終わってしまいましたが、変拍子が苦手と感じている方には参考になるかと思いますので、課題曲5を演奏されない方もぜひ読んでみてください。課題曲5の前編はこちらをクリック!
なお、現時点で以下の作品を記事にしています。よろしければこちらもどうぞ。

課題曲2 マーチ「春の道を歩こう」前編  後編

課題曲1 天空の旅−吹奏楽のための譚詩− 前編  後編

それでは、課題曲5を冒頭から順を追って解説していきます。


【冒頭4小節目 〜指揮者と演奏者の関係〜 】
この箇所に限ったことでもないのですが(いきなり道がそれてしまって申し訳ありません)、この箇所のように1拍目が休符、2拍目から入る時、ただ指揮者の棒の動きを見て「1、…」と数えて吹き始めるだけだと、演奏者が各自「おおよそ1拍休んだ」タイミングで吹き始めるという不安定な入りになる可能性が高いのです。
特にこの作品のような「いわゆる現代曲」の場合、一定のリズムパターンや、それに伴う伴奏がないので、予めどのくらいのテンポ(ビート)なのか、参考材料がほとんどなく、より漠然とした「おおよそ1拍」になりがちです。これではアンサンブルと呼ぶには程遠いです。

アンサンブルをするためには、指揮者の棒の動きに各自が合わせていくのではなく、「演奏者どうしの音のやりとりを最優先にするために、指揮者の表現したいテンポを理解し、材料(要素)にする」という方法をとっていきたいものです。

よく部活の指導者、指揮者は「指揮をちゃんと見て合わせなさい」と言いますが、それは違います。指揮者はメトロノームではありません。現場監督、演出家です。なので演奏者は指揮者の動きや表情などから「この作品(この場面)をこんなふうに作りたいんだな」と感じ取りましょう。「どんな雰囲気で演奏したいのだろう」「どんな完成図を持っているのだろう」という要素を探り、感じ取り、共感し、共鳴していけば、その中に「テンポ」というひとつの要素も含まれています。指揮者をテンポキープのためのメトロノームロボットとして見ないように気をつけましょう。

あくまでも音を出しているのは楽器を持った演奏者です。大げさなことを言えば、指揮者を完全無視していても、指揮者がいなくても演奏者どうしのアンサンブル能力がある程度備わっていれば曲を通すことは可能です。
室内楽は普通、指揮者なしで演奏をしますが、吹奏楽のように楽器も人数も多くなってくると、奏者それぞれの持っている(作品に対する)イメージや完成図の共有が難しくなります。楽譜通りの音価、テンポを守った単なる左から右への演奏はできても、その作品に含まれるメッセージや、「演奏団体」としての作品を通して伝えたいメッセージをお客さんに伝えることは非常に難しくなります。
そこで指揮者という現場監督、演出家が「この作品はこんなふうに作ります!こんなことをお客さんに伝えたいのです!みんなついてきて!」と「方向性」や「完成図」を示すことで、音楽がひとつにまとまる、という関係であるべきです。

話を戻します。したがって、この箇所のように1拍目が休符になっている場合、指揮者を見てタイミングを決めるのではなく、一緒に演奏しているだれかがより具体的なきっかけを作ってくれていないかをスコアを見て探しましょう。

ここでは、奏者同士の距離が比較的近くてわかりやすいリズムを演奏しているのがホルンでした。参考にさせてもらうことにします。

暁闇の宴01

ホルンは4小節目の1拍目から入ってきているし、音を2つ演奏してくれているのできっかけもテンポも参考になります。休符の間、ホルンの演奏を聴きつつ、心の中で16分音符の連続(ビート)を明確にして、演奏を開始しましょう。
したがって「音は出さないけれど、トランペットも1拍目から演奏を開始している」意思を持つことが重要です。
なお、2拍目に入る直前、クラリネットの2,3番もわかりやすいきっかけを作ってくれていますので、それも参考にさせてもらい、そうやってバンド全体でひとつの作品になるようにしましょう。
こういった「アンサンブル」をするということはどんな作品でもどんな編成でも同じですから、ぜひ日頃から意識して合奏をしてみましょう。他の人が演奏している音を聴いて、自分も演奏するのです。


【9小節目(練習番号A 1小節目前)】
この箇所「solo」と書いてあります。ポップスなどでsoloと出てくると「バンドの中であなただけがメロディを吹いていますよ→目立って!」という意味になることが多いのですが、スコアを見てもらうとわかります。2ndも3rdも同じく「solo」と書いてあります。したがってこの場合は「one player」と同義の、「同じパートを複数人で演奏している場合はひとりで演奏しなさい」という意味です。ですから、スタンドプレーしたりベルアップしたり、そんな場面ではないということです。
ちなみに、同じ動きをユーフォニアムもしているので、意識して聴きましょう(ユーフォにもsoloが書かれています)。

そして10小節目の2拍目アタマのところで、1st(トップ奏者)は指揮者の動きを参考に、少しアインザッツを出すようにしましょう(1拍目のフェルマータを抜けることろで合図は始まり、2拍目アタマで打点を出すことで、いつ付点音符のウラを演奏するかが見えてくるようにします=1st奏者はどこで動くのか、絶対に確信を持って演奏しなければなりません)。ここはトランペットとユーフォニアムしか演奏していませんが、次の小節でバンドが動き出します。そのきっかけになるところですから、緊張感を持って演奏するように心がけ、出したアインザッツはフルートなど高音木管楽器などにまで届かせようという強い気持ちを持っていると大きいアンサンブルが生まれると思います。


【練習番号D 1小節目】
クラリネットと一緒に1拍目アタマに強烈な音を一発鳴らします。この音(箇所)はそれまで横に流れていた音楽を一旦断ち切る強い力を持っていますから、審査員もかなり注目するポイントのひとつだと思いますが、まあ審査がどうこうは別としても、作品の重要なポイントであることには変わりませんので、しっかり決めたいですね。
やはりここでも指揮者の棒に各自が合わせていくのではなく、奏者同士でアンサンブルする意識が重要です。
1stはきっかけのアインザッツを必ず出しましょう。
そしてこの強烈な音をきっかけにトロンボーンが演奏を開始します。…いや、言い方を変えます↓

『トロンボーンがびっくりして演奏を開始してしまうトランペットの強烈な一撃。』

このほうがしっくりきます。トロンボーンの背中を勢いよく押すイメージです。


【練習番号D 3小節目/2nd,3rd】
1stは演奏していませんし、同じ動きをしている楽器が他にいません。かなり重要な箇所ですので、今度は2nd奏者がアインザッツを出し、まとまりのあるアンサンブルを心がけてください。ぜひティンパニと一緒に練習しましょう。


【練習番号D 6小節目/1st 〜音を弱くするのと体を弱くするのは違う〜】
ユーフォニアムと同じ動きをしていて、練習番号Aの1小節前と同じく、この動きがきっかけとなり、練習番号Eに入ります。その重要なターニングポイントですので、集中力のある演奏、バンド全体に影響を与えられる演奏をしてください。
そのためには、1拍目にあるdim.が弱々しく衰弱するような表現にならないことが大切です。音の勢いがなくなってしまえば、練習番号Eへの推進力はなくなり、バンド全体が動き出しにくくなってしまいます。

デクレッシェンドやディミヌエンドをするとき、(無意識に)体の力を弱めて演奏しようとする人が多いのですが、「弱く聴こえる音」と「体を弱々しくする」のはまったく別物です。
体が弱々しくなるということは、結果として「支え」が弱くなることですから、息が流れなくなります。息が流れなくなれば、唇の反応はおのずと鈍くなり、結果として音が出なくなります。
しかし音が出なくなることは求めていませんので、なんとかしなければ!と反応するのが唇周辺の筋力とマウスピースのプレスです。これらはアパチュアを小規模にするため、口周辺の(本来不必要な)筋肉を使ってしまうものだからノイズが発生し、ピッチが高くなり、最悪の場合音が出なくなります。そこでもっともっと力を込めたりマウスピースのプレスを強くしたりと、さらに悪いほうへ行ってしまうので、音楽的な演奏にはなりません。

音を小さくするためには、体の支えを解かず、音の密度を凝縮する(=演奏規模を小さくする)イメージを持っているほうがうまくいきます。ぜひ基礎練習でデクレッシェンドの練習をして下さい。


【練習番号E/2nd,3rd】
1stから引き継いで演奏をしますが、さきほどのトロンボーンと同様、1stは2nd,3rdに影響を与えられるように演奏したいですし、2nd,3rdは1stからの演奏の流れを絶たないようにアンサンブルすることが大切です。同じ動きは木管楽器がたくさんしています。ぜひ1stトランペット+ユーフォと、この練習番号Eで同じ動きをしている木管楽器(スコアを参照)でセクション練習をしてみてください。


【練習番号E 7小節目】
アタマに16分休符があった後に音を一発出します。こういった時、音を出す瞬間に照準を合わせているといつまでたっても合いません(出遅れます)。どんな作品でも同じですが、

「休符は次の音を出すための『タメ(溜め)』の時間」

と捉えてください。「本当はアタマから音を出したいのに、休符のせいで出せなかった!」というストレスを作り、休符後の音符にぶつけてみましょう。そうすることで音楽に力が生まれ、立体感のある演奏をすることができます。


【44小節目、46小節目】
これらの小節の最後にクレッシェンドがあります。イメージとしては「音を投げる」感じでしょうか。
クレッシェンドというと「だんだん強く」と教科書に書いてあります。もちろん間違いではないのですが演奏する人はもう少し深い意味を感じたいところです。ただ単に音量が大きくなるだけでなく、音色や立体感などのイメージをふんだんに用いて、お客さんがどう感じるのかを常に持った上で演奏してください。語尾をどう表現するか、ぜひパートで練習をしてみましょう。ちなみにホルンが同じ動きをしていますから、一緒に合わせる時間をたくさん確保してください。


【49小節目(練習番号F 1小節前)】
先程の44,46小節目に対してこちらはデクレッシェンドが語尾に書かれています。練習番号Fに入るための重要なきっかけになりますから、ここも単に「音を小さくする」のではなくもっとイメージを膨らませて演奏するように心がけてください。


【練習番号G 2小節目】
この箇所は作曲者がどちらを期待しているかわからないので2通りの演奏方法を挙げてみます。

1.二人で交互に演奏しているように聴かせたい
2.まるでひとりで演奏しているように聴かせたい

ひとりで充分演奏できる動きなのに、わざわざ分けて書かれているので、どっちなのかなぁと。どう解釈して、どう演奏するかは指揮者や奏者にお任せするとして、どのみち縦の線(リズム)を合わせなければならないので、ぜひここは各自両方のパートを合体させたメロディを吹いて練習してみましょう。そうすることで具体的な音の流れ、完成されたメロディがどうなっているのかわかります(3rd奏者も1,2番パートを合体させたメロディを演奏しておくことで4拍目の5連符が入りやすくなります)。
この箇所は、次の練習番号Hに入る重要なきっかけですから、バンド全体に集中力が伝わる演奏を心がけてください。


【練習番号H 3小節目】
前述の「冒頭4小節目」同様、ここも演奏を開始する前に他の楽器からビート感をもらいましょう。具体的には1小節前の1拍目にフルートやクラリネットが6つの音を吹いています(6/8拍子なので1拍分動いています)。これを元に1小節前2拍目も16分音符6つを頭の中で鳴らしておき、演奏に入りましょう。書き方がややこしいですが、リズムとしては単純です。しかし、拍子を無視してしまうのは良くないので「3+2+2」であることは必ず把握した上でのジャンプ(前回記事参照、こちらをクリック)をしてください。


【練習番号H 5〜7小節目】
ここも練習番号Gの2小節目同様、1つの旋律を分けて演奏する形をとっています(2ndと3rd)。ホルンパートが同じ動きをしていますので、この箇所もぜひ一緒に練習するようにしてください。1stはその後に入ってきますが、ぜひ2ndと3rdの楽譜も練習し、つながりを理解した上で合奏に臨みましょう。


【練習番号 I ,5小節目/1st】
練習番号 I はこの作品で初めて理路整然とした感じに聴こえるところです(1拍の範囲が捉えやすい)。なんだか安心します。
そのリズムに乗ってユーフォニアムと同じメロディを1stが演奏します。とっても重要で、結構吹きにくい。具体的には5連符の記譜上「ラ♭→ミ♭」のところで素早く動きたいにもかかわらずひっかかりやすいというこれがイヤなところです。

暁闇の宴02

音が下がると、体や意思(気持ち)の方向も下へ向かってしまいがちです。逆に高音域に行くと、意識も体も上へ上へとまるで懸垂をするかのように働いてしまう場合も多々あるのですが、この音符と一緒に上下運動を繰り返す行為が、かえって音をはずしたり不発になったりミスする原因になっていることを理解しないといけません。
音が下へ向かう場合、体は、より支えを強化するべきであり、意識も支えるために動かない(もしくは若干上へ向かう)ように心がけます。この体の働きにより、息の圧力や必要なスピードを確保することができます。その状態で、音域を実際にコントロールするための舌や顎を的確に使う必要があります。

まとめると
・聴こえ方を一定にするため息はずっと圧力を保っている(低音域に向かって弱くならない)
・顎や舌など具体的な音域コントローラーを正しく使う(低音域に向かって下がる)

指揮者の演奏したいテンポにもよりますが、すべての拍をはめようと一生懸命になると音楽の横の流れがなくなってしまいますので、あまり細かいことを気にせず、おおらかに「1小節の中に入っている音符を1小節分に与えられた時間内に演奏できればそれでいい」くらいの気持ちで吹いてください。もちろんリズムやビートは大切なのですが、3連符だ!5連符だ!と区切りすぎないようにしてください。

また、70小節目の装飾は曖昧に演奏すると単に「音をひっかけちゃった」ミスのように聞こえるので、きちんと装飾音だとわかるようにはっきり時間をかけて演奏しましょう。どんなに音が短かろうが装飾音だろうが、音は音です。音の中身がないスッカスカな打撃音だけにならないように心がけてください。
参考になるかどうかわかりませんが、この箇所だけ抜粋して録画したので掲載します。


暁闇の宴02

オフィシャルの参考演奏CDを聴きましたが、その録音だとこの部分、かなりでかく吹いているんですね。力強いというか、乱雑というか。。。作曲者立会いのもと録音しているでしょうから、本来はそうしたいのかもしれませんが、楽譜上では「mf」です。したがって、僕自身の中ではもっともっと神秘的、ミステリアスな雰囲気で演奏したらどうかな、と感じます。最終的には指揮者の考え方になりますが、それでもまずは演奏者本人がどう表現したいのかを決めておかなければなりません。それはどんな作品でも同じことです。


【練習番号J 5小節目】
またしても次の場面(練習番号K)へのつなぎ部分をトランペットパートが担当しています。こうして見ると、この作品は場面のつなぎ目(切れ目)にトランペットが関係してばかりなので、その点も理解した上で、常に緊張感を持って演奏し続けたいですし、見方を変えればトランペットがこの作品をいくらでもコントロールできる、とも言えますから、やりがいがあると思います。
ここはできる限り良い音で、音量というよりは音圧を極限まで高めて一切揺らぎのない、誰にも邪魔できない音で響かせてください。大爆発させる直前です。巨大風船が、もういつ爆発しても良いくらいな状態で、そこにいる誰もが「緊張感と恐怖感で逃げたくても逃げられない!」そんな場面になると面白いかもしれませんね。


【最後3小節前】
この小節から入ってくるのはトランペット(1st,2nd)だけです(3rdはその前の小節からすでにロングトーンをしています)。ダイナミクス記号がpppなので、体が萎縮してしまいそうですが、ダイナミクスについて絶対に忘れてはいけないことがあります。それは

「お客さんにどう聴こえるか」

これが基準である、ということ。
したがって、pppとついているからと言って、誰にも聴こえないような(自分も吹いているのか吹いていないかわからないような)音量(音色)で吹いてもまったく意味がない、ということです。そしてもうひとつ。ダイナミクス記号は音量を測定する「デシベル」要素だけではない、ということ。

フォルテだから大きな音量、ピアノだから小さな音量と考えてしまいがちだからこそ、pppと書いていると極力小さな音で、と考えてしまいがちなのです。

もっと多角的に、「音色」「高度(音ではない高さ)」「場面」「雰囲気」「奥行き」「色」「明暗」「気持ち」「硬度」など、様々な要素を用いて演奏してください。
例えば、「遠くの空から聴こえてくる」とか「足元の土の中から呻き声が…」とか、「暖かく、やさしい気持ちが溢れ出る」とか。楽譜にはいちいちそんなこと書ききれませんから、作曲家はp(ピアノ)という記号ひとつで表記しますが、その記号の中に含まれた様々な気持ちやイメージがあるはずです。それを奏者は想像し(作曲家がどう考えているかは大切ですが、それだけが正解ではありません)、自由にイメージをして表現して欲しいところです。


【最後2小節前】
1小節すべてクレッシェンドの小節です。クレッシェンドやデクレッシェンドの記号が目に入るとすぐに音量の変化をさせてしまう人が少なくないのですが、あくまでもこの記号は「(書かれた範囲を使って)音量を変化させる」わけですから、いきなりでっかくすると行き詰ってしまいます。そこで、3拍目までは少しガマンしておいて、ピッコロとグロッケンが入ってきてから、バンド全体で急激にクレッシェンドをかけるようにすると、立体感が大きく出て明確になると思います。
クレッシェンドなどの記号は「過程」を表していることも忘れないでください。要するにクレッシェンドの先がどうなっているのか、のほうがよっぽど重要なのです。この場面の場合はpppからfffまでクレッシェンドするのですから、それはそれは激しいものであるし、先ほど書いたようにfffといってもデシベル数値が高くなるだではありません。どんなイメージを持つか、そのイメージを表現できるか、が大切です。
力まかせにならないように注意してください。


【アンサンブルをする、ということ】
今回は「アンサンブル」をテーマの中心に置いて書きました。
指揮者と各奏者という関係を意識しやすいですが、実際は違うのだ、ということがわかっていただけたでしょうか。
こういった複雑な作品になればなるほど、各奏者は指揮者ばかりを頼みの綱にしてしまいがちです。しかし実際に音を出して音楽を横に流しているのは演奏者です。こんな作品だからこそ、いつどのタイミングでそれぞれの奏者が何をしているのかを理解、把握して演奏することが重要になります。

演劇に例えるとわかりやすいでしょう。役者はそれぞれ自分が喋るセリフを覚えて舞台に臨みますが、そのセリフは誰かとの「会話」になっていることがほどんどです。

A「はあ?この俺が犯人だって?証拠があるのか?!」
A「…クッ!」

自分のセリフだけでは舞台はできません。相手がいるからこの会話も意味がつながるのです。

A「はあ?この俺が犯人だって?証拠があるのか?!」
B「昨日の夜、犯行現場から立ち去るお前を見たと言ってる人がいるんだ!これが証拠の写真だ!」
A「…クッ!」

これで意味がわかります。音楽も自分の担当するメロディを単にタイミングを合わせて演奏して終わりなのではなく、奏者全員でひとつの作品を作り上げていることを忘れないようにしましょう。自分のパート譜だけに集中しているとわかっているのについ自分だけの世界に引きこもりがちになってしまうんですよね。注意しましょう。
そうならないためにもスコアを見る習慣をつけましょう。

ということで課題曲5「暁闇の宴」の解説を終わります。
次回は違う作品をピックアップしますね。

どうでもいい(?)ことですが、この作品「アカツキヤミ」って読むんですね。てっきり「ギョウアン」かと思ってました。タイトルは後付けだそうで、あんまり深く関連性を持たせる必要はないと思います。

ではまた来週!

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at 06:48, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2015

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吹奏楽コンクール課題曲2015トランペット解説【5.暁闇の宴 / 朴守賢】前編



















みなさんこんにちは!
只今「ラッパの吹き方」ブログでは、2015年度吹奏楽コンクール課題曲トランペットパート解説を行っております。今回より課題曲5「暁闇の宴」について書いています。

課題曲5は中学生の方にはコンクールで演奏できない曲なので、関係ないやと思うかもしれませんが、今回はこの作品の解説ではなく、もっと幅広い内容、具体的には「変拍子などの見た目に難しい楽譜を読む」ことに焦点を当てて書いていこうと思いますので参考になることがたくさんあるはずです。ぜひご覧下さい。


《ビートとフレーズ》
音楽には、「ビート」と「フレーズ」という、非常に大切な要素があります。
ビートとは、一定に流れるリズムのことを指し、さらにその音楽の持つ基礎を作っているとも言えます。
わかりやすく例えるなら、ドラム奏者が叩いているのがビートです。ドラマーがズドドドドドド!と、とても激しく細かいリズムを叩いている時と、とってもゆるやかにトン、トン、トン、トンと叩いている時では、同じテンポ、同じメロディであっても印象が大きく変わります。
そして僕はこの「ビート」は「フィールド、地面」であり、そこに均一に描かれた方眼紙のような「マス目」だとレッスンでも説明しています。

そしてフレーズというのは、音符の「グループ」です。
音符ひとつひとつ単独に拾い上げても、それは単なる「音」でしかありません。しかし、その音がいくつもつながりあって、ひとつのグループになった時、メロディが生まれます。
例えばこれは、言葉を喋っている時と同じです。誰かに向かって

「お」

と発音しても相手はまったく理解できません。

「お」…「は」…「よ」…

と発音をバラバラにしても、非常につたわりにくいですし、そもそも相手に何かを伝えようとしている意思はまったく感じませんよね。怖さは伝わるかもしれません。
まったく無意識に行っていることですが、我々はいくつもの発音を連ねて、「おはよう」という意味のある音の並びを作り、相手にそれが伝わるのでコミュニケーションがとれる、というわけです。
音楽に話を戻せば、ひと区切りの中にある複数の音符はそれぞれバラバラな存在ではなく、ひとつのグループになっていることを理解して演奏することで、「フレーズ」が生まれ、聴く人に本当の意味での「メロディ」を伝えることができるのです。

ですから、指揮者や指導者から「もっとフレーズ感たっぷりに演奏して!」とか「フレーズ感がない」と言われた時、楽譜の音符をただ左から右へと追いかけているだけになっていなかったか、確認をしてみましょう。

そして僕はこの「フレーズ」を「弓を使って空中に放った矢」のイメージとして持つことが多く、レッスンでもよく用います。

フレーズという名の矢を放つ時、普通は目的地(標的)を決めて放ちます。例えば50m先まで届かせようとしている時と、5m先に届かせようとしている時では持っているイメージがまったく違い、そのために弓にかける力も変化しますし、角度や方向も違うはずです。
放たれた矢は、「ビート」という地面の上を通過しています。

ビートという正確で揺るぎないリズムの上に、おおらかに目的地へ向かう音符グループ(フレーズ)が存在している状態の時(その作品の持っている/自分の表現したい)音楽の原型が生まれる、ということです。


《いわゆる現代曲》
さてこの作品、楽譜を見た瞬間「難しい!細かい!(嫌だ!めんどくさい!)」と感じませんか?
いわゆる現代曲というジャンルです。

対して、我々が一番多く演奏している音楽は、メロディの下に、ハーモニー、リズム、ベースラインと言った「伴奏」から成り立っています。それぞれの役割が明確でわかりやすいのです。
しかし、いわゆる現代音楽と呼ばれるジャンルでは、メロディがどこにあるのか、そして伴奏が誰なのかがよくわかりません。池の中で自由に泳ぐ魚のように、各パートが好き勝手に動き回っているような印象を受けることが多いと言えます。

一般的な音楽は「小節」や「(シンプルな)拍子」によって、理路整然とした制約の中、メロディや伴奏がいますが、その制約もだいぶ弱くなっています。よって、自由に動き回っているぶん、演奏している旋律も字余りだったり足りなかったり。結果的に変拍子や奇数の連符などが生まれやすくなります。


《ストラヴィンスキー》
僕は音大生の頃からストラヴィンスキー作曲「兵士の物語」という作品を何度か演奏したことがあります。編成がまた変わっていて、ヴァイオリン、コントラバス、クラリネット、ファゴット、コルネット、トロンボーン、打楽器と役者(語り)という7重奏。オーケストラの極小編成といった感じです。
物語が語り(役者)によって進められ、それぞれの場面に合わせていくつもの曲を演奏しますが、どれも変拍子が多く、一番最初にとりかかった音大生の時、この変拍子たちをどう演奏すればいいのか、かなり試行錯誤していたのを覚えています。
最初の頃はとにかく「正確にすべての音価(それぞれの音符の長さ)を並べる」という意識で練習をしていたのですが、どこか一箇所間違えるともう修正ができず、ああ変拍子って難しい!嫌い!そんな苦手意識を持つようになってしまいました。
しかしそんな時、指揮者から言われた一言で変拍子に対する苦手意識がなくなったんです(どうにもならなくて指揮者を呼びました)。


《ジャンプ力の違い》
「ちょっとジャンプ力が違うだけだよ」と言われたんですね。
どういうことかと言いますと、例えば2/4が続いている途中に3/8拍子が入り込んできたとします。

暁闇の宴03

今までの僕は、この3/8拍子を正確に演奏しなければ!という思いから「1ト2ト、1ト2ト、123!、1ト2ト…」と、とにかく細かく細かく数えることに集中していたんです。しかし、これをやるとテンポが崩れやすく、そして一番問題なのは「音楽的でなくなる」という点です。頭の中は「ビート」だけを意識して正確に音価を並べることに支配されているロボットのようでしたので、「歌う」「表現する」がどこにもない状態だったんですね。要するに「フレーズ感」がまったくなかったわけです。

そこで「ジャンプ力」です。イメージして下さい。マリオが軽快に、均等にリズムよくジャンプを続けている途中、1度だけ少し高くジャンプする時がありました。高くジャンプしたものだから、着地するまでの時間も長くなりました。それが3/8拍子なんです。

暁闇の宴04

よくあることですよね。
この話を聞いてから、変拍子に対する苦手意識がなくなりました。


《実は人間味のあるリズム》
変拍子を単なるジャンプ力の違いと気楽に考えるようになってから、横に流れるメロディ(フレーズ)を感じて演奏できるようになり、それと同時にいろいろと発見することもありました。

日常している行動や会話って、ほとんどが変拍子(=等間隔や同じリズムで続くものが少ない)。

ということ。

例えば、

「むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました」

という一節を4/4に収めることどうなるでしょうか。

暁闇の宴05

なんだかぎこちないですし、何より伝わりにくいですよね。休符を途中に入れれば何とかなるかと思いますが。

ではこんな風にしたらどうでしょうか。

暁闇の宴06

結構な変拍子ではありますが、言葉とリズムが一致していて、このほうが読みやすいですよね。
もしもこれが言葉のないメロディであったとしても、

暁闇の宴07

いかがでしょう。先ほどの「むかしむかし…」のリズムが頭の中に残っているでしょうから、難しくないはずです。

このように、変拍子というのは意外にも人間味のあるものだ、ということであり、日常の会話や動きのほとんどが一定の拍子(リズムパターン)の上で動いていない、ということに気づけたかと思います。


ということで、今回は「変拍子」についていろいろと自分の思うことを書いてみました。
この課題曲5に限らず、最近の作品には変拍子が多く出てきます。ビートから正確なリズムパターンを見出して演奏することも大切ではありますが、どんな変拍子であっても横に流れる「フレーズ」というもが(基本的には)存在しているのだ、ということを忘れず、また、複雑で難しいと思わずもっと気楽に日常によくあるものが作品(楽譜)にも出てきているんだ、と考え、シンプルにイメージしてみて下さい。

それでは、来週は作品を冒頭から解説していきます。
また来週!

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at 06:36, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2015

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吹奏楽コンクール課題曲2015トランペット解説【1.天空の旅 −吹奏楽のための譚詩− / 石原勇太郎】後編




















みなさんこんにちは!
只今「ラッパの吹き方」ブログでは、2015年度吹奏楽コンクール課題曲トランペットパート解説を行っております。前回より課題曲1「天空の旅 −吹奏楽のための譚詩−」について書いています。

前回の記事(前編)はこちら

それでは、今回は冒頭より順を追って解説をしていきます。


【冒頭】
ベルトーンです。低音域から順に音が重なっていきますが、こういったオーケストレーションの時に一番崩れがちがのがテンポです。なぜ崩れがちになってしまうのか、それは「それぞれの奏者が何を(誰を)テンポの基準にしているのか」が違うからなのです。
例えば指揮者を基準にしている人と、奏者を基準にしている人では絶対にずれが生じてしまいます。そもそも指揮者というのはin tenpo(正確なテンポ)を作り出す機械ではありませんし、そんな役割のために前に立っているわけではありませんから、指揮者にそれぞれの拍を求めてはいけません。

テンポというのは、2つの「何か」があって決定します。一番音楽的に言えば、2つの拍を感じられる打楽器の音や手拍子などがあれば決定できるのです。手拍子一発ではテンポはまだわかりません。
音楽から離れてみても、足を2歩出せばテンポが決定し、光の点滅が2回起こればテンポが決定します。もちろんそれらが継続的に行われなければテンポはどんどんずれてしまいますけどね。


ということで、ベルトーンのクオリティを音楽的に上げるためには、冒頭2小節目1拍目と2拍目を担当している奏者のテンポに逆らわずに受け継ぐべきです。この作品では幸い、1拍目にテューバと3rdトロンボーン(バス)が、2拍目にはユーフォニアム、2ndトロンボーンと、担当している金管楽器が充実していますから、かなり心強いですね。
そして3拍目と担当している3rdトランペットは、1stトロンボーンと一緒にタイミングを合わせられるよう、4拍目の1,2ndトランペットはテンポを受け継ぐだけでなく、3小節目の1拍目にバンド全員がタイミングを揃えて入ってこられるような説得力を持った演奏をするよう心がけてください。3小節目1拍目が短かったイントロの結末です。まずここで一旦全員の音楽性が合うように意識するといいでしょう。


【6小節目】
poco rit.です。これも先程書いたように指揮者にすべてを委ねて、奏者が「指揮者の棒に合わせる」意識を持っていては崩れてしまいます。注意してください。そして、テンポが遅くなりつつも、威力は増していくallargandoの場面ですから、単に遅くしようとか大きくしようとか考えずに、どんな結果になったら面白いか、聴いている人が惹きつけられるかをイメージして演奏しましょう。
長い音符は威力を失いがちです。ぜひ計画的に音を張り、そして威力を増幅させてください。


【練習番号A,4小節目】
冒頭でも同じことがありましたが、ホルンのメロディに応答する箇所がいくつかあります。「応答」ですから、ホルンの吹いた音形やスタイルに逆らわないように演奏しましょう。もしどうしても納得いかない(ホルンパートがこの音形について何も考えずに吹いている等の場合)は、ホルンとの合同練習でお互いが納得できる表現を追い求めてください。


【練習番号C〜】
前回の記事でも書きましたが、この作品の一番「やってしまいそう」な演奏が、付点(真ん中休符)+3連符のリズム表現です。かなり厳しく「この2つのリズムは違うものなんですよ!」と主張していいと思いますし、それが聴く人に伝わるように演奏しましょう。


天空の旅01

以下は、ついやってしまいがちな演奏パターン

天空の旅02

そして、この作品には2分音符以上の長い音が多くみられます。長いフレーズを失わないようにするために、これら長い音符を抜かないようにしましょう。吹奏楽ではなぜだか音を抜くクセを持った人がとても多くいるのですが、音を抜く奏法は「指示があった時にのみ行う特殊な吹き方」である、ということを覚えておきましょう。何も指示がないのであれば、それは音を張ることを意味しています。そして音を張ることによって、次の音符(休符)へ向かう力も強くなり、結果としてフレーズが途切れにくくなります。


【練習番号Dアウフタクト〜】
前までの雰囲気をひきずらないように注意してください。一旦落ち着きますが、ただそれは勢いがなくなったからではなく、例えば「奥行き」の問題でmpになった感じです。被写体が遠くにあるからmpなだけであって、もしそれが目の前にいるなら力は強いのです。したがって、近づいてくる(クレッシェンド)につれてそれまでの勢いが戻ってくるように計画的なクレッシェンドをしましょう。

練習番号Dの長いフレーズの最後(7小節目)に全音符がありますが、ここもやはり音を抜かないように気をつけましょう。しかし、むやみに音を張りすぎてしまうと、きっと指揮者から「トランペットうるさい!」と注意されてしまうでしょう。そうならないためのコツは

「ほかの楽器の音が聴こえているか」

を基準にすれば良いのです。自分が全音符で音を張っている時、他の楽器(特に木管楽器の細かいパッセージ)が全く聴こえないかったら、それは吹きすぎということです。これはどんな編成でもどんな場面でも使えることなのでぜひ覚えておいてください。

また、このフレーズはブレスを取りにくい箇所です。でも8小節元気に吹き切るのも結構大変です。将来的にブレスなしで演奏できるようにいろいろな練習や工夫をしたいものですが、(オーケストレーションの厚みなども考えると)とりあえずブレスを取るなら5小節目が一番無難かな、と感じています。以下を参考にしてください(ここがベストと考えただけで、ここでやりなさい、と言っているわけではないので注意)。


天空の旅03


【練習番号E】
合の手の3連符を演奏しているのはトランペットだけです。そしてpiu fですから、音楽的にはどうかとも思いますが、楽譜に書いてあるので結構突出した表現(固く、強く、輝かしい音)で思い切り吹いたほうが良いかな、と思います。ゴニョゴニョしているとみっともないので。


【練習番号F/1st,2nd】
1小節目3拍目ウラから2パートが揃って動きますが、多分合わせにくいと感じたり指摘されたりする部分だと思います。というのも、1stは前から吹いていてタイでつながっており、2ndはそこから吹き始めるので、テンポやフレーズの持っている感覚が違うんですね。
具体的には、タイを感じすぎると、そこで遅れをとってしまいますので、タイの後ろは吹かないくらいのつもりで早めのタイミングで3拍目ウラを吹き始めるようにしたいところです。
そして2ndは休符を「1,2,ン」と数えていると、非常に遅れてしまいますから、「音は出してないけど1stと同じメロディを演奏している」感覚でいてください。

タイの演奏のコツについては過去の記事
タイの吹き方
をご覧ください。

そしてフレージングについてですが、演奏をしていると、どうしても「音の一番高いところ=フレーズの頂点」にしてしまいがちで(自分がそういう意思を持っているから、というよりも高い音を出す時に音量を上げすぎてしまうことが主な原因)、この箇所も陥りやすい箇所です。最短のフレーズで言うなら頂点は練習番号Fの3小節目1拍目だと思います。そして長いフレーズ感で言うなら練習番号Fの5小節目1拍目でしょう。


【練習番号F/3rd】
2小節目にある3rdの4分音符のメロディは、実は同じことをしている人が誰もいません。したがって、かなり目立って良いと思いますので、バランスを確認しながらどんどん吹いてみてください。


【練習番号G,2小節前/2nd,3rd】
音楽の強制ストップです。聴いている人に察知されないようにしましょう。フレーズ的には、良い表現かどうかわかりませんが「車が壁に激突する」ような感じでしょうか。激突した瞬間は、4拍目ウラの山型アクセントの瞬間です。躊躇せずそこまで突っ走り、激突させてください。決して丁寧に吹き終わることのないようにしましょう。


【練習番号 I 】
なぜこの部分、トランペットだけがミュートをしているのかまったくわかりません。ホルンやトロンボーンはそのままOpenで演奏しています。指示なので仕方ありませんが。でも絶対的にトランペットの音だけが異常に別世界の音として目立ってしまうでしょう。ハーモニーやバランスを作るのも非常に難しいと思います。それを意図的と見せるか、できるだけホルン、トロンボーンと一体化を図るかは指揮者の考え方で良いのですが。僕は吹奏楽でやたらとミュートを使いたがる風潮が嫌いです。もちろんミュートを付けることによってオーケストレーションが格段に面白くなる場合も多々有ります。しかし、「なんでミュート付けるの?」と思ってしまう作編曲をされている楽譜がとても多いのも事実で、もう少し意味を持たせて欲しいな、と思ってしかたありません。

とまあ愚痴はともかくこの箇所、機械的に「音符→休符→音符/音符→休符→音符」と無機質に演奏しないように注意しましょう。田植え作業みたいな1拍1拍差し込むようにならないでください。
そのためには「3拍目の音符は1拍目に行きたがっている」という力を感じられるようにして欲しいと思います。賛否両論あると思いますが、例えば3拍目はテヌートにして力を増幅させ、結果として1拍目が弾ける(スタッカート)というリズムにしてしまっても面白いのでは、と思いました。やりすぎると気持ち悪いですけどね。
どうあれ、トランペット、ホルン、トロンボーンが統一するようにセクション練習をたくさんして欲しいですし、そのためには、全員主旋律を演奏してみると良いと思います。クラリネットの楽譜ならそのまま吹けます。誰かに主旋律を吹いてもらい、他の人は自分のパート譜を演奏する、なんて練習も効果的ではないでしょうか。

また、どんな素材、形状のミュートを使うかでも大きく印象は変わります。例えば木製でとても柔らかな音の出るミュートを使うとか、敢えて金属的なよく響くミュートを使うなど。指揮者と十分相談して、できれば今の時期にいろいろ使い分けてイメージに一番近いものを選べるといいですね。そのためにはもちろん、演奏しているメンバー全員が同じミュートを使用します(敢えてメーカーや形状をバラバラにして絶妙なバランスをとる、なんてのも面白いかもしれませんが、かなりややこしいし面倒くさいですね)。


【練習番号K】
ミュートを付けたまま同じ運指で付点のリズム、しかもトランペットパートが全員同じ動きで、他のパートはどこも何もしていない(Soli)という、結構プレッシャーなところです。

替え指(3番ピストン)を使っても良いと思いますが、せっかくなので練習を兼ねて正しい運指(1,2番)で吹いてみましょう。

付点は、どうしてもうしろの16分音符がユルく聴こえてしまいがちです。他のどの音よりも強く鋭く吹いてください。そのためにまず、記譜上「ラ→ミ」だけを練習します。「ミ」の音をぶつけるように演奏しましょう。最初は2つの音の長さを同じにして、できるようになったら付点のように「ミ」の音を短く演奏します。
次に「ミ→ラ」で同じ練習をします。それができたら「ラ→ミ→ラ」で。
動画を見てもらったほうが早い。



こんな感じです。
ミュートをしているのにチューニングスライドを抜かなかったせいで非常にピッチが高くてごめんなさい。
この部分は演奏開始までに時間があるのでチューニングスライドの調整が可能ですから、動画のピッチは反面教師として高くならないよう対策をしてください。


【練習番号M/2nd,3rd】
ここは2ndの腕の見せ所ですね。どんどん目立っちゃいましょう。この箇所は練習番号Dと同じメロディではありますが、オーケストレーションが(他のパートがやっていることが)違います。中でもユーフォニアム(テナーサックス)にそれまでなかった動きが出てきています。これを無視してしまうと演奏が崩れてしまうので注意が必要です。

天空の旅04

譜例にあるように、練習番号M,1小節目の4拍目と3小節目の4拍目で動きが一致するように心がけてください。ぜひ合奏前にユーフォニアムと一緒に練習する時間を沢山とってください。


【練習番号N〜/3rd】
1st、2ndと違う動きをしている箇所がいくつかあります(2小節目、7〜8小節目)。ここは目立たせるように心がけ、7〜8小節目は同じ動きをしているクラリネット(オーボエ)と一緒に練習する機会を設けてください。


【練習番号P,4小節目】
1小節間かけてクレッシェンドをしますが、多くのパートは3拍目から動き始めます。ですから、トランペットが「クレッシェンドだ!それー!」と1拍目からいきなり大きくしすぎてしまうとバランスが崩れてしまいます。ここはぜひ、クレッシェンドの効果を高めるためにも1,2拍目は我慢をして、3拍目から一気に盛り上がるように演奏してみてください。
クレッシェンドに限らず、楽譜にある記号の中には「その場所から◯◯し始める」という指示のものがいくつもあります。我々はそういった記号を見ると、書いてある最初の部分からいきなり変化を起こそうとしてしまいがちなのですが、あくまでの「その部分から開始」なだけなので慌てないようにしましょう。

例えばこの場所に書いてあるクレッシェンドも、「ここからクレッシェンドをしなさい」という指示ですから、1拍目でいきなり大音量になってしまうのは指示通りとは言えません。クレッシェンド記号がある間、その効果が続くわけですから、冷静に演奏してください。
そして何よりも大切なのはこういった記号には必ず「結果」が伴っているということです。クレッシェンド記号を抜けたところでその結果があります。多くはfやffになっていることでしょう。また、意外性を求める場面ではsub.p(突然pで)になったりするかもしれませんが、何にせよクレッシェンドの先に結論が待っていることに変わりありません。その結果を理解しないでやみくもにクレッシェンドしたのでは、作品を理解しているとは言えませんので、常に楽譜の先、作品が次にどう展開するのかを知った上で演奏をしてください。
この場面では曲の一番最後の小節にあるfffに向かってクレッシェンドをしているわけですから、それはそれは強烈な盛り上がりで作品が終わることになります。では、どこからどのようにしてfffに向かうのか、そのイメージをまず持ってからトランペットで吹くようにしましょう。

ということで、結構長くなりましたが、冒頭から順を追って解説をしてみました。
それでは、来週からは別の課題曲の解説に入ります!

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at 07:08, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2015

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吹奏楽コンクール課題曲2015トランペット解説【1.天空の旅 −吹奏楽のための譚詩− / 石原勇太郎】前編




















みなさんこんにちは!

只今「ラッパの吹き方」ブログでは、2015年度吹奏楽コンクール課題曲トランペットパート解説を行っております。前回、前々回で課題曲2「マーチ『春の道を歩こう』」について書きました。今回からは課題曲1「天空の旅 −吹奏楽のための譚詩−」です。

課題曲2の記事は以下より進んでください
 マーチ「春の道を歩こう」/ 佐藤邦宏 前編
 マーチ「春の道を歩こう」/ 佐藤邦宏 前編


さて、課題曲1ですが、冒頭いきなりマーラーの交響曲第6番「悲劇的」終楽章?と思った直後、なんだ、スウェアリンジェンだったのかと思いましたが、全体的にわかりやす作られているように感じます。
ただし、いくつか気をつけておきたい点があるので挙げてみます。


《「祈り」というテーマ》
作曲者の曲解説を読んでいると、「祈り」という言葉で埋め尽くされています。「祈り」と聞くと宗教的な祈祷をイメージしがちですが、作者は具体的な宗教思想における祈りではなく、「望み」「願い」もっと平たくいうなら「気持ち」といった人間が誰でも持っている感情を指していると言っています。そして、その祈りは空へと高く舞い上がり、様々な「祈り」と出会い、いつまでも旅をしているそうです。

うーん、ファンタジー。

なので、天空を旅しているのはパズーでもシータでもドーラでもムスカでも、ましてや閣下でもなくて、「魂」とか「心」のことを指しているようです。そして「祈り」は、感情ですから、安らかなものから力に満ち溢れたものまで様々です。こういった背景がある作品ということですが、少しこの作品の様子が見えてきたでしょうか。

僕は最近まで、楽曲を理解するためのひとつの重要な情報源に「タイトル」があると思っていました。確かにそれは一理あるのですが、同時にタイトルがほとんど関係なかったり、まったく適当な命名だったりすることもあるのを今回の課題曲群で実感しました。それについては今後の課題曲解説で触れますが、タイトルなんてあまり深く考える必要もないのかな、なんて思うようになりました(一応調べて重要度合いを理解するようにはしていますが)。


《長いフレーズ》
この作品の特徴のひとつに、「フレーズが長い」という点が挙げられます。曲が始まると、ほとんどフレーズが切れずにどんどんどんどん前へ進んでいきます。ちょうど紙飛行機が気流に乗ってどこまでも水平に飛んでいくかのうように、邪魔するものもなく清々しいくらいに直線飛行をしています。

ですから、この流れを邪魔してしまう「重すぎる音符」「強すぎる拍感」を音楽に出さないよう心がけることが大切です。これはアクセントや強打について言っているのではなく、フレーズを分断してしまうような存在を無意識に表現してほしくない、ということで、たとえば1拍1拍ウンウンウンウン…とうなずきながら演奏してしまったり、長い音符が前へすすむ力を感じさせない(僕は「音のベクトル」と読んでいます)演奏をしないように、ということです。
したがって、部活動でよく見かける「メトロノームに合わせて演奏する」練習や「指揮者が譜面台をカチカチ叩きながら合奏をする」方法をとりすぎると、フレーズ感がなくなってしまい、この作品の持っている長いフレーズ感が消滅してしまいます(もっとも、メトロノームという器具はそのクリック音に合わせて音楽を合わせていくためのものではありませんから、使い方自体が間違っていると言えますが)。

メトロノームを使った練習がなぜNGなのかについては過去の記事
 「室内楽(アンサンブル)5
をご覧ください。


もうひとつ、長いフレーズを演奏するために覚えておいてほしいことは、「吹き始めの勢い(吹く前までの体の使い方)で飛距離が変わる」ということです。
わかりやすく例えるなら、弓矢を放つ時、遠くへ飛ばしたい時と近くに飛ばしたい時の弓の使い方が違うのと似ています。自然な流れの音楽的フレーズは、矢を放ってしまった後は操作しないほうが良いのです。飛ばした弓の軌道が思っていたのと違うからと言って、ゲームのコントローラーや呪文などで動かすことはできませんよね。仮にそれができたとしても、見ていて非常に不自然です。ですから、演奏する前までに「これから吹き始める音楽は、最低でもどこまでたどり着ける力を持っているのか」をイメージし、それに見合った演奏開始でなければいけません。これらはブレスコントロールが重要で、勢いのない息では着地地点も近くなり、息切れを感じる演奏になってしまいますし、遠くへ飛ばそうと力を無駄に使っても、結果としては暴発して全然飛ばなかったりもします。
呼吸が生き生きと使い続けられるコントロールをするにはどうしたらいいか、ぜひいろいろと研究してみてください。
もうひとつヒントとして、基本的にフレーズの間は音が減衰しないように演奏しましょう。要するに、音を張り続けるということです。特に長い音を伸ばしている時に、音を抜いてしまうとそこでフレーズは分断されてしまいます。今吹いている音は次の音に向かおうとしている、ということ。そして音を出し始めたその瞬間、すでに着地地点が決まっているので、それまでは音がつながりあっている、ということを覚えておいてください。


そして、作曲者自身が書いている「練習番号E,G,Nの前の休止は重要な間(ま)である」というのは「長いフレーズの切れ目」と考えます。言い方が違うだけで意味は同じですね。フレーズには必ず着地点があります。それが作者の言う「間(ま)」だと思います。


《付点と三連符、スラーとタンギング》
課題曲2の前編で書いた「付点+スラー」の演奏時についやってしまうよくない吹き方が、この作品でも出てきます。


天空の旅01

楽譜通りに演奏すると、おおよそこのようになると思いますが、ついついやってしまうのが以下の吹き方です。


天空の旅02

どんな作品でもそうですが、スラーで吹いている直後に細かなリズム(タイミング)でタンギングをすることが苦手、またはおっくうになっている奏者が多いのです。なので、楽譜に書いてあるフレージングを無視してタンギングしやすいところまでスラーでつなげてしまう後者の吹き方にならなよう、充分に気をつけて演奏して下さい。

スラーをしている時に舌を無意識に必要以上に引いてしまうクセがある方に得に多い現象です。よく指摘される方、確認してみたらそうなってしまっているという方、ぜひいつもスラーの時の口の中がどうなっているか観察してみましょう。


そしてさらに、この作品によく出てくる三連符+付点(真ん中休符)のリズムでは、三連符と付点の差別化をしっかりする必要があります。傾向としては、三連符に感化されてしまった付点が「ゆるいリズム感」で表現されてしまうと思いますので、まずは以下にリンクした過去の記事

付点音符の吹き方

を読んで実践してみて下さい。

もし僕がコンクール審査員だったら、この三連符と付点がきちんと理解して演奏しているか(お客さんに違いを理解してもらえるように演奏しようとする姿勢か)がとても大きなポイントにすると思います。
ぜひ変なクセをつける前に徹底的に練習して「良いクセ」を身につけてしまいましょう。


今回は課題曲1のもつ世界観と注意してほしいフレージングについて書いてみました。

では、次回はこの曲を冒頭から順に追って解説していきます。
また来週!


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at 05:51, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2015

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吹奏楽コンクール課題曲2015トランペット解説【2.マーチ「春の道を歩こう」/ 佐藤邦宏】後編





















みなさんこんにちは!
只今「ラッパの吹き方」ブログでは、2015年度吹奏楽コンクール課題曲トランペットパート解説を行っております。先週は課題曲2「春の道を歩こう」に頻繁に出てくる付点+スラーについてじっくり解説をしました(前回の記事はこちらからご覧ください)。今回はこの作品を順を追って書いていきます。


【冒頭】
まず1小節目と3小節目の4分音符は息の勢いがなくならないように(ひとつずつ叩きつけるような音にせず)次の小節のアタマの音に届く息で演奏しましょう。そうすることで、「舌で頑張るアクセント」から「息で表現するアクセント」になります。
前回の記事でちょうどこの小節も含めた動画を掲載しましたので、参考にしてみてください。



コツとしては、冒頭1拍目にある4分休符を単に「まだ吹かない時間」にするのではなく、この休符を「ストレス(パワー)を溜めるための時間」にすることです。1拍目からすでに演奏をしている様々な楽器と一緒に音楽を(感覚的に)開始し、でも休符のために音を出せないストレスを2拍目で解放しましょう。そのパワーが2小節目の最後まで届く威力を持っていれば、おのずとひとつひとつの音を叩きつけるように演奏することはできなくなります。
タンギングをしていても(それがスタッカートであったとしても)フレーズはつながっている、という点を常に持っていて下さい。

過去の記事に息とタンギングの関係を書いていますので、そちらも参考にしてみてください。
タンギング 5(息のタンギング練習)


6小節目でバンド全体が盛り上がりますが、7小節目で「sub.mp(すぐにmpに)」という指示により、突然落ち着きます。そのギャップをできるだけ大げさに表現するためには、(トランペットは吹いていませんが、バンド全体の解釈として)「mp」の表現にこだわるというよりも6小節目の最後ギリギリまでクレッシェンドをし続ける、音を抜かないことを意識してください。結果をコントロールすることは不自然につながります。したがって、具体的な結果を求めるのであれば、それまでの過程がどうであったか(どうしたか)、が重要なのです。


【冒頭の2nd、3rdのスラーについて】
なお、2nd,3rdを担当している方は、パート譜だけ見た時、冒頭2小節目1拍目についているものがスラーなのかタイなのか悩んでしまうかと思います。ハーモニーを作っていると、同じフレージングで書いた時にどうしてもこうなってしまうことがあるのですが、判断に迷った時は、まずスコアを見てみましょう。

春の道を歩こう02

動きのあるパート(ここでは1stトランペット)を参考にすれば、どのように演奏したら良いのかもわかると思います。ここでは1stがスラーで動いていますから、それに合わせて書かれているんだな、ということがわかりました。したがって、演奏としてはタイではなくてスラーですから、結果的に1stと同じフレージングで演奏ができれば良いということです。

春の道を歩こう03

楽譜にするならばこのほうが適切でしょうか。結局はタンギングをせざるをえないので、できるだけ1stと同じニュアンスで演奏できるように音の質や音の向かう方向性について研究し、1stと一緒に演奏してどう聞こえるかたくさん練習してみましょう。そのために2nd,3rd担当の方も1stの楽譜を練習してください。


【練習番号C〜】
ここからいわゆる「Bメロ」になります。コンサートマーチではBメロになると中低音楽器がメロディを演奏することが定番で、この作品ももれなくそうなっています。したがってトランペット他、高音域の楽器は伴奏を担当することになり、以下の譜例を担当しています。できるだけスタッカッティシモ(スタッカートよりも音を鋭く短く)演奏するのが良いでしょう。音の形をしっかり出しつつ、低音域のメロディをジャマしないようにそれぞれの音のサイズをコンパクトにすると立体感が生まれます。ただし、ハーモニーも同時に作っていることを忘れず、打撃音だけにならないよう、「音の中身」が充実した演奏を意識しましょう。
また、リズムが独特なので、16分音符の箇所は以下のようにシングルとダブルを使い分けると雑にならないと思いますので、やってみてください。

春の道を歩こう04


【練習番号D,4小節前アウフタクト〜】
フルートから受け継がれたメロディを担当しています。裏拍で動くことの多いメロディで、こういったリズムを「シンコペーション」と呼びます。
シンコペーションは簡単に言えば「わざと表拍をはずして動いているリズム」なので、それを聴いている人にも伝わるように演奏することが大切です。そうしないとリズム感のない演奏だと勘違いされる可能性があります。
しかし、スラーがつきまとうメロディですから、先ほども紹介した「タンギング 5(息のタンギング練習)」を有効に使い、表現すると良いと思います。ぜひ記事を参考に、練習をしてみて下さい。

そして楽譜上では「練習番号D 1小節前」の1拍目でffを迎えているので、ここでピークになっていると感じやすいのですが、その先を見ると2拍目の裏に山型のアクセントがあります。ですから、「練習番号Dの4小節前アウフタクトから始まったメロディはこの山型アクセントに向かっている」と考えて演奏しましょう。

そのあとから生まれる新しく担当するメロディ(練習番号Dアウフタクトから)は、その前までの影響を受けることなく、仕切り直します。冷静に軽やかに演奏してください。スタッカートとスラーのコントラストが聴いている人に伝わるように意識しましょう。


【練習番号E〜】
カップミュート指示です。ミュートの付けはずしにあまり時間がかけれらないので、上手なON/OFFをしたいですね。過去の記事「ミュート1」を参考にしてください。

カップミュートはメーカー(素材や形状)によっても音色がだいぶ違いますから、できるだけ同じものを使いたいですね。この曲では、結構カップミュートでの演奏箇所が活躍ポイントになっていますから、あまりこもりすぎて鳴らないものではなく、音の立ち上がりがハッキリしたものを選ぶと良いでしょう。


【練習番号G〜】
2小節目、4小節目は練習番号Eと同じ動きをしているのですが、ミュートをはずしたということで、先ほどよりも元気に吹いてしまいがちです。もちろん、雰囲気としては練習番号Gになって若干開放的になりましたが、スコアを見てください。
トランペットと同じ動きをしている木管楽器が増えました。しかも良くみてみると、それぞれ2拍目ウラからは木管楽器はトランペットの音よりも上に行っていますね。メインはトランペットではなく、木管楽器にある、ということです。ここは注意です。要するに、1stトランペットも、バンド全体からするとこの部分はハーモニーを作っているパートであり、メイン(トップ)の立場ではなくなっているのです。したがって、練習番号Eから何も考えずにずっとトランペット先導の意識で吹いていると、バランスが悪くなってしまいます。自覚を持った上で演奏して下さい。
そして、練習番号Gで同じ動きをしている楽器だけで集まり、セクション練習を行いましょう。


【練習番号G,5小節目アウフタクト〜】
トランペット+トロンボーンでファンファーレを演奏しています。金管楽器の魅力を伝えるチャンスです(ここくらいしかチャンスがありません)。この箇所で大切なのは、「3拍目にTutti(総奏)になる」という点。トランペットとトロンボーンの演奏で他の全員を連れてこなければならないのです。
「別に意識しなくてもみんな3拍目になったら入ってきてくれるじゃん」と思うかもしれません。もちろんみんな入ってきてくれるはずです。「1,2!ジャンジャン!」といった具合に。
しかし、それでは「アンサンブル」と言えません。単に同じ楽譜を同じタイミングで演奏している者たち、になってしまいます。アンサンブルというのは「音の会話」です。誰かが何か提案したり、アクションを起こした結果、誰かがそれに答えたり、反発したり。そういった「やりとり」をすることがアンサンブルです。各自がそれぞれ台本通りにタイミングを合わせただけのものは、アンサンブルと呼ぶにはふさわしくありません。ですから、トランペットがみんなを

「さあみんないくぞ!」

と先導できる演奏をして、他の楽器の人たちがが「トランペットとトロンボーンに乗せられて、思わず吹いてしまった!」音楽の流れになってほしいんです。

僕は以前、オーケストラでとても素晴らしいティンパニストとの演奏し、彼のとても強いカリスマ性と先導力のある演奏で、乗せられてしまった経験があります。決して悪い意味ではありません。多分オケ全体がそうであったと思います。どの楽器もティンパニが司令塔になって動かされているように感じました。そういった奏者がたくさんいる団体の合奏はとても刺激的で(彼らがその時その時、各自の立場を理解していればですが)、聴いている側もエキサイティングに楽しめます。僕は何でもかんでも予定調和の上で完成度を上げていけば良いとは決して思いません。台本通りの演奏は安定感があり評価がブレないのでそういった完成度を求めていく部活が多いのですが、たとえコンクールであっても、中高生であっても、音楽はそれではつまらないと思うのです。

話がそれてしまいましたが、練習番号Gの5小節目からのファンファーレはバンド全体で演奏しているんだ、自分たちが中心になっているんだ、という自覚を持って吹いて下さい。


【練習番号H,2小節前】
この部分のロングトーンは「盛り上げよう」と思うあまりに身勝手に鳴らしすぎないように注意しましょう。なぜなら、他のパートにはとても重要な動きをしているところがたくさんあるからです。
トランペットやトロンボーン、打楽器などは、編成によっては「うるさい」立場になる可能性がありますね。鳴らしすぎて他のパートがお客さんに聴こえないようでは、アンサンブルになりません。では自分たちトランペットが萎縮することなく、動きの違うたくさんの楽器とバランスを保ち、全員でクレッシェンドしていくにはどうしたら良いでしょうか。ポイントは、

「他のパートの音がきちんと自分の耳に聴こえていればバランスは保たれている」

という点です。自分の音で周りの音がかき消されている時には、客席にも同じように聴こえていると考えてください。トランペットという楽器の中での「ff」と考えてしまうと、例えばファゴットなどが限界まで鳴らそうとしてもかなうわけがありません。ですから、一緒に演奏している他の楽器が自分の耳に届いている状態をキープしていれば、客席にもバランスよく聴こえている、ということです。これは、どんな編成でもどんな時でも使えますから、ぜひ覚えておいてくださいね。


【練習番号H〜】
このメロディは吹きやすいし、クライマックスに向かっているので、ついつい吹きすぎてしまいやすいです。しかし、ここはまだ「f」。この後に「練習番号I」で「ff」が待っていますから、静に演奏して下さい。楽譜は、今演奏しているところだけに注目しないように、前後の関係がとても重要になりますので、いつでも視野を広く持つようにしましょう。
f(フォルテ)があるからff(フォルテシモ)の基準ができるのです。クレッシェンドが書いてあるのは、その時点から変化がある、ということ。そしてその先に結論が待っているということです。


【練習番号 I,4小節目〜】
ここでトランペットだけ一旦引き下がります(演奏しなくなります)。多分ドンチャン騒ぎのまま楽曲を終わらせたくなかったのでしょう。少し落ち着きを取り戻す(冷静さを取り戻す?)場所ですから、4小節目にあるデクレッシェンド指示は単に「音を小さくしていく(オーディオのボリュームツマミを操作する)」と考えず「木管楽器に主導権を(一時的に)譲る」「スポットライトを木管楽器に当てる」とイメージして下さい。そう考えることで音楽が立体的に表現されますし、7小節目アウフタクトで復活する時にも吹きやすいと思います。


【練習番号J,3小節目】
この部分も2分音符で伸ばしている奏者が多いのですが、いそがしく音階を吹いているフルートやクラリネットがいることを忘れないようにしましょう。先ほどの練習番号H 2小節前と同じです。


さて、いかがでしょうか。冒頭からざっくりとポイントを書いてみました。ぜひ参考に練習をしてみて下さい。
わからないところ、もっと具体的に聞いてみたい、教えてほしいことがありましたら、携帯アプリ「BOLERO」プレスト音楽教室にいらして下さい。詳しくはこちらの記事をご覧下さい


それでは、また来週!
来週は他の曲の解説です。


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at 08:00, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2015

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