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吹奏楽コンクール課題曲2013トランペット解説【3.復興への序曲「夢の明日に」/岩井直溥】その2




















>>課題曲解説についての進め方や曲を吹く前など個人練習でしておきたいことをまとめた記事【はじめに/最初にすべきこと】をお読みでない方はこちらからどうぞ。


みなさんこんにちは!

只今「吹奏楽コンクール課題曲トランペットパート解説」絶賛開催中です!
今回は課題曲3「復興への序曲『夢の明日に』」の後半。曲を追いながら解説を進めていきますね。課題曲3の前半記事はこちら。


《ドラムセットに合わせる》
と、その前に前回の記事でも触れましたがこの作品は打楽器の中に「ドラムセット」があります。
合奏と言えば指揮者に合わせようとみんなが指揮棒を凝視したりするかもしれませんが(実際のところこれは間違ってますが)、ドラムセットがある場合、指揮者よりもこちらに耳を傾けるほうが重要になります。
理由は簡単。指揮者はテンポを支配できませんが、ドラムはテンポを支配できるからです。

変な話、奏者全員がドラムのテンポ、ビート感に乗った演奏ができれば、指揮者を完全無視しても(テンポとしての)アンサンブルは崩壊しないんですね。

まあ、そんなことしたら音楽としてよろしくないですから、指揮者はちゃんと見て下さいね。
指揮者というのはメトロノームのようにテンポを一定に保つことが仕事ではなく、それぞれの作品をどのように作り上げるかを指示するプロデューサーなんです。

ということで、テンポやビート感に関しては終始全員がドラムを聴いて演奏するよう心がけましょう。


《スコアを読む》
課題曲解説の至る所で書いていますが、コンクールで演奏する曲くらい時間をかける作品は、ぜひフルスコアを読みましょう。
なぜスコアを読む必要があるのかは過去の記事「フルスコアを読もう」を読んでもらうとして、この作品のスコアを見ると、とってもわかりやすい書き方をしています。

難しく考える必要はありません。スコアを縦に見ると(それぞれのパートが一斉にどんなことをしているのかを見ると)、同じ動きをしているパートがとても沢山あることに気付くと思います。
また、逆にトランペットだけ独立した動きをしている、という発見もあるはずです。

これがわかってくると、それぞれの箇所でどんな演奏をしたら良いかおおよそ見当がつくのではないでしょうか。他のパートも同じ動きをしていることが多い時には(例えメロディだからと言っても)自分たちラッパばかりが出しゃばるのではなく、木管楽器もちゃんと客席へ届けられるようにちゃんと耳を傾けてバランスの良い演奏をして下さい。そしてトランペットパートが独立した動きをしているのであれば、意識的に目立たせるように演奏しましょう。


《演奏解説》
ではここからは曲に沿って解説していきます。

[冒頭(全パート)]
冒頭のメロディは低音パート以外みんな同じ動きです。まずはとにかくテンポ感とリズム感ですね。

先程書いたように指揮者の動きに対してそれぞれの奏者が合わせようとする傾向は大変良くありません。
そして、「誰かの動きに合わせよう」と考えるのもアンサンブルが成り立ちません。

ではどうするか。

一番大事なことは「自分の中で明確にテンポを決めておき、自信を持って演奏し始める」ということです。

指揮者に合わせることも、他の誰かに合わせようとすることも結局は「受け身」で「消極的」な行為です。その姿勢は音楽ではどんな時でも良くありません。ですから、一緒に演奏するみんながそれぞれ「音楽を引っ張っていくぞ」という気持ちで合奏をしていることがとても大切で、そういった演奏からは「活力」を感じることができます。
ただ、この意識の持ち方の場合、初期の合奏ではズレが生じるかもしれません。でもそれで良いんです。テンポがずれた時に「あ、自分の判断は間違ってた!怖い!怒られる!」と逃げてはいけません。積極的な気持ちを決して失わないように、しかし、奏者全員が他の仲間の音をしっかりと聴きながら演奏することですぐに縦の線が合ってくるはずです。
怖れず、自信を持って演奏しましょう。


[冒頭(全パート)]
冒頭でもうひとつ、この曲は付点のリズムから始まり、曲中も付点のリズムが多用されています。
これまでの課題曲解説でも何度か出てきていますが、付点の演奏が苦手な方をとても多く見かけますので、ぜひとも明確なリズムを表現したいものです。
付点に関しては詳しくは過去の記事「付点音符の吹き方」を読んでみて下さい。


[練習番号A(全パート)]
ここから8小節間、トランペットパートだけの旋律になります。
前回の記事で書きましたが「メロディだ!」と気合いが空回りしてガンガン吹きすぎないように注意しましょう。
あくまでも軽く、メリハリのあるリズム感で演奏することが大切です。まだまだ曲が始まったばかり。盛り上がってくるのはもっと後半です。

しかし、手抜きをした演奏をするのではありません。このようなポップス特有のリズムの時、楽譜に何もアーティキュレーションが書かれていなかったとしても以下のように演奏するのが良いと思います。



楽譜にするとこのような演奏だと良いかな、と思います。音色は軽く、しかし、タンギングやブレスコントロールを上手に使ってキレのある演奏を心がけて下さい。


[20小節目〜(全パート)]
いわゆる「バッキング」です。
このような拍のアタマから出てこないリズムは、ちょっとでもユルい演奏をしてしまうと単なる邪魔な音になってしまいますから、できるだけシャープに、リズムに厳しく吹いて下さい。
こういったリズムを演奏するために必要なことは、

「拍のアタマにはすでにタンギングも息もスタンバイしている状態」

であることが大切です。
息を体に取り入れて、みぞおちに力を集中させた(=みぞおちがふくらむ)時、タンギングの準備も完了(舌先が歯の裏周辺にくっついて待機)していると、肺から舌先まで息の圧力が高まってきます。その状態を変えずに(みぞおちの力を緩めることなく)楽譜のリズムに合わせて舌だけを離す(=タンギング)と、キレのあるタンギングをすることができます。

同じ動きをしているトロンボーンと同じ表現になるまでしっかりと練習をしましょう。

音の出し方、処理の仕方というのは方法のすべてが「奏法」と言えます。
ですから、「タンギングとはこうでなければならない」とか「呼吸というのはこの方法しかやってはいけない」と考えてしまうと表現の可能性を減らしてしまいます。
その場その場に合った奏法で臨機応変に演奏するようにしましょう。


[練習番号B〜C終わりまで(全パート)]
ここからカップミュートでの演奏になります。
ミュートについてもこれまで課題曲の解説でも出てきました。

詳しくは過去の記事
ミュート1
ミュート2

を読んでもらうとして、ここではいくつか簡単に解説します。

■ツボにはまらないと鳴らない
ミュートを付けて演奏した時、頑張って吹いても音量が出ない、なんて方いませんか?カップミュートの場合、なんかモコモコしてて聴こえているのか何なのかわからない、といった状態。
「ミュートが悪いんじゃ?」と考える方も多いのですが(実際コンディションの悪いミュートかもしれませんが)、ほとんどの場合、吹き方に問題があります。それは

「ツボにはまった音が出せていない」

ということ。
「音のツボ」については過去の記事「ハイノート(ハイトーン)へのアプローチ6」を読んで頂ければと思いますが、通常の状態以上にミュートを付けるとこの「ツボ」にはまっているかどうかが顕著に音に出ます。しかし、この現象はツボに当たっている状態を見つけやすいとも言えますので、個人練習の時にぜひミュートを付けて練習してみて下さい。ミュートから「ビーン」とはっきりした音が出たら、その吹き方のままOpenにして音を出してみましょう。
上手くいけばしっかりした「鳴る音」を手に入れることができるかもしれません。

■ピッチ変化
メーカーやミュートの種類でも変わりますがOpenの時に比べるとピッチが高くなったり低くなったりするのはご存知かもしれません。
ベルに詰め物をするわけですから、この変化はある意味「しかたのないこと」です。ですので、可能な限りチューニングスライド(主管)の長さで調節できるのが良いと思います。
決してアンブシュアやプレスでピッチを修正しないようにしましょう。これをしてしまうと「鳴る音」が出せなくなります。

■ミュートのつけはずし
ミュートをつけたりはずしたりが短い時間で行われていますので、いちいち床に置くなどをすると面倒ですね。この方法については過去の記事「ミュート1」に掲載しているのでぜひ読んでみて下さい。


[練習番号D 3小節目〜]
この箇所のようにアクセントが続いていた場合、テヌートぎみに吹くと効果的です。
しかし、決してベタベタした音を並べるのではなく、それぞれの音が前に進む力(=音のベクトル)を持っていることが大切です。
このことに関しても過去の記事「タンギング5(息のタンギング練習)」を参考にして下さい。


[練習番号 D〜(全パート)]
また、この部分はダイナミクスがどんどん変化します。
楽譜には書いてありませんが音量の切り替わりが明確である「Subito(スービト)=すぐに」の表現でできると面白いのではないかと思います。
客観的に聴いて「音に立体感がある」演奏ができると良いですね。


[練習番号G 1小節前(全パート)]
これまでにも何度か解説してきましたが「聴衆とのギャップ」というのがあります。自分ではしっかり楽譜に書かれている演奏をしていても、お客さんには届いていないという現象です。スタッカートをしているつもりでも、客席ではかなりユルく聴こえていたり、大きな音で吹いているつもりでもお客さんの耳には届いていない、など。
簡単にまとめるとこんな事が言えます。

「短い音は長い音より聴こえにくい」
「低い音は高い音より聴こえにくい」

この小節の最初の音は五線下の「Bb」ですが、次の小節ではオクターブ半ほど上までメロディがいきますね。そうすると、音が高くなっていくにつれてトランペットの音が聴こえてきてしまう(最初が聴こえず、cresc.しているような演奏になってしまう)という現象がおきやすいんです。自分の中では均一に吹いているつもりでも結果はバランスの悪いメロディの流れになりがちな箇所です。

この場面の場合、最初のBb音を一番鳴らすように心がけると、トランペットが入ってきたというアピールがしっかりできるので、お客さんの耳には「ああ、トランペットがここから入ってきているんだな」という印象を植え付けることができます。一度トランペットの音が耳に入ってしまえば「演奏し続けている」という認識を与えやすいので、とにかく最初の音が聴こえているかが一番肝心です。


[練習番号H 1小節前(全パート)]
ここに書いてあるallargando(アラルガンド)については過去の記事「吹奏楽コンクール課題曲2013トランペット解説【4.エンターテインメント・マーチ/川北栄樹】その2」の「練習番号 I 3小節前(全パート)」に詳しく書いてあります。ぜひ読んでみて下さい。


[練習番号H〜(全パート)]
この部分もアクセントがほとんどの音に書かれています。先程の[練習番号D]では「テヌートぎみに吹く」と書きましたが、ここでは「軽く音を抜く(音を張りっぱなしにしない)」イメージで演奏すると良いかと思います。
しかし、単に音を抜くと考えると、まるで田植えをしているかのように音を一個一個置いてしまいがちです。そうならないように「すべての音のベクトルを前に前に意識して演奏する」イメージを強く持って演奏して下さい。
そして、タンギングを明瞭にし、キレのあるスピーディな音を表現しましょう。
このスタイルは「95小節目のGrave」に入るところまで続きます。


[練習番号H 10,12小節目(全パート)]
最初この2つの小節を見た時、浄書ミスかと思いました。難しいリズムではありませんが、書き方がわかりにくいので気をつけて下さいね。


[95小節目Grave(全パート)]
この場所は[練習番号D 3小節目〜]と同じ解釈で良いと思います。そして、その後にある「Allegro 3小節目」の裏拍の音は音を張りすぎないようにしましょう(練習番号Hと同じ)。


[最後のGrave]
この音はしっかりと張った音で出したいのですが、多分一番悩むのが下向きのグリッサンド指示でしょう。
この場合のように音符にくっついていないグリッサンドは「次の小節の最初の音にめがけて落ちていく」表現を求められています。
ですから、すぐにピッチを下げるのではなく、次の小節に入る少し前に「ピッチが落ちてきているぞ!」ということが客席に伝わればそれでいいのです。
ということは、頑張って沢山の音を含める必要はなく、むしろ「たどり着いたAb」の音をしっかりと演奏するほうが大切です。

グリッサンドが効果的に演奏できる楽器は他に沢山あります。ですので、ここで出しゃばる必要はありませんから「結果として楽譜に書いてあるように聴こえる」のであれば良いのです。

ぜひ合奏などを録音してみて、グリッサンドが「バンド全体として」効果的に聴こえているかを確認してみて下さい。


ということで今回は課題曲3.復興への序曲「夢の明日に」の後編でした。
コンクール課題曲ではありますが、真面目になりずぎずポップスの楽しさを充分に発揮して客席まで届けられるように演奏して下さいね!

ブログを読んでもいまいち理解できない、もっと詳しく実際の演奏で学んでみたいという方はぜひ僕が講師をしている「プレスト音楽教室」までいらして下さい。
特設の「吹奏楽クラス」というのがあって、入会金など不要の1回から受講できる講座があります。お一人でもトランペットパート全員でもレッスンができますので、特にこの作品はパートみなさんでレッスンができるととても良い結果を得られるのではないかと思います。

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それでは、次回からは他の課題曲についての解説を行います。
また来週!


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at 08:19, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2013

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吹奏楽コンクール課題曲2013トランペット解説【3.復興への序曲「夢の明日に」/岩井直溥】その1




















>>課題曲解説についての進め方や曲を吹く前など個人練習でしておきたいことをまとめた記事【はじめに/最初にすべきこと】をお読みでない方はこちらからどうぞ。


みなさんこんにちは!
只今2013年度吹奏楽コンクール課題曲トランペットパートの解説を行っています。課題曲解説とは言っても、様々な楽曲の演奏に役立つ内容にしていますので「この課題曲やらないし」「課題曲は吹かないので」という方もぜひ一度目を通してみて下さい。

ということで今回から課題曲3『復興への序曲「夢の明日に」』について書いていきます。


《岩井直溥さん》
吹奏楽で楽器を演奏している人にとってこの岩井直溥さんという方の作・編曲作品を演奏したことがない、というのはかなり稀(まれ)ではないでしょうか。それほどまでにこの方の楽譜は本当に沢山ありますし、今も多くの団体で演奏されています。

今でこそいろんな方が編曲していますが、昔のニューサウンズ・イン・ブラスの楽譜はすべて岩井さんが書いていました。
ディズニー・メドレー(1作目)、ウエスト・サイド・ストーリー・メドレー、コパカバーナ、シング・シング・シング...本当に沢山の作品を僕も演奏させてもらい、吹奏楽がとても楽しいものだ、と教えてくれたきっかけを作って頂きました。

そして、岩井直溥さんの編曲の特徴のひとつに「楽曲が様々なスタイルに変化していく」というのが挙げられると思います。

例えば、ディズニー・メドレー(1)の中に出てくる「狼なんて怖くない」はディキシーランドジャズのスタイルになっています。岩井さんの編曲には、よくこのディキシースタイルがありましたが、当時中学生だった僕はこのスタイルをまったく知りませんでした。
もしかすると、吹奏楽をやっていなかったら、岩井さんの編曲作品に出会っていなかったら、このディキシーだけでなくいろんな音楽のスタイルを知らずに今も生きてきたかもしれません。この経験は「ただ楽譜に書いてある音符を追いかけて音を出すだけでは音楽は完成しない」「音楽のスタイルに合わせた演奏をしなければ曲は活きてこない」ということを学びました。

「音楽のスタイルに合わせた演奏をする」というのは例えて言うなら浴衣を着て盆踊りをするようなもので、これがもしドレスで盆踊りだったらとてもおかしいと感じますよね。音楽スタイルにはそれぞれ特徴があり、そのスタイルに合った吹き方をしなければいけないんですね。


《スタイルの変わる作品》
そしてこの課題曲。こちらの作品も岩井さんおなじみの、様々に音楽スタイルが変化するのが特徴的です。

Moderatoから始まり、練習番号Dでテンポが上がったかと思えばすぐに「Slow Ballad」に変化します。その流れを引き継いで練習番号Fからは「Moderatly Slow Rock」に。練習番号Hから「Bright Tempo(Show Music Style)」という指示があり、最後はGrave→Allegro→Graveで終わります。

これらの演奏指示を単に「テンポが激しく変化する」と思うだけでなく「スタイルの変化」に着目しなければいけません。

特に「Slow Ballad」「Moderatly Slow Rock」「Bright Tempo(Show Music Style)」この3つはしっかりと理解しておく必要があります。

ただ、これらはいわゆるポップスによく使われるスタイルです。なのであまり理屈っぽく理解するよりもか(もちろんしっかりと学ぶことは無駄ではありませんが)どんな作品(ジャンル)にそれらの言葉が使われているかを知った上で自分なりのイメージを膨らませると演奏しやすいのではないでしょう。

では、ひとつずつイメージをしてみましょう。


《バラード》
練習番号Bからの「Slow Ballad」。いわゆる「バラード」ですね。これはよく聞く言葉なのでイメージしやすいでしょう。
カラオケで歌うタイミングが難しい(と思っているのは自分だけ?)スタイルの音楽ですよね。

みなさんもポップスは沢山聴くでしょうから、きっと何かしらの「バラード」作品を知っているはずです。

バラードは基本的にはゆったりとしたテンポで「歌詞の内容をしっかり伝える」楽曲が多いように思います。そして「愛」や「恋」をテーマにした曲がほとんどではないかと思います。

当たり前ですがこの課題曲には歌詞が付いていませんし、本当の意味での(定義としての)バラードは別に愛や恋についてだけを歌っていたわけではありませんが、練習番号Eからのアルトサックスのメロディやバンド全体の音の響き、音楽の流れを皆さんそれぞれがイメージする「バラード」というスタイルに当てはめて演奏すると、心のこもった作品になると思います。

イメージするのはどんなものでも構いません。先程書いたように好きなアーティストの歌う歌詞でも良いし、恋愛ドラマや映画でも良いでしょう。あなた自身が今経験している恋愛そのものでも、妄想でも良いでしょう。
大切なことは「イメージしたものを演奏に反映させる」簡単に言えば「心を込めて演奏する」ということです。言葉で言うのは恥ずかしくても演奏で表現することは恥ずかしくないですよね。

ただ、ここまで書いておいてなんなんですが残念ながら練習番号Eにトランペットの出番はありません(笑)

しかし、次に続く練習番号Fへは流れるように曲が進んでいきますし、トランペットがメロディを担当していますので、そこへバラードのイメージを与えていければ良いと思います。


《ロック》
練習番号Fに出てくる「Rock」という言葉、これも皆さん聞いたことがあるでしょう。
ただ、聞いたことがありすぎて、具体的にどんなものなのかイメージがしにくいかもしれません。実際、「ロック」ってどんなジャンル?と聞かれると、今ではほとんどのいわゆる「(ロック)バンド」がこのスタイルで演奏をしているので、定義付けるのはちょっと難しいですよね。ただそれらすべてのバンドが「ロック」スタイルで演奏しているかと言われればそれも難しいところです。

とりあえず「ロック」のイメージを固めたいですよね。これも起源やら歴史を詳しく調べなくても良いかな?と思います。それよりも具体的に誰もが「ロック」と認めるようなアーティストの演奏を聴いたほうがわかりやすいですよね。例えを挙げるならば「ビートルズ」「ローリングストーンズ」「エルヴィス・プレスリー」など、アメリカやイギリスで流行した音楽でしょうか。

若い方はあまり触れたことのない(かもしれない)これらのアーティストの演奏をぜひ聴いてみて下さい。カッコイイですよ。

で、スタイルについてですが、「ロック」については編成から見てみましょう。

ロックバンドと呼ばれる編成は、ヴォーカル、ギター、ベースギター、ドラムを中心として、キーボードなどの鍵盤楽器やホーンセクション(サックス、トランペット、トロンボーン)が入ることもあります。これらの楽器にはそれぞれ特徴的な役割を持っていることはイメージできるでしょう。

では、もしあなたがロックバンド編成の作品を吹奏楽に編曲して下さい。と言われたら基本的にどの楽器に役割を分担させますか?

僕だったらこうなるでしょうか。

ヴォーカル  →すべての管楽器(臨機応変)
ギターのコード→ホルン、トロンボーン
ギターソロ  →サックス
ベースギター →低音楽器全般
ドラム    →ドラム

ドラムセットはそのままドラム(もしくは複数の打楽器)だという点に着目して下さい。この楽器はほとんどの吹奏楽バンドが持っていますよね。
何が言いたいかおわかりでしょうか。ドラムセットという楽器は、吹奏楽の編成で演奏してもオリジナルとまったく同じアピールができる(可能性が高い)んです。ですから、ロックスタイルを表現する際にドラムのもつ表現やリズムが鍵を握っていると考えます。

この課題曲のスコアを持っている方はぜひ見てほしいのですが、打楽器にドラムセットが存在しています(ドラムがない場合はスネアとバスドラムで併用可)。そして、場面が変わるごとにドラムの演奏するリズムも大きく変化していますよね。

私たち管楽器奏者はどうしても自分のパート譜だけを見て演奏するので、他のパートが何をしているのかという意識が薄くなりがちです。しかし、アンサンブルをする全ての楽器は決して無関係ではありませんから、合奏中は耳を全ての楽器にも向けられるよう、そしてスコアを読む習慣を持つことがとても大切になります。

特にこの作品のようなドラムセットがある場合、スタイルだけでなくテンポを司っている司令塔のような存在ですから(指揮者よりもテンポを操作する力が強い)、無視して演奏することはできませんし、してはいけません。

ですので、この楽曲を演奏する時はドラムの演奏が音楽の中心になるよう意識してみてください。
ドラムを担当することになった方は頑張って下さいね!

また、ロックのリズムは「アップビート」が基本になりますので、クラシック音楽のような(4拍子の場合)1,3拍目が強拍ではなく、2,4拍目が強拍になります。と言ってもこの作品の場合あまりアップビート感が強くないのですが、メロディ以外の部分で若干そのニオイがしているので、他の楽器にも耳を傾けて演奏できると良いと思います。

とにかく、前向きなベクトルを感じながら重いビート感にならないようにしましょう。


《Show Music》
練習番号Hからは「Bright Tempo(Show Music Style)」という指示が書いてあります。

Brightというのは「輝く」などの意味を真っ先に思い浮かぶと思うのですが、音楽的な意味、しかも書いてある場所が五線の上ですのでテンポに関連した言葉と考え「生き生きとした」「活発な」と捉えます。
同じような意味でよく使われる楽語に置き換えるなら「Allegro」ですね。

そして(  )の中に書いてある「Show Music Style」ですが、これはどのような意味なのでしょうか。

ショウ・ミュージック、みなさんはどのようなイメージを持ちますか?

多分、近いのはこんな感じではないかと思うのですがいかがでしょうか。





これはミュージカル版と映画版の「シカゴ」です。こういったいわゆる「ブロードウェイミュージカル」であったり、宝塚であったり、ショウ・ミュージックってこんなイメージがあります。

そして結構古い作品ですがニューサウンズにこんな作品もありました。



みなさんの中には演奏したことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。「ハリウッド万歳」という曲です。これも実は岩井直溥さんの編曲によるものです。

ともかく、ミュージカルなどショウ・ミュージックの音楽はとにかく「ワクワク」する雰囲気と若干の高級感を個人的に感じます。

ですから、この課題曲を演奏する時には「これから始まるいろいろな何かにワクワクする」そんな前向きな雰囲気が出せるといいかな?と思います。そういった雰囲気はタイトルからも伺えますよね。


《鳴らしまくりたくなる?》
僕が中高生の時、吹奏楽部のコンサートでポップス曲を演奏すると、どうしてもめっちゃくちゃ鳴らしたくなって自爆していたことを思い出します。

コンサートは他にも沢山の曲を演奏しますから、パワープレイの代償としてすぐにバテてしまう結果に終わってしまっていました。

みなさんはどうですか?同じ経験したことありませんか?

なぜガンガン吹きたくなっていたかというと、こういう曲のオリジナル音源ってすごい音量で吹いているイメージがあるからなんです。いわゆるスタジオ系と呼ばれるプレイヤーの演奏。
もちろん、生で聴いても結構な音量、音圧で吹いてはいますが、決して乱暴な演奏ではありません。ポイントになるのは「音を維持している時の圧力」であったり「音の立ち上がり(と処理)がクラシック以上にクリアで強い」という点でしょう。

中高生の時はそんなことまったくわからなかったので、とにかく大きな音量で吹くイメージしかなく、自分の限界を超えた吹き方をしていたんです。そりゃ自爆しますよね。


ポップス系の音楽を演奏する時も、この課題曲を演奏する時も、気合いが空回りしないように気をつけましょう。

そしてメリハリのある発音や音圧で吹くために必要なことは「明瞭な発音」と「楽器に合わせたブレスコントロール」「鳴る音を出す」ことが大切です。

舌に力を込めて思い切りタンギングをしたところで、クリアな発音を得ることはできません。日常の会話で考えてみればすぐにわかるでしょう。舌に力が入ってもただツバが飛ぶだけです。滑舌の良いキレイな発音をする時、舌や口の中がどうなっているのか、今一度考えてみて下さい。
参考までに過去の記事カテゴリー「タンギング」をぜひ読んでみて下さい。

そして「楽器に合わせたブレスコントロール」というのは、トランペットの中に一度に入れられる息の量を理解することです。自分の体の限界の息の量を楽器に押し付けて「さあ鳴れ!」と吹いたところで楽器は反応してくれないのです。

トランペットが一番良く鳴ってくれる吹き方を奏者のほうが合わせにいかなければいけないんですね。
自分本位ではなくトランペットのことを考え、息を入れてあげれば最大限のパフォーマンスをしてくれるはずです。


ということで課題曲3の前半記事は「音楽のスタイル」について中心に書いてみました。
どんな楽曲を演奏することになっても、その作品が一番活きてくるスタイルを理解して演奏しなければ聴いている側は面白くありません。楽譜に書いてある情報をただ再現するだけでは本当の意味での音楽にはならない、ということなんです。


コンクール前だから集中するんだ!と言ってコンクール曲ばかり吹いたり聴いたりするのは視野を狭くしてしまい、あまり良いこととは思えません。なので、これからコンクール練習がどんどん大変になってきますが、ぜひ沢山のジャンル、スタイルの音楽を聴いて楽しんでみて下さい。


ブログを読んでもいまいち理解できない、もっと詳しく実際の演奏で学んでみたいという方はぜひ僕が講師をしている「プレスト音楽教室」までいらして下さい。
特設の「吹奏楽クラス」というのがあって、入会金など不要の1回から受講できる講座があります。お一人でもトランペットパート全員でもレッスンができますので、特にこの作品はパートみなさんでレッスンができるととても良い結果を得られるのではないかと思います。

詳しくは「プレスト音楽教室オフィシャルサイト」をご覧下さい。

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プレスト音楽教室へ行くのは距離的に難しい、という場合は学校等へ訪問することも可能です。毎年コンクールシーズンになるといくつかの学校におじゃましています。詳しくはこちらのメールフォームにご連絡下さい


それでは、次回も課題曲3を解説していきます。
引き続きお読み下さい!
それでは!


当ブログの写真・記事等すべての営利目的による無断利用、ネット上などへの無断転載を禁止します。

at 06:52, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2013

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吹奏楽コンクール課題曲2013トランペット解説【4.エンターテインメント・マーチ/川北栄樹】その2





















>> 課題曲解説についての進め方や曲を吹く前など個人練習でしておきたいことをまとめた記事【はじめに/最初にすべきこと】をお読みでない方はこちらからどうぞ。



みなさんこんにちは!
今回も課題曲の解説を行います。前回に引き続き課題曲4「エンターテインメント・マーチ」の解説、後編です。今回は具体的に演奏や練習の仕方について書いていきますね。

※前回の記事をお読みでない方はぜひ読んでみて下さい。こちらをクリック!


[冒頭(全パート)]
冒頭1拍目にある付点音符は軽快に、あまりキツい音にならないように注意しましょう。前回の記事でも書きましたが、この作品はとにかく他のパートと同じことをしていたり、同じトランペット内でもオクターブやユニゾンが多発します。その際、メロディ(主旋律)だからといって、いきりたって演奏をしてしまうと、木管楽器のサウンドをかき消してしまう可能性があります。そうならないよう、常に「一緒に演奏している他の奏者の音が自分の耳に聴こえてくる状態以上に音量を大きくしない」というスタンスを基本とし、ここぞというところではトランペットの威力を発揮できるようなメリハリのある演奏をするように心がけると「うるさいラッパ」にならないと思います。


[3小節目(全パート)]
この小節まではTutti(トゥッティ:全員)で演奏をしていますが、練習番号Aからいきなり木管楽器だけの静かなテーマが始まります。
トランペットのパートだけ見ると、この先にあるメロディまで吹きたくなってしまいますが、強制的にトランペット等の演奏をストップさせるオーケストレーションになっています。
こういった手法はスーザのマーチなどでも見ることはあり、決して珍しいことではありませんが、作曲者としては多分「このまま盛り上がっていくと見せかけて意外にも落ち着いたマーチにしてしまおう」という雰囲気を感じますから、トランペットパート(その他金管パートも)としてもその期待に沿っていきたいところです(違う解釈もあるでしょうが、僕はそう思いました)。

ですので、練習番号Aに向かって音量を抑えていくのではなく、楽譜には書いてありませんがむしろcresc.をしていくくらいに演奏したほうがその先とのギャップがより明確になって面白いと思います。

これと同じ手法が[練習番号I]にも出てきます。

ちなみに、冒頭は1stのオクターブ下を2,3rdがユニゾンで演奏しているパターンです。前回の記事でも書きましたが、この作品はこういった箇所が多発しますので、音量バランスとピッチには充分注意しましょう。

基本的に、オクターブ下を演奏しているパートは、上のパート以上に音量も音の重量感も大きいほうがいいのですが、このアレンジの場合はすでに下のパートが倍いる書き方をしていますので、むしろあまりコントロールをして吹かないほうが良いのかもしれません(バランスの良い編成であるなら、全ての奏者が同じレベルで演奏すれば良いのかも)。

このことについては前回の記事にもアドバイスを書いていますのでぜひ読んでみて下さい。


[練習番号B〜(全パート)]
ポップス系の音楽によく出てくる、いわゆる「バッキング」です。
不思議な事にこのバッキングはこれ以降出てくることがありません。気が変わってしまったのか、忘れてしまったのか...作曲者のみぞ知ることではありますが、せっかく出てきたので印象深く演奏したいところです。

バッキングの時に大事なことは「クリアで立ち上がりの早いタンギング」と「瞬間的な長さの音であっても中身の詰まった音質であること」この2つが挙げられます。

8分休符や16分休符があってから(裏拍から)音を出すわけなので、鈍い発音や後押しのような吹き方をしてしまうのは作品そのものを台無しにしてしまいます。
ですので、まずはクリアで立ち上がりの早いタンギングをしなければならないのですが、タンギングについては過去の記事に沢山書いています。ぜひカテゴリー「タンギング」を読んで練習をしてみて下さい。

カテゴリー「タンギング」


ここでもひとつ解説しておくと、休符からの(裏拍からの)演奏の場合「音を出すタイミングと関係なく演奏準備は拍の頭に完了している」状態にすることが大切です。
言い方を変えれば「拍の頭から音が出せる状態で待ち構えている」となります。

タンギングでアパチュアへ流れる息の意味を遮断し→みぞおちから舌先までの息の圧力を高め→音を出すタイミングで舌のロックをはずす、という演奏方法でいくとクリアで強烈なタンギングをすることができます。

練習番号Bの6小節目前半でバッキングは終了しますので、それ以降の発音の仕方との差別化を図って下さい。


[練習番号C(全パート)]
この箇所はトロンボーン、テューバなどの中・低音楽器のメロディの応答のような形で、後から追っかけて演奏します。
スコアを持っているとすぐわかると思うのですが、メロディも追っかけもすべてユニゾン(オクターブ含む)なんですね。

バンド全体にハーモニーというものがほとんど存在していませんので、ここはとにかく安定したピッチで演奏することがとても大切になります(ちょっとピッチがずれただけでバンド全体が濁ったサウンドになりがち)。ピッチに関しては前回の記事でも書いて、リンクも貼っていますのでそちらを見て下さい。

とにかく、このようなオーケストレーションになっている以上、奏者全員が同じイメージの下で演奏をしていることが大切なので、ただ単に楽譜に書いてある音符を追いかけてるだけ、みたいな演奏にならないよう注意して下さい。
基本的には2拍前から先に演奏している同じメロディの人たちがどんな演奏をしているかによって、それに答えていくような姿勢でいられると良いと思います。

また、吹きやすくて鳴らしやすい音域ですので各自音量バランスにも充分注意してください。トロンボーンがあまりに鳴らしていて、負けるものかとガンガン吹くのではなく、バンド全体が良いバランスで演奏するように心がけましょう。
先程、ハーモニーがほとんどないと書きましたが、木管楽器が裏打ちで演奏していますから、可能であるならその音もきちんと客席まで届かせてあげられるといいですね。
木管のサウンドを終始潰してしまう演奏をする金管奏者は嫌われます。笑


これらは練習番号Dも同じです。


[27小節目〜(全パート)]
またしてもこの場所にしか出てこないほんの数拍のカップミュートです(意味あるのか無いのか...)。まあ、書いてあるのでやるしかありませんが、こういったミュートのつけはずし前後の間隔が短い時ってセッティングに焦りますよね。
そうならないために、例えばミュートホルダーをみんなで買い揃えるとかも方法ではありますが、そんなお金をかけなくても効率的に負担なくミュートのつけはずしを行う方法があります。


[練習番号E2小節前(全パート)]
こういったいわゆる「ブリッジ(つなぎ)」がこの場所以外にも沢山出てきます(練習番号F2小節前、練習番号H、78小節目、練習番号K2小節前)。この小節の形もこの先に2回出てきますが、言ってしまえばマーチやファンファーレによく出てくるリズムパターンですよね。

しかし、意外にこういったパターンのリズムを効果的に演奏できていない人が多くいます。
具体的に言うと、付点4分音符をギリギリまでひっぱって吹こうとしてしまうことなのですが、そうしてしまうと後に続く16分音符2つの音への威力がなくなってしまうんです。

過去の記事に「短い音は長い音よりも客席に届きにくい」ということを書きました。それがまさにこの箇所で、すべての音を均一に聴かせようとした場合には、16分音符をかなり強く演奏しなければなりません。そのために、付点4分音符は少しだけ早めに切り上げて若干空間を作ってから(溜めを入れてから)クリアに強い発音で演奏するように心がけて下さい。



ちなみにこのフレーズは課題曲2「祝典行進曲『ライジング・サン』」にも出てきますので、その時にも改めて書こうと思います。


[練習番号Hアウフタクト〜(全パート)]
このブリッジにあたる箇所もやはり1stのオクターブ下で2,3rdがユニゾンという形になっています。
トランペットだけで唐突に演奏するファンファーレですから、メリハリのある印象的なアウフタクトで演奏できると良いですね。

真ん中に16分休符のある付点のリズムに関しては、課題曲1「勇者のマズルカ」で解説していますのでそちらを読んでみて下さい。
参考までに譜例を再掲載しておきます。

付点解説

練習番号Hに入った後は、トロンボーンやサックスなどが動き始めますので、その音がしっかりと客席へ届けられるようにがむしゃらにF音のロングノートを張りっぱなしにしないように気をつけましょう。ただし、音を抜くとかfpのように音量を抑える必要はありません。この部分も「他のパートの音が自分の耳にきちんと聴こえている状態」でいられれば自然とトランペットパートも他の動きのあるパートもバランス良く聴こえてくるはずです。


[練習番号 I 3小節前(全パート)]
molto allargandoの指示があります。moltoは「非常に」という意味、allargandoはrit.+cresc.の意味ですが、この部分に限らず楽語というのは単純な「機能」として把握するのではなく「作曲家はどのように演奏して欲しくてこの楽語を書き記したのか」を考え、それでは「自分はこの部分をどのように演奏したいか」というイメージをしっかり持ち、それを表現できるように練習をすることが大切です。
その「自分なりの解釈からの表現」が演奏に反映されるようになってから合奏に臨みましょう。そこで自分の演奏がOKならば指揮者からは何も言われないでしょうし、指揮者が違った解釈を持っていれば何か指摘があるかもしれません。
しかしその「指摘」は「お前の演奏はダメだ」という意味で言っているわけではなく「指揮者(曲作り責任者)としてはこのように作りたい」というメッセージですので「間違った!」とショックを受ける必要はありません。大事なことは「まずは自分なりの解釈で作品を完成されること」であって、言い方を変えれば「何のイメージもなく楽譜に書いてある情報だけを再現する機械的な演奏」や「指揮者からの指示待ち」「受け身の姿勢」で合奏に挑むのは非常に良くありません。

例えばこのallargandoは、rit.とcresc.が組合わさっている結果「壮大さ」や「テンションの高ぶり」などを感じられることができます。そのイメージをどんな演奏で聴く人に伝えるか、そういった練習を積み重ねることが大切です。

また、具体的な演奏方法としてrit.(リタルダンド)は徐々にテンポが落ちてくるわけですが、言い換えれば「(音楽の)時間の経過が遅くなる」とも言えます。
ということは、同じ8分音符という記号であっても速いテンポの音楽と遅いテンポの音楽に書かれている8分音符は、音を鳴らし続ける時間の長さが違いますよね。

ですから、rit.によってだんだんテンポが落ちてきたら「同じ8分音符であっても次第に長い音になってくる」と考えるのが自然な演奏につながります。

よく、テンポだけ遅くして、各音を鳴らす時間を変えないで演奏をして、音と音の隙間ばかりが空いてしまう演奏をしている人をみかけますが(そういった指示があり意図的に演奏している場合もアリ)、基本的な解釈としては間違っていますので、この作品に限らずrit.が出てきた時には注意して下さい。

したがってこの部分では「cresc.をかけながら徐々に音を重く引っ張って演奏する」のがひとつの方法(イメージ)だと思います。もちろん、解釈はこれだけではありませんから最終的には指揮者のイメージするもの、指揮者の指示通りに演奏するようにして下さい。


[練習番号K2小節前アウフタクト(全パート)]
他の全ての楽器からトランペットがメロディを一手に引き受けるというオーケストレーションになっています。
ダイナミクスとしてはffですが、だからと言って何も考えず「バカデカい」音で演奏するのはセンスが良いとは言えません。
トランペットが演奏を始める2小節前から他の楽器がcresc.をかけていますから、その盛り上がった結果のffであると理解し、自然な流れになるように演奏しましょう。
こういったこともフルスコアがないとわかりにくいことですよね。やはりフルスコアを各自持って全体像を把握しておくことはとても大切なことだと思います。

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フルスコアを読もう

ただ、指揮者によっては「飛び抜けてトランペットを鳴らす」なんてイメージを持って指示をしてくる可能性もあります。それも先程書いたように最終的には指揮者の指示に従いましょう。



ということで特徴的な部分を挙げてみました。
今回書いていない箇所については、上記に解説したどれかに当てはまりますので、そのつど疑問が出てきたら読み直してみて下さい。

読んでもいまいち理解できない、もっと詳しく実際の演奏で学んでみたいという方はぜひ僕が講師をしている「プレスト音楽教室」までいらして下さい。
特設の「吹奏楽クラス」というのがあって、入会金など不要の1回から受講できる講座があります。お一人でもトランペットパート全員でもレッスンができますので、特にこの作品はパートみなさんでレッスンができるととても良い結果を得られるのではないかと思います。

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ということで若干難しい感じで解説してしまいましたが、コンクールと言えども、課題曲と言えどもやはり楽しくなければ音楽ではありません。最終的には「演奏していて楽しい」ということが結果として「聴いていて楽しい」演奏になりますから、その点を忘れないように練習や合奏の段階なら楽しんで音楽をして下さいね。

課題曲2「エンターテインメント・マーチ」の解説は以上です。
次回は他の課題曲について書いていきますので引き続きお読み下さい!

それではまた来週!


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at 11:16, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2013

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吹奏楽コンクール課題曲2013トランペット解説【4.エンターテインメント・マーチ/川北栄樹】その1






















>>課題曲解説についての進め方や曲を吹く前など個人練習でしておきたいことをまとめた記事【はじめに/最初にすべきこと】をお読みでない方はこちらからどうぞ。



みなさんこんにちは!
只今吹奏楽コンクール課題曲のトランペットパート解説を行っております。前回は課題曲1「勇者のマズルカ」について書きました。今回からは課題曲4「エンターテインメント・マーチ」を解説していきます。
※それぞれの課題曲解説を始める前に書いた【はじめに/最初にすべきこと】の記事にもあるように、課題曲は1から順番には行っておりません。ご了承下さい。


《スタンダードな作風》
作曲者の川北氏も作品に寄せて「若干イレギュラーなことはやっているかもしれませんがスタイルはマーチのつもりです」とおっしゃっているように、変拍子はあるにしても作風は至ってスタンダードなものになっていると感じます。とくにハーモニーの使い方やオーケストレーションがとてもシンプルです。

とは言うものの、この作品を初めて聴いた時、一度しか出てこないメロディやフレーズ、オブリガード(副旋律)が沢山あってメロディがどんどん変わっていくような印象を持ちました。スコアを見ると実際のところは同じメロディを使っているところがいくつもあるんですが...多分主旋律ではなくて他のスパイス的に使っているホルンやトロンボーンなどの動きがそう感じさせているのかもしれません。練習番号Bのトランペットとトロンボーンのバッキングなども同じですね。これも他の場面には出てきません(なんでだろう?)。
また、ブリッジという場面を切り替える時に用いる「つなぎ」が非常に多いことも作品がどんどん変化していくように感じる理由かもしれません(38小節目〜、練習番号F2小節前、練習番号H、78小節目、練習番号K2小節前)。

良く言えば変化に富んだ作品ですが、言葉を変えれば気まぐれで支離滅裂とも言えるでしょうか(偉そうなこと言ってごめんなさい)。こうなると、どんな印象を聴く人に持たせられるかは作品を作っていく演奏者と指揮者にかかっているでしょう。
そういった点では、楽譜は簡単だけれども、魅力的に完成させるのは難しい作品です。

譜面を軽く見て「お、これならできるんじゃね?」と、この作品を選択したバンドは、合奏を進めていく段階になって悩まないように気をつけて下さいね(特に指揮者さん!)。


こういった作品や、コラールのようにゆったりとハーモニーを楽しむ作品を演奏する時、もらったパート譜が見た目にとても簡単だからと、個人練習の時に飽きてしまう場合があります。そういった方は「練習=フィンガリングなどのテクニックを磨くため」というスタンスで構えている場合が多いです。では実際には個人練習とはどんなものなのか、過去に記事を書いているのでぜひ読んでみて下さい。

練習に飽きる(前編)
練習に飽きる(後編)


《ユニゾンとオクターブ多用のオーケストレーション》
この作品はオプションパートが存在している小編成に対応した作品です。
こういった作品の場合、同じ動きをしているパートが沢山あるのが特徴ではあるのですが、それにしてもこの「エンターテインメント・マーチ」の場合、ユニゾンやオクターブがあまりにも多いです(意図的とは思いますがトランペットの3パートがユニゾンで完全に同じ動きをしている部分もあります。かなり思い切ったオーケストレーションだと思いましたが、これについて詳しくは次回のブログで解説します)。

様々な楽器や同じパート内でのユニゾン(音程で言えば完全1度)、オクターブ(完全8度)で動くメロディが沢山ある場合、もしピッチが悪いと顕著に雑さが出てしまいます。
ピッチが合っていないと音同士がうねったりぶつかり合ったりするのですが、音楽に詳しくない人が聴いてもユニゾン、オクターブの場合は露骨に「なんか聴きづらい、音が合ってない」と感じさせてしまいます。この点は特に気を配りましょう。

ですので、この作品を選択したバンドは、曲作りに加えてピッチの安定にも非常に力を入れなければならないと思います。

ピッチを安定させるためには、各奏者がチューナーとにらめっこをして練習し続けたり、ハーモニーディレクターでひとつひとつの音を確認しながら合奏をしたり、、、なんてことを真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、それはまったく意味のない行為ですし、ヘタをすると逆効果になってしまいます。

なぜかと言うと、ピッチを安定させる(安定したピッチだと聴く人に感じてもらう)ためにはチューナーの示す数値が合っているという事実以外に「息のスピード」「音色」「タイミング(テンポ感)」「音のベクトルの統一」という要素が必要になるからです。
また、合奏やアンサンブルの時だけでなく、トランペットをひとりで演奏する時にも「チューナーが示しているピッチが±0」であっても、強引に合わせた時(アンブシュア操作などでのずり上げ、ずり下げた時)のサウンドというのは曇っていて鳴らない音である場合があります。

こうならないためには発想を逆転させて「楽器が鳴っている時はピッチが安定する」と考えてみて下さい。

これらの内容について詳しくは過去の記事
チューニング1
チューニング2
チューナーとピッチ、音程1
チューナーとピッチ、音程2

ベクトル

を読んでみて下さい。


《フルスコアを使う》
先程も書いたようにこの作品では、トランペットパート内だけでなく、様々な楽器とユニゾン、オクターブで動いていることがあります。
では、どの箇所がどの楽器と同じ動きをしているのかを知るために、ぜひフルスコアを見て理解するようにしましょう。

この作品に限らず、フルスコアを読むという行為はとても勉強になりますし、作品の全体像を把握・理解するためにも必要なことです。
できれば個人個人、もしくはパート内で一冊持っていると重宝すると思います(1000円で5曲セットのフルスコアが吹連から買えます)。

そして、同じ動きをしているパートと一緒に練習をして下さい。パート練習やセクション練習というとどうしてもいつも同じメンバーで行うことが多いのですが、様々なパートと合同で練習したり、各パートのトップ奏者だけ集合してテンポ感の統一や作品についてのイメージを固めたりする時間を設け、ステップアップを図って下さい。やったことがないバンドはぜひ実践してみて下さい。この点に関しては次回の記事でも書いていきます。

関連記事
フルスコアを読もう


《2nd奏者》
先程から書いているように、この作品はユニゾンが多発します。中でも2ndトランペットは1stと同じことを吹いていると思えば、今度は3rdとユニゾンになるなど頭の切替えがとても忙しいパートです。そして3rdと同じ動きをしている時、1stのオクターブ下だったりすることも多いので、ぜひスコアをよく読んでそれぞれの部分がどんな立場にいるのかを把握するようにしましょう。


《バランスの良い編成にする》
この作品を演奏する上でのパート割にも少し気を配ると良いと思います。
スコアを見る限りでは、1stのオクターブ下の音を2nd,3rdがユニゾンで演奏している場合が多いので、例えばフォルテで鳴らした時の音量バランスが

 1st=(2nd+3rd)

になるようメンバーを決められると良いかと思います。それぞれの奏者さんの特徴(サウンド、音量等)を把握し、奏者全員が全パートを譜読みしておいて、一番良いバランスになるように様々な配置で演奏をしてみる、なんてことも面白いかもしれませんね。
「勇者のマズルカ」の記事にも書いたように「年功序列的パート割」ばかりにならないよう注意して下さい。



今回の記事で書いた「ピッチの安定」「楽器をきちんと鳴らす」ということはどうしても文章で解説しきれません。ぜひとも実際のレッスンで楽器がきちんと鳴った時にピッチが安定するのだ、ということを実感して欲しいです。
このブログを書いている荻原は、東京都文京区にある「プレスト音楽教室」というところで講師をしていますので、ぜひお気軽に体験レッスン、吹奏楽特設クラスにいらして下さい。

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ということで次回も課題曲4「エンターテインメント・マーチ」について書いていきます。
次回は楽譜に沿ったアドバイスをしますので引き続きお読み下さい。

それではまた来週!

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at 07:06, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2013

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吹奏楽コンクール課題曲2013トランペット解説【1.勇者のマズルカ/三澤慶】その2





















>>課題曲解説についての進め方や曲を吹く前など個人練習でしておきたいことをまとめた記事【はじめに/最初にすべきこと】をお読みでない方はこちらからどうぞ。


みなさんこんにちは!
前回の記事では「マズルカ」について詳しく書いてみました。世の中にはマズルカというタイトルの作品は沢山ありますし、YouTubeで検索すると、ホームビデオで撮ったローカルな映像もあるのでぜひ沢山観て聴いて研究してみて下さい。

今回は実際の楽譜に沿って解説していこうと思います。


《3drが難しい!》
とりあえずトランペットパート3つとも吹いてみた感想は「3drが難しい」ということ。
何が難しいのかというと、フィンガリングです。

もしあなたの部活でパート分けをする時に年功序列だけで決めているのであれば、少し考えてみたほうがいいかもしれません。
経験年数が長い人が1stを吹くとか、上手い順に1,2,3rdと決めるものと考えていた場合は、ぜひ奏者それぞれの性格やサウンドなどを考えた上でしっかり決めるようにしてみて下さい。
過去にパート決めについての記事を書いていますので詳しくはそちらをお読み下さい。

トランペット内のパート分け


《楽語を理解する》
この作品は最初から最後まで一定のテンポではなく、いくつか変化がおこる場所があります。

ところで、楽譜に書かれている文字=楽語(がくご)はみなさん理解していますか?
特に、テンポに関係している楽語というのは単に「速い」「遅い」ということだけでなく、その言葉の持つ意味が非常に関係してきます。この楽譜は新設に楽語の後ろにカッコでメトロノーム表記もしてくれていますが、メトロノームを使ってカチコチとテンポを確認してはい完了、ということにならないよう注意して下さい。

ここに楽譜にある楽語すべてを解説してしまうと親切すぎて勉強になりませんから冒頭の「Allegro con spiritoso」についてだけ書いてみます。ちなみに楽語のほとんどはイタリア語です。

「Allegro(アッレグロ)」というのは速いテンポの時に使われます(四分音符=およそ120前後〜)。どんな速さかと言うと「快活な」という意味が含まれています。もうちょっと簡単に言うと「元気の良い」「力がみなぎっている」なんて感じでしょうか。解釈の仕方はみなさんでご自由にどうぞ。

「con(コン)」というのは、英語で言う「with」です。conの後に続く言葉にくっついていて「con ◯◯」=「◯◯を持って、◯◯と共に」といった感じになります。

「spiritoso(スピリトーソ)」は「元気に、生き生きと」といった意味です。この言葉が付いていると、テンポが速くなる傾向があります。

したがって、冒頭の「Allegro con spiritoso」は、普通のAllergro以上に元気で精神も体力もみなぎっている、そんなスピード感を持った作品のイメージを楽語だけでも持つことができます。

楽語について詳しくは過去の記事「楽語1」を読んでみて下さい。
また、楽語辞典というのがありますので、もし持っていなければパート内、部活内でもいいのでぜひ一冊買いましょう。


《特徴的なリズム》
「勇者のマズルカ」に出てくる特徴的なリズムと言えば、やはり

付点休符

これですね。
もしかするとあまり出会ったことがないかもしれませんが、

付点音符

これの中が休符になった、と考えればリズムは理解できるはずです。
過去にこのリズムについての演奏方法の解説を書いたことがあるので、詳しくは「付点音符の吹き方」の記事を読んでもらえればと思いますが、この音符が出てきた時「ジャンプをする」というイメージを持っておくことが大切です。

中に休符が入っているからと言って、イメージが「止まる、止める」になってしまうと躍動感が失われてしまいます。
この作品は「マズルカ」です。マズルカはダンスの音楽。特に、ジャンプをするダンスです。

ジャンプをする時、踏切る力が必要です。その力加減によってジャンプ力(滞空時間や跳躍する距離)が変化し、更に着地した衝撃も変わります。
これを過去の記事ではこんな風に書いてみました。

付点解説

このイメージをぜひとも持っていてもらいたいんです。真ん中に休符があってもなくてもこの考え方は同じです。

「勇者のマズルカ」では、とても速いテンポの中にいくつもの連続した付点のリズムが続きます。演奏方法としてはタンギングで完全に音を止めてしまう方法で良いのですが、イメージの中では常に小さなジャンプをしていることが、この作品を活きたものにするはずです(練習番号Bなど)。
また、付点が連続している時にスラーでつながっているところ(練習番号B 9小節目アウフタクトなど)は音をはずしやすく、次の音が鳴らない音になりやすいので、テンポを大幅に落として練習しましょう。その際、こういった場合の演奏は「舌の動きによるリップスラー」を活用するとキレイにできます。

練習方法については過去の記事「ハイノート(ハイトーン)【補足3】」を読んでみて下さい。


《アクセント》
この作品には音符に「sfz(スフォルツァンド)」という記号が沢山付いています。
この記号をどういう意味に捉えますか?「アクセントを付けて」と考えますか?

では、いわゆる「アクセント記号」というのもこの作品には沢山書かれていますがそれはどう考えますか?

練習番号Aの2小節前にはその両方がひとつの音符に書かれています。

どう考えますか?

アクセントというのは単に「タンギングを強くする」という考えでは音楽が活きません。
詳しくは過去の記事「アクセント」を読んでもらえればと思いますが、ひとつ言えることは「この曲はマズルカ=ダンス音楽がベースになっている」という点です。マズルカについて沢山調べて勉強をすれば、いろいろ見えてくることがあるはずです!

マズルカの特徴は、ジャンプをし、足を踏みならす、かけ声がある...そして1拍目(音楽の基本としては強拍の位置)ではない場合にそういった行為が行われている、ということ。これに着目してぜひ動画などを観て下さい。


《その他のアドバイス》
当初、順を追ってこの作品の演奏方法などを書こうと思ったんですが、ここまでで基本はほとんど大丈夫かと思ったので、あとはポイントとなる箇所のアドバイスをどんどん書いていきますね。


[冒頭(全パート)]
このリズムも沢山出てきます。演奏方法としては以下のように考えると良いでしょう。



3連符のうしろ2つは実際の楽譜に何も書いていませんがスタッカートが基本です。タンギングを上手に使って、汚い破裂音にならないフォルテになるよう練習して下さい。また、3rdはいきなりフィンガリングが難しいのでゆっくりから練習しましょう。同じく3rdのH音(ドのシャープ)は普通に吹くとピッチが異常に高くなってしまうので必ずトリガーを使いましょう。
詳しくは過去の記事

トリガーの操作1
トリガーの操作2
トリガーの操作3

また、記事の最初にも書きましたが3rdはとにかくフィンガリングが難しいところがいくつも出てきますので過去の記事「フィンガリング練習」を読んで練習してみて下さい。


[7小節目〜(3rd)]
3rdトランペットは1st,2ndのオクターブ下を吹いていますので、出だしpではありますが、音量バランスとしては結構しっかしとした音で支えるつもりで演奏しましょう。また、3rdはユーフォニアムとのユニゾンですのでそちらにも耳を傾けられると良いと思います。ぜひ一緒に練習してみて下さい。


[21小節目など(全パート)]
この3拍目にある八分音符が先程解説をしたマズルカの特徴的なアクセントのひとつです。作品の中で何度も出てきますので、どういった演奏をすると効果的なのかを研究してみましょう。


[38,39小節目(全パート)]
28小節目最後の音から39小節目1拍目の16分音符4つの音がくっついて5連符にならないように気をつけましょう。小節線を越える時というのは、小節内の拍を移動する時よりも(音楽の意識としての)パワーがいるものです。こういった箇所はこの作品の中で沢山出てきますので、拍感を常にしっかりと持って適当に楽譜を流すことのないようにして下さい。


[40,41小節目(全パート)]
40小節目の2,3拍目の4分音符は次の小節のアタマに向けてパワーが増幅していきます。楽譜には何も書いてありませんが、意識としては40小節目から41小節目に向かってcresc.をしていくつもりで演奏すると音楽が前に向かうと思います。


[58〜60小節目(全パート)]
この部分は1st→3rd→2ndの順に入ってきます。サウンドの質や音量などが統一されたバランスの良い演奏をするよう心がけましょう。特に59小節目の1stと3rdはユニゾンなので3rd奏者は1stがどんな演奏でこの小節に入ってきたのかしっかりと耳を使って下さい。そして付点2分音符(1小節ののばし)の時はどうしても拍感が失われがちになりますので、意識的に拍を持っていられるようにしましょう。そうしないと次に入ってくる2ndとタイミングがずれてしまいます。
こういった時には他の動きのあるパート(ホルン(1,2)やユーフォニアム、木管楽器など)に耳を傾けていられると良いと思います。


[練習番号F(1st,2nd)]
出だしがC音(レ)のユニゾンからスタートです。この音は普通に吹くとピッチが高めですのでトリガーを必ず使うようにして下さい。トリガー操作に慣れていない方は先程リンクを貼りましたのでそちらを読んでみて下さい。


[練習番号F 4小節目(1st)]
練習番号Fからの流れるようなメロディは、4小節目の3拍目でオクターブ下がります。こういったスラーで演奏しているメロディの音程が大きく下がる時、その音だけが聴こえにくくなることがあります。自分ではまっすぐ一定の音量で吹いているつもりでも客席にはちがった印象を与える音の聴こえ方をする状態をこのブログでは「聴衆とのギャップ」と言っています。
この場合ではオクターブ下のF(ソ)を抜くように吹かず、圧力をかけて前に押し出すような強い鳴らし方をするのがベストです(どのくらいの加減で行うのが良いのか、というのは客観的に聴いてくれる人がいることが判断材料になります)。

詳しくは「聴衆とのギャップ」を読んでみて下さい。


[83小節目(1st,3rd)]
2拍目最後から3拍目のこの箇所も5連符になりやすいところです。気をつけましょう。


[練習番号G 1小節前(全パート)]
poco rit.は単に「テンポが遅くなる」と考えず、やはり「マズルカ=ダンス」であるという意識を持って演奏しましょう。時間の経過ではなくてジャンプ力の変化やそういった振り付けなのだ、というイメージがあると自然なrit.の表現ができるかもしれません。
他のいくつかあるrit.も同じように考えてみて下さい。


[練習番号I 1小節前(全パート)]
このフェルマータで次に演奏する練習番号Iと切り替えられる時間になるようにしましょう。「あ〜疲れた。やっと口離せるわ」とか考えている間にフェルマータが終わってしまわないように。


[141小節目(全パート)]
全パートユニゾンからの入りです。タイミングとピッチに注意しましょう。
タイミングは音の出だしを合わせようと思っても合いません。大切なのは同じサウンド、同じ息のスピード感を持った「ブレス」ができているか、ということです。
1st奏者は少しアインザッツ(せーのー、という合図)が出せると安心して演奏できるかもしれません。アインザッツについては過去の記事「室内楽(アンサンブル)4」を読んでみて下さい。

また、このあたりの音域から吹き始める時は一番ピッチが不安定になりがちです。参考までに過去の記事カテゴリー「ハイノート(ハイトーン)」をいろいろ読んでみて下さい。


[練習番号L 1小節前(全パート)]
ここはrit.ですが、1st,2ndは音を延ばしている(音も高い!)ので、自分のことに必死になりがちですが、3rdは4分音符で動いています。こういった「内声」だけが動いている時には、内声パートは主張して演奏し、それ以外のパートは動いている音をしっかり耳を傾けることが大切です。いつでも1stが音楽を作る権利を持っているとは限らない、という典型的なところです。


[練習番号L〜]
上に行ったり下に行ったりウネウネしたメロディです。先程解説した[練習番号F 4小節目]と同じように、このような時、どうしても低い音が聴こえにくく、高い音ばかりが聴こえてくる演奏になりがちです。この部分も演奏している本人はすべての音をしっかりと吹いているつもりでも、客席には高い音ばかりが聴こえてしまう「聴衆とのギャップ」が生まれやすいところですので注意して下さい。

音の上下だけでなく、「長い音は大きく、短い音は小さく聴こえてしまう」というギャップもあります。この作品の中で言えば16分音符が客席には聴こえにくいので、他の長めの音よりもしっかりと強く吹きましょう。ちょっと出っ張りすぎかな?と思うくらい強いタンギングと音の圧力で演奏して、やっと客席には普通に聴こえるはずです。

詳しくはこちらも「聴衆とのギャップ」を読んでみて下さい。


[練習番号Q〜(全パート)]
最後の追い込みをかけるコーダ部分はフィンガリングがとっても難しい(ややこしい)です。頭の中が混乱しないように、本当にゆっくりのテンポで4小節間を練習し始めて下さい。
この部分(練習番号Q〜4小節間)はヘミオラと言って、2小節を使って大きな3拍子を表現するフレーズと言えます(2拍子が6回続くと考えても良い)。

この部分からテンポが若干アップするのですが、こういったフレーズ感の場合、音楽の作りそのものが「興奮」を連れてきてくれるので、演奏者が興奮して乱雑な演奏をしてしまうのは逆効果です(しかも走りやすいフレーズです!)。
こういった時は逆に冷静になってひとつひとつの音をしっかり聴こえるように演奏したほうが作品が活きてきて、結果的に「興奮した音楽」を作り上げることができます。落ち着いて演奏しましょう。


ということでざっくりではありますが「勇者のマズルカ」について解説してみました。参考になれば嬉しいです。
ここでは解説しきれないことや、もっと深くいろいろなことを身につけたいとお思いでしたら、ぜひ直接レッスンにいらして下さい。

荻原が講師をしている「プレスト音楽教室(東京都文京区)」では随時無料体験レッスンを募集しております。また、入会金不要の短期集中講座「吹奏楽クラス」もありますので、おひとりでも、同じトランペット仲間と、他の金管楽器の仲間とレッスンを受講してみて下さい。

直接的なレッスンは短時間で何倍も参考になることが多いです!


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それでは、次回は違う課題曲作品について書いていきますが「勇者のマズルカ」を演奏する方も参考になることを沢山書いていきますので、引き続きお読み下さい!
それではまた来週!

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at 09:20, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2013

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