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教わったことを自分のものにする








みなさんこんにちは!


《複数の指導者に教わる時の心がけておきたいこと》



多くの団体ではコンクール時期になるとそれまで来ることが少なかった(もしくはこの時期にしか来ない)外部講師たちが、場合によっては何人もやってくるのではないでしょうか。今日は木管の先生が、明日は金管と打楽器の先生が、いったいこの指揮を振っている人は誰なのだろうか…。
もちろんそういった環境にあるかどうかは顧問の先生の方針などによっても変わってくるでしょうが、やはり多くのところでこの傾向は見られると思います。

多くの場合、いわゆる「プロ」の方がいらっしゃると思うので、自分の知らなかったこと、コンクール曲を演奏するにあたっての考え方など、沢山のあふれんばかりの(あふれてしまう量の)知識や、技術力があがるとても良いチャンスです。
しかし同時に、短期間にあまりに多くの情報を詰め込まれ、複数の講師の意見を耳にするので、どれを信じて良いのかわからなくなったり、場合によっては矛盾したこと、真逆のことを指示されたり推奨されたりなんてことも少なからずあることでしょう。昨日教わった先生は違うこと言ってた!どうしよう!と。

そんな時、どうすれば良いのか、せっかく教わったのにそれが逆効果にならないためにも、教わる側の受け止め方を工夫したいところです。
これらに関しては過去の記事

複数の指導者に教わる、ということ

に詳しく書いてありますので、ぜひ参考にして下さい。教わる側が心がけておきたいことがたくさん書いてあります。これを覚えておけば混乱しなくて済むはずです。


それにしても、コンクール直前『だけ』に呼ぶのではなく、数ヶ月前から一ヶ月に一回程度呼んだほうがレベルアップするには良いのですが、顧問の先生としてはどうしても「曲が通せるようになってから」と思ってしまいがちのようです。しかし僕自身の考え方としては一例として


 本番4ヶ月前:練習方法をより良いものにする(改善計画)
 本番3ヶ月前:曲を通せるようにするには(その際心がけておきたいことや基礎知識)
 本番2ヶ月前:曲を作る(効率的で間違った方向へ導かない譜読み)
 本番1ヶ月前:曲の完成度を上げる(よりレベルの高い音楽をするには)
 本番近く:最終確認


といったように例えば同じ講師を月に一回呼んで、プロデューサーのような立場になってもらい、段階を踏んでその都度確認や修正をしていけるようにすることが望ましいと思います。こうすれば生徒さんたちも不安にならずに自主的に効率的な練習に励むことができ、講師がいない時でも顧問の先生の指導で充実した音楽作りができると思います。

また、各楽器の専門指導で呼びたい場合は、「こんな楽器調整じゃマトモな演奏できません」などの時間のかかる修正ポイントを指摘されても大丈夫なくらい時期に余裕を持って呼ぶほうが良いと思います。

僕の経験ですが、ある中学校に初めておじゃました時、トランペットの生徒さんのひとりが学校の古い古い備品を使っていて、その楽器のボロボロ具合(すべての管は固まって動かない。中に何か生息してそうな息の抜けなさ)もさることながら、使っていたマウスピースが「戦時中の軍楽隊のものですか?!」という感じの、見たこともない形状(カップがめちゃくちゃ薄い。ピッコロみたいな形状)でメッキは剥がれ、リムがガタガタのものを一生懸命吹いていて、結果全然音が出ていない、という子に遭遇したことがあります。

こんなマウスピースじゃ、吹けるとか吹けない以前に、体に悪い!

ここまで来てしまうと、すぐにでも楽器を交換して、マウスピース買いに行きましょう!となりますが、でもこういうのが良くないんだ、って誰も気づかない環境にいるのはとてもかわいそうなことです。
それがコンクール直前になって指摘されてもどうしようもありません。

だいたい、この流れが一般的になりすぎて、今の時期の楽器屋さん(リペア)の大変なことったらないです。楽器のコンディションが改善されることそのものは悪いことではありません。しかし、「こんな楽器じゃマトモな演奏できない」という最悪なコンディションの楽器を除いて、「それまでと吹き心地が変わる」とか「修理期間中(この時期はただでさえ待たされる)に自分の楽器が使えない」という問題点もあります。
だからと言って、修理をしないままの楽器をコンクールで使い「本当はもっと良いコンディションの楽器だったら上手に吹けていたのかも」と悲観的な気持ちにさせるというのもあまりにもかわいそうです。ですからぜひとも顧問の先生には

「(コンクール直前に外部講師を)呼んだことで満足」

にならないように、意味のある計画的な呼び方をしてほしいと思います。


そして、今回はもうひとつ関連したことを書いていきます。


《教わったことを意識しすぎないように》
講師の人が来て、自分の知らなかったことや指摘されて良い方向に改善した時、その方法、特に奏法面に関しての新しい方法を手に入れた時、多くの場合それを過剰にやりすぎてしまう傾向にあります。
例えば、(※これから話すことはあくまでも例なのでご注意ください)、講師の人から「あなたは音を出す時に唇が開き気味だから、音を出すセッティングをする時、少し唇を巻くようにして当ててみて」と言われたとします(例として言っているだけです、実践しなくていいですからね)。

そして、少し唇を開かないように、巻くようにして音を出したら、あらビックリ、とっても音がまとまって良くなった!先生ありがとう!

といった経緯があったとします。すると、多くの場合「なぜそういった指摘をされたのか」を飛ばして「こうしたら良くなった」という結果ばかりが印象に残ってしまうんです。
この例え話では「唇を巻くように当てたら良くなった」という記憶だけが一人歩きしがちて、その結果日を追うごとに

「唇は巻いて吹くものである(理由は忘れた)」

になってしまうんです。そして巻く量がどんどん増えてしまうのです。
自分は関係ないと思わないでください。意識していないだけで、「指摘されたことを際限なく過剰に行ってしまう」というこの現象、結構多くの人が陥っているんです。

「必ずこうやっています、こだわりです(それをしないと不安です。でも理由はわかりません)」ということ、何かありませんか?

そしてこのような知らないうちに身についた「こうすべき」というこだわりが、実は逆に上達の妨げになっている場合があることを覚えておいてください。

ですので、一度いろいろなところを確認してみましょう。

その奏法はなぜやっているのでしょうか?
それをやるとどうなりますか?
逆にやらないとどういった弊害が出るのか、理解し、説明ができますか?
(※「感覚」が重要である場合もとても多いので、もちろんすべてのことを説明できなければいけない、という必要はありません。)

こうならないために大切なことは、教わった時(自分自身で実践して発見した時も同じく)、「何を改善するために行ったのか」を「それを行うとどういった変化が起こるのか」と必ずセットで覚えておくということです。

今回の例で言うならば


【発見】唇が開き気味であることに講師が気づいた(私は音が開き気味になっている)
 ↓
【状態・原因】なぜならビャービャーと、開いてしまう音になっているから(これは直したほうがいいことである)
 ↓
【提案】唇を巻いてみてはどうか(そのための方法がこれだ)
 ↓
【改善】(改善した音やコントロールのスムーズさを覚えておく)


この流れをセットで覚えておくことが大切なのです。
それがあれば、自分の音がまた開き気味になっていると気づいた時にはすぐに直すことができますし、逆に良くなった結果を維持できていればそれ以上意識をする必要はない、ということです。

この好循環を維持していけば次のステップに上がることができます。


《奏法をメインに考えないこと》
そもそも、これらの悪循環に陥ってしまう最大の原因は「奏法をメインに考えている」からです。
講師から受けた奏法のアドバイスは、直接的に変化をもたらしてくれる場合が多いのですが、それによって生まれた「結果」がどうであったかを自覚していなければなりません。

その「結果」というのは、音色に対する印象や、音楽的な表現といった「音楽」に影響をしています。
ですから、教わった時は奏法についてでしたが、それらはすべて美しい音楽を表現するための手段にすぎない、ということです。

常に音楽的な良い結果をイメージし続けてください。その時に奏法がああだこうだと考えてしまうのは良くないのです。

ということで、今回は教わったことに対してどのように受け止め、自分のものにしていくかについて書きました。
教わることが多いこの時期ですから、少しでも自分にプラスになるよう、頑張ってください。

講師の人たちは、言い方は違えどもみなさんに「上達してもらいたい」と思っていろいろなアドバイスをしてくれている、ということを忘れず、信頼関係を築いていけると良いですね!

それではまた来週!


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at 06:30, 荻原明(おぎわらあきら), 練習に対する考え方

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吹奏楽コンクールや本番を控えたすべての方へ。








みなさんこんにちは!
夏休みですね!吹奏楽コンクールに出場する方は今が一番忙しい時期ではないかと思いますが、とにかく体調だけは気をつけて過ごして下さい。

地域によってはもうコンクールが始まっているところもあるかもしれませんが、この時期なので今回はコンクールに役立つであろう内容、本番当日前後で心がけておきたいことをいろいろと書いていきます。

コンクールには出場しないよ、終わっちゃったよ、そもそも吹奏楽じゃないよ、という方も、人前で演奏する時に参考になると思いますので、ぜひ読んでみて下さい。


《緊張と仲良くなる》
人によってまちまちですが、本番近くなると緊張します。
それが当日なのか直前なのかわかりません、場合によっては数日前から緊張しているなんて方もいらっしゃるでしょう。
そして多くの人が「緊張をしないためには」と考えると思います。しかし緊張をしないとか、緊張を消そうと考えるのは、実は逆効果になってしまう場合が多いのです。そもそも「緊張=悪」のようなイメージを持ってしまうからこそ、「緊張に負ける」とか、「緊張に打ち勝つ」とか、そういう考え方になってしまうのだと思います。緊張は悪ではありません。

では緊張とは何でしょうか。

緊張とは、興奮状態です。ということは、緊張をしている対象(ここでは自分が人前で演奏をする行為)に対して気持ちが高ぶっているのですから、その強い意欲を消そうと考えるのは逆効果である、ということがわかると思います。
ですから、緊張という名のみなぎっているパワーを仲間にできるのであれば、より成功への道が開けるのではないかと思うのです。

しかし緊張には「逃げてしまいたい」と思うネガティブな要素も持ち合わせています。しかし、心の底から逃げてしまいたいと思っている人はきっといないはずです。実際のところは「逃げてしまいたいけど、ステージには立ちたい。演奏したい。大成功したい!→でも成功しなかった時が怖い」という葛藤がそう思わせているのです。どちらの意思がより強い状態にあるかで考え方も変わってきます。

ですから、ネガティブな緊張を増幅させないためには、それなりの「自信」要素を沢山持ち合わせていられることが大切です。

自信になる裏付け、例えば「誰よりも練習を頑張ったから大丈夫!」とか「成功した自分を想像する」とか、「まあ何とかなるでしょ!死にゃしないよ」と開き直ることも自信になります。
また、ネガティブな発想は全てが悪いわけではありません。そういった方は、細心の注意を払って丁寧なものを作ろうとする気持ちが強い人ですから、無理矢理ポジティブになる必要もありません。しかし、悪い方向へ結末が向かっているんだとか、ぜったい成功しないとか、悲観的になるのは避けて、明るい結果が待っているんだ、という気持になれるように心がけましょう。

緊張の中のどこかには必ず「楽しむ」心を必ず持ち合わせるように心がけて下さい。

緊張と仲良くなりましょう。

《本番前日 〜コンディションを整える日〜》
本番前日というのは、一番気合いが入っている時だと思います。場合によっては一番焦っている時かもしれません。納得のいく完成をしていないところがあったり、この時になってバランスが悪くなったり、上手く吹けなくなったり。タイムリミットが見えている時ってバタバタしますよね。
できるならば、この本番前日という時間を落ち着いて有意義に過ごしたいものです。

まず第一に「体調、コンディションを整える」ことを最優先にしましょう。はっきり言って前日になってまで練習して何か上達しようという考えが良くありません。コンクール曲はずっとずっと前から練習をしてきました。沢山の練習を積み重ねて今があるのですから、そんな一日ちょっとで劇的な変化などありません。それよりも、ここまで積み上げてきたことをしっかり思い出し、自分は(もしくは団体として)きちんと発揮できているのかな、という「確認」をする時間であったほうが良いと思います。

そして自分自身のコンディションを整えて下さい。しっかりご飯を食べて、早めに寝る。緊張してしまう人は特に、リフレッシュする時間を多く確保して、演奏のことはすっかり忘れてしまったほうが良いと思います。明日演奏する曲を聴いたり、楽譜を眺めていたり、夜遅くまで楽器を持ってフィンガリングだけでも…!とか思ってしまうかもしれませんが、もうそういったことは全部放棄して、全然違うことをしたほうが明日という日を新鮮に迎え入れてあげられると僕は思います。今日まで積み上げてきたことは、半日そこらで忘れるなんてことは絶対にありません。だから大丈夫です。

体と心をリフレッシュして、明日一日元気でいられるように過ごして下さい。


《本番当日 〜練習をしない日〜》
さて、本番当日です。心配なこと、気になることはあるかもしれませんが、ここまで来てあがいても焦りを助長するだけです。もうすでに自分の今の実力は決定しています。ですから、今日は自分のこれまで培ってきた実力をできる限り発揮するだけです。

ですから、まず練習をしないこと。

練習をしても意味がありません。その時間のスタミナや精神力は本番にとっておきましょう。
今日の音出しは曲練習でも基礎練習でもありません。「ウォームアップ」です。
自分の持っている実力を最大限発揮させるためには、演奏のコンディションを安定させることです。

ウォームアップに関しては過去の記事カテゴリ「ウォームアップ」をご覧下さい

本番の会場に集まる前に、学校などで最後に合奏をする団体がきっととても多いと思います。
この時の合奏はあくまでも「確認の時間」にすぎません。ここで本番さながらの徹底的な練習などまるで意味がないどころかマイナス要素になってしまいます。これまで積み上げてきたこと、みんなで決めた約束(表現やテンポなど)を確認するだけで充分です。
ですから、絶対に本気モードで吹かないで下さい。音域が高いところはオクターブ下げればいいですし。キツいところは演奏拒否をしても良いと思います。(予め指揮者がそれを理解していることが大切ですが)
それよりも、良い音で吹けているか、呼吸はきちんと落ち着いて負担なくできているか。そういったことに気を配って下さい。

吹奏楽コンクールは、搬入や会場での移動などが結構苦労します。ステージまでの道のりが遠いですよね。
しかも真夏です。体調を崩さないよう、水分の補給はこまめにするようにして下さい。喉が乾いてから補給するのは遅いです。口の中が乾くと思うように演奏ができなくなるので注意して下さい。


《本番直前 〜仲間を信じ合うことが大切〜》
さあ、本番は刻一刻と迫ってきています。コンクールでは舞台袖で前の団体の演奏を強制的に聴かされることになります。しかもなぜか舞台袖で聴く他の団体の演奏って、妙に上手に感じるんですよね。同じ課題曲を演奏された時なんて、本当に自分自身と比較してしまったりと、とにかく良いことありません。
他人は他人。比較しても始まりません。他の団体の人たちもこの日のために一生懸命練習に励んできたんです。ですから、ライバルである前に同士、仲間です。音楽をする上で敵は存在しません。コンクールは自分たちの演奏は評価されますが、どこかの団体が勝って、負けて、というスポーツとは違います。
ですから、上手だなあと思うのであればそれを認めて賞賛してあげましょう。自分もあなたたちのように良い演奏できるように頑張るよ、と心で伝えてあげて下さい。決して、相手のミスを指摘したり、悪いところのあら探しをしないようにしましょう。そんなことしてもされても誰も良い気持ちにはなりません。意味のないことです。

そして、これから演奏するための「成功している自分、自分の団体のシミュレーション」をしましょう。未来予知のようなものです。あと数分後に控えている自分たちの演奏がとても素晴らしく、良い演奏をしているイメージを頭の中で再生してください。その素晴らしい演奏は、自分のイメージの中から生まれてきたものですから、決して遠く離れた実力とは程遠いものではありません。実際に再現できるとても近いものです。
ミスを恐れず、心から音楽をすることを楽しんでいる自分をイメージしてください。

先程も書きましたが、緊張は消し去ろうとか、緊張しないようにとか思うのではなく、そんな自分を受け入れて仲間として迎い入れ、パワーの一部にしてあげてください。

また、これまで一緒に練習をしてきた部員みんなも、この本番を良いものにしようという気持ちになっています。
クラスや学年の違う人どうしが毎日何時間も一緒に過ごしてきた仲間ですから、きっとこれまでの活動の中でいろいろ思うことはあるはずです。とっても仲良いどうしもいれば、ちょっと苦手な人だな、と思っている人もいるかもしれません。演奏レベルもいろいろですから、「あの子、ちゃんと吹けるかなあ」と思ってしまう自分がいるかもしれません。しかし、みんな自分のできる範囲で一生懸命演奏しようと思っているはずですから、その「意思」を受け止めてあげて下さい。
そしてあなた自身もこれまで一生懸命に練習を積み重ねてきたはずですから、自分のできる範囲で精一杯良い演奏を客席にいる皆さんに伝えられるよう、心を込めて演奏して下さい。


《本番中 〜今の一瞬を大切に、そして楽しもう〜》
舞台に立った経験がある方は分かると思いますが、吹奏楽のようなある程度人数の多い合奏形態であっても、いざ自分がイスに座ると周りから孤立しているような、なんだか隣の人が遠くにいるような感覚に陥ることがあります。実際に狭い音楽室でギュウギュウになりながら合奏をし続けていた団体だと、物理的に距離が遠くなっていることもありますが、それ以上に、緊張やネガティブな発想からくる「心細さ」が影響をしていることがよくあります。
しかし、先程も書いたようにみんなが仲間です。一緒に過ごしてきた仲間全員を信じ、演奏開始前にほんの少しで良いですから横にいるトランペットやトロンボーンの人に「よろしくね」と声をかけたりニコっと目を合わせてみて下さい。それだけでとっても安心するはずです。

また、今の時代はこんなこと言う人いないのかもしれませんが、舞台に立った時、お客さんを見てしまうと緊張するので、「客席にいるのはナスやカボチャだと思うように」などと言う人がいました。

しかしこれは間違っている、と強く言いたいです。お客さんは敵ではありません。お客さんがいるから、我々はステージで演奏する意味があるのです。客席に誰もいないステージ演奏は、単なる自己満足。ですから、我々の演奏を聴こうとしてくれている方々が「良い演奏!」「楽しいね!」「感動したよ!」「もっと聴きたいな!」などと感じてくれるように音を使って伝えていくことが演奏者の使命です。

ミスしたことを後悔したり必要以上に良いところを魅せようとよそよそしくなったりする必要はありません。自分たちが伝えたいことはそんな小さなことではないはずです。
トランペットの音を知らない方には、「トランペットってこんなに良い音するんだ!」と知ってもらい、演奏する曲を知らない方には「良い曲だね!」と感じてもらい、何よりも、心に残ってもらえるような音楽に対する深い愛情を持っていることを伝え、またお客さんも音楽がもっと好きになってもらえるようなそんな時間にしたいところです。

コンクールは単なる「上手」「下手」を決める場所ではありません。演奏技術はもちろん評価されますが、それ以上にみなさんの心に残る「音楽」を届けることに一生懸命になってください。審査結果は単なる副産物です。それくらいの位置付けで良いのです。

メロディやハーモニーひとつひとつがいつまでもあなたの中で素敵な記憶として残っていられるよう、今の一瞬を大切に、心から楽しんで充実した時間を過ごしてください。
大勢の方に自分たちの演奏を聴いてもらえる機会って、一生のうちにそう何度もありません!


《コンクールに関わる大人の方へ》
コンクールに関しては、賛否両論、たくさんの意見があります。音楽を審査するということの難しさ、結果至上主義になってしまう恐ろしさなど、確かにいろいろな課題があるかもしれません。
しかし、吹奏楽コンクールがあるからこその日本の吹奏楽の今日の発展がありますから僕は否定はしません。

問題なのはそのコンクールをどのような位置付けで「利用」するのかを決めているそれぞれの団体(ここでは主に中高生の吹奏楽部)に関わる大人の考え方だけです。
ぜひ主人公である演奏者が、いつまでもいつまでも音楽が、吹奏楽が、自分の担当している楽器が好きで一生の友達でいられるようにしてあげてください。

ということでコンクール真っ只中ということでこんな感じでまとめてみました。

また来週!


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at 06:06, 荻原明(おぎわらあきら), 本番・合奏練習

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ノイズ、重音が出てしまう時の対処法








みなさんこんにちは!
今回のご質問はこちらです。

==================================
こんにちは。
僕は音楽大学を受験しようと思っているのですが、最近になって今まで起こったことがなかったダブルバズが起こるようになってしまい困っています。
唇の閉じ具合やプレスの感じなど様々なことを試行錯誤してるのですが、中々上手くいきません。
起こる原因として考えられることや練習方法などを教えてください。
受験やコンクールに向けてこのままではまずいという焦りだけが募っています。
よろしくお願いします。
(一部修正)
==================================


という内容でした。
音大受験やコンクールなどの前にコンディションが悪くなるのはとてもストレスですよね。
焦ってしまったり、悲観的になってしまいがちではありますが、こんな時こそ、冷静に何が原因かを考え、実践してきたいものです。


《ダブルバズ=ドッペル音?》
始める前にひとつ確認しておきますが、僕は「ダブルバズ」という言葉をこの方のメールで初めて聞きました。察するに、唇が異なる2つの振動を同時に発生してしまっている状態、と考え、このブログを進めていきます。
ちなみに僕の周りでは「ドッペル音」と呼んでいます。ドッペルとはドイツ語で「二重の」と言う意味だと思います。英語のダブル。ドッペルゲンガーなんて言葉、ありますよね。
ということなので、この記事では質問者さんのおっしゃる「ダブルバズ」のことを「ドッペル音」と呼ばせていただきます。

みなさんも不本意に出てしまったこと、あると思います。だいたい汚い音でビャーっと鳴ってしまうんですよね。多くの場合、唇のセッティングのズレから起こっているように感じます。マウスピースを当て直すとすぐ直ることも多いので。
しかし、この質問者さんは、結構な頻度でドッペル音が出てしまうようです。解決の糸口がどこにあるのか、検証してみましょう。


《いつ起こるのか》
まず、ドッペル音がいつ発生するのかを見つけます。

・セッティングが問題の場合
・フォルテやピアノの音量変化時に起こる場合
・音域の変化によって起こる場合
・バテなどのきっかけがあった後から起こる場合
・特定の音、音域に対して起こる場合/楽器が問題の場合
・常に発生してしまう場合

これらをひとつずつピックアップして考えてみます。
 
 
[セッティングが問題の場合]
ドッペル音は、「違う2種類の音が発生できる唇の状態」になっている時に起こります。したがって、マウスピースを唇に付けたその時の状態によって発生することがよくあります。
セッティングをする時に、必要以上に口の周りを動かしていたり、マウスピースの当て方によってアパチュアのバランスが悪くなることがあります。
その場合は一度唇からマウスピースを離して再度セッティングをしなおしましょう。

なお、マウスピースは唇と「貼り付いている状態」をキープすることが大切です。特に上唇は支点になる部分ですから、最初に軽くマウスピースを乗せた時に貼り付いているかを確認しましょう。リップクリームや汗などでツルツル滑ってしまうとアンブシュアが安定せず、ドッペル音が発生してしまうかもしれません。


[音量変化時に起こる場合]
体内の圧力バランスが悪い時の警告かもしれません。体の中の圧力は、音量変化に使われますが、その圧力が強すぎ/弱すぎると、これから出そうとしている音量に対してのその他のパーツの準備とバランスが崩れてしまい、イメージとは違った唇の振動が発生してしまいます。
特に、ディミヌエンド(デクレッシェンド)をかけようとした時にこれらのバランスが崩れやすく、音量を小さくしようとして、必要以上にお腹の支えを解除した結果、音量だけでなくピッチまでもが急激に下がってしまうので、それを阻止しようと口周辺の緊張感を強くすることでバランスを保とうとしてしまう場合があります。その結果、アパチュアの形が筋力によって変化し、唇の振動する部分のばらつきが生まれてしまいます。


[音域変化によって起こる場合]
音域の変化は、腹筋の力(腹圧が強くなり、横隔膜を押し上げる行為)と、舌やアゴによるいわゆる「シラブル」の変化、それらの様々な組み合わせバランスで行います。
しかし、口周辺の変化によっても音域変化はある程度できてしまい、これを使ってしまうとアパチュアそのものの形状を変化させてしまうことにより音質が急激に悪化(くぐもった音)になってしまいます。それだけでなく、今回のテーマであるドッペル音も発生しやすくなります。
常に音のツボにはまった状態を保つためにも、口周辺を「直接的」に動かして音域をコントロールすることは避けるべきです。(二次的に動かされていることに関してはおおかた問題はありません)


[バテなどのきっかけがあった後から起こる場合]
これも結局アンブシュア、アパチュア周辺の変化によって発生してしまっている状態です。一番良い音を出す状態が作れない、保てないことが原因ですから、まずは無理に吹かないこと。休憩を取って回復してから再度チャレンジしましょう。
バテてきても、口周辺やマウスピースのプレスを強くして、なんとか切り抜けようとする習慣、クセを持ってしまうと多発する可能性があるので気をつけましょう。


[特定の音、音域に対して起こる場合/楽器が問題の場合]
ある音を出そうとすると、その音にだけドッペル音が出てしまう場合は、楽器の状態を確認してみましょう。例えば、ウォーターキイの状態(空気が抜けていないか)、マウスピースは適切な接続がされているか、ピストンボタンやボトムキャップのセッティング、、各抜き差し管のガタツキやグリスなどをしっかり塗っているか、その他ネジのゆるみ等。マウスピースもキレイな形であるか、よごれていないかなども。
あとは、管の中のよごれ、こびりつき、凹みも確認したいところです。
特定の音の周波がスムーズでないことが原因かもしれないので、いろいろと調べてみないと何とも言えませんが、他の音にはまったく発生しないのであれば、楽器や道具を疑ってみたほうが良いと思います。
他の楽器を借りて同じ感覚で吹いてみて、発生しないかどうかも確認してみましょう。

マウスピースを最近(およそ1年以内)替えたという方は特に、他のマウスピースで吹いて、どうなるか確認して下さい。逆に、ずっと替えていなくて「最近マウスピースが小さいな」と感じている方も、他のマウスピースで吹いてみて下さい。

考えられる原因を探してみても解決しない場合は、楽器屋さんに相談してみて下さい。


[常に発生してしまう場合]
唇の状態はどうでしょうか。怪我をしていませんか?切れていたり荒れていたりはしませんか?
歯に関してはいかがでしょうか。最近治療をしたとか、歯並びが気になっているとか。
舌が荒れていたり、口内炎になってはいませんか?
塩分の多い食事や、辛いものを食べて唇のコンディションが悪いと発生する場合もあります。

まずは上記のように体の使い方、セッティング、コンディションの安定、楽器の状態などひとつひとつをチェックしてみましょう。何か原因かを見つけることが大切です。
そして、必ず念入りなウォームアップをして下さい。ノイズが発生しなくなるまで1日中ウォームアップメニューをこなしてみるのも悪くないと思います。
一番基本的なツボにあてること(楽器が良い反応をしてくれるポイントを見つけて、そこに狙い続けられる吹き方をする)を心がけ、力で解決する方法だけに頼らないように吹いてみましょう。

場合によっては少しお休みをとって楽器を吹かない、という決断をするのも必要かもしれません。

そういったことも踏まえて、コンディションが悪い時は、プロの奏者に相談してみるのが良いと思います。


いかがでしょうか。
実際に吹いているところを見ていないので、思いつく限り挙げてみました。
「なんでこんな音が出るんだ!コンニャロ」とならないように、冷静に、ひとつひとつ原因を探してみましょう。
これも良い経験になるはずです。

ということで、今回は重音(ドッペル音)が出てしまう原因とその対処法をいくつか挙げてみました。

それでは、また来週!


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at 04:36, 荻原明(おぎわらあきら), バテ・不調・緊張・ミス

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スランプ、潰れにならないために 後編











みなさんこんにちは!

さて、先日いただいたご相談メールを元に、前回より書いております。
いただいたメールはこちらです。

==================================
高校3年生で、小学校4年生のときから部活でトランペットを吹いている者です。
私は去年の夏頃から、いきなりスランプになってしまい、五線内のBb音さえまともに出すことができなくなりました。
1ヶ月ほど前からようやく五線内のBb音より上の音が出せるようになってきたのですが、それでも五線の上のF音までが限界です。

原因はいろいろあると思うのですが、今一番困っているのは、楽器を吹くときに、体にものすごく力が入ってしまって、ワンフレーズ吹いただけで体がくらくらして立ちくらみがするほどです。口にも力が入ってしまい、高音だけでなく五線下のBb音あたりでも口をものすごく締めてしまいます。
力を抜こうと思っても、音を出そうとするとどうしても力がはいってしまいます。
どうすればいいでしょうか。
(一部訂正)
==================================


なお、現在は質問を受け付けておりません。ご了承ください。

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吹奏楽コンクールが本格的になる今が「潰れ」「スランプ」になりやすい一番危険な時期です。

吹奏楽をやっていない、コンクール出ない、という方にも、楽しく健康にトランペットを演奏し続けるために大切なことを書いていきますので、ぜひご一読ください。

前回は「潰れ」とはどんな状態なのか、そして未然に防ぐための自分自身が気をつけておきたいこと、周りの人のケアについて書きましので、今回は実際に潰れになってしまった、潰れそうだから回避したい、といった方への「解決編」を書いていきます。そしてこのような環境にいる指導をする方に対しても書きましたので、ぜひ読んでいただければと思います。

なお、前回の記事はこちらからお読みいただけます(こちらをクリック)


《音の出る仕組みはとてもシンプル》
潰れやスランプになってしまった時、まず見失ってしまうのは「どうやって吹いていたか」などの奏法面です。
普通に演奏ができる時は、そこまで奏法について考えたり、見直したりすることがありませんが、一旦調子が悪くなると「何がいけないんだろう」という疑問が奏法に向けられるのはある意味当然なことと言えます。

しかし、自分がいつもどのように吹いていたのかをあまり意識していなかったり、そもそもトランペットはなぜ音が出るのか、という根本的な仕組みについて知識が少ない、もしくは断片的な知識しか持っていないと、その「わからない部分」について根拠のない試行錯誤を繰り返してしまいがちです。

さらに、ここで言う疑問点のほとんどは、「アンブシュアとその周辺」への問題視だと思いますが、ああでもないこうでもないといいろいろしているうちに、いよいよどうやって吹いていたかわからなくなる場合がとても多いのです。

そこでまず、「音の出る仕組み」について知っておくことが大切です。
先程も書きましたが、「仕組みなんて知ってるよ」という方も、断片的な状態で知識が止まっていると、繋がっていない知識の部分が引き金になって混乱してしまう可能性もあるので、確認の意味も込めて一度読んでみてください。


トランペットから音が出る仕組みは非常にシンプルです。

『唇に空気を通過させた時に振動が起こるから』

以上。なんてシンプルなのでしょう。


「潰れ」になってしまう原因のひとつに「難しく、複雑に考えすぎてしまう」から、というのがあります。
まずはこのシンプルな仕組みを前提にして、もう少し詳しく確認してみましょう。


《具体的な音の出る仕組み 〜足し算ではなくバランス〜》
唇を振動させるために必要なのは「空気圧」と「楽器とマウスピースから生まれる空気の抵抗感」の2点です。

我々は音を出そうとする時、腹筋に力を入れます。
なぜ腹筋に力を入れるのか。それは、胴体の下半分にある腹腔(ふくくう)という腸などのたくさんの内臓を入れている大きな袋の圧力を高めるためです。お腹周りの筋肉に力を込めることによって、腹腔の圧力が高くなり、そのすぐ上にある「横隔膜」を強く押し上げることができます。胴体の上には肺があり、空気の入っている肺を横隔膜を利用して強い力で押すことで、通常の呼吸よりも強く噴射されます(通常の呼吸ではトランペットからきちんとした音を出すための空気のスピードを得られません)。

この空気の噴射ですが、口が大きく開いていれば一気に「ブハーッ」と出して終わりです。しかし、トランペットを吹く上ではまずアパチュアが作られている状態になっていますね。このアパチュア、非常に小さい穴なので、空気が外へと一気に流れ出そうとしてもここで一旦せき止められてしまいます。

したがって、出たくても出られない大量の空気が体内に残っている状態になるのですが、これがまず第一に大切な要素「空気圧」です。トランペットから音を出し続けるためには体内(肺から口の中まで)に空気が満ち続けていなければなりません。圧力が高まっていると、例えば喉の周りはとても柔らかいので(無駄な力が入っていなければ)、空気圧で気管が押し広げられて、喉そのものが膨らんだように見えます。

そしてもうひとつ。圧力を高められた体内の空気は、アパチュアによってスピードを高められて噴出します。しかしここでもまた壁が現れます。マウスピースです。

マウスピースにもアパチュアのような小さい穴(スロート)があり、その周りにあるカップによって再度抵抗感を高められ、スロートからやっとトランペット本体へと空気が流れ込みますが、この時に発生している抵抗感(カップにぶつかっている空気)、これがとても重要です。

口の中から送り出される空気とマウスピースのカップにぶつかり、はね返ってきた空気のバランスが良い状態になると「唇の振動」が発生し始めます。

したがって、よく勘違いしてしまう唇だけでビービー鳴らす「バズィング」と、トランペットから音を出すために振動している唇の運動は、まったく違う方法なのです。バズィングができたからと言って、正しくトランペットから音を出せるわけではないことに注意が必要です。(バズィングでもトランペットから音が出せてしまうのが勘違いしてしまう大きな原因です)
唇の振動はマウスピースや楽器があってこそ、ということを覚えておいてください。


ということで、

「空気圧」「抵抗感」

この2点、とっても重要です。

今回質問して下さった方は、この「空気圧」を過剰にかけすぎたため、通常であれば楽な音域であったにも関わらず立ちくらみがするほどになったと書いています。
音は、この「空気圧」と「抵抗感」のバランスが良い時に発生するので、上記のようなアドバイスをしたら、楽に吹けるようになったとお返事をいただけました。よかった。

調子が悪い時や、思うように音が出せない時って、どうしても「加える」方向に持っていきがちです。力を込めてしまったり、より多くの息を出そうとしたり。しかし、トランペットを吹く時に一番大切なのは「バランス」です。パワーアップアイテムを手に入れれば入れるほど最強になっていくゲームとは違うのです。


《音の高さが変化する仕組み》
空気の圧力と抵抗感を得られて、めでたく音が出せたら、次は音の高さの変化です。


音の高さが変化する仕組み、これもとってもシンプルです。

「空気のスピード変化」

これが変わればいいのです。なんてシンプル。


では、こちらももう少し詳しく確認してみましょう。

空気のスピードを変化させることのできる体の部分がいくつかあるのですが、どこかわかりますか?

「お腹の筋力(腹筋)」
「口の中のサイズ変化(舌+アゴ)」
「アパチュアのサイズ変化、マウスピースの過剰なプレス」

大きく分けるとこの3箇所です。

しかしこの中でひとつ、悪い副作用が含まれる方法あります。どれでしょうか。


これは想像できるかと思いますが「アパチュアサイズ変化とマウスピースの過剰なプレス」です。

なぜこの部分に悪い副作用があるのかと言うと、アパチュアは唇の振動によって「音を作り出しているところ(音の発信源)」だからです。音色を決めるという大変な仕事を担っているのに、更に仕事を増やすとどうなるでしょう。音色に統一感がなくなり(ほとんどの場合響きのないくぐもった音になります)、ピッチが不安定になってしまうのです。

アパチュアの不安定さは、バテにも直結します。これは危険。

ですから、アパチュアに直接的な影響を与える口周辺の筋力変化や動かす行為、そしてアパチュアを押しつぶしてしまうマウスピースの過剰なプレスは避けるべきなのです。


結果として、息のスピード変化は主に「お腹の筋力」と「口の中のサイズ変化」の2つで行うということになります。

それぞれの有効的な使い方については、過去の記事「ハイノート(ハイトーン)」カテゴリがありますので、ぜひ読んでみて下さい(こちらをクリック)


《マウスピースと唇の位置関係がわからなくなった時》
プレスする行為は悪ではありません。上記に関してはあくまでも「過剰なプレス」について指しています。唇とマウスピースは(特に上唇は)貼り付いている状態をキープすることで安定した演奏をすることができますから、そのための必要分のプレスはするべきだと考えます。

また、下唇に対してのプレスは慎重にすべきです。例えば下唇が支点になるようなプレスや下唇に強いプレスをかけることは、コントロールがきかなくなったり、バテを急速に誘発するので避けましょう。

また、調子が悪い時は、マウスピースを唇につけたその瞬間、「ん?いつもと(調子が良い時と)違うぞ?」と違和感を覚えることがとても多いです。その結果、ああでもないこうでもないと位置を探しまわっているうちに本当にどこが正しい(?)のかわからなくなることが多々あります。結局、どこもしっくりこなくて、一体昨日までどこにマウスピースを当てていたのかと困惑することがあります。

しかしこの違和感を発生させているのは、位置の問題ではない可能性が高いのです。強いプレスによって「マウスピース」と「歯」に強く挟まれた唇の感触が良くない(クッションになっていない)ことなのかもしれません。

そのような場合は、音が出るとか出ない関係なく、ふんわりとやさしく唇にマウスピースを乗せて(位置のことは考えない)、唇のクッションの柔らかさを感じながら息を流してみて下さい。これを何度か繰り返していくうちに、本来の吹き方を思い出すかもしれません。

他にもマウスピースと唇の位置関係がわからない原因に「口の中の状態」もあります。
音を出すためのセッティングをしている時、発音する時の舌の動きは、アンブシュアを形成している筋肉等にも影響を与えます。ですから、一旦唇とマウスピースの位置関係は忘れて、良い音が出る口の中の状態、特に舌とアゴの安定した位置や柔軟に動ける空間について意識してみましょう。それによって「いつもの(調子が良い時の)唇の状態」が戻ってくるかもしれません。

マウスピースの当たっている「感触」で位置を確かめるのではなく、全体のバランスを確認してみるようにしてみいましょう。思いもよらない場所がきっかけになって、安定したマウスピース位置を見つけられるかもしれません。


《鏡を使わない!》
調子が悪くなると、何が原因かを追求したくなります。
中でも「アンブシュアが原因だろう」と思うことが一番多いと思いますが、その時、音を出している自分の顔を鏡に映して「奏法の間違い探し」をすることはやらない方がいいでしょう。

なぜなら、目視で口周辺の皮膚を見ても何もわからないからです。

先程のマウスピースと唇の位置関係でもそうでしたが、違和感を覚える原因はもっと全体的で内部的もしくは精神的なものであることが多いのです。

しかし、実際に鏡を見たことのある方はとっても多いと思います。その中で「ああ、ここがこうなっているからおかしかったんだ!じゃあやめよう→治った!」という方、いらっしゃるでしょうか。少なくとも、僕は調子が悪くなって鏡を見て、治った方に遭遇したことがないのです。

表面的にはいつも通りだからこそ、他の人に気づかれにくいと考えます。



《精神的な面からの解決》

[初心にかえろう]
「潰れ」に関係になくすべての方に当てはまることですが、みなさん誰もが必ず楽器を初めて手にした日があります。その時、どんな気持ちだったか覚えていますか?

きっと何もしがらみもなく、キラキラした楽器に息を入れたら、何だかよくわからないけど「ブー」って音が出て、ピストンを押したら音が変わって「わー、音が出た!楽しい!」って、そんな瞬間、ありましたよね。

あの時の楽しさ、真新しさ、とっても大切です。

音が出せて、やっとのことで曲(らしき)ものが吹けて、大変だけどとっても楽しい!
そして、大勢の人と一緒にひとつの曲を作り上げている感、とても興奮したはずです。

では今はどうでしょうか。楽しんで演奏していますか?
音を出すことが怖いとか、ミスしたらどうしよう、とか、これじゃあダメだ!とか、
そんな思考に取り憑かれて楽しくないまま合奏をしていませんか?

もちろん全員が全員そうではないと思いますが、少なくとも潰れてしまう方の中にはこの大切な気持ちを忘れてしまっている方が多いと思うのです。

単純に楽器から音が出せるだけでも素晴らしいことです。楽しいはずです。あまり深く考えないで、自由に吹いてみる、そんな時間を作ってみましょう。


[ミスして良いんです]
ミス=悪のような空気感が漂うコンクール練習が多いのですが、ミスやエラーは人間だったら誰でもしてしまうものです。
それなのに、指導者が「ミスするな!」と脅迫するような言葉を浴びせかけることはどうしても納得いきませんし、不愉快です。
以前そんなシーンをテレビで見たことがありますが、「これはおかしい!」と感じました。
その吹奏楽部の活動にケチをつけるわけではありませんし、歩んできたストーリーの前後を見ていないから、というのもあるでしょうし、指導者との信頼関係もあるでしょうし、テレビ的演出という「大人の事情」的圧力がかかっていた可能性もありますが、やはりどう転んでも良い気分にはなれません。

もちろん、本番はミスしないほうが良いのは当たり前です。

しかし、合奏時、ミスをした奏者に対して「ミスをするな」って、あまりにも安直すぎやしませんか?
指導者ならば同じミスをしないためにどうすればいいのかを考えさせるように促したり、なぜミスをしてしまったのか即座に分析して、参考にさせるとか、場合によってはミスをしない吹き方とは、というテーマで的確に指導をすべきです。

それができないなら、できる人の力を借りるべきですし、もしも指導者がこれらを全部否定するのであれば「ミスするな!」と言うべきではありません。

なぜなら、ミスをしたくてしている人なんていないのです。

だからこそ、指導者から「ミスするな!」と言われれば、ミスをしてしまった奏者は自虐的になり、周りの奏者は明日は我が身と恐怖感を持ってしまいます。全員ガチガチですよ。

「ミスするな」と言うのは簡単です。しかしその一言に団体全員がマイナスの方向へ向かうということも覚悟しておくべきでしょう。


練習時、ミスはしていいのです。ミスをしたら、そのミスがなぜ起こったのか、そしてどうしたら同じミスをしなくなるのか。これを考え、様々な角度から実践し、経験を積んでいけば良いと僕は思いますし、それがひとつの練習スタイルです。

正しい方向性で練習を積み重ね、経験を積んでいけば必ず、ミスの少ない演奏ができるようになります。


緊張感・厳しさの履き違えは指導者が意識しなければならない大切なことです。
ミスがどうこうなんて小さなことにこだわる前に、奏者全員がもっとおおらかにのびのびと楽しい!と感じられる音楽を自由に作り上げていける方向に指導者は持っていかなければ、と思います。それがたとえコンクールであっても。

こんな話、全国大会金賞を目指している人には納得いかないでしょうね。
僕は「音楽」をやっていきたいです。音楽をやっていて楽しいと思いたいです。その先の結果は別物です。


「潰れ」になりやすい方は楽器を始めてまたそれほど経っていない、特に中学生くらいに多いように感じます。なぜなら、それくらいの経験年数の方は奏法についてあまり具体的に考えたことがない場合が多く、調子が悪い状態と良い状態の差がまだあまり判断できないからです。
なのに、吹奏楽コンクールに向けてガンガン練習させてしまうものだから、気づいた時には潰れてしまっていた、という事態にもなりかねません。
ぜひ指導する側の方の早めの気付きと、そうならないための練習メニューを作るようにお願いします。

なお、奏法についてはやはりプロの奏者によるアドバイスやレッスンが一番的確なのは言うまでもありません。


《潰れてしまった方、スランプで悩んでいる方へ:メッセージ》
あなたは下手になったのではありません。今はただ自分の持っている実力が出せない狭い部屋に迷い込み、閉じ込められてしまっただけなのです。
その部屋から出られる鍵はあなた自身の中にあります。それが吹き方なのか、心の状態なのか。まずそれを探してみましょう。
部屋の外にはたくさんの仲間が待ってくれています。その仲間の中には、外から扉を開けられないか、試行錯誤をしてくれている優しい人もたくさんいます。扉の向こうから(聞こえにくいかもしれませんが)アドバイスをしてくれている人や、「大丈夫だよ」と言ってくれている人もいます。

その部屋から出られたその時、あなたの実力は元に戻るどころか、「もうこの部屋には入らないようにしよう、そのためにはどうしたらいいのかな」という解決策という経験を得て、パワーアップしています。

ぜひ今のこの時間を無駄なものだと思わずに、(今は苦しいかもしれませんが)これも成長するための大切な経験だと思ってください。
でも本当に疲れてしまっていたら、起き上がる力が湧くまではゆっくり過ごしましょう。みんなはずっと待ってくれています。


ということで、2週に渡って「潰れ」「スランプ」について書いてみました。
コンクール前なので話が偏ってしまいましたが、奏法面、精神面ともに健康で楽しく意欲的に楽器を吹き続けていく人がひとりでも多くなることを望んでいます。

それでは、また来週!


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at 07:54, 荻原明(おぎわらあきら), バテ・不調・緊張・ミス

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