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スランプ、潰れにならないために 前編








みなさんこんにちは!

今回は「スランプ」そして「潰れ」についてです。


==================================
高校3年生で、小学校4年生のときから部活でトランペットを吹いている者です。
私は去年の夏頃から、いきなりスランプになってしまい、五線内のBb音さえまともに出すことができなくなりました。
1ヶ月ほど前からようやく五線内のBb音より上の音が出せるようになってきたのですが、それでも五線の上のF音までが限界です。

原因はいろいろあると思うのですが、今一番困っているのは、楽器を吹くときに、体にものすごく力が入ってしまって、ワンフレーズ吹いただけで体がくらくらして立ちくらみがするほどです。口にも力が入ってしまい、高音だけでなく五線下のBb音あたりでも口をものすごく締めてしまいます。
力を抜こうと思っても、音を出そうとするとどうしても力がはいってしまいます。
どうすればいいでしょうか。
(一部訂正)
==================================


というご相談でした。
この方へすでにお送りしたメッセージを元に、こちらにまとめてみます。なお、現在は質問を受け付けておりません。ご了承ください。

《「潰れ」とは》

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この質問の中で「去年の夏頃から」という言葉がまず目に入りました。これはきっと吹奏楽コンクールの練習がひきがねになっているのかな、と思ってお返事を書きました(実際にはコンクールが原因ではなく、他のいろいろなことの積み重ねが招いたことだったとお返事をいただいております)。

なぜ吹奏楽コンクールが原因だと思ったのかと言うと、コンクールの直前になってくると練習量が増え、普通のコンサートに比べるとピリピリムードになってしまうこともあり、しかも夏の暑い最中でのことですから体力的、精神的負担が重くなりやすいのです。

トランペットは存在的に勘違いされやすいのですが、こう見えてかなり繊細なんですよ。トランペット吹きなら共感してもらえますよね。ホルンの人にも共感してもらえるかと。。。
ただでさえ音を外しやすい楽器である上に、精神的な影響が露骨に出てきますし(これはどの楽器でも同じかと思いますが)、演奏している時はもちろんおおらかに、自信持って朗々と吹こうとは心がけているものの、その後ろでは、慎重さや神経質さが必ず見張っているような状態で吹いています。

ですから、体力的、精神的に負担をかけられるような言動が第三者からあると、結構まいってしまいます。指揮者や指導者から「音はずすな!」とか「ピッチ悪い!」とか言われると、その指摘(要求?期待???)を裏切らないようにと真っ先に「奏法」で試行錯誤をしてしまいがちです。奏法をいじりはじめると、本来追い求めている「音楽」というステージから1ランク下がってしまい、機械的な判断や、根拠のない(根拠の見えない)やみくもな奏法を繰り返し、挙げ句の果てに自分自身がそれまでどうやって吹いていたかがわからなくなってしまうのです。

音を出すって、どうやってしていたんだっけ?音の高さを変化させるって、どうするんだっけ?
あれ?マウスピースって口に当てるとこんな感触だったっけ?

そんな疑問を持ち始めてしまうと、ハイノートとか、そういうレベルではなく単純に「トランペットを吹く」方法すらわからなくなってしまいます。この状態を「潰れ」と僕は呼んでいます。「スランプ」という言葉もほぼ同じだと思います。

この質問メールを送ってきていただいた方は、まさしく「潰れ」、もしくは潰れ予備軍になってしまったのだと思います。


そこで今回は、「潰れ」を回避するための方法や考え方について様々な角度から書いてみたいと思います。
コンクールに出る皆さんはもちろんですが、楽しく健康的に楽器を吹き続けるための大切なことをいくつも書きますので、ぜひ多くの方にこれから書くことを覚えていただき、実践してもらえればと思います。



《ウォームアップの必要性 〜健康管理のバロメーター〜》
まずは何と言っても「ウォームアップ」です。活動時間の限られている部活動や、その都度練習場所をレンタルしている楽団にとって、全員で集合して演奏活動ができる時間は1分も無駄にしたくない、という気持ち、持っていませんか?とってもよくわかります。どんどん合奏して曲作りしていきたいですよね。
しかし、だからと言って集合して準備が整い次第いきなり合奏開始!もしもそんな流れで活動をしているところがあったら、ぜひ検討しなおしてもらえればと思います。

安直な例えですが、スポーツをする際、各プレイヤーが充分すぎるくらいのウォームアップをして体を温め、関節や筋を伸ばし、そして精神的に集中させる時間は当たり前のように長時間確保しています。

管楽器を演奏する際に、どのくらいウォームアップ時間を確保すべきかは、それぞれの奏者によっても変わってくるかもしれませんが、何にせよ、この時間を必ず確保させてあげること、そして各奏者は、その与えられたウォームアップ時間でどんなメニューを行うのかを常に決めておくことが大切です。

ウォームアップメニューや流れに関しては、こちらから過去の記事をお読みください(クリックでウォームアップカテゴリにジャンプします)

まだ楽器経験の浅い方などは、まずは負担がかからない程度の簡単なウォームアップメニューを決め、それを毎日(毎回)同じ流れで行ってみましょう。最初はよくわからないかもしれませんが、しばらく続けていくうちに「あれ?昨日はできていたのに、今日はいまくいかないぞ」と感じることがあるかもしれません(逆のパターンもあると思います)。

それに気付けた時、「昨日吹いていた時と今との違いは何かあるだろうか?」と、奏法面だけでなく、生活全般での身体的、精神的変化がなかったか思い出してください。できれば調子が良かった(そのメニューをこなせていた)時の状況を思い出して再現するように心がけると良いのですが、ともかく「自分はどんな音を出したいのかな?」「どんな吹き方ができるといいかな」と、イメージを強く持ち、決して機械的な作業だけにならないように吹いてみましょう。

このようにウォームアップは毎日同じメニューを繰り返すことで、自分の今持っている実力を確実に出すためのものですから、その目的以上の要求をしてしまう基礎練習(基礎合奏)と混同しないようにしてください。

 ウォームアップは今の実力をキープするためのもの(調子の悪い日を作らないためのもの)
 基礎練習は自分の実力を上げるためのもの

です。


《「潰れ(スランプ)」の予兆を見逃さない》
質問を送っていただいた方は「いきなりスランプに」と書いてありました。ご本人にも同じことをお伝えしたのですが、果たして本当に「いきなり」だったのでしょうか。

「なんか最近調子悪いなあ」
「今までできていたことが思うようにできないなあ」
「イメージする音質が出せないなあ(前はもう少し良い音出せてたはずなんだけどなあ)」

こんなことが、実際に調子が悪くなったと本格的に感じられる1ヶ月前くらいからなかったのかな?と感じました。

というのも、多くの場合「潰れ(スランプ)」になる前に少なからず予兆があります。

最初のうちは、自分自身にしかわからない「違和感」のような状態もあります。ですから、いつも横で一緒に吹いている友人に「ねえ、なんか音悪くなってない?」と聞いても「えー、そんなことないよ」と言われるだけだったり。それが本当に変化に気づいていないだけなのか、励ましやお世辞、気を遣ってくれているのかはわかりませんが、何にせよ、最初は自分でしか変化に気付けないくらい些細な違和感、不調であることがほとんどです。

その程度の状態であれば、毎日のしっかりしたウォームアップで回避できるのですが、それが何日も続くようになると、思ってもいない音の外し方をしたり、今まで出せる音域が徐々に狭くなったり、経験したことのないバテ方(これまでに経験したことのない顔面筋部分の疲労)や楽器を吹き始めて数分でバテてしまうような状態があらわれて、周りにもわかるようになっていきます。

そうならないためにも「潰れ(スランプ)」はできるだけ早い段階で気づき、対処することが大切です。

そしてこの予兆を本人以外の人、周りの一緒に演奏している人、特に指導する側の人が真っ先に気づいて欲しいのです。


《予兆を感じたら》

[本人がすること]
予兆(違和感)を感じたら、まずはウォームアップや中・低音域の狭い簡単な動き(非常にゆっくりな音の往復など)を休憩をたくさん取りながらリラックスして吹いてみてください。それをするためにも、自ら指導する人や友人、先輩など周りの人にそのことを伝えて、合奏やパート練習などを一時的に離れる許可を取りましょう。
もしも音が出ない、吹き方がよくわからなくなった、気分的に楽器を吹きたくない(楽器に触れたくない、見たくない)状態でしたら、勇気を出してそのことを伝え、お休みをさせてもらうようにお願いしましょう。言いにくい場合は一番伝えやすい人にお願いして伝えるとか、手紙を書いて読んでもらなどの対処をしましょう。
活動に参加する意欲があるなら、裏方でお手伝いをしたり、後輩を指導してあげたり、できることはいろいろあると思いますし、そうでなければ一時的に団体から離れてのんびり過ごすのも良いと思います。

[周りの人がすること]
なんだか調子悪そうだな、と思ったら今どんな状態か聞いてあげてください。そして、客観的にどんな状態に聴こえるかも伝えてあげてください。言い方や言う人との関係もあると思いますから、配慮が必要になってくる場合もあるかもしれませんが優しく聞いてあげてください。言いたくなさそうであれば無理に聞き出す必要もありません。
あとは、指導している講師や先生に伝えるなど、間接的な手助けをしてあげるのもいいかもしれません。
別メニューで活動したり(合奏などに参加しないなど)、欠席をしても周りの人たちが「なんであの子だけ合奏出なくていいわけ?!」とかにならないようにすることが大切でしょう。
ですから、調子を崩した本人が後輩であるならば、少し様子をみてあげたり、一緒にウォームアップメニューのような簡単なものを吹いてみるなど、ケアしてあげると安心するかと思います。

[指揮者、先生、講師がすること]
本来は本人よりも先に気づいてあげられると良いですね。演奏上のアドバイスが的確にできる人であるならば奏法的アプローチで練習メニューや時間配分、奏法的な話などでケアをしてあげてください。そうでない人ならば、お話を聞いてあげるとか(本人が話したいことだけで充分)、それによって練習の参加の仕方を変更してあげたり、合奏をお休みする許可を出したり、違う事務的な仕事をお願いしたり、思い切って数日休んでもらうなどの判断や指示ができるのであればそれで。とにかく最高に悪くなる前に対処をしてあげてください。同時に周りの人への対応もしなければなりません。

ともかく、何があっても絶対に「もっとちゃんと吹け!」とか、他の奏者と比較するとか、休ませないとか、そんな昭和な熱血指導は悪化する一方ですし、そもそも奏者が潰れてしまったりスランプになってしまう一番大きな原因は指導者にある場合(直接的、間接的ともに)が大きいと思いますので、注意が必要です。潰れてから休みにさせるというのも良くありません。できるだけ未然に防げるようにしてあげてください。


《潰れ(スランプ)になる原因》
潰れてしまう奏者というのは、とっても真面目で一生懸命で(手を抜くことができない)、責任感が強く、また、ネガティブな発想で自分を奮い立たせたり(自分なんてまだまだ!といつも思ってる)、周りからの反応や評価をとても気にするような方に多い気がします。

そこで、この質問をしていただいた方からの返信にも書いてあったものを含め、いくつか原因になってしまうことを書いてみたいと思います。

[練習時間が思うようにとれない]
例えばテスト勉強、テスト期間、塾や他の習い事などで、本当はもっと練習をしたいのにその時間や場所が取れない、というストレスや焦り。これがきっかけでウォームアップそこそこにおもいっきり曲を吹きすぎて調子を崩すなんてこともよくあります。
今の時期、まさしくテスト期間の方も多いはず。テスト明けはゆっくりと感覚を取り戻すように、ウォームアップ→基礎メニューなどに時間をかけて、いきなり合奏や曲練習をしないように心がけましょう。気持ちはとってもよくわかるのですが、こそはあえてガマンで!

また、テストが最優先なのはよくわかりますが、そんな中でも例えば30分や1時間、公共施設やカラオケボックスなどを予約して楽器を吹いてみるのもストレス解消になりますし、吹く感覚を忘れないためにも良いことだと思います。だいたい、ノンストップで休憩も取らずにテスト勉強をしている人なんてほとんどいませんよね?休憩という名の楽器を吹く時間があっても良いと思うのです。個人的には。


[楽器やマウスピースを最近替えた]
これも奏法的に影響が出やすいです。特にマウスピースのサイズ変化は、吹き加減が大きく変わるきっかけになります。
かと言ってあまり意識しすぎるのもよくありません。
僕としては、マウスピースを替えた半年から1年は様子見の時期と考えています。特に最初の1ヶ月くらいは、自分のイメージと吹き加減、その結果の音のギャップがある期間です。それを理解した状態で「このマウスピースはこんな反応をしてくれるんだな」と受け入れてあげましょう。「前と違う!吹きにくい!」としか思えないのであれば(マウスピース的/自分の性格的関係なく)、マウスピースを替えなければ良いだけです。今までのマウスピースの良さを感じてしまうのであれば、新しく変えた意味がありませんから、未練があるならば早急に元のマウスピースに戻しましょう。少しでも可能性が感じられるのであれば、それに賭けて、前使っていたマウスピースは目に入らない場所にしまっちゃいましょう(個人的見解です)。どっちつかずは良くありません。


[周りの人が上手というプレッシャー]
ある意味とてもよくわかります。周りの人って上手いですよね。なんであんな高音域出せるんだろう、なんであんな良い音出せるんだろう?なんであんなに指がまわるんだろうって思います。

でも、もしかすると周りの人があなたに対しても思っているかもしれません「なんであんなキレイに歌えるんだろう」「なんであんなに丁寧に吹けるんだろう」うらやましい、、、って。

そもそも、比較をする人は自分を低く評価する傾向にあります。周りの人と比較することで、「よし、自分も頑張るぞ」と前向きになれるならいいのですが、もし意気消沈してしまうのであれば考えないほうが良いでしょう。

その人はその人、自分は自分。

謙虚にならず、自信を持てること、なんでもいいので見つけてください。誰よりも音楽が好き!トランペットが好き!でも充分です。演奏して楽しければそれでよくないですか?

周りの人が上手なのは、その人を追いかけられる目標にもなりますし、その人の演奏で「いいなあ」と思えることは盗んで自分もできるように努力すればいいのです。そもそも上手な人と一緒に演奏できるって、いい刺激になってとっても楽しいことです。

今より上達したいのであれば、その方法はいくらでもあります。自分を卑下したり、相手を羨んだりする時間があるならば、実行に移したほうがよっぽど効率的だと思います。
上達するための手段はいろいろあります。自身の生活スタイルや、性格に合った方法を見つけてください。



いかがでしょうか。ここに書いたものはあくまでも一例ですから、その人の性格や環境の数だけ原因もあるはずです。まずは、もし調子が悪くなってきたな、と感じたらその原因は一体何なのかを冷静に見つめなおし、わかったらそれを回避、解消できる手段を考え、実行に移してください。

ということで今回はここまで。
次回は解決編を書いていきますね。

それではまた来週!


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at 07:46, 荻原明(おぎわらあきら), バテ・不調・緊張・ミス

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ミスと向き合う








みなさんこんにちは!

部活動では楽器の決まった新入生のみなさんが音を出すこと、演奏することに四苦八苦している時期ではないでしょうか。
後輩ができた(増えた)先輩たちにすると、先輩らしく「ちゃんと吹かなきゃ!」と、身の引き締まる思いではないかと思います。変な演奏をしたら後輩に示しがつかない!頑張らなきゃ!といった感じ。

そのような緊張感を持って練習や合奏に励むことはとても良いことです。丁寧に、しっかりと演奏しようとする姿勢からも上達への道は確実に生まれます。

しかし、トランペットの演奏はいつまでたっても「ミス」と隣り合わせ。ミスなんてしたくないのに、音をはずしてしまったり、音が出なくなったり、ピッチが合わなくて音痴になってしまったり。

ミスをしてしまうと、きっとみなさん

「ああ!!ミスった!!!」

とショックを受けることでしょう。


604642のコピー.png


そのミスが何回も続くとだんだん悲観的になってきて、あげく

「自分はヘタだ!」

となってしまう人も少なからずいると思います。


しかし、ちょっと立ち止まってください。
実は、ミスには上達へのとっても大切な要素がたくさん含まれているのです。


《成功だけをクローズアップしがち》
我々は成功したことに喜びを感じます。もちろんそれは自然なことであり、大切なことです。自分を認め、相手を認め、大いに喜びあってください。

では、ミスに対してはどうでしょうか。ミスは絶対にやってはいけないことなのでしょうか。ミスは成功の反対で、単なるダメな存在なのでしょうか。

確かに、本番の演奏でミスをしてしまうのは良いことではありません。できることならノーミスでいきたいものです。
しかし、そのノーミス精神をどんな練習内容の時にまで持ち込んでしまうと、「ミスしちゃだめだ、ミスしちゃだめだ、、、」と碇シンジのようになってしまいます。これではトランペットを吹くことが楽しくなくり、身体も心もガチガチに固まってしまい、かえってミスをしやすい条件を増やしてしまいます。

話がそれますが、吹奏楽を指揮、指導する人の中には、ミスしたことに対し、激昂する人も少なくありません。
もちろん、その時の状況や、ミスした奏者のそれまでの練習量や態度などによってもその意味は変わりますから、一概に全部が全部良くない、信じられない、ということではありません。学校現場では教育的視点もあると思います。しかし、ネットでよく見かける動画で、過去にテレビで放送された吹奏楽部の合奏風景で、トランペットの女の子がミスしてめちゃくちゃ怒られているあれはどうかと思います。未だにそんなこと言う人がいるのか、と。
僕には、あの指導からは「もっともっとミスをしろ!」「もっと下手になれ!」と言っているようにしか聞こえません。
ネットで流れているワンシーンしか知らないので、全貌を見たら違う解釈になるのかもしれませんが、それにしても「ノーミス!」と言うことが演奏者にとってどれくらいの無意味なプレッシャーをかけ、悪循環を促しているか指導者には理解して欲しいなあ、と感じます。


だって考えてみて下さい。

ミスをしたくてしている人なんていますか?
ミスをしてみんなに迷惑をかけてやろうなんて思っている人いますか?

いるわけないですよね。

でも多かれ少なかれ誰でもミスをしてしまう。そこには何か絶対に原因があるのです。その原因を見抜いて、できるだけ同じミスを繰り返さないように、もっと効率的に演奏するためにどうすればいいのかを伝えてあげるのが指導者の役割だと思うのです。

話がそれましたが、この「ミスの原因追求」は、指導者に指摘される前に自分自身できることです。


《ミスと向き合う》
ミスした時「ああ!ミスった!」と、焦りを覚えるのは誰でもそうです。

しかし、その時、少し冷静に「今、どんなミスをどんなふうにしたのか」具体的に(サウンド、ピッチなどを)を思い出して下さい。タクシーに付いているドライブレコーダーみたいな感じでしょうか。事故が起きた時の状況をしっかりと頭の中(耳)に焼き付けておきます。

そのミスの中身を冷静に分析することで、同じミスをしないための対処方法や、次につながる目標が見えてくるのです。


《ミスを分析する》
では、具体的なミスをいくつか例に出し、それらをひとつずつ分析してみましょう。

[ケース1:音がくもる、自分の音が聴こえない]
合奏でクリアでよく響く音を出そうとしたのに、結果としてかなりくぐもった音が出てしまった。自分の音が全然聴こえていないし、頑張れば頑張るほど鳴らなくなってヘトヘト。

この場合はおそらく音の発信源である唇、もっと具体的に言えば「アパチュアまわりの振動する唇」に問題があったと考えられます。前回の記事「ノイズ(雑音)を発生させないためには」もそうですが、サウンドに影響が出た時に真っ先に考えられるのが振動する部分です。

・腹筋の使い方が「くの字」に折れ曲がるようになっていませんか?(体が内側へ向かっていませんか?)
・プレスはしすぎていませんか?
・唇周りに必要ない力が入っていませんか?
・体の中の空気圧が高すぎませんか?
・口の中(舌とアゴ)の状態は良く鳴る位置関係になっていますか?


[ケース2:音が出なかった]
音を出そうと思ったら、「シュー」と息しか出なかったとか、音階を吹いていたら特定の音が鳴らなかった、なんて経験ありますか?
音が出ないというのは「その音を出す条件が揃っていない」「バランスが悪い」という警告です。

・腹筋の使い方が「くの字」に折れ曲がるようになっていませんか?(体が内側へ向かっていませんか?)
・口の中(舌とアゴ)は、その音、音域を出すためのセッティング(形状)になっていますか?
・楽器に流れる息のスピードはその音を出す条件に合っていますか?(お腹、口の中、唇やプレス)
・これからどんな演奏をするか、具体的な強いイメージを持っていましたか?(ソルフェージュしていましたか?)


[ケース3:ピッチが高い]
チューナーで自分のピッチを確認したら、すべての音がやたらと高い時、多くの方が真っ先にチューニングスライド(主管)をどこまでも抜こうとします。しかし、通常考えられないくらい抜いてやっとピッチが安定したとか、抜いても結局高いまま、という方は、それは楽器が悪いのではなく、自身の吹き方に問題がある、という警告です。
この現象、吹奏楽部の中高生に多くいるように感じますが、意外にもこれは簡単に直ります。僕のレッスンでは1回で直る生徒さんがほとんどです。

・腹筋の使い方が「くの字」に折れ曲がるようになっていませんか?(体が内側へ向かっていませんか?)
・舌の位置は適切ですか?
・楽器に流れる息のスピードはその音を出す条件に合っていますか?(お腹、口の中、唇やプレス)
・身体の中の空気圧が高すぎませんか?
・これから出す音、メロディの音程感を持って演奏(ソルフェージュ)していますか?

これプラス、抜きすぎたチューニングスライド(主管)を戻しておきましょう。0.5〜1cmくらいにしておくことをお勧めします。管を抜く長さははっきり言って関係ないと考えてください。


[ケース4:音が上にはずれた]
音をミスすると言っても、上にはずれる時と下にはずれる時があります。
ケース4の「上にはずす」場面に一番多いのが、「ハイノートを吹いていた時」と、「トリプル/ダブルタンギングをしている時」です。
音が上にはずれるということは単純に「もっと高い音を出す条件が揃いつつあった」ということです。
また、ダブル/トリプルタンギングの場合は、いわゆる「K」の発音を舌のどこを使ってタンギングしたか、ということが最も考えられる原因です。

・腹筋の使い方が「くの字」に折れ曲がるようになっていませんか?(体が内側へ向かっていませんか?)
・楽器に流れる息のスピードはその音を出す条件に合っていますか?(お腹、口の中、唇やプレス)
・身体の中の空気圧が高すぎませんか?
・舌の位置は適切ですか?
・これから出す音、メロディの音程感を持って演奏(ソルフェージュ)していますか?


[ケース5:音を下にはずす、ピッチが低い]
音が下にはずれるというのも、高音域によくありがちなミスです。
また、「リラックスをしなければ」と思いすぎて、トランペットを演奏するために必要な様々な力、支えまでをも抜きすぎてしまっている人に見られます。

・楽器に流れる息のスピードはその音を出す条件に合っていますか?(お腹、口の中、唇やプレス)
・身体の中の空気圧がを感じていますか?(肺から流れる空気はトランペットに流すというよりも、身体の中で圧力としてキープされていると感じるべきです)
・舌の位置や形状は適切ですか?力を抜きすぎてだらしなくなっていませんか?舌の姿勢は正しいですか?(滑舌よく喋ることのできる活きた舌の力が入っていますか?)
・これから出す音、メロディの音程感を持って演奏(ソルフェージュ)していますか?
・楽器を吹くテンションが維持できていますか?(やる気に満ちていますか?楽しんでいますか?)
・お疲れですか?


このように、ミスの種類によっても確認項目が変わっていきます。中には同じことも書いてありますが、それはトランペットを演奏する際の基本中の基本なので、関わる項目が多い、ということです。


《何度も練習することが良くないワケ》
ミスを分析し、具体的な原因を見つけることができるようになると、短時間、短期間で改善や成長を遂げる事ができるはずです。
主観ですが、トランペット奏者は「余計な事をしすぎてミスをする」タイプの人が圧倒的に多いように感じます。

例えばハイノートを出そうとした時、腹圧をこれでもかと上げて、プレスを強くし、口の周りにも力を入れ、喉を締め、、、結果出ませんでした!となるわけです。ああ苦しい!トランペットのハイノートは難しいなあ!きついなあ!出せないなあ!もっと練習が必要だなあ!もっと頑張らなきゃ!

この発想ではいつまでたってもハイノートを出すことは難しいでしょう。頑張りすぎているから出ない、ということもあるのです。

ハイノートを出すには、「息のスピードを上げる」ことだけが条件です。しかし息のスピードを上げる行為を、あれもこれもと用いてしまえば、それは「やりすぎ」になるだけです。
余計なものを省いてバランスが整うと、意外にもあっさりハイノートは出てしまうものです。


そして、ミスをしたことに向き合わず、回数を重ねていくのも非常に効率が悪い練習方法です。
確率を上げるために何も考えず何百回も吹いて、成功率を高くしていく練習は、良くありません。
それはスタミナや精神力の問題だけでなく、合奏で指摘されたことを瞬時に反映することができない不器用な奏者になってしまう、ということと、分析をしないので、仮に成功しても、なぜ成功したのかがわからないという結果を招きます。これでは、次ミスするか成功するか、賭けになってしまい、危険です。


僕はレッスンの時、生徒さんのミスや、あまり良い状態ではない演奏の瞬間を聴き逃さないように心がけています。だからと言ってミスさせようなんて思っていませんし、期待しているわけでもありませんよ!でも、ミスした時の吹き方やその結果に生徒さんのクセや前回から今日に至るまでの練習の仕方やどんな吹き方をしていたのかが見えます。

例えば吹奏楽部などで過酷な合奏を連日やってきたんだろうな、という生徒さんは、音が開いていたり(そば鳴りになっている)、ノイズの含まれた音が出ていたり、コントロールできる音域が狭くなって、高音域、低音域のバランスが悪くなっていることなどが非常に多いです。そういったことを聴き逃さずに、様々な角度から元々その生徒さんが持っている良さ、実力が戻ってくるようなアプローチのレッスンをすることも多々あります。
多くの生徒さんが1時間のレッスンで、もしくは数回のレッスンで調子を取り戻すことができるので、生徒さんから「お医者さんみたいですね」と言われたことがあります。言われてみればお医者さんのやっていることにちょっと似ているかもしれませんね。(そういうレッスンばかりではないですが、やはり奏法に悩みを持った方が多くいらっしゃるように思います)


今回は「ミス」に向き合い、原因を追求し、短期間で効率良い練習をするための方法を具体例を挙げて書いていました。
最初のうちはミスの分析は難しいかもしれません。しかし、まずは向き合うこと。「あー!ミスった!(もういっちょ!)」とならないように心がけるだけでかなり違うはずです。
できれば、ミスを的確に判断して、良い方向へ導いてくれるレッスンを受けることが一番効率良いことなのは否めませんけどね。

ということで、今回は「ミスと向き合う」というテーマで書きました。
また来週!


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at 07:02, 荻原明(おぎわらあきら), バテ・不調・緊張・ミス

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