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アンブシュアを直すべきか 3








みなさんこんにちは!

学生の方は夏休みまっただ中といったところでしょうか。うらやましい!
コンクールで大変な毎日を過ごしている方は、ぜひ体を休めるということも頭に入れて演奏して下さいね。
体も頭も疲労がピークになると、音がどんどん出せなく(出しにくくなる)「潰れ」という状態になりかねません。せっかく一生懸命練習してきたコンクール曲ですから、万全のコンディションで演奏できるように、ウォームアップをしっかりと行いましょう。
個人練習の時間が取れないからと、合奏中の休憩時間に練習したり、お昼休みを早めに切り上げて個人練習したり、そういったことは極力控えるようにして、とにかく体をいたわってあげて下さいね。勉強も楽器も、一夜漬けでは何も得られませんから、ギリギリになって焦るのは精神力の無駄ですよ。

それでは、今週も頂いたご質問から、アンブシュアについて書いていきます。今回が3回目。内容はこちらでした。
========================================
アンブシュアをなおしたいと考えているのですが、アンブシュアを変えてきちんと吹けない期間が出来てしまうのが怖いです。そこで質問なのですが、アンブシュアを変えた場合どのくらいの期間で新しいアンブシュアに慣れることが出来るでしょうか。
========================================


前々回では「アンブシュアは直さない」ということを書きました。前回の記事では「アンブシュアは完成した製品を出荷する出口でしかない(ここであれやこれや作る場所ではない)」ということを書きました。もしお読みでない方はぜひ過去の記事を先に読んで下さい。

アンブシュアは直すべきか1」 
アンブシュアは直すべきか2」 


《指導者からの指摘》
世の中のトランペット指導をしている人の中には「あなたのそのアンブシュアじゃ、まともに吹けないから変えなさい」と軽く言ってしまう人がいます。しかし、これまで見聞き経験してきた中で、そうしてアンブシュアを「意識的に」変えて良くなった!という人を見たことがありません。僕が知らないだけで世の中にはいらっしゃるのかもしれませんが、多くは(本人がどう思っているかは別として)以前のほうがよかったんじゃないかなぁ、と感じてしまうことばかりでした。

なぜアンブシュアを変えても良くなる可能性が低いのか。それは、これまでにも書いたように「人によって良いアンブシュアが違うから(=模範解答がないから)」なんです。
もしかすると、今の科学技術ならば、その人それぞれに最適なアンブシュアを見つけ出すことができるのかもしれません。演奏しやすいアンブシュアというものが科学的、論理的に解明されるかもしれません。
スポーツの世界では、結構そういった方法で成績を伸ばしていることも多いようですが(聞きかじり)、とりあえずトランペットの演奏に関するアンブシュアではそういったことはまだ聞いたことありません。
だから、根拠はありませんがアンブシュアに関してはそういうの無理なんじゃないか、とも思います。

話を戻しますと、結局「見た目を直そう」としているからおかしくなっちゃうわけで、顔の表面的な動きや形にこだわっている限りはアンブシュアに関しては解決しないと思います。したがって、僕の場合はレッスンで現状のアンブシュアで大きな苦労をされている方には直接的に「直しましょう」とは言いません。ほとんどの場合は、他の話題(口の中の舌、顎など)に着目してもらい、アンブシュアをあまり意識しないように練習を続けてもらうことで、(時間はかかりますが)改善していきます。ただし、生徒さんの状態やいろいろな面を考慮して、頭の片隅に置いておく程度にアンブシュアに対して伝えること(今のアンブシュアだと苦労していませんか?など)はあります。


《方向性、共通性》
「アンブシュアは人それぞれ」と言い続けていますが、これまでに見てきた沢山の一流トランペット奏者の吹き方を見ていると、ある程度の方向性、共通性というのがあると感じています。ひとつは

「口角を横に引っ張らない」

という点。そして

「顎の部分しか使わない」

という点。これらは共通しているように感じます。実際に聞き歩いたわけではないので、立証はありません。あくまでも見た目と動きだけです。

僕は中学校に入り、初めてトランペットを手にした時に先輩から「口をおもいきり横に引っ張って唇を振動させて音を出す」と教わって、それをひたすら信じて(特に懐疑的にもならず)高校も音大の最初の頃もそれで吹いていたように感じます。高校生に入ってからは音大受験のためにレッスンを受け始めたことがきっかけで、徐々にアンブシュアも安定してきていたのかもしれませんが、結局のところアンブシュアを意識的に直そうと思ってはいませんでしたから、そのなごりは常にあったはずです。

顎に関してはこれまでも沢山書いてきましたが、人間は顎(舌、下の歯、下唇、下半分の口輪筋など全て含め)はとても発達し、自由で繊細でしなやかな動きができるので、この部分のみを使う気持ちでいるべきだと思っています。したがって、頭蓋骨部分(上唇、鼻の下、上半分の口周辺筋肉全般、上の歯など)は、反応はしますが(結果として動きはありますが)、意図的に力(筋力)をかけて動かしたり、顎や下唇以上に頭蓋骨部分をメインとして使うべきではありません。ということで、

「口角を引っ張らない」
「顎の部分しか使わない」

この2点はみなさんに意識していて欲しいと思っています。逆に言えば、今「使うべきではない」と言った部分をトランペットを吹く時に使っている方が、「アンブシュアを変えなさい」と指摘されている可能性が高いです。その時、前回までの記事でも書いたように「意識的に直す」のではなく、その使ってしまっている部分はひとまず放置し、本来使うべき部分を積極的に使っていく姿勢でいられるように心がけて下さい。
そうすることで、今まで負担をかけて使ってきた、本来使うべきではない部分の力が軽減され、より使いやすい顎の部分全般で演奏するように少しずつ変化してくるはずです(僕はそういう経緯で今に至ります)。時間はかかるかもしれませんが、そうすることが負担なくアンブシュアを良いものにしていく方法ではないか、と思うのです。

最初の話に戻りますが、「アンブシュアを変えなさい」という先生に出会ってしまった場合、見守ってくれているタイプであれば、いつしか「アンブシュア、良くなってきたね」と言ってもらえる日を信じて上記のようなアプローチで練習に励んでもらえればと思いますが、「僕の真似をしなさい」とか「僕が言う通りにすぐ変えなさい」と強制する人であれば、無視するか離れたほうが良いかもしれません。最終的は判断はおまかせしますが、少なくとも僕の考えでは、良い方向にいかないだろうな、と思ってしまうもので。

ということで、今週もアンブシュアに関して書きました。
次回はアンブシュアのまとめを書きたいと思いますので、引き続きおつきあい下さい。

それでは、また来週!


当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。

at 06:27, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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アンブシュアを直すべきか 2








みなさんこんにちは!
先週からの続きにいきます。こちらのご質問について回答しています。

========================================
アンブシュアをなおしたいと考えているのですが、アンブシュアを変えてきちんと吹けない期間が出来てしまうのが怖いです。そこで質問なのですが、アンブシュアを変えた場合どのくらいの期間で新しいアンブシュアに慣れることが出来るでしょうか。
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先週とにかく伝えたかったことは

「アンブシュアは直さない!」

ということでした。直接的に直すのではなく、その人にとっての「良いアンブシュア」に徐々に変化していくように(悪影響を与えている状態を少しずつ緩和していくように)、様々な面からアプローチしていく、ということが大切です。
時間がかかってしまうかもしれませんが、「なんだか前よりも吹きやすくなった(コントロールしやすくなった/音が良くなった/バテにくくなった)なあ」と感じられる瞬間瞬間を期待し、練習を続けてほしいと思っています。


《アンブシュアは製品の出荷口》
僕はレッスンの時に、楽器を吹くための様々な体の部分は、役割がそれぞれ違う、ということをイメージしやすいように「工場」を例えとして伝えることがあります。
具体的に言うと、

 ■頭(脳)→設計図、完成図
 ■肺(取り入れた空気)→原料、材料(の調達、貯蔵庫)
 ■空気をコントロールしている腹筋(みぞおち等)→これから作り出す製品に合わせた原料を生成するところ
 ■喉→ただの通路
 ■舌などの口の中と顎→製造所、組み立て、製品の完成
 ■アンブシュアと唇、その周辺→完成品の出荷口

こんな感じで役割が異なっていると伝えています。
今回はアンブシュアの話なので、その点に絞って話を進めますと、アンブシュアというのは「完成した製品を(ダンボールにつめて)出荷する出口」であり、大切なポイントが2点あります。

「この場所を通過する時には、すでに製品が完成している」
「様々な製品がスムーズに出荷できる出口でなければならない→ダンボールや製品が潰れたり、こぼれたりしてしまう」

トランペットの演奏に言葉を変えると、

「アンブシュアの部分であれこれサウンドを作ったり、そもそも音をコントロールする場所ではない」

ということです。どんな音が「出荷される=トランペットの音として聴く人の耳に届ける」のか、それはすでに舌の使い方や顎など、口の中ですでに完成されており、もっと辿っていけば、その製品を作るための原材料をどう取り入れたのか、更には、それを(質の良いものとして)精製されていたかによってすでに決まっているのです。

確かに、アンブシュアは振動している唇がある部分ですから、最終的に音を作り出す部分ではあります。しかし言い換えれば「振動して音に変換しているだけの部分」なのです。ここまできて(出荷直前になって)あれこれいじるのは良くないですよ、ということ。アンブシュアは、すでに完成された商品を自信を持って出荷する(聴く人に届ける)場所であって欲しいと思います。

ハイノートを吹く時に、マウスピースをグイグイ押し付けてしまったり(過剰なプレス)、大きな音を出そうとした時に口周辺に力を込めてしまったり、音の高さを変化させる時に口周辺をグニグニ動かしてしまう、こういった行為をすることは質を悪くするだけだ(せっかく良くできた製品を壊したり、ダンボールを潰してしまう)、ということを覚えて、極力やらない意識を持つ事が大切です(しつこいようですがアンブシュアは製品を出荷するところです)。
しかし、合奏や曲を吹いている時というのは、どうしても「音楽」に頭が支配されてしまいますから、ついついクセが出てしまいやすいものです。ですから、これらアンブシュアに負担をかけないように心がけるために、曲練習をする前の個人練習(ウォームアップ)の時に意識的に練習すると良いのではないかと思います。言い換えれば、合奏で音楽作りをしているのに、奏法のことを考えているようでは、音楽は完成しませんから、「音楽」と「奏法」を練習する時間をしっかり切り替えられるようにしましょう。

では、アンブシュアは動かさないほうがいいのか、と思ってしまうかもしれませんが、それは違います。
「アンブシュアを動かさないように、動かさないように…」と念じていると、「動かさない」ということが結果的に「力を入れて固定する」になりがちですから、逆効果です。

これまでも書いてきた通り、演奏している時には舌や顎、体の様々な部分が「柔軟な筋肉」によって動いています。ですから、アンブシュアも固定されているのではなく、舌や顎がうごけば口周辺はそのぶんだけ伸び縮みする「フレキシブルな状態」が良い状態です。
常に柔軟な筋肉でいられるよう、心がけて下さい。

ということで今回はここまで。
来週も引き続きアンブシュアについて書いていきます。

また来週!

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at 06:06, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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アンブシュアを直すべきか 1








みなさんこんにちは!
今回も、こちらのブログにいただいた質問からひとつピックアップをして回答させて頂きます。

「ラッパの吹き方」では随時ご質問を受け付けております。各記事の最下にある「メールフォーム(こちらをクリックしても入れます)」に書き込んで頂ければ、必ずお返事致します。また、これまでにないご質問であれば、いずれ記事として掲載させて頂くと思いますので、ご了承下さい。


それでは、今回は「アンブシュア」に関するご質問です。

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アンブシュアをなおしたいと考えているのですが、アンブシュアを変えてきちんと吹けない期間が出来てしまうのが怖いです。そこで質問なのですが、アンブシュアを変えた場合どのくらいの期間で新しいアンブシュアに慣れることが出来るでしょうか。
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アンブシュアに悩み、それを指摘されたり、もしくはこれでは充分な演奏ができないのでは、と自覚をして「直したい」と思う方は本当に沢山いらっしゃると思います。もしかすると、トランペットを始めた時からアンブシュアに悩んだことがないよ、ずっと変わってないし不自由してないよ、という方のほうが少ないかもしれませんね。それだけアンブシュアというのはトランペットを演奏する時の重大なテーマのひとつなのです。

ですから、これまでにもアンブシュアに関しては沢山の記事を書いてきました。
アンブシュアはカテゴリーにしてありますので、こちらをクリックして頂けければ記事をまとめて読むことができます。お時間があればぜひ読んでみて下さい。


《アンブシュアを直すか、直さないか》
まず、最初に言っておきます。

「アンブシュアを直すのは危険なのでやめましょう」

習慣になっている体の使い方を否定し、使い方を変えなさいと言われたら、あなたはそれを直し、続ける自信がありますか?例えば、歩き方、お箸の持ち方など。仮にできたとしても、相当意識的に生活しなければならないでしょうし、ふとしたところで元の動きが出てしまうことと思いますし、何らかの支障が生まれてしまうかもしれません。もちろん、医学的に何らかの支障があるのであればリハビリのような形で使い方を修正していく必要がある場合も考えられますが。
ともかく、使い方を直すことばかりを考えなければならないので相当ストレスが溜まることでしょう。

アンブシュアを直す、というのも体を使っているという点で同じである、と言えます。

したがって、アンブシュアは直すもの、という考え方にしないことが大切です。


《そもそも...》
そう言われても、今のアンブシュアを直さないと!と思っている方、いらっしゃることでしょう。

ずばりお聞きします。

「直す」というのは、今のアンブシュアをどう直すのでしょうか。明確で具体的な改善点と問題点があり、それを修正する具体的な方法が用意されていますか?

きっと、ないはずです。

憶測ですが、何かからの情報により「今のアンブシュアではダメだ」と思ったり、誰かから指摘されたりしたから、「直さなきゃ」と思ったのではないでしょうか。

アンブシュアが良い状態になれば、ハイノートも、音色も、なんだって今より上手にできるんだ!という、「どこかに私の望んでいるユートピアがあるに違いない。ガンダーラ〜♪」と妄想しているだけではないですか?

そもそも、アンブシュアとは、一体何なのでしょう。


《考え方を逆にしましょう》
上記の一番の問題点は「良いアンブシュア→良い演奏」という考え方になっている点です。

しかし、人間は個人個人で体型も骨格も顔の形も声も何もかも他の人と同じではありません。個人差があります。

アンブシュアはその個人差のある人たちが同じトランペットという楽器から音を出そうとするのですから、同じになるわけがありません。したがって「これが正解のアンブシュアです」という全員に共通した形や方法はないのです。

よって、アンブシュアには正解も不正解もなく、その人が理想とする良い音、スムーズな演奏ができているその時、その人限定での「正しい(良い)アンブシュア」ができている、ということになります。

「良い演奏→良いアンブシュア」なのです。


何やら言葉遊びのような記事になってしまいましたが、ともかく、アンブシュアは安易に直そうと考えないことが大切です。
来週はもっと深く掘り下げてアンブシュアについて考えてみたいと思いますので、どうぞおつきあい下さい。


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at 07:44, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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音質を揃える 2








みなさんこんにちは!


前回からこちらの質問にお答えしています。

========================================
コンクールまでにトランペットの音質を5人でそろえたいと思っているのですが、後輩2人の音が固いので合いません。
柔らかくなく力ずくで出している感じです。
教え方が分からなくて困っています。
どうすれば柔らかい綺麗な音になるでしょうか?
========================================


前回の記事では、「イメージを統一すること」と「チューナーの正しい使い方」について書きました。
質問を頂いたのは中学生の方でしたので、今回は吹奏楽部での部員だけでの練習の仕方や考え方について中心に解説していきたいと思います。


《後輩と一緒に成長をする、という考え》
中学や高校の吹奏楽部で楽器を楽しんでいる方は、月日が経つと自然に後輩から先輩になります。先輩になって大きく変わるのが「教わる立場から教える立場に変化する」ということでしょう。
先輩としての自覚を持ち、後輩を指導してよりレベルの高いパート、バンドにしていこうとする意気込みは非常に素晴らしいものです。後輩を気にかけ、困っていることはないか、わからないことはないか、アドバイスをしたり一緒に練習したり、これこそ部活動の姿!という感じがしますが、学生の皆さんはどんな環境で楽器を演奏していますか?

僕自身も、先輩になってからは後輩も上手になって欲しいという気持ちがとても強くありましたし(後輩の時の先輩に恵まれなかったのでより一層)、昔から教えることが好きだったんだと思います。

後輩を気にかけ、隙あらばアドバイスをしようとしている先輩は、さぞかしウザかったでしょうね。ごめんなさいね。

でも、実際に教えたり、質問されたりして、困っていることが多かった記憶があります。的確なアドバイスができないんです。だって、考えてみたら、中学3年の頃って、楽器を始めてまだ2年と少ししか経ってないんですよ。誰かすごい指導者に教わっていたわけでもないし、情報も入ってこなかったし、何より、自分がそこまで上手ではないので見本にもなりゃしないし。だから、アドバイスをしてもトンチンカンなことを言うか、口からデマカセ(偏った知識を自分のもののように言ったり)、そんなことばかりでした。これでは後輩も理解できませんし、成長するきっかけにはなりませんよね。結果、ただウザいだけの先輩になってしまう。

この質問を頂いた方は、僕のようにヒドい先輩ではないでしょうが、ひとつ言えることは

「先輩であっても一緒に成長をしていく奏者のひとり」

である、ということです。決して先生ではないのです。これを忘れてはいけません。

ですから、わからないことはわからないと言ってしまって構いませんし、できないことはできないと言ってしまって構わないのです。大切なことは、「一緒に成長していく姿勢を後輩に見せること」なのです。わからないことを確実性のない知識で、あたかもそれっぽく言ってしまうことは、間違った奏法や考え方になり、それがいつしか部活動での「意味不明な伝統」になってしまう可能性があります。
そうならないためにも、先輩は指導者ではなく、「アドバイザー」や「カウンセラー」のような立場でいられると良いのではないかと思うのです。
後輩が困っていることを親身になって聞いてあげたり、一緒に考えてみたり調べてみたり。そんな関係だと後輩の人たちも安心して、信頼して仲良くなっていけると思います。


《パート練習の形態》
僕が中学生の時のパート練習というのは、先輩ひとりが他の人たちと向き合って、打楽器のスティックを持ち、どこかをガンガン叩きながら曲を進めていく、という乱暴なスタイルで行っていました。先程書いたように、結局先輩と言っても指導者ではありませんから、パート練習をしたところでそのスティックガンガン先輩が的確なアドバイスもできるはずがなく、指摘できないので通すだけ、ということにしかなりませんでした。何が良くて何が良くなくて、どうすればそれが解決するかわからないなら、このスタイルでやらなきゃいいのに、と思いながらも、自分が先輩になった途端、これがやりたくて同じことしてた、という情けない先輩でした。

みなさんの部活はどうですか?どんな練習をしていますか?


《音が固い?》
ご質問の中では「後輩の音が固いので合わない」という書き方をされています。
実際にその「固い音」を聴いてみないと、どういう音質なのかわからないのですが、考えられるいくつかの可能性は、

「奏法に無理があって固い音しか出せない」
「先輩やバンドが、必要以上に柔らい音を追求している=後輩はかなりきちんと楽器を鳴らせている(理想としている音が先輩たちと違う)」

口角を横にひっぱり、体の力と息の強さだけで唇をバズィング(ビービー鳴らすこと)をすることが、トランペットの発音だと思っている、もしくはそういった指導でトランペットを吹き始めている場合は、前者の可能性が高いです。この場合、トランペットの正しい発音とは異なった吹き方をしてしまっているので、ピッチの音質も合わせにくいものになってしまいます。
いかがでしょうか。

この場合は、まず「ウォームアップ」をしっかり行うこと。そして音の出る正しい原理を理解して演奏することが必要ですし、そういった練習スタイルや音の出し方、鳴らし方こそ、指導者や指揮者ではなく、一番近くにいる先輩が見本としていて欲しいと思います。


後者なのですが、近年、必要以上に柔らかさを求める傾向に吹奏楽や金管楽器があるように感じてしかたありません。もちろん、時代や国(地域)などによっても同じトランペットで求めるサウンドや表現方法が異なるということは大昔からあります。しかし「必要以上」に、というところに着目して欲しいんです。

トランペットという楽器は、最近、形が大幅に変化したり、楽器の改革があったわけではありません。ということは「トランペットが鳴っている時の音」というのも変わっていないのです。トランペットはトランペットとしてのサウンドがあるわけで、その音を否定して、何か新しい音を作り出すというのは、トランペットで行うことではないのです。少なくとも僕はそう思っています。トランペットが正しいピッチ、響きで鳴るためには、その楽器の持っている正しい鳴らし方というのがあるはずです。「ソフトな音が出るトランペットが今、流行」「ふんわりサウンドのトランペット新発売!」なんてキャッチコピーで売っている新商品のトランペットなんて、見たことも聴いたこともありませんよね?
ですから、やたらと柔らかなサウンドを求めて演奏している人(バンド)の音を聴いていると、それはトランペットで吹かなくてもいいのでは?と思ってしまうんです。

もしもこういった風潮(指揮者や先生、指導に来る(自称)プロ奏者が作り出している風潮)がバンドやパート内にあるなら、それはぜひ誰かが気付き、変えていってもらいたいと思うのですが、バンドの現状はいかがでしょうか。ちなみに、プロ奏者から聴こえる「柔らかいトランペットの音」は、隣や至近距離で聴くと、結構固くてはっきりした音が出ているんですよ。精密に設計された素晴らしい音響のコンサートホールが増えてきて、柔らかく聴こえている可能性も高く、デジタル処理をする技術が素晴らしくて、非常に柔らかく聴こえるCDが増えてきている可能性もあります。「生音」を聴く機会を沢山持ってもらえれば、と願います。


《音を揃える、ということ》

car-communication-3100981_1280のコピー.jpg

最後にもうひとつ、「音を揃える」ということをどんなイメージで持っているのか、ということもポイントになります。
簡単に言うならば、揃えるということが「個性を潰してコピー人間を量産する」のではない、ということです。

同じイメージの下、それぞれの奏者がサウンドを追求し、呼吸を合わせ、同じフレージング、同じ音のベクトルで、しっかり鳴らせたツボにはまったピッチの正しい音色で、寄り添い合いつつも、個々の主張は持っている状態が良い状態と言えます。

部活動では特に、この「量産コピー」のような演奏を求めることがあり、なんだか面白味に欠けるな、と感じてしまう自分がいます。もちろんどんな完成図を持っているのか、間違いも正しいもありませんので、そこまで言及はしませんけどね。

個性は潰さないでも一緒に同じ方向へ歩むことはできますよね。みなさんも友達と一緒に学校から帰る時だって、遊びに行く時だって、同じペースで歩いていますよね。それが大切なんです。同じ格好をして、同じ覆面をして、誰が誰だかわからなくする必要はどこにもない、ということです。


ということで、2回にわたって「音を揃える」というテーマでいろいろと書いてみました。
ぜひ参考にして頂ければ幸いです。

それでは、また来週!

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at 05:19, 荻原明(おぎわらあきら), 練習に対する考え方

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音質を揃える 1








みなさんこんにちは!


今回はこちらのご質問にお答えします(現在質問の募集はしておりません)。
中学3年生の方から頂きました。ありがとうございます。

========================================
コンクールまでにトランペットの音質を5人でそろえたいと思っているのですが、後輩2人の音が固いので合いません。
柔らかくなく力ずくで出している感じです。
教え方が分からなくて困っています。
どうすれば柔らかい綺麗な音になるでしょうか?

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コンクールもあと1ヶ月あるかないか、という時期にさしかかると、「音を揃える」話題が絶えなくなりますね。きっと沢山の方がこのことで悩んでいることでしょう。そして悩んでいるバンド、パートの方は、こんなことを良く言っています。

「こんなにチューナーで合わせているのに、なんで合わないんだろう」

これです。チューナーを使っても使っても、どうしても音が合わない。正にこの練習方法そのものに問題があるんです。
そこで、今回は音を揃えるための考え方から練習方法までを書いてみたいと思います。


《イメージの統一》

blue-2137334_1280のコピー.jpg

「赤」という色を見たことがない、もしくはその色が「赤色」だという知識を持っていない人がいたとします。その人に「赤色を塗って下さい」と言っても、赤という色を知らないので、選択できません。これと同じように音色というものも、「トランペットの音とは」という何かしらの指標がなければ音色を合わせることはできません。ツボにはまってビーンと鳴っている音、ソフトに吹いている時の音、トランペットだけでなく、コルネットの音、フリューゲルホルンの音、ピッコロトランペットの音...。そういったイメージのできる資料をこれまでの経験の中で持っていなければ、トランペットの音を出すというスタート地点にすら立てません。

そこで質問です。みなさんはプロトランペット奏者の中で誰の音が好きですか?誰の音を聴いて「自分もこんな音を出してみたい」と思いますか?また、その好きな奏者ではない奏者を選ばなかったのはなぜですか?...ちょっとイジワルですが、一流と呼ばれるトランペット奏者、何人知っていて、どれくらいの演奏を聴いたことがありますか?(部活に教えにきてくれるプロ奏者の音を目標にしています!というのももちろん素晴らしいことですが、もっと視野を広げて世界的に活躍している一流のプロトランペット奏者(故人も含めて)の中で、という回答を望みます。)

まずこの質問に、考えなくともスラっと答えられるようにでなければ、トランペットの音をイメージすることはできないと思って下さい。
音色というものはその人の生まれ持った声のように奏者によって違います。世界トップクラスのトランペット奏者であっても、みなさんそれぞれ個性のある音を出します。誰が優れているとか、そういうことではなく、それらすべてが「トランペットの音」であると言えます。これは骨格や筋力、顔や歯並び、そして性格などもそうですし、何よりも、その人が目指している音色のイメージによって音色が作られ、そして変化していきます。ですから、みなさんにもそれぞれ持っている素晴らしいトランペット音というのが潜在的にあり、それを追求し、奏でることができるように日々練習を積み重ねていく、という目標も常に持って欲しいと思います。


《チューナーを使う時の注意点》
部活動で、譜面台や楽器にチューナーを設置して練習をしているトランペットの方をよく見かけます。すごい時には合奏中であってもチューナーをONにして、ピックアップマイクで自分のピッチを拾っている方もいらっしゃいます。
まさに自分だそれ!と思った方、いらっしゃいますよね。そんな方にお聞きします。チューナーを置いての練習を続けることで、ピッチは改善されましたか?具体的な成長は見られますか?

「なりました!いつどんな音を出してもピッチが正確です!」という方も、中にはいらっしゃるかもしれません。ただ、もしそうだとしても、チューナーを前にして音を出している時限定でピッチが安定しているのではありませんか?しかも『ピッチだけ』。きっと多くの方は、チューナーを使っていても改善されていないのではないか、と思います。

チューナー大好きな方でも、さすがに本番の時には譜面台に乗っけてチェックしながら、なんてできませんよね。では、チューナーを前にしていなかった時、すばらしいピッチで演奏し続けていられていましたか?そもそも、ピッチが正しいか正しくなかったか、本番中にわかりましたか?多分わからなかったことでしょう。「合ってなかった」ということを実感しているかもしれませんね。

結論を言うと、チューナーを使い続ける習慣を持っているだけでピッチが改善された、という人を個人的にはひとりも知りません(ピッチに意識をもっていく、という姿勢になった人や、ピッチを正さなければ!とばかり考えるようになった人になら会ったことがあります)。
なぜ改善されないのか、理由は簡単です。それは「チューナーに合わせているから」です。

何かの音を出した時、チューナーはその周波数を明確に示してくれます。ですから、チューナーが「低い」と出た場合は、何らかの方法でピッチを少し上げることで±0に近づけようとするわけですが、この順序そのものがまったく意味のないことなのです。なぜなら、これと同じことをチューナー無しではできないからです。

絶対音感を持っている人であっても、周波数のプラスマイナス10hz程度のピッチ変化を的確に言い表すことができるとは思えません。仮にそれができたとしても、楽器でその修正をする技術を身につけるのは非常に難しいことですし、何よりも、その「吹きながらピッチを修正する」という行為、もっと言えば「ピッチのことばかり気にしている練習や演奏」そのものが良い練習、姿勢ではありません。

音楽は正しいピッチだけで完成され、正しいピッチだけで感動を生んでいるのではありません。もちろん、ピッチの悪い演奏はクリアは響きが損なわれ、音程もおかしくなるのでサウンドがうねり、メロディは音痴になり、聴く人に違和感や気持ち悪さを与えるものですから、できるだけ正しくいたいものではありますが、なぜ吹奏楽部はどこもかしこも「ピッチピッチ」とそればかりなのかが理解できません。

グチになってしまうので、話を戻しますと、以下のように考えてほしいのです。

「チューナーは確認をするための器具であり、強制器具ではない」
「ツボにはまった鳴る音を常に出せるようになればピッチは安定する」
「ピッチや音程を音楽的に成長させたければ、ソルフェージュを強化する」


この3点です。チューナーの針を正しい位置に合わせるために、音を伸ばしながら体のどこかを変化させても、その時一時的に強引に合わせただけですから、これは直ったとは言えません。
そもそも、ある程度しっかりと作られた楽器というのは、素晴らしいピッチや音色で演奏できるように研究に研究を重ねて作り上げられた「作品」です。確かに「善し悪し」はありますが、基本的に「狂ったピッチの商品を世の中に流通させてやろう。イッヒッヒ」という企みが、その企業に何のメリットも生み出さないのは容易に想像できます。したがって、きちんと作られた楽器はすべて、良いピッチで演奏できるものであると信じましょう。もし、吹いていてピッチが悪いようでしたら、それは楽器に問題があるのではなく、吹いているあなたに問題があるのだろう、と真っ先に思って欲しいのです。
ですから、自分自身の吹き方を良くしていくこと、無理な力をかけた発音や、蔓延しているトランペットを吹くための無駄な知識、無意味な情報に踊らされないように、発音することをシンプルに考え、実践してくいくことが大切です。
また、ピッチの正しさだけでは良い音楽は生まれません。音楽というのはもっと沢山の要素がからみあって生まれてくるものですから、たとえば「音程」、「歌う」ということ、「音色」、「フレーズ感」などを持ち、その中でも音楽の基礎的な面を強化できる学習方法である「ソルフェージュ」という分野を強化していくことが非常に有効です。これは、音楽の地盤をしっかり固めるためにとても有効なレッスンで、例えば、声に出してシンプルなメロディを美しく歌ったり、耳に聴こえてくる音が何の音なのか理解したり、聴こえてくるリズムが頭の中で楽譜化できるようにする、といった学習です。音大受験生は必ず行うこの音楽の基礎学習は、吹奏楽部や音楽の演奏に関わる全ての方もできれば、より良いトランペットでの演奏表現力がつくのでは、と思います。
楽器で吹くメロディを声に出して正しい音程感で歌える力があるかないかだけでも楽器の演奏は大きく変わるんです。チューナーなんかを凝視して、周波数を合わせにかかるより、より音楽的に美しくフレージングを感じ、音程を感じ、その上でのピッチの安定を、自分の歌、声で作り上げていくほうが、よっぽど有効で正しい音楽の練習である、と僕は思っています。


ということで、最近辛口発言が多くて辟易されていたら申し訳ありませんが、昔から思っていた、おかしな音楽学習方法について、どうしても伝えたく、そして、もっと有益で楽しい練習をしてもらいたくて書かせてもらっています。ご了承下さい。

それでは、長くなりましたので、この続きはまた次回に書きますね。
また来週!

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at 08:34, 荻原明(おぎわらあきら), 練習に対する考え方

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