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向き不向き








みなさんこんにちは!
今回はブログにコメントして頂いた質問にお答えしてみたいと思います。

皆さんもご意見やご質問などありましたらぜひこちらの記事にコメントして下さい。他の人に読まれるのが気になる方はこちらのメールフォームからでも構いません(ただし、コメントを掲載した上で記事にさせて頂く可能性があります)。お返事は必ずします。

それでは、今回は のあ さんから頂いたこちらのコメントです。

====================================
高校2年でトランペット吹いています。
小中とフルートを吹いていて、高校生に入ってからの楽器替えでトランペットを始めました。しかし、始めて1年たつのですが第四線のC以上を出すのがきついんです。それに、中音域を吹いていてもすぐにバテてしまいます。
先輩に相談したところ、練習していれば出るようになるよ、と言われたのですが音自体が出ないので練習の仕方がわかりません。
私はトランペットにむいていないのでしょうか。
具体的なアドバイスをいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします。(抜粋)
====================================


のあさんありがとうございました。

コメントにあるハイノートに関してはこれまでにも記事としてかなり書きましたので、ぜひカテゴリー「ハイノート(ハイトーン)」を沢山読んで頂くとして、今回は


「先輩に相談したところ、練習していれば出るようになるよ、と言われた」
「音自体が出ないので練習の仕方がわかりません。」
「私はトランペットにむいていないのでしょうか。」


この3つについて書いていこうと思います。


《励ましの言葉がプラスになる人、ならない人》
「練習していれば出るようになるよ」という言葉、あなたはこう言われたらどんな気持ちになりますか?

「そっか!じゃあ音が出るまで練習頑張るぞ!」

となる人でしょうか。それとも

「...そんな無責任なこと言わないで下さい(もっとちゃんと教えて下さい)...」となりますか?


前者はポジティブ傾向で後者はネガティブ傾向だと思います。僕は完全に後者です。こんなブログを書いていること自体ポジティブではないのがわかると思いますし、そんなブログをがっつり読んで頂いているあなたもきっとネガティブ傾向だと思います。
なぜなら前者だと「こまけぇこたぁいいんだよ」って一蹴して終わってしまいますからね。


それぞれの傾向として、ポジティブな方は、何か大きな問題に直面した時に解決方法がわからず混乱してしまう可能性があります。そして、ネガティブな方はあれこれ考えすぎて思考の迷路にはまってしまう可能性が常に付きまといます。

ですからどちらが良いのか、と言うのは一言では表すことができません。その人がトランペットを吹くこと、練習することにどのくらい本気でいるのか、どんな環境で練習や演奏をしているのかによって様々に変わってきます。でも理想を言うならば「深く考え、それ実践する根気や意欲と、ある程度気楽でいられる状態」という「良いとこ取り」のバランスを持っていられるのが一番です。

天才肌の人に質問をしても「練習すれば(吹けば)いいんだよ」と言う傾向にあります。何も考えなくても最初からできてしまったことが多く、例えばハイノートがパラパラ出せてしまう人に、どうやってハイノートを出すのかを聞いても「?わかんない。何か出ちゃったんだよね→吹けば出るよ」てことになりがちなんです。
天才肌の人に勉強を教えてもらうと同じことが起こります。テスト前とかに経験したことがあるのではないでしょうか。「なんでこんなのがわからないの?」と言う人、周りにいませんか?


ちょっと話がそれてしまいましたが、複数で音楽をする時に必ず感じることなので書いてみました。


《向き不向き》
僕は小学生の時に学校の特設サッカークラブに入っていました。もともとかなりの肥満児だった僕を心配してくれた当時の担任の先生が猛烈に勧めてくれたのがきっかけなのですが、はっきり言ってサッカーのルールもよくわからないままやっていたんですよね。

「手を使わずに敵のゴールめがけてボールを蹴るスポーツ」

だいたいこんなレベル。

太ってはいましたが体を動かすことは嫌いではなく、毎週楽しんでクラブに出ていたのですが、何となく練習試合をしている中で覚えたいくつかのルールを守って競技をする以上のことはできず、サッカーが上手な人にはまったく歯が立ちませんでした。

当時の僕は「じゃあサッカーがもっと上手になるために何が必要なのか、どんな練習をするといいのか、試合の時の動きを考えよう」こういった発想にまったく至らなかったんです。そもそもそんなにサッカー熱がなかったと思います。
今思えば、せっかくやっているんだから行けるところまでやってみようと考え、努力をすればもっと面白かったんだろうな、という気になりますが、「下手だなぁ。サッカー向いてないんだな」と思ったところで終わっていたんですね。


こういう経験があるので、初めておじゃまする吹奏楽部の人たちを見ていると、同じようなモチベーションな人がすぐにわかります。「楽器吹くこともみんなと演奏しているのも嫌いじゃないけど、どうも上手くならないなあ。向いてないのかなぁ。(ここで終了)」

「じゃあどんなことをしよう」「もっと上手くなるためには」と言った目標を持つところまでいかないんですよね。ある意味、現状で満足...しているわけではないのでしょうが、そこまで努力しようという気にもならない、そんな状態ですよね。


ここで、のあさんのコメントをもう一度拝借しますと

「音自体が出ないので練習の仕方がわかりません。私はトランペットにむいていないのでしょうか。」

ここにいろんな気持ちが含まれているように感じました。

気分を害してしまったら申し訳ないのですが、ちょっとだけ厳しい事を書かせてもらいますと「練習の仕方がわからない→向いてないのではないか」という発想に至るのはあまりにも早すぎます。というのも「練習の仕方がわからない」の言葉が僕には「自分が納得できる教え方をする人が周りにいない(私が納得できる結果に導いてくれる人がいない)」と読み取れてしまうんですね。

なぜなら、僕自身が中学時代まだトランペットをどう吹いていいのかもわからない時、先輩は何も教えてくれなかったんです。中3の先輩は幽霊部員で全然音が出せませんでした(ほぼ存在していなかった)。上下関係がめちゃくちゃ厳しい時代だったので、中2というのは「後輩に教える」なんてことができる身分ではなかったんです(先輩に「何偉そうにしてんだよ、中2のクセに!」と言われ、部室送りになるのが怖かった)。ばかばかしい話ですが当時の僕がいた環境はそんなだったので仕方ないです。

で、音の出し方を教えてくれたのはトロンボーンの中3の先輩だったんですが、同じ金管とは言え、やはりトランペットとトロンボーンでは吹き方にかなりの違いがありますよね。だから結局教えてもらってもなかなか音が出せなかったんです。

悔しかったのでありとあらゆる手段を使って吹き方や練習方法について調べ、実践するようにしました。
今のようにインターネットがあればもっと知識を得るのは簡単だったのでしょうが、当時はそんなものはありません。ヤマハに行ってバンドジャーナルやバンドピープル(現在のバンドパワーは昔雑誌でした)を読み漁り、トランペットの奏法について書かれている書籍を買って、重要そうなところをマーカーでラインを引いていたり(当時は知識が少なすぎて理解できないところがほとんどでしたが)、中古CD屋さんに言ってなけなしのお小遣いでトランペットやオーケストラのCDを買いまくるなど、とにかく悔しさから生まれてくるパワーでいろいろ頑張りました。

その甲斐あってか、始めて間もない頃はまったく音を出せなかった僕が中1の終わりではHigh Bbまで(強引ではありますが)何とか出せるようになり、楽譜に書かれていることもある程度演奏できるまでになったんです。

僕は天才肌ではないので、いつも悩んで苦労して挫折を繰り返し練習し続けた結果、今の自分がいるんだと思っています。今の中高生の方が当時の僕よりも何倍も上手です。僕の生徒さんにも同じように言うのですがだいたい「お世辞だ」と言われてしまいます。でも本当に僕は下手だったんです。

ですから、「自分はトランペットに向いていない」なんて簡単に言ってしまうのは時期尚早ですし、言うこと自体間違っていると思います。
まだまだ自分の力でやれることは山ほどあるんですから。


コメントの中の「音自体が出ないので練習の仕方がわかりません。」ということについてまだ書いていませんが、今回の内容とカテゴリー分けをしたいので次週にまわしたいと思います。

ネガティブ傾向の人は「まだまだ自分は下手だ」という考えから練習を熱心に続けられる力を持っている人です。ですので自分に負けないようにぜひできる限りの努力を重ねて上達していって下さい。そして、常にネガティブにならず、褒められた時は素直に喜び、感謝し、もっともっと上達してやるんだ、という気持ちで練習に励んでもらえればと思います。
頑張って下さいね。

それでは、また来週!


当ブログの写真・記事等すべての営利目的による無断利用、ネット上などへの無断転載を禁止します。

at 09:21, 荻原明(おぎわらあきら), イメージ

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セクション練習/様々な練習形態








みなさんこんにちは!


《セクション練習は必要?》
前回まで、効果的なパート練習の進め方について詳しく解説しました。パート練習はトランペット全員の表現をまとめる上では欠かせない大切な練習です。
そして、吹奏楽やオーケストラで演奏をされている方はきっと「セクション練習」というものも行っているのではないでしょうか。

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セクション練習というのはこのブログでは「金管楽器全員で行う練習」のことを言います。

パート練習に比べて人数も多く、いくつもの楽器が参加しますので、練習の進め方もパート練習以上に考えて行わないと上手くいきません。

「じゃあ練習番号Aからやろうか」
「あ、ホルンそこないです」
「そっか、、、じゃあBから」
(吹き始めたらトロンボーンがすぐ休みに入る)
「ええと、みんなが一緒になるのはどこなの??」

こんな流れだと全然セクション練習の意味がなく、時間が非常にもったいないですね。
曲にもよりますが、金管楽器が全員集まって練習をしようとしても、そのメンバーが全員演奏する箇所というのは本当に限られています。
みなさんが今演奏している作品を思い浮かべてみて下さい。全員が違うことをしている時や吹いているパートと吹いていないパートがある時のほうが基本、多いですよね。

では、セクション練習自体、あまり行う意味がないのでしょうか。


《セクション練習が必要な時とは》
セクション練習が必要ないとは思いません。この練習の形で効果を発揮する内容はいくつかあります。

例えば、サウンドバランスを作るための基礎練習。「金管セクション」という大きな集合体での音色や音量、響き(ピッチやハーモニー)といった基礎的な内容を作ったり確認することはとても大切です。
全てのメンバーの楽器が「鳴っている」状態で演奏できているか、フォルテやピアノでの美しいバランスが保てるか(鳴らしすぎる人や鳴っていない人がいないか)、ハーモニーは美しいか(ピッチにこだわりすぎず音色に対するイメージ、息のスピードが統一されているか)、そういったことを前回までの記事「パート練習」と同じように予め目的や目標を決めて練習する時間を持って下さい。

この練習は、可能であれば少しの時間でも良いので毎日(毎回)行えると良いと思います。何か一つの目的、目標を定め、みんなで評価し合ってクオリティを高めていく、そんな時間になれると少しずつかもしれませんが確実にレベルアップをしていきます(ただし、習慣になってダラダラやってはいけません)。

セクション練習というのは、とにかく人数が多いです。そのために「まとめ役」がいないと収拾つかなくなる恐れが出てきます。要するに何だかわからなくなってしまう時間になるということ(大人数の金管アンサンブル(8重奏や10重奏など)を頻繁に行っている団体なら奏者だけで形にできるかもしれませんけどね)。
ですので、これくらい規模が大きい練習の時には、指揮者や指導者など奏者以外の人が存在したほうが効率的です。
そういった人がいれば、今練習している楽曲のどこをセクション練習で行えば良いか的確にアドバイスや指示をしてもらえます。

したがって「金管楽器なんだから金管全員でやればいい」といった安直な発想で楽曲を作り上げたりまとめていくセクション練習を行わないようにしましょう、ということです。金管セクションで練習する必要があるから行うのだ、という何かしらの「意味」や目的」を持っていることが必要です。


《セクション練習は短時間で効率的に》
セクション練習で曲作りを行う時に限って言えば、長時間ダラダラやらずに合わせる箇所をピンポイントに絞り、集中的かつ短時間で行うほうが良いと思います(合わせる楽曲にもよります)。
また、当たり前のことではありますが、参加する全員が個人練習やパート練習でしっかりと完成させていなければセクション練習の意味はありません。譜読みができてない人がいたり、苦手な箇所を克服していない人がいる状態では、ただ足を引っ張られるだけになってしまいますから、行う時期というのも考慮しないといけませんし、逆に「セクション練習をこの日に行います!」と予め決めておき、その日を目標に個人、パートで完成させることも必要だと思います。


《様々な形態での練習を沢山行おう》
「金管楽器なんだから金管全員でやればいい」という安直な考えで時間を無駄にするよりも、もっと効率的な練習方法があります。
それは「楽曲(の中の場面)で合わせる必要があるメンバーを見つけて行う練習」です。

どういうことかと言うと、例えばある楽曲で、トランペットパートとトロンボーンパートが同じ動きをしている箇所があった場合、その箇所だけをそのメンバーで合わせる、という練習です。
仮にその箇所がたった8小節程度だったとしても、その部分のイメージやリズム、フレーズの表現、呼吸などを統一させるために一緒に練習します。

スコアを見ると、結構意外な楽器同士がくみ合わさっている場合も珍しくありません。
先日、吹奏楽コンクール課題曲の解説を一通り書きましたが、その中の課題曲5「流沙」の最後はトロンボーンと一緒にミュートでたった2つの音を演奏します。スコアを見るとその2つの音はクラリネット、オーボエ、シロフォン、グロッケンとのつながりでひとつのメロディになっていることがわかります。もしトランペットが変なタイミングで演奏してしまった場合、その後に来る他の楽器の人の演奏に支障が出てしまいますし、何より作品が壊れてしまいますよね。
自分のパート譜だけ見ているとよくわかりませんが、スコアを見て合わせておいたほうが良いと思われるあらゆるメンバーで短期集中的に練習を重ねていけば合奏にも安心して臨むことができる、というわけです。


《トップ奏者たちで合わせる》
また、各楽器のトップ(1st)奏者だけを集めて練習する、ということも効果的です。
吹奏楽やオーケストラをする上で、トップ奏者というのは指揮者やコンサートマスターが放出している電波を拾う「中継基地」のような存在です。拾った電波はそれぞれのパートに伝えていく役割も持つトップ奏者ですが、アンサンブルを行う上で非常に大切なことではありますが、とても難しい技術でもあります。
ですから、合奏以外の時間でトップ奏者だけが集まり、全体の楽曲の方向性を作っていくことができると、バンドやオーケストラ全体の安定感は相当上がるはずです。
言ってみれば支店長会議みたいなものでしょうかね。

これについて詳しくは過去の記事「電波の送受信(アンサンブル)」を読んでみて下さい

そして、こういった練習を行うためには、各自がフルスコアを読む力を持っている必要がありますので日頃からフルスコアを読み、慣れておくよう心がけましょう。
過去の記事「フルスコアを読もう」も参考にしてみて下さい。


ということで、今回は様々な練習形態について書いてみました。
単なる習慣で個人練習→パート練習→セクション練習→合奏と分けるのではなく、それぞれの意味や目的をしっかり持った上で結果を出せる効率的な練習方法をみなさんで見つけてみて下さいね。

それでは、また来週!


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at 07:36, 荻原明(おぎわらあきら), 練習に対する考え方

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理想的なパート練習 3








みなさんこんにちは!

さて、現在「パート練習」について書いています。
部活などではあたりまえのように存在しているパート練習ですが、あたりまえに存在しているからこそ「単なる習慣」で行ってしまっていたり、パート練習の持つ効果やその方法などを考えずに時間ばかりを費やしてしまってはいないでしょうか、というところに焦点を当てていますので、ぜひ一度みなさんが日頃行っているパート練習についてもう一度考え直してみて下さい。

前回までの記事はこちら
理想的なパート練習 1
理想的なパート練習 2

では、今回はパート練習についての最終回です。


《自分たちでどこまで完成させるか》

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パート練習をする時、必ず目標を掲げた上で行う、と前回までの記事で書きました。
楽譜が配られた最初の頃なら譜読みという目的で行うことになるでしょうが、だんだんと練習が進んでくると「この場面はどんなふうに演奏しようか」といったいわゆる「曲作り」の領域に入っていくはずです。

室内楽(アンサンブル)なら、自分たちでどんどん曲作りをし、完成を目指していけば良いのですが、吹奏楽でのひとつのパートにすぎないメンバーでどこまで具体的に曲を作っていけばいいのか悩んでしまうことがあるかもしれません。
沢山の注文をしてくる存在感の強い指揮者がいる団体ならなおさらでしょう。せっかく作ってきたことを否定されたら嫌だから無難なところまでで終わらせてしまおうか、なんて思いたくなりますよね。

では、いっそのこと「まっさらな状態(ただ通せるだけ等)」でパート練習は終わりにしてしまったほうがいいのでしょうか。


《プロデューサーとアーティスト》
少し話が飛びますが、中田ヤスタカさんという方をご存知でしょうか。Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅといったアーティストへ楽曲提供をしている音楽プロデューサー、ミュージシャンです。

彼の生み出す音楽は、どこか懐かしいようなコンピュータ(ファミコン)サウンドのようでもあり、また近未来的なサウンドにも感じ、僕自身はとても好きなスタイルです。
そして、その「音」や「楽曲スタイル」だけ...要するにカラオケ状態で聴くと、Perfumeもきゃりーぱみゅぱみゅもどちらもとても似ているな、と感じる人は多いはずです。

でもやはりアーティストが違えば、その楽曲の持つイメージも変わってきますよね。

その楽曲を歌うアーティストがどんなキャラクター性を持っているのか、という「個性」と、彼の作り出す楽曲がぶつかったり調和されたりした「効果」が、ひとつのアーティストに留まらずにヒットする要因なんだろうな、と思います。

これは中田ヤスタカ氏の作る音楽だけでは成り立たなかったことでしょうし、アーティストの存在だけでも成り立たなかったことです。


《指揮者と奏者》
さて、この話をみなさんの所属している吹奏楽に置き換えてみましょう。

みなさんは「指揮者」というのが本来どんな役割を持っているのか考えたことはありますか?
部活動の指揮者という存在は、どうしても「(学校の)先生が指導してくれてたので、その延長上で本番も棒を振っている」と考えがちです。なので、イメージでは

 指導者>指揮者


と、本番でも見えてしまう人、多くないですか?

部活動の場合は、「テンポ!」「音程!」「ピッチ!」「リズム!」なんていつも叫んで指揮棒カンカン鳴らしているので(自分の中のイメージですけど)、ある意味仕方のないことではありますが、本来の指揮者というのは「演奏する楽曲を作り上げるプロデューサー」なんです。

そして、指揮者の下で演奏している各奏者はPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅと同じ「アーティスト」です。アーティストの個性なくしてはそれぞれのバンドの良さは生まれてきません。

したがって、指揮者のイメージする楽曲の完成図と、奏者のイメージする完成図が調和し、刺激し合うことが音楽を作り上げる上では必要になります。

奏者は指揮者のいいなりではない、ということです。


《パート練習で完成させる》
話を元に戻すと、パート練習でテンポ感やハーモニーバランス、ダイナミクスなどを統一することはもちろん必要なことですが、それだけでなく「トランペットパートとしては、この楽曲(この場面)はこう演奏する!」と具体的に完成させた上で合奏に参加することが、そのバンドでしかできない素晴らしい音楽を作る上ではとても重要になってきます。

パート内で楽曲を完成させる!という目標に沿ってそれぞれのトランペット奏者が個人練習の中で完成させてきたものをパート練習でひとつにまとめ、トランペットパートの奏でる音楽はこうです!と合奏で主張できた時は指揮者や他のパートにも大きな影響を与えるはずです。

「指揮者が否定してくるかもしれない」と思ってしまったり、実際に合奏で演奏を否定されてしまった場合は、その程度の音楽作りしかできなかったんだ、というひとつの指標だと思って下さい。もっと具体的に、もっとチームワークを高めたトランペットアンサンブルを作り上げることができれば、指揮者も絶対に認るでしょうし、トランペットの作り上げた演奏を中心に全体の曲作りが始まるかもしれません。

どんなにやっても否定しかしてこない指揮者は、単にその楽曲を理解していないか、奏者の音を全然聴いていないか、エゴが強すぎて奏者を単なる音の出るパーツとしか思っていないだけです。そういう場合は、その指揮者をおろしてしまうのが一番良いのですが、そうもいかない場合は、否定されても、もっともっとトランペットパートで統一したアンサンブルをできるように練習を重ね、本番を目指せば良いのです(悲しいことですけどね)。

結局は音を出すことができる奏者のほうが音を出せない指揮者よりも客席へアピールする力は強い、ということなので、曲作りの段階から決して弱気にならないようにして下さいね。


《パート練習の進め方》
さて、それでは実際にパート練習を進めるにあたって覚えておいて欲しいことを書いていきます。

前々回の記事でも少し触れましたが、パート練習を行っている間は先輩後輩という年齢差はまったく関係ありません。全員が音楽を作り上げる仲間であって、誰が偉いとかそういうのはないのです。
ですから、先輩ばかりが仕切っていくのも良くありませんし、後輩は黙って言うことを聞いている(自分の主張を押し殺す)のも良くありません(ただし、1st奏者、トップ奏者は演奏する上でのリーダ的存在です。これに関しては過去の記事「トップ奏者、1st奏者の役割」を読んでみて下さい)。
まずは各自が個人練習で作ってきた音楽を演奏で主張して下さい。

最初は音楽表現がぶつかり合っても構いません。場合によっては演奏が続けられず崩壊してしまうかもしれませんが、それくらい全員が個性を発揮しなければ面白い音楽はできませんからね。

その後、誰かが「ここはこんな感じで演奏したい」「こんなイメージを持っている」「こんな音色で出せたらいいね」などと言うかもしれません。口頭ではなく演奏で主張してくるかもしれません。
それらの提案を全員が否定せず(討論会にならないように!)、イメージを少しずつ近づけていこうという姿勢ならば、個性を潰し合わずに徐々に方向性が定まってきて、音楽全体がまとまってくるはずです。

これらのやりとりは最初のうちはまとまらず時間がかかってしまうかもしれませんし、上手くいかないかもしれません。でも、本番ごとにメンバーが変わるわけではありませんし、パート練習を頻繁に続け、それぞれの個性(音色や表現など)をみんなが理解してくるうちに「トランペットパート」というチームの特色というのが共有され、パート内のレベルも相当上がってくるでしょう。そうなればかなり面白い演奏ができるようになるはずです。

文章にすると難しく感じるかもしれませんが、何も別にハイレベルな会話や演奏をしなさいと言っているわけではありません。
自分たちでできる範囲で、気付く範囲でやっていけばいいのです。


例えば、友達とおしゃべりをしていて、みんなで盛り上がる時とそうでない時を思い出して下さい。
盛り上がる時の会話って、どんな感じですか?

例えば、みんながひとつの話題でいること。バラバラな会話をしていてはまとまらないですよね。
例えば、真っ向から否定をしてくる人がいない時。「なにそれ?つまんない!」なんて言われたら全体の雰囲気が悪くなるだけですよね。
例えば、ひとりで喋り倒している人がいた時。その人は自分だけは楽しいかもしれません。しかし、そのグループの中に黙ってうん、うん、とうなずいているだけの人(もしくは全然聞いてない人)がいる時は、楽しいと感じるテンションに差ができてしまっているかもしれません。喋り倒している人は他の人が会話に参加できるように少しスペースを譲ってあげて欲しいですし、黙っている人はもっと積極的に参加して欲しいです。みんなが積極的に話題に参加している時のほうが楽しいはずです。

このようなおしゃべりしていて本当に楽しい!と思っている時を思い出して、演奏でパート練習の時に同じことをすれば良いんです。そう考えれば難しいことではないと思いますよ。

一番大切なことは「個性豊かな人たちが演奏で仲良くひとつにまとまっている」ことです。


《評価してもらう時間を作る》
毎回のパート練習で目的を決め、目標を設定し、みんなで作り上げてきた音楽を他の誰かに聴いてもらう時間を作ると、より客観的に自分たちの演奏を理解することができると思います。
聴いてもらう人、というのは何も指揮者や先生でなくても良く、違う楽器の人を何人か呼んできて、率直な評価をしてもらえるのも効果的です。
聴いてもらう人にはパートで設定した目的や目標を伝えないほうが面白いでしょう。評価してもらった内容が、その時の練習で行ってきたことと一致したら、それは充分聴く人(=お客さん)にも伝えられる力を付けられたんだということになります。また、逆に同じ目的について指摘された時、悪く評価されたら「なぜそういう結果になってしまったのだろう、何が足りなかったんだろう」ともう一度パート内のみんなで作り直す必要があります。

演奏者はステージに立ち、お客さんに演奏を聴いて楽しんでもらうことが最終的かつ重要な目的ですから、このように「誰かに聴いて評価してもらう時間」はとても大切です。本番で聴いてくれるお客さんは良くも悪くも「高評価ぎみ」で言ってくれることが多いので(特に身内関係)、練習の段階で厳しめの客観的評価をもらえることは貴重なことです。

また、他の楽器の仲間に聴いてもらえるということは「トランペットパートはこんな感じで曲を作りました!」と主張することにもなります。それが他のパートにも良い影響を与えて、結果バンド(オーケストラ)全体が活性化するはずです。ですから、トランペットのみなさんも他のパート練習を積極的に聴きに行き、率直な評価をしてあげてください。


《休憩をこまめに取る》
パート練習など、複数で練習している時というのは、どうしても休憩を入れるタイミングを見失いがちです。
「休憩しよっか」って言うの、結構勇気いりませんか?後輩の方はもっと言いにくいでしょう。しかし、バテた状態や疲れて集中力がなくなった状態で練習を続けるのは無意味で非効率的です。

そうならないよう始める前にあらかじめタイムテーブルを作りましょう。20分吹いたら10分休憩とか。

もし練習が盛り上がって、良い感じのタイミングであっても時間を厳守する。そうすることによって、与えられた時間内でこなす力もつきます。
長時間練習することが上達に直結するわけではありません。短時間でいかに効率的に行うか、これが一番大切なことです!



さて3回に渡って書いてきたパート練習について。参考になりましたでしょうか。
吹奏楽やオーケストラでトランペットを演奏されている皆さんはぜひ、こういったパート練習を実践してみて下さい。

また来週!




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at 06:43, 荻原明(おぎわらあきら), 練習に対する考え方

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理想的なパート練習 2








みなさんこんにちは!

さて、前回より「パート練習」について書いています
吹奏楽をやっているみなさんは、ちょくちょくパート練習をしていると思うのですが、効率よく、そして目的を持って結果を出せるように、という気持ちで行っているでしょうか。

今回はパート練習を充実した時間にするための考え方や方法について詳しく解説していきます。


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《リーダーの存在》
多分、みなさんの部活や団体でも「パートリーダー」が存在していることでしょう。では、リーダーさんっていったいどんな仕事をする人ですか?
部活によっていろいろだとは思いますが、僕が考えるリーダーというのは、あくまでも「事務的なトップの人」だと思っています。要するに「首席奏者」とは別の立場であるということ。他のパートや指揮者、顧問や講師の先生との連絡を取り、同じパートの人への伝達事項を行い、練習や本番が円滑に勧められるようにする役職だと考えます。

ですので、ここがよく混同しがちなのですが、「パート内の音楽を作り上げる指導者」ではない、ということです。そのことについてはこの後詳しく書きますし、前回の記事でも書きましたが、音楽を作り上げるのは全員の仕事です。

ではパートリーダーはパート練習を行うにあたって何をする人なのか、というと

 ■パート練習をいつ、どのくらいの時間行うのか(スケジュール管理)
 ■パート練習で具体的に何をするのか(目的)

この2つだと思います。

パート練習だけでなく、どんな練習形態であっても「目的」がなければ意味がありません。ですから「何かヒマだからパート練習でもすっか〜」ではダメですよ。


《時間を決める》
今の時期、部活動をしている方は、もしかすると「全日練習(だけど合奏なし)」みたいな日があるかもしれません。
そんな日は時間が経つのが遅い〜、することない〜、なんて無駄な時間を過ごしがちですよね。

僕が高校生の時の部活がまさにそれで、やたら練習時間ばかりが長くて、あとは個人やパートにお任せします!みたいな日がとっても多かったんです。こんな日が何日もあると、どうしても部員の覇気がなくなり、欠席も多くなってしまいがちです。

こんな時に活躍するのがパートリーダーさんで、時間をきっちり決めていくのはもちろんのこと、時間ごとの内容と目的、目標を細かく設定してあげられることが、部員全員のやる気を維持するきっかけにもなります。

そして、パート練習に関しても、いつからどのくらい行うのか、どの曲のどの箇所を行うのか、目標も含めて決めます。

でも、ここまで詳細に決めるためにはリーダーさんは各奏者のレベルや進み具合、理解度を把握している必要があります。楽譜を読むのが苦手な初心者の人がいるのにもかかわらず、全員でいきなり譜読み目的で通すぞ!なんていうのはあまりにもかわいそうですし、能率が悪いだけです。逆に、もうみんな結構なレベルを持っているのに、ただ通し練習をするというのも意味がありませんよね。

リーダーさんは常に全員の状態を知っておく必要がある、ということです。重要な役職ですね。


《全員出席》
前回の記事に書きましたが、パート練習の中で「演奏者なのに演奏しない指導役」が存在してしまうのはよくありません。同じように、パート練習をするのに欠席者、遅刻早退者がいるのも絶対にダメです。
欠席者がいるようでは共通したイメージで作り上げることができませんし、バランス確認もできません。アンサンブルをする上で必要ないパートなど存在していませんから、各奏者がそれらのことを自覚をすることも大切ですし、リーダーさんや先輩はそれを理解してもらうように伝えなければいけません。
まさかとは思いますが先輩が欠席や遅刻なんてしていたら説得力のかけらもありませんよね。

複数で練習する時(個人練習以外)は全員絶対出席で行うことが鉄則。ですから、事前にパート練習をすることを伝え、スケジュール管理をしなければいけませんよね。これもパートリーダーさんの仕事です。
そしてリーダーさんを含め奏者全員が、体調管理に気をつけて病欠しないように心がけて下さいね。みんなに迷惑かけちゃいます。


《目的、目標の設定》
先程「パート練習で具体的に何をするのか」という目的をパートリーダーさんが決めておかなければパート練習の意味がないと書きました。

この場合の目的というのはパート練習を行う時期やタイミングによって様々なものに変わります。

例えば、新しい楽譜を配られて間もない時期なら「譜面に書かれていることを間違わずに演奏できているか」でも良いでしょう。他にも「音の出だしと処理の統一(呼吸の統一)」とか、「テンポ記号(テンポ変化も含む)やアーティキュレーション(スタッカートやアクセント、テヌートなど)やダイナミクス(強弱記号)、フェルマータなどの楽譜に書かれている音符以外の内容」のイメージや演奏方法の統一を目的にしたり、全員の譜読みが進んできたら「この場面はどんな雰囲気で演奏したら効果的か」という表現の統一に時間をかけるのも良いでしょう。

欲張って一度にいろいろな目的を設定してしまうと時間もかかるし混乱もしますので、目的をできる限り絞り、「来週のパート練習は○○の曲の○○の部分の○○について徹底的にやります!(だからそれまでに 各自しっかり目的に合わせた練習をしておいてね)」といった感じで事前に伝えておくと効率的になります。

そして同時に「目標」も設定して下さい。どういうことができたらひとまずクリアなのかが漠然としすぎていると結論が出ずに達成感を味わえません。もちろん、音楽に完成はないので妥協してしまうのは良くありませんが、その日の限られた時間内でできることには限界がある、ということを理解しておく必要はあると思います。


また、目的を設定する上でこれだけはやめておいたほうが良いというのが「ピッチ確認ばかりやること」です。

吹奏楽部はなぜだか「チューニング」や「ハーモニーバランス」をはじめとした「ピッチ(音そのものの高低)」にやたらとこだわることが多く感じますが(悪いことではありませんが)、ピッチというのはひとつひとつの音に対して意識的に操作し、修正するものではありません。

「ピッチが悪いからピッチを直す」という安直な考えでは一向に改善することはないのです。

ピッチというのは「楽器を正しく鳴らす(楽器本来の持つサウンド)」ことができ、「聴いていても気持ちのいい『音程感』」や「美しいハーモニーのイメージ(ピッチだけが関係するものではない)」など、様々な音楽的イメージを持っていて初めて安定してくるものです。

ですから先輩がチューナーを握りしめて「その音高い(低い)!」と指摘し、口周辺の力加減やチューニングスライドの操作で直していったところで、いざ通すとまたピッチが戻っていることがほとんどです。仮にピッチが直ったとしても、いちいち奏法操作した状態で出てくるサウンドはひどいものになり、音楽的な流れとはだいぶかけ離れた「音楽的音程感がなく、ぎこちないだけの音の羅列」に留まることでしょう。そんなことをしていても何も楽しくありませんし、そもそも意味のないことですから、目的に設定したり、練習中にピッチの話題ばかりにならないよう、注意しましょう。

それでは、ぜひ今回の記事を参考に、効率的なパート練習を実践してみて下さい。
慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、長く続けていれば結果は絶対に出ます!

次回もパート練習について書いていきますので引き続きおつきあい下さい。

それではまた来週!




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at 06:58, 荻原明(おぎわらあきら), 練習に対する考え方

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