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フレーズ








みなさんこんにちは!
毎日毎日クラクラする暑さですが体調を崩したりしていませんか?
吹奏楽コンクールに出場する方は練習も大変でしょうから、体調管理には充分気をつけて下さいね。

さて、前回「体の動き」というタイトルで「拍に合わせてうなずくように体を動かさない」と書きました。さらに「フレーズ感を持って演奏しましょう」ということも書きましたので、今回はこの「フレーズ」について考えてみようと思います。


《フレーズとは》
レッスンや合奏で指導を受けている時に「フレーズをもっと感じて!」と言われたこと、一度はあると思います。

が、みなさん「フレーズ」という言葉、きちんと把握しているでしょうか。

とりあえず辞書で調べてみると、「文中の言葉のひと区切り」と書いています。音楽に関しても書いてあって「旋律線の自然なひと区切り」と書いてあります。まあ同じことですよね。

前回の記事で「拍で音楽を感じない」と書きました。それは、音楽は音符がいくつも並んでメロディを作ってるのだから、1拍ごとにウンウンウンウンと演奏していては「旋律の自然な一区切り=フレーズ」を演奏することができないからなんですね。

フレーズという言葉の意味がわかったと思いますが、それでは実際にフレーズ感を出して演奏しましょう、と言われたところでどうすればいいかは、まだちょっとわからないところが多いですよね。


《文章を読む》
『ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。けれどもあんまり上手でないという評判でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。』

これは宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」の冒頭部分を少し変えたものです。
はい、では声に出して読んで下さい。

ひとそれぞれ読み方は若干異なるでしょうが、みなさん自分が思うように読めたかと思います。

まさかとは思いますがいちいち単語などで区切って読んだりしてませんよね?「ゴーシュは」「町の」「活動」「写真館で」とか。
そんなロボットみたいな読み方したら不自然ですものね。

まさかとは思いますが、単語を更に分けて「セ」「ロ」「を」「弾」「く」「か」「か」「り」なんて読む人なんていませんよね。


文章というのは上記のような「あ」「い」「う」といった「発音」が組み合わさって「単語」になり、その単語が様々な品詞の組み合わせで「文章」になります。

文章になると、その文字の羅列が何を伝えようとしているのかがわかりやすくなったりイメージすることが非常に容易になり、より自然に読むようにできる一区切りを「フレーズ」と呼ぶことができます。

フレーズの区切り方は人それぞれですが、文章のお約束として「、」や「。」が出てきた時は一度区切りますよね。

そうしないと、意味がおかしなことになってしまうからです。
そう、しないと意味がおかしなことになってしまうからです。


で、これらは音楽でもまったく同じです。
文字、文章だとすぐにできるのに、音符、楽譜になるとそれができなくなる人、とっても多いんじゃないですかね?


《メロディを声に出して歌う》
楽譜を読む、いわゆる「譜読み」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、初心者の人になればなるほど「譜読み」を単に「リズムと音の高さを理解する」だけで終わってしまっています。
もちろん、日本語の文章に比べたら楽譜を読む経験が少ないのはしかたがないことなのです。でも音符をひとつのかたまりにしてメロディ、フレーズにすることで初めて聴く人に「音楽」を伝えることができるのですから、楽譜という記号の羅列に惑わされることなくフレーズ感を出して演奏するようにしなければ意味がありません。

かと言ってやはりトランペットを吹くのは、初心者であればあるほど出したい音色や出したい音(の高さ)を的確に当てるのは難しいですし、いろんな技術面での障害が多いので思ったように吹くことができないかもしれません。

そこでトランペットでフレーズを作る前に、楽譜を「声に出して歌う」ことをおすすめします。

文章を声に出して読むのが難しくないのですから、音符を声に出して歌うことも難しくないはずです。
音痴とかそういうのは別としても、フレーズ感を出して(自分が一番自然に歌えるフレーズを感じて)歌うことはできるはずです。

そうしているうちに自分が歌いたいフレーズをつかむことができますから、それを今度はトランペットでも出せるように練習を積み重ねていくのがスムーズに演奏ができるようになる近道だと思います。


《見えないスラー》
楽譜にもよりますが、メロディのところには長いスラーが書かれていることがあります。
基本的にはスラーというのは「タンギングをしないで一息で吹く範囲」という解釈になります。2,3個の音符にスラーが付いている時にはそれはフレーズとは言えず、単にアーティキュレーションの表現として書かれていますが、何小節もまたいで長くスラーがついて いる時には作曲家(編曲家)自身がフレーズを示してくれていると考えて良いと思います。

でも、常にフレーズをスラーで演奏するわけでもありませんね。
スタッカートが連発するようなメロディであっても、それがひとつのメロディなどであればフレーズ感を持って演奏しなければ「単なる音符の羅列」になってしまい、音楽ではなくなってしまいます。そんな曲ではスラーを付けることができませんからもちろん書かれていることが少ないでしょう。

そこで自分は「見えないスラー」という言葉を使ってレッスンでも自分自身でもフレーズを認識するようにしています。

楽譜には書いてありませんが、「ここからここまでは見えないスラーが付いているんだ」と感じて演奏をする、そうすることで常にフレーズ感を持って演奏ができるんです。

ぜひやってみて下さい。


《フレーズとブレス》
楽譜に書いてある長いスラー、たまにですが「息が続かないくらい長いスラー」が付いていることがあります。

こんな時は別に絶対にブレスをしてはいけない、ということではありません。呼吸によって音を出している管楽器にとって、ブレスをするという行為は単に「次からの音を吹くための補給」でもありますね。

ですから、息が足りなくなって苦しんで演奏するよりかは、どこかでブレスを取ってしまって構わないと思います。もちろん違和感のない場所に限りますが。

そして、この時のブレスは「質が違う」ということを意識していないといけません。

曲中に四分休符などがあった時に余裕を持ってブレスができる時と同じようにしてしまうと、フレーズがそこで途切れてしまいます。ですから、フレーズ中にしかたなくブレスを取る時にはそれを意識していなければいけません。ということは、かなりの短時間でブレスをすることになりますから、この2つのブレスは質がまったく違うということを覚えておきましょう。

あまり聴く機会がないかもしれませんが、テューバのソロ曲をCDでもいいので一度聴いてみて下さい。

テューバ見てわかる通りトランペットに比べて使う息の量は多いです。ですので、長いフレーズを歌う時にも途中でブレスを取らなければならないことが多々あるようです。その時のブレスの取り方、実際に音で聴いてみるとよくわかるかと思います。

ぜひ参考にしてみて下さい。



ちなみに、フレーズというのはメロディだけに当てはまるものではありません。
単音しかだせない管楽器にとっては、メロディを吹く人がいればもちろん伴奏形(和音)を複数で演奏している人もいるし、ベースラインを演奏している人もいます。
それらの別の仕事をしている人たち全員が同じフレーズ感を持って演奏をしていなければ、音楽が統一せず、まとまりのない音楽になってしまいます。

ですから、自分がメロディを担当していない時でもその時演奏されているメロディをしっかりと感じ取って、一緒にフレーズ感を出して演奏するように「見えないスラー」を楽譜に出せるようにしましょう。

それではまた来週!


当ブログの写真・記事等すべての営利目的による無断利用、ネット上などへの無断転載を禁止します。

at 21:24, 荻原明(おぎわらあきら), 音楽に対する考え方

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体の動き








みなさんこんにちは!
学生の方はいよいよ夏休みですねー、うらやましい…

でもコンクールに出る吹奏楽部はこの夏休みが一番忙しいかもしれませんね。
自分も中学高校の頃はこの時期毎日学校に行って朝から晩まで練習していました。

一日中楽器が吹けるのが楽しくて、全然苦じゃなかったです。

さて、今回はそんなコンクールの時にも役立つ合奏時のことを書いてみます。

個人レッスンをしていても、吹奏楽部の合奏を見ていても本当に多くの人がやっていて気になることがあります。

それは「拍に合わせて足をタップすること」だったり「拍に合わせて体を動かすこと」です。

足のタップに関しては過去に書いた記事がありますのでぜひ読んでみて下さい(こちらをクリック!

ですので今回は「拍に合わせて体を動かす」ということ、更には体の動きに関して書いてみようと思います。


《拍に合わせて体を動かす》
自分が演奏している時の体の動きと言われても、もしかしたらあまりピンとこないかもしれません。
特に合奏などの自分が集中している時というのは、無意識な自分が出てきますし、そもそも合奏中は目の前に鏡がありませんから、指摘されるまで気づかないことが多いんです。

音楽にのって体を動かすことが悪いと言っているわけではありません。そうではなく、「拍に合わせてウン,ウン,ウン,ウン…」と動いてしまう音楽の乗り方」が良くないんです。

なぜ良くないか、理由はいろいろあるんですが、ひとつは

■素人的に見える

ということが挙げられます。


《リズムの学習》
幼稚園や小学校低学年の頃に例えばカスタネットを叩きましょうなんてことがみなさんも経験があったと思います。
この時に左手にカスタネットを持ち、右手で叩くことになりますが、1拍叩いて1拍休むというリズムを学ぶにあたって先生から教わった動きを覚えていますか?


タン(叩く)、ウン(休む)、タン、ウン……


とか、そういうリズム。
叩いた後は大きく弧を描くように手のひらを上に向ける半円の大きな動きをさせますよね。

多分、そもそもこのリズムの取り方がもはや本能的に体に染み付いているせいでその後もずっと抜けきらないんじゃないかと思うんです。

中学生、高校生になっても無意識にリズムを「拍で捉える」こと、拍に合わせて体を揺らしてしまうのは、おゆうぎ会的に見えてしまうので、「素人的に見える」ということになってしまいます。


もうひとつは「フレーズ感を持てなくなる」ということが挙げられます。


《フレーズ感を持った演奏》
音という単体がテンポや拍(ビート)の上に並ぶことによって音楽が生まれます。

いくつかの音が並ぶと、それがひとつのグループになります。

そのグループがいくつも並ぶとひとつの作品になります。


我々プレイヤーはお客さんに「音楽」「作品」を聴いてもらうために演奏をするのであって、「単体の音」や「単なる音の羅列」を披露するわけではありませんね。

そのためにはリズムに合わせて単体の音をひとつひとつ一生懸命に吹いたところで何も伝えることはできません。

大事なのは、そのいくつもの音が並んでグループになった「フレーズ」を表現することです。

フレーズについては後日詳しく解説しますが、今の段階ではとにかく「拍で体を動かしていてはフレーズを表現することができない」ということに着目して演奏するようにして下さい。


《体の外に出さないだけ》
上記に挙げた点で勘違いしないでもらいたいのですが、決して「テンポ感を持つな」と言っているわけではありません。リズムやビート感は演奏をする上で絶対に持っていなければならない大切な基礎的な部分ですから、なんとなく流れてしまうような音の羅列を作ってしまうのは良くありません。


ここで言いたいのは「体の外に出す必要がない」ということです。


リズムやビート感は自分の体の中でしっかりと持っていれば良い話であって、それを体の外に出して伝える必要はありません。
「自分はリズムを感じているんだ!」と主張することに意味はありませんよね。それが例え無意識であっても同じです。

我々プレイヤーが心やイメージから外へ(お客さんへ)主張するのは「音色」であって「歌(カンタービレ)」なんです。


※テンポやビートの感じ方については過去の記事「テンポ/ビート/リズム」をご覧下さい。


余談ですがトランペットは長さのある楽器ですから、ほんのちょっとリズムに合わせて体が動いてしまってもベルは大きく動きます。だからレッスンで目の前で見ていても、コンサートホールで遠くの客席から見ていてもバレバレなんですよね。
しかも楽器がキラキラしているからステージの強いライトなどがあたると余計にわかります。


《プロ奏者の動き》
フレーズ感を持って演奏していると、(人にもよりますが)体は無意識に動きます。
プロのソリストのコンサートやオーケストラでも非常によくわかります。

テレビやDVDでもいいですが、やはり生で見てもらえたら非常にわかりやすいかと思います。
ぜひいろんな楽器のいろんな奏者の体の動きを見てみて下さい。

誰ひとりとして拍に合わせてウンウンウンウンと動いている人はいないはずです。
もしオーケストラの全員がウンウン一緒に動いていたら本当に気持ち悪いですよね(笑)


ということで今回は「拍に合わせて体を動かさない」ということについて書きました。
みなさんもコンサートやコンクールなどで演奏する機会はあるはずです。
素人的に見えないようにするためにも、フレーズ、音楽を感じて体を使えるようにするためにも体の使い方について鏡や撮影をするなどして一度自分の動きを客観的に見てみて下さい。

それではまた来週!


当ブログの写真・記事等すべての営利目的による無断利用、ネット上などへの無断転載を禁止します。

at 11:06, 荻原明(おぎわらあきら), 体の使い方

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いろいろなトランペット 3(Eb-D管トランペット)








みなさんこんにちは!
今回も引き続きトランペットを紹介していきます。


《Eb-D管トランペット》
前回紹介したピッコロトランペット以上に身近な楽器ではないかもしれませんね。

やはり使用頻度もかなり低いので、実は自分も持っていないんです…。
なので写真がありません。どんな楽器か見てみたい方はリンク先をどうぞ。

※リンク先はこのブログとは無関係のお店です。写真がわかりやすかったのでリンクさせてもらっちゃいました。


《Eb-D管の構造》
前回解説したピッコロトランペットのように、このトランペットもひとつの本体(ここでは左手で握るバルブ部分を指しています)でEb管にもD管にもなるのが一般的です。

音域としては、Eb管トランペットにしていた場合、Bb管トランペットの楽譜で言う五線の中の「ファ」の音(第一間)がピストンを押さないでも出る(いわゆる「ド」の音の感覚)ということです。
きちんとした言い方をすれば「Bb管よりも完全4度上の音が出る」んです。


この楽器の調性をEbからDに替える時は、ピッコロトランペットのようにチューニング管を伸び縮みさせて変えるのではなく、ベル、トリガー部分の管を取り替えることによって変化させます(そうでない楽器もあります)。


ベル部分が取れるというのが他のトランペットに無いことなのでちょっと面白いですよね。


先程言ったように自分はここ最近使うことがありませんが、良く使う人もいたりします。
どんな時に使われる楽器なのかと言うと、トランペット協奏曲を演奏する時なんですね。


《トランペット協奏曲》
協奏曲(コンチェルトとも言います)というのは、何か特定の楽器がオーケストラの伴奏でソロを演奏する形態の作品を指します。トランペットに限らず、木管楽器や弦楽器、珍しいところではティンパニの協奏曲というのもあります。

ではトランペット協奏曲という作品はどれでもEb-D管を使うかと言うと、もちろんそうではありません。

代表的なのはハイドン(フランツ・ヨーゼフ・ハイドン 1732-1809)という作曲家の作品です。
この作品はそもそもEs dur(変ホ長調)で書かれているため、Eb管で演奏するのに非常に適しているんです。
Es durの曲をEb管で吹くのですから、要するに調号が何も無い状態で吹けるということなんで、イメージすると吹きやすいのもわかるのではないでしょうか。

他にも、ネルーダという作曲家のトランペット協奏曲も同じくEs durなので、普通はEb管で演奏します。

また、ハイドンやネルーダ以外にフンメルという作曲家のトランペット協奏曲もEb管を使って演奏することが多いのですが…この作品に関しては後述します。


これらの協奏曲はどれも非常に有名な作品で、音大生くらいになると一度は吹く機会(吹かなければいけない機会?)があります。CDも沢山出ていますから、ぜひ聴いてみて下さい。


《バロック音楽》
前回のピッコロトランペットもバロック時代の音楽を演奏する時によく使われますが、Eb-D管トランペットもD管にすることで同じように多く使われます。
というのも、これも調性が関係していてトランペットの出てくるバロック作品はほとんどがD durなので(前回記事参照)、D管で演奏するには適しているからなんです。

また、バロック作品もオーケストラではトランペットは2パート、場合によっては3パート必要になってくるので、1stがピッコロでその下のパートはD管で演奏することがよくあります。ピッコロトランペットと音を合わせる時、D管のサウンドはとても合わせやすいんです。


《フンメル/トランペット協奏曲》
さて、先程少し触れたフンメルという人のトランペット協奏曲なんですが、この作品Es durで演奏されることがとても多いので、その場合はハイドンと同じようにEb管で吹くことができるのですが、実はフンメル自身はE dur(ホ長調)で書いたんです。

E durというのは、実音の調でシャープが4つ付きます。

シャープ4つの調をC管で吹くと、もちろんシャープ4つ。
Bb管で吹いたらシャープ6つ。


ああ吹きにくい。


ということで、作品の難度からしても早いパッセージや音階、跳躍などが多いこの曲は、C管やBb管ではちょっと大変すぎます。


そこで使われるのが「E管トランペット」という楽器です。

実際にはこれもコンビネーショントランペットで、ベルなどを交換できるEb-E管です。


はっきり言ってこのE管トランペットはフンメルを原調で演奏するためだけに使われる楽器です。

自分も1,2度くらいしか吹いたことありませんが、なんだか不思議な楽器でした。
ピッチをつかむのが難しかったです。


《オーケストラ作品》
バロック時代以外のオーケストラ作品でもたまに使われることがあります。
ただ、この場合は通例として非常に音域の高いパッセージを演奏する場合に限り持ち替えるので、奏者の判断によってはずっとC管だけで演奏することもあります。

バルトーク作曲の「管弦楽のための協奏曲」などで使われることがあります。


《トランペットアンサンブル》
トランペットアンサンブルと言っても、よくある4重奏、5重奏のことではなく、自分が通っていた東京音楽大学のトランペット専攻生による自主公演の話なんですが、このコンサート、メインプログラムとして専攻生全員による演奏があるんですね。

今でこそ東京音大のトランペット専攻生は沢山いるんですが自分が学生だった当時は1学年5〜7人という感じでした。ですので全員でも30名前後。それにしたってトランペットだけで30人が一斉に演奏するのは結構な人数ですよね。


トランペット30重奏曲なんてものはありませんから、いつもオーケストラの作品を独自に編曲していて、記憶の強いところではリムスキー・コルサコフ作曲の「スペイン奇想曲」や、ボロディン作曲の「だったん人の踊り」などをやりました。

もちろん、打楽器や少人数のトロンボーン、テューバなどに協力をしてもらっての演奏なのですが、オーケストラ作品をトランペットだけで演奏するというのは、要するにヴァイオリンも木管楽器も全部吹くことになります。

想像以上のテクニックが必要になりますし(トランペットらしからぬパッセージを演奏するのは結構大変)、何よりもとほんど同じ音域しか持っていないトランペットに幅広いオーケストラの音域をカバーしての演奏しなければいけないというのはとっても大変です。

そこで、音色の変化を使った編曲になってくるわけで、大学にあるトランペットというトランペットをあるだけ出してきて、ピッコロ、Eb-D管、C管、Bb管、コルネット、フリューゲルホルンをそれぞれ2,3パートに分けた編成で演奏していました。

自分は3年生の時にEb-D管を、4年生の時にはピッコロを担当していて、特殊楽器を吹く経験が沢山できましたが、まあ今思い出してもキツかったなあと(笑)


若さってすげーな、なんて思ってみたり。

だって、コンサートの前半は普通の少人数アンサンブルをさんざんやったあげく、この大編成アンサンブルをやってアンコールでも吹いて。。。って本当にキツいですよ。


今やれって言われても無理なんじゃないかな。。。。わかんないけど。


この時の楽器運搬もさることながら、舞台袖の楽器の数といったらハンパないです。どれが誰の楽器だかマウスピースだかわかんなくなっちゃうくらいですから。


まあ、楽しかった思い出です。余談でした。



ということで3回に渡っていろいろなトランペットを紹介してみました。
C管やピッコロ、Eb-D管を吹いたことがない方もいらっしゃると思いますが、ぜひ機会があったら吹いてみて下さいね。

それでは今週はこのへんで!


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at 13:41, 荻原明(おぎわらあきら), 楽器・アクセサリー・ツール

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いろいろなトランペット 2(ピッコロトランペット)








みなさんこんにちは!

前回よりいろいろなトランペットについて解説しています。今回はその続き。


《ピッコロトランペット》

ピッコロトランペット


みなさんはピッコロトランペットを吹いたことがありますか?
楽器屋さんに行けば結構普通に置いてあるので見たことはあるかと思いますが、吹奏楽をやっている方にはあまり縁のない楽器かもしれません。


《バロック音楽》
というのもピッコロトランペットは主にバロック時代というバッハやヘンデルといった作曲家が活躍していた今の音楽のベーシックな部分が確立された時代の作品を演奏会する時に多く使われるからです。

その当時のトランペットというのは「バロックトランペット」と言われる今の楽器とは随分と違う形で、ピストンやロータリーバルブのないただ管を曲げただけのものなんです。

ですから、演奏するには基本的に倍音だけで何とかしなければなりません。倍音というのは同じフィンガリングで出せる音のグループのことです。

皆さんも吹いているピストンのトランペットも同じなのですが、ピストンを押さないで音を出すと、Bbの次は5度上のFという具合に低音域はかなり音程が広いですよね。

でも高音域に行けば行くほど倍音は狭くなります。
いわゆるHigh Bb周辺になれば、もう倍音はとなりの音だったりしますからピストンを使わなくてもいろいろなメロディを吹くことも結構できますよね。

バロックトランペットも構造がほぼ同じと考えると、この時代の作曲家がトランペットにメロディを吹かせようとしたらかなりの高音域にせざるをえなくなります(実際は現代楽器とは出せる音域が違うので全く同じ構造ではありません)。

ですので、当時の作品を現代楽器で演奏する時、普通のトランペットで吹くには音が高くてかなり大変なことになってしまいます。

そこでこの時代の作品に多く使われるのが、普通のトランペットのオクターブ上から音が出せるピッコロトランペット、ということなんですね。

学校の音楽の授業ではバロック時代の金管楽器が活躍する作品をほとんど取り上げないので知らない方もいるかもしれませんが、実は「トランペットの黄金期」と呼ばれるほど大活躍した時代なんです。

バッハの宗教曲やヘンデルのオラトリオ、特に「王宮の花火の音楽」という作品に至っては管打楽器だけの大オーケストラの編成(吹奏楽は、もうこの時代からあったんです!)で書かれています。

また、テレマンと言う作曲家は、管楽器の作品を多く書いていて、トランペットにも協奏曲など、名曲がいくつもあります。

他にもこの時代のトランペットのための作品や、オーケストラ作品の中に出てくるトランペットは本当に花形の楽器として扱われることが多いんです。

興味があったらバロック時代の音楽、聴いてみてください。


《ピッコロトランペットの調性》
ピッコロトランペットは普通、Bb管かA管でできています。
ただ、普通のトランペットと違うのは「ひとつの楽器で調性を変えられる」という点です。

写真を見てください。

20100706-01.jpg 20100706-02.jpg
20100706-03.jpg 20100706-04.jpg


上がBb管の状態で、下がA管の状態です。
普通のトランペットと違ってマウスピースを付けるすぐ近くにピッチを調整するシステムがあって、この管を短くすればBb管、長く伸ばせばA管になります。

自分が持っているピッコロトランペットはシルキーというアメリカのメーカーで、上記の変化で調性を変化させるのですが、Bb管用の管、A管用の管の2つが別々にあって、取り替える方法の楽器もあります。


《クリスマスオラトリオ》
自分が最初にピッコロトランペットを本番で吹いたのは大学1年の時の「クリスマスオラトリオ」というバッハの作品でした。

声楽科の有志が集まって学内でやったコンサートだったと思いますが、トランペット科の先輩がみんな参加したがらなくて最終的に1年の自分に回ってきちゃったんです。

クリスマスオラトリオという作品がどんなものかもよくわからずに安請け合いしちゃったんですが、とりあえずこの曲、トランペットがかなり重要で、度々ソロが出てくるんです。まあ、それも後からわかったことなんですけどね。

もちろんピッコロトランペットで吹くんですが、この当時、A管というシステムが理解できずに、より身近だったBb管で吹いてたんです。

でもバロック音楽でトランペットが出てくる時というのはほとんどD durで、この作品もトランペットが出てくる曲はそうでした。

読み替えについてはここでは割愛しますが、ともかくBb管で吹くとシャープ4つ、A管で吹けばフラット1つの運指になります。
これだけでも吹きやすさにかなりの違いがあるのはわかってもらえるかと思いますが、まあ当時の自分にはわからなかったんですね。

誰か教えてくれればよかったのに…

なんて人まかせなこと言わないで教われ、って感じですよね。
とにかく当時は全然知識がなかったんです。

あ、もちろんピッコロトランペットなんてそれまでちゃんと吹いたことがありませんでしたから、めっちゃくちゃ下手でしたよ(笑)


《現代作品でのピッコロトランペット》
バロック以外でもピッコロトランペットはもちろん使われます。特にオーケストラの作品にはたびたび出てきます。

例えば有名なところでは、ラヴェル作曲の「ボレロ」とか、ムソルグスキー作曲(ラヴェル編曲)の「展覧会の絵」だったり。

これらの作品では、単に「高い音が欲しいから」というだけでなく「ピッコロトランペットというサウンドが欲しい」という理由のほうが強いかもしれません。
特に「展覧会の絵」でピッコロトランペットを使う「サミュエルゴールデンベルクとシュミイレ」という曲では、貧乏人のみじめなキャラクターをピッコロトランペットにストレートミュートを付けて演奏させるなんて発想は、さすがラヴェルだなと思いますね。

ちなみに吹奏楽のオリジナル作品にもピッコロトランペットで吹くよう、指定されているものもあります。


《高い音が出るだけのトランペット?》
よく勘違いしている人が多いのですが、ピッコロトランペットは「高い音を出すための楽器」ではありません。
もちろん、高音域を効果的に出すためにピッコロトランペットを使うこともありますが、オーケストラでも吹奏楽でも、「この箇所は普通のトランペットじゃキツイからピッコロトランペットに持ち替えよう」という理由で使うことはまずありません。

それは先程書いたようにピッコロトランペットは非常に独特なサウンドを持っているからです。

また、ピッコロトランペットを使ったからと言って高音域が楽に出せるわけではありません。
Bb管やC管でも高音域がきちんと出せなければピッコロトランペットを吹くことはできません。

結局のところ、ピッコロトランペットというのはあくまでも「持ち替え楽器」ですから(ピッコロトランペット奏者という職業を聞いたことがありません)、どんなトランペットでも広い音域をしっかりと良い音で吹けるようにならなければいけない、ということですね。


もし今後ピッコロトランペットを吹く機会があったら、「特別な楽器だ!」と意識することなく、いつもの感覚を決して忘れずに吹くようにしてください。
そしてピッコロトランペットはただの高い音が出る楽器と思わず、ピッコロトランペットの良い音とはどんな音なのか、CDやコンサートをぜひ聴いて研究してください。

特にモーリスアンドレの演奏は絶対に聴くべき!


それではまた来週!


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at 12:45, 荻原明(おぎわらあきら), 楽器・アクセサリー・ツール

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