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「走る」ということについて 3








みなさんこんにちは!
先日の記事で薬指を鍛えましょう、なんて感じの話題を出しました。まあ、ラッパを吹くにあたっては薬指はとっても大切な指ですし、ピッコロトランペットでバロック音楽を演奏する時なんかは、トリルを薬指でかける場面がすーーごく沢山出てきます。
そんな大事な右手薬指を、、、


負傷しました;ヤベ。


重い荷物を持った時に手を滑らせてしまい、そのまま右手の薬指だけ荷物とともに持っていかれちゃいまして、そっくりかえっちゃいました。
手のひら、特に薬指の付け根あたりから今まで聞いたことのない「ペキ」みたいな音がしてからというもの、開いても握っても痛くて。ビキビキしてます。
多分腱が伸びちゃったんでしょう。

あ、でも多分大丈夫です。病院には行ってないんですが数日経った今、少しずつ痛みも違和感もなくなってきている感じですので。

みなさんも怪我には充分気をつけて下さいね。


さて、先々週より「走るということ」について書いています。今回は最終回。


《音価》
音価というのは「四分音符」とか「八分休符」とかのことです。
楽譜は、拍子によって1小節の中に入る音価が決まっていますね。4/4拍子だったら四分音符(または休符)4つ。八分音符(休符)だったら8つ、といったように。

それらの音符は、テンポによってどれくらいの時間をかけるか具体的に決まってきますが、そのひとつひとつの音符が支配する時間の長さが合っていないと走る、もしくは遅れてしまいます。

理屈はともかくそんなことわかっているし、と言うかもしれませんが、無意識に音価が乱れてしまうフレーズというのがあるんです。
もちろんそれは訓練を続けたり、ここは走りやすい(遅れやすい)部分なんだと経験的、感覚的にわかってくれば話は別です。

ということで、とりあえずどんな時に走りやすいのかをここで解説してみたいと思いますがその前に今回書く内容は、楽譜にするとこんな感じです。これを見ながら読んでもらえるとわかりやすいかもしれません。

 ハイドントランペット協奏曲


《全音符(長い音符)》
テンポがどうあれ、ロングノートが出てくると走りやすくなります。この場合走るというよりも「テンポ感覚がなくなっていく」と言ったほうが正しいかもしれません。
ロングトーン練習などでメトロノームをカチカチさせながら吹いている時はそんなことないと思うのですが、吹奏楽曲やソロ曲などの作品を1人でメトロノームなしで練習している時、4拍なら4拍の伸ばしが正確でなくなることが多々あります。

なぜそうなってしまうのか理由は簡単です。拍を数えてないからです。

メロディなどを吹いていて、動きがある時はテンポ感をおおよその感覚だけで吹いていてもなんとかなっていても、途中で長い音を伸ばすだけの全音符が出て来ると、そこで「なんとなく4拍」伸ばすだけになってしまいがちです。

そうならないためにはやはり「常にビート感を持って吹き続けること」が大切です。

また、タイ(小節線をまたいで音を伸ばす記号)が出てくるとテンポが乱れがちになります。これも基本的には上記のことと同じではあるのですが、ちょっと吹き方(感覚の持ち方)にテクニックが必要になりますので、この件についてはまた別の時に詳しく解説します。


《スタッカート》
スタッカートが出てくると走ってしまうことが非常に多くなります。

スタッカートはご存知の通り「音を短く演奏する」という記号ですね。言い方を変えれば「音価よりも音を出す時間を短くする」ということになります。

ここで勘違いしないで欲しいのは、「1小節の時間が短くなるわけでもなく、音価が短くなるわけではない」ということです。
スタッカートだろうがテヌートだろうが、楽譜上にテンポに関する指示がない限り、1拍、1小節の経過時間は変わりません。

文章で書くと理屈っぽいですね。簡単に言えば、

「スタッカートで演奏すると、空白の時間が必ず生まれる」

ということになります。

この「空白の時間」をしっかりと感じていないと「短い音が連発する」=「走る」ということになってしまいます。


《走らないための練習方法》
スタッカートで走ってしまうのもやはり「テンポやビート感をしっかりと感じていない」のが理由です。そのためにはメトロノームを使って様々な音価を吹き分けられるように練習することが良いと思います。

メトロノームの使い方については以前ここでも書きましたが、メロディを練習する時に常にカチカチ鳴らすのはあまり望ましいとは言えません。また、ロングトーン練習をただ単にひとつの音をボーっと鳴らし続ける練習だけやるのもあまり良い練習ではありません。

例えばいつもやっているロングトーン練習を(多分音階練習が主だと思いますので)全音符だけでなく、四分音符のスタッカートやテヌートに変えてやってみるだけでも全然違うかと思います。

そういったようにいつも行っている練習を少し変えてメニューを増やすだけでも「走る」ような単純なミスは防ぐことができます。

基礎練習も練習方法も、いつも同じものをやるだけでなく、様々な角度から新しいものを取り入れてみることが大切だと思います。


《休符》
スタッカートについて書いたのでついでに休符について簡単に書いておきます。

休符というのは音を出さない音価のことですが、この漢字が勘違いを招いていると以前から思っているんです。
何かというと

「休符は休まない」

ということです。もちろん長休符のような8小節、16小節吹かない箇所については休むべき場所だとは思うのですが、メロディの中に含まれている休符や、フレーズとフレーズの間に出てくる休符などは休むために作られた空白の時間などではありません。

ここで一息ついているだけで次の出だしが遅れてしまうこともありますし、メロディの持っている「前に進むパワーやテンション」がそこで萎えて(なえて)しまう原因になってしまいます。

ですから、メロディの中や途中で休符が出てきた時には停止する感覚ではなく「休符をジャンプして飛び越える」と感じて吹いてみて下さい。
以前の記事で「リズムは平面(2D)ではなく立体(3D)で感じましょう」と書いたのですが、まさしくこのことです。




ということで3回に渡って「走る」ことについて書いてみました。
走る演奏はせっかちに聴こえるので聴衆の方が落ち着いて聴けませんから気をつけましょうね。

それではまた来週!



当ブログの写真・記事等すべての無断利用、無断転載を禁止します。

at 03:00, 荻原明(おぎわらあきら), 音楽に対する考え方

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「走る」ということについて 2








みなさんこんにちは!
先日の土曜日にお台場にいまして、外でトランペットを吹くなんてことをしていたんですが、あまりの強風に呼吸もできず楽器を構えることだけでも必死で。。。とにかくすごかったです。

そういえば中学生の時は毎年体育祭でマーチなんかを演奏していましたが、その時も強風で譜面台は飛ぶわ砂ぼこりで口の中がジャリジャリした状態で楽器を吹いていたことを思い出しました。
でもなんだかちょっと楽しかったり(笑)
こないだの土曜は楽しくなかったですけどね;


さて先週から「走る(テンポよりも速く吹いてしまう)」ことについて書いています。
前回の記事で並べた「走ってしまう状態」の中にひとつ書き忘れたことがあったのでそれを先に。

《息が足りなくなる時に走りやすい》
長いフレーズを吹く時、または充分なブレスができなかった時(深いブレス、それぞれのフレーズの長さに合わせたブレスが上手にできない人は慢性的になってしまうかもしれませんが)、息が少なくなってくるにしたがって走ってしまうということがあります。

想像ができるかと思いますが、息が足りないけどなんとか最後まで吹かないとっ!という気持ちから「とっとと吹くのを終わらせよう」という心理が働いて起こることです。

こうならないためには、「長いフレーズでも充分に対応できる深いブレスをする」または「フレーズの途中でも違和感のないブレスができるようにする」という方法があります。
フレーズの途中で上手にブレスをする、という点については後日書こうと思いますが、深いブレスをする方法については「呼吸」という一連の記事がありますのでそちらをまず読んでみて下さい。(→こちらをクリック!)


前回の記事で「速いテンポの曲は走りやすい」ということを書きました。今回はこの点の解決・練習方法を書いてみようと思います。


《慌てないことが大切》
「これから吹く曲のテンポは速いんだ!ムフー!」と覚悟して吹いてしまうのは、自分が吹こうと思っている以上にテンポを上げてしまいがちです。それは、これから100m走をしようと意気込んでいざスタートした途端、ものすごい追い風が吹いてくるようなもので、もしこうなってしまうと自分の限界を越えたスピードに耐えられず足がもつれて転んでしまったりします。

足がもつれたり転んだりというのはトランペットで言えば「指の動きが追いつかない」ということだと思います。

テンポは確かに速いかもしれませんがそれは決して「慌てて吹く」ことではありません。ですから必要以上に急ぐ必要はなく、むしろ落ち着いてひとつひとつの音をしっかりを吹くことがとても大切です。
気持ちまでもが慌てて、なんかはっきりしないけどすごい勢いでピストンを連打していても音がはっきりとしていないので「単なるグチャグチャした音の連続」になっているだけです。これでは音楽になりません。

ただ、「落ち着いて演奏しよう」と思っていてもフィンガリングがテンポに合っていなければ、それはただのトロい人になってしまいますから、そうならないためにもじっくり個人練習をしなければいけませんね。

そこで、正確なテンポ、指定された(速い)テンポに合わせて吹けるようになるための練習には「メトロノーム」がとても役に立ちます。


《メトロノームの使い方》
安定したテンポで演奏できるようになるために、ほとんどの人はメトロノームを使った練習をしているかと思います。
アナログであれ電子であれメトロノームは一定のテンポを刻み続けてくれるので走ってしまいがちなところを練習するには非常に効果的な道具ではあるのですが、メトロノームに頼りすぎたり、どんな時でも常に使ってしまうのは逆効果です。

実はだいぶ前にメトロノームを使った練習方法などについては既に書いているので、まずはそちらを読んで頂けるとありがたいです(→こちらをクリック!)。

そしてテンポが走ってしまわないための練習をする時に注意してもらいたいことに今回は焦点を当てて書いてみようと思います。


《ビート》
多分、速いテンポ、細かな動きが続くメロディなどの練習をメトロノームを使って練習しようとする時、カチカチカチカチ…とメトロノームのクリック音が鳴りまくっている状態で、ひとつひとつの拍をすべてぴったり合わせようと、できるだけ細かなカウントに設定しているのではないかと思います。

これを先程リンクした記事の中で言えば「ビート」を感じて吹けるようになろう、という練習にあたると思います。

もちろん細かなビートを感じて吹けるようになるのはとても大切なことですし、これができなければ他の人とのアンサンブルもずれずれになってしまいます。
しかし、最初から細かいビートにすべての音を当てはめようとすることはとても難しいことですし、そればかりを考えて演奏してしまうと機械的な演奏になる恐れもあります。

また、メトロノームがひたすらカチカチと鳴りまくっていると、「どんどん吹かなきゃ!」と気持ちが焦ってしまい、必要以上にテンポを速く感じて、最初に書いたような「落ち着いて演奏する」ということができなくなってしまいます。

以前「テンポ/ビート/リズム」という記事を書いたことがあります。こちらも合わせて読んでもらえるとよりわかりやすいかもしれません。(→こちらをクリック!)

ですので、こんな時は逆にメトロノームを大きな単位で鳴らすようにすると良いでしょう。


《フレーズ》
具体的に言えば、2拍に1度鳴るようにするとか、もっと速い曲だったり2/2拍子の曲なら4拍(1小節)に1回鳴らすように設定する、ということです。

そうすることによって次のクリック音が鳴るまでにその中にある音(例えば1〜2拍目にある音)が入るように演奏をすれば良くなるので、いちいちカチカチ鳴り続ける速いメトロノームに全部合わせなければ!という気持ちがなくなり、落ち着いて吹くことができるはずです。

これは、先程の「ビート」に対して「フレーズ感」を持って吹くということにつながります。

フレーズというのはわかりやすく言えば「ひとつの文章」といったところでしょうか。
文章というのは単語がつながり合って構成されていますよね。さらにその単語はひとつひとつの発音によって作られています。

「わ」だとか「と」だとか「ふ」と言った発音を細かなビートにすべて当てはめていく行為に対して、フレーズを表現するというのは「私はトランペットを吹きます」と言ったような文章を合わせていくことになります。

速いテンポのフレーズを演奏するにはこのほうがやりやすいですし、より音楽的に表現ができます。

ですので、速いテンポの曲だからと言って、メトロノームのクリック音までも常に速く設定して、それに一生懸命合わせようとする練習ばかりしているのではなく、もっと大きなくくりでたっぷりと演奏できるような練習をすることも大切だ、ということです。

でも、もちろん単語ひとつひとつ、発音ひとつひとつがはっきりと吹くことができなければフレーズ感を持って吹くことができませんから、最初はテンポを落としてフィンガリングをしっかりとし、リズムを様々に変化させた反復練習をする等、楽譜にかかれた音をすべて明確に吹けるようになる練習も必要です。
この件に関しては先日このブログで書きましたので、練習方法などは下記のリンクから読んでみて下さい

 →「教本の応用練習」
 →「フィンガリング練習」


ということで今回はメトロノームを使ってビートとフレーズを感じて練習する、ということを書きました。
次回は「音価」について詳しく書いていこうと思います。

それではまた来週!


当ブログの写真・記事等すべての無断利用、無断転載を禁止します。

at 00:33, 荻原明(おぎわらあきら), 音楽に対する考え方

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「走る」ということについて 1








みなさんこんにちは!
やっと春らしくなってきましたね。
それにしては先週、東京に雪が降りましたよね。ちょうどその日、夜遅くまで外出していたんですが(呑んでたんですが)、ホントに死ぬかと思うくらい寒くて、、、
今週はホントあったかくて幸せです。どんどんあったかくなって欲しいです。

さて、今回は「走る」ということについて書いてみようと思います。

そういえば中学1年で吹奏楽部に入った時、楽器も触らせてもらえず毎日毎日ひたすら学校のまわりをマラソンさせられていた覚えが、、、
なんであんなことさせられていたんでしょうか。。。意味ないのに。
まあ体力と根性はつきましたけど。って、走ると言っても、今回はスポーツ的なことじゃないですよ。音楽をやっているみなさんならわかりますよね。


《「走る」ということについて》
みなさんは合奏をしていたりレッスンを受けている時などに「走ってるよ!」と注意されたことはありませんか?
多分ほとんどの人が(過去に一度は)必ず言われているんじゃないかと思います。

「走る」というのは簡単に言えば「(指定された)テンポよりも(いつのまにか)速く吹いてしまっている状態」のことです。

メトロノームをならして曲とかを吹いている時にメトロノームのカチカチというクリック音と自分の吹いているメロディがいつの間にかずれていることに気付くって経験ありませんか?こんな時はたいがい遅れているのではなく走っています。自分の経験上ですが管楽器奏者は「テンポより遅くなってしまう人」というのがあまりいない気がします。
余談ですが声楽をやっている人は逆に「遅くなる人」が多い気がします(ちなみにテンポより遅くなってしまうことを「引っ張る」なんて言い方をします)。

これらはもちろん全員ではないですし、走りやすい人も常にそうなるわけではありません。

ではなぜ演奏していて走ってしまうことがあるのか。
その原因にはいくつかのパターンがあります。まずこれらを挙げた上でそれぞれの解決策を考えてみましょう。


《速いテンポ/細かいパッセージの時》
まず、速いテンポの時や速い(細かい)パッセージのメロディなどを吹いている時、走る傾向にあります。
これはいくつか原因が考えられますが、例えば

 ■フィンガリングがきちんとできていない
 ■気持ちが焦ってしまう
 ■全部の音を一生懸命に吹きすぎる(フレーズ感がなくなる)
 ■細かなビートひとつひとつすべてに音符を当てはめようとしている

などが原因だと思います。これらについてはこの記事の下のほうでまた解説します。


《非常に遅いテンポの時》
ゆっくりとしたテンポの時にも走ってしまうことがあります。これらは、

 ■単純にテンポを感じていない(待ちきれずに先へ行ってしまう)
 ■ひとつひとつの音の長さを適当に吹いてしまっている

といったような、結局速いテンポの時と同じような原因があると思われます。


《リズムが単調な時》
走ってしまうのはメロディを吹いている時に限りません。吹奏楽やオーケストラ、アンサンブルなどではトランペットもハーモニーや伴奏形を演奏することが多々ありますね。メロディに比べると伴奏形などには単調なリズムが続くことがあります。そんな時に集中力がなくなって、適当に演奏してしまいがちです。

単調なリズムというのは例えば、同じ音で八分音符が連続して出てきたり、マーチでよく出てくる「八分音符→八分休符」が続く時、シンコペーションのリズムが続いている時などで、だんだんと拍感がなくなってテンポがあやふやになりがちです。


《下降形のメロディの時》
坂道の上にボールを置いて手を離すと、ボールはどんどん加速していきますよね。
また、自転車に乗って下り坂を走る時にも、ブレーキをかけなければ怖いくらいスピードが上がります。
それと同じで、音が下がっていくメロディだったり、音階の下降形の時には無意識に走り気味になってしまいがちです。

逆に上行するメロディの時、分散和音で音が上っていく時などはテンポが遅くなりやすい傾向があります。


《テクニック的な問題》
これまでに上げてきた走ってしまう時というのはすべて「楽譜上(作品上)の特徴」です。
これらを他の角度=テクニック的な原因から見てみると、以下のように言えるかと思います。

■ごまかしたフィンガリング
フィンガリングの難しい箇所というのは前回までの記事で練習方法を解説したので(→こちらをクリック!)ぜひ読んで頂いて練習してもらいたいのですが、そういった細かな練習をせずになんとなくおおざっぱにパラパラ吹いているだけだと自分のテクニックとして備わっていないことが多く、実際に合奏になった時に上手くいなかいことが多いものです。でも曲のテンポに合わせて自分もついていかなければならないがために正確ではないフィンガリングで演奏してしまいます(というか、それしか方法がない)。

もしそれで「なんとか解決しなければ」という気持ちで、翌日からきちんと効率の良い練習をしっかりとすればフィンガリングも問題なくできるようになるはずですが、そうではない人、妥協してしまったり、合奏で指摘されなかったらこれでいいんだろう、みたいな気持ちになってしまうと、ごまかしたままなんとなく吹けてしまっている雰囲気で終わってしまう場合もあります。

ごまかしたフィンガリングはクセになります。そしてできていたことができなくなってしまうこともあります。

例えば無意識にハーフバルブ(完全に下までピストンを押しきれていない状態)ぎみなピストンの押し方に指が慣れてしまうと(ピストンは押すのではなく叩く!)、簡単な曲を吹く時やロングトーン練習の時などでも鳴らない音やピッチの悪い音、音と音の変化する瞬間に余計な雑音などを吹いてしまうクセが出てきてしまいます。

ですので、フィンガリングのせいで速いパッセージが吹けないのであれば前回までの記事を読んでもらった上で根気良く練習をすることをおすすめします。

■タンギングができない
これも「ごまかしたフィンガリング」と同じようなことですが、速いパッセージを吹く時は全部がスラーであるとは限りません。すべてがタンギングであったりスラーとタンギングの複雑な組み合わせの時だって普通に出てきます。
そういった時にごまかしたタンギングをしてしまうのはフィンガリング同様クセになりますし、トランペットの特徴である「メリハリのある音」が吹けなくなってしまいます。ゴニョゴニョした演奏をしてしまうのはトランペットとして(他の楽器も同じですが)やっぱりダメですよね。

ピストンを押すタイミングとタンギングのふたつがテンポと完全に合うように意識しながら、初めはゆっくりから練習をすることが大切です。

また、速いテンポにタンギングが追いつかず、逆にテンポがどんどん遅くなってしまうことも多々あります。
そうならないためにも、日頃から基礎練習として「様々なテンポのシングル、ダブル、トリプルタンギング」をマスターできるようにしておきましょう。

ダブル、トリプルタンギングについては過去の記事を参照して下さい。→こちらをクリック!


■ブレスをする時
これは走るというよりも遅れてしまうことになってしまいますが、メロディを演奏している時などでブレスを途中でしたために遅れてしまう、なんてこともあります。要するにブレスをする時間が長すぎて、曲のテンポから置いてけぼりをくらう、ということです。

効率的なブレスについては後日詳しく書こうと思っています。また、過去に呼吸について徹底的に書いたことがありますのでそちらもぜひ読んでみて下さい(→こちらをクリック!)


《精神的な問題》
走ってしまうのはテクニックだけの問題ではありません。
いつも以上に冷静に演奏しなければいけない速いテンポの時というのは、曲そのものが慌ただしいことが多いですよね(吹奏楽曲で言えば、A.リード作曲「アルメニアンダンス パート1」の最後「ゆけゆけ」とか)。そんな雰囲気のせいで余計に気持ちが焦ってしまいがちです。「速い曲だ!」と盛り上がり、自分自身のテンポ感までもが抑えられないくらい速く感じすぎてしまうと、もうどにもなりません。

この件については次回の記事で解説しようと思います。

また、自分の演奏だけに集中しすぎている時にもテンポが乱れがちになります。
音楽や演奏に集中することは決して悪いことではありませんが、トランペットは他の複数の奏者と一緒にアンサンブルをすることがほとんどですから、相手の音を聴こうとする気持ちがなければ集中することも無意味です。

音楽においての「集中する」というのは、自分だけの世界に入り込んでしまうのでなく、常に奏者全員とひとつの作品を作り上げているのだという冷静な気持ちと聴く力を持ち合わせていることが大切です。


《音楽的な問題》
そして最後は「音楽的な問題」です。

■音価を充分に感じていない
音価というのは「四分音符」とか「八分音符」のことです。楽譜に書いてある音符や休符は、それぞれの作品でのテンポや拍子によって音を出す長さが決まっていますよね。それらの音符の長さがひとつでも適当になってしまうと、その時点でずれてしまいます。

具体的に言うと、例えば四分音符のスタッカートが連続している時(ここでは四分音符を1拍と考えて)、1拍分の時間すべて音を出し続けるわけではなく、無音になっている瞬間があります(理屈っぽくなりますが四分音符にスタッカートが付いていれば、音を出している時間は八分音符とか16分音符くらいしかないはずです。したがって、1拍の中で休符になっている瞬間が発生する、ということです。ややこしくてごめんなさい)。

音を出す瞬間のことだけを考えてスタッカートを連発していると、休符の存在を無視して拍が詰まってきてしまい、結果走ってしまういます。

やっぱり文章だけだとややこしいのでこの件についても次回詳しく解説します。


また、スタッカートだけでなく音符と音符をつなげる「タイ」が出てきた時や逆付点(付点八分音符+16分音符の1拍)もテンポが曖昧になりがちです。理由は上記と同じです。


《指揮者の棒に合わせようとしている時》
これは「走る」ということに限ったわけではありません。どちらかと言うと「安定しないテンポ感になりがちな演奏」と言えるかもしれません。でも一応。

吹奏楽やオーケストラなどでは指揮者がいることが普通ですよね。
指揮者というのは奏者全員のタイミングを合わせる『きっかけ』を作る仕事をする人ではありますが、あくまでも「きっかけを作り出す人」であり「振っている棒に全員がタイミングを合わせる」のではない、ということを注意して欲しいんです。
空中を漂っている長い棒の動きにテンポを正確に合わせていく、なんてことははっきり言って人間にはできません。指揮者にはそれ以外にしなければならない仕事が沢山あるので、決して「テンポを司る人ではない」ということを覚えておいて下さい。

テンポを作り出すのは奏者です。

指揮者が人間である以上、正確でゆるぎないものを求めること自体おかしな話ですよね。そんなに正確なテンポを延々とキープしていきたければ、ポップスのレコーディングのように全員がイヤホンやヘッドホンをしてカチカチとクリック音を聴きならが演奏をすれば良い話です。でもそんなことをステージでするオーケストラや吹奏楽団がいないことも事実。

ま、指揮者については後日改めて書いてみとうと思っています。


ということで今回はテンポが走ってしまう原因をいろいろと挙げてみました。
長くなってしまったので今週はここで終わりますが、次回の記事で練習方法や考え方について書いてみようと思いますので引き続きよろしくどうぞ!

それではまた!


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