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教本の応用練習








みなさんこんにちは!


さて、教本については今回が最終回です。


《教本の応用練習》

1/19の記事「教則本(教本)」でも触れましたが、教本というのは自分のレベルに合ったものを選ぶこと、そして今自分に何が足りないのか(どんなテクニックを習得したいのか)を理解した上で選ぶ事が大切です。

しかし、教本は最初から最後まで一通り吹いて「はい終わり」では非常にもったいない使い方をしているだけでなく、テクニックが身に付いているかも怪しいところがあります。

今もあるのかわかりませんが、自分が小学生の時は算数で「計算ドリル」というものがありました。漢字ドリルってのもありましたね。1ページ10問くらいの計算問題が掲載されていて、とにかくどんどん問題を解いていくという冊子です。

このドリルと同じような感覚で教本を使っている人、結構多くいるように感じます。

教本を使うことで重要なのは自分のテクニックとして身につけること、レベルアップをすることであって、最初から最後まで「ただ吹いた」「やってみた」だけでは教本の意味はありません。
繰り返し練習すること、楽譜に書かれている通りに吹けることができたら(客観的にOKがもらえることがベストです)、その次はフレーズやリズム、テンポを変化させて吹けるように練習してみましょう。


《リズムなどを変化させる》
教本には様々なジャンルがありますから、すべての練習にこれが使えるわけではありませんが、例えば先日紹介した「クラーク教本」「アーバン金管教本」の音階練習、インターバル(跳躍)練習などのリズムが単純で一定の形であるものならやりやすいはずです。

具体的に譜例で解説してみます。

 教本譜例

例えばこんな練習曲があったとします。
これをそのまま練習するなら、結構すぐにできてしまうかもしれません。で、「できたから次行こう」ではもったいないんです。
リズムなどを変化させようと思えば、すべてではありませんがこんなに種類を増やすことができます。

 教本応用

どうですか?最初に掲載した譜例を吹いているだけと、これらすべての楽譜を完璧に吹けるようになるのとでは、レベルアップの度合いが全然違うのはわかりますよね。

そしてさらにこれらの楽譜をテンポや強弱(クレッシェンド、ディミヌエンドなども)を付けたりすれば、もっともっと種類を増やすことができますし、アクセントやテヌート、スタッカートの組み合わせ、さらにそこへ様々なパターンのスラーを付けることで、数えきれない種類になることでしょう。

こういった教本の練習をすることが、本当の意味での「教本を使いこなす」ことにつながります。


また、教本ではなくても合奏で演奏するような作品としての曲でも、フィンガリングやフレージングで吹きにくいとか苦手だという箇所が出てくることが沢山あるはずです。そんな時も苦手なところだけを抜き出して上記のようにリズムやテンポを様々に変化させて徹底的に練習をすると、効率的に吹けるようになります。



ということで、数回に渡って教本について書いてみました。
ぜひ自分に合った教本を見つけて、与えられた曲の練習だけでなく(それ以上に)基礎をしっかりと固める練習を心がけるようにして下さい。
それではまた来週!



当ブログの写真・記事等すべての無断利用、無断転載を禁止します。

at 07:44, 荻原明(おぎわらあきら), 教則本

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朝練トランペット 毎日の基礎練習30分/藤井完








みなさんこんにちは!
今年は関東でも雪が降りまくってます。寒い。。。
早く春が来てほしいですね〜。春物の服を最近たくさん買ってしまったのに着る機会が全然ないのがもったいない気がしてます。

さて、今回も教本の紹介をしたいと思います。

《朝練 トランペット 毎日の基礎練習30分/藤井完》

朝練

「朝練」と言うと、学校で授業が始まる前に早く来て練習することを言います。自分も高校生の時は部活ではなく自分の練習のために学校が開くと同時に音楽室に行ってギリギリまで毎日練習していましたが、朝の練習時間は非常に短く限られているので、能率良く目的を持って練習することが大切ですね。
時間が短いからと言って、ウォームアップもそこそこに朝っぱらからいきなり曲練習などをしてもただの時間の無駄遣いにしかなりません。朝だからこそ意味のある基礎練習を行いたいところですが、自力でそれを見いだすのは楽器経験の短い学生の方にはちょっと難しいですよね。

その手引きとして各楽器からそれぞれ違った著者によって発行されたのが「朝練」という教本です。

他の楽器の「朝練」はきちんと見たことがないのですが、トランペットの本を初めて手にした時、「なんだこれ?」というのが正直な印象でした。
それまでいろいろな教本やトランペットに関する文献などを読んだことがありましたが、この朝練ほど一度読んでも飲み込めない文章に出会ったことがありませんでした。

最初に手にしたのは音大生の頃で、ぶっちゃけがむしゃらに時間を費やすような根性練習ばかりしていた時で、能率良く的確に練習しようとか、良い音、良い演奏をするためにそれぞれの体のパーツの使い方を理論的に考えたことがほとんどなかったということも関係していると思います。イメージといった目に見えないものだけで自分の演奏をカバーしていた時期だったんです。ダメですね;

正直言うと、著者の藤井氏が言っていることが本当に納得できるようになったのはここ数年です。自分が様々な角度でトランペットを練習し、考えていくうちに身に付いてきた理論が、久々に開いた「朝練」の内容ととても近いものだったということが自身の考え方に確信と自信を持てるきっかけになりました。


《独特な表現》
当初「朝練」を読んだ時に文章がどうしても飲み込めなかった理由のひとつに「独特な表現」を多用しているということが挙げられます。
本の最初にはそれら独特な表現それぞれの解説が書かれてはいるのですが、それでも理解をするのは難しかったです。

例えば「裏階段」「オープンスロート」「ベルカントモード」という言葉は、それまでトランペットを吹いてきて(音楽に携わってきて)出会ったことがないものでした。「スロート」や「ベルカント」という単語は知っていたのでなんとなく理解はできるのですが、それがトランペットを演奏するためにどういった形で利用するべきなのか、実践できなかったんですね。

ただ、今になって思えば、これら独特な表現は「単語」として初めて目にしただけであって、同じような意味のことを教わったり自分で実践してはいたんです。
ですから、この教本を使う時はわかったふりをして読み進めたり、理解したつもりにならず、納得いくまでいろんな指導者に質問したり、仲間と相談したり考え合ったりすることが絶対に必要です。

間違った解釈で読み進め、理解したつもりになってそれを実践してもレベルアップにつながることは難しいですし、逆に変なクセを持ってしまうおそれもあります。
間違った解釈を(読んで納得しただけで実践までいたらない状態で)「自分の理論」として持ってしまうことは良くありません。


《文献?》
このように「朝練」教本は実際にトランペットを吹いて練習するためと言うよりも、理論書としての意味合いのほうが強い印象があります。
ですから、正直この教本を「朝練習」の時間に(しかもタイトルでは30分で!)行うというのは難しいと思うんです。
自分としては掲載してある楽譜はどうしても書かれている文章をより理解してもらうために「譜例」としての意味合いに感じてしまいますし、先程も書いたように書かれている文章を理解しないで練習するのは意味のないことだと思います。


《持っておきたい一冊》
なんだか書いているうちに、あまりこの教本が良くないものみたいな印象の文になってしまいましたが(笑)決してそうではありません。
著者の藤井氏は本当に素晴らしい理論を持った方ですし、昔は「根性」とか「パワー」で演奏するトランペット奏者(吹奏楽部)や指導者が沢山いましたが、近年は中高生でも「リラックス」「効率的」に練習・演奏ができる(そういった練習をさせる指導者や学校の先生)が非常に多くなってきたのは、藤井氏本人の活動や本の出版が貢献されていることは間違いないはずです。

自分もそのような経緯でトランペットの練習をしてきて(中高生の時は根性一筋の吹奏楽部でしたから。。。)、「きっとそうじゃないんだ」「もっと良い練習方法があるはずだ」とは理解していても、実際にどのような練習が良いのか、どう演奏することが大切なのかというところまでたどり着くことができなったのでこの教本に出会ったことは自分にとってとてもプラスになりました。

このブログを書いている上でも藤井氏の教本が参考になっている部分は沢山あります。


《朝練 管楽器の呼吸法 呼吸法・喉とアンブシュアの関連性

朝練

藤井氏が「朝練 毎日の基礎練習30分」の後に執筆したもうひとつの「朝練」があります。
それがこの本で、これには楽譜は掲載されていません。すべて文章です。

出版されたのは1999年ですが、最近読みました。
これこそただ漠然と読んでいるだけでは理解するのはまず無理で、どちらかというと音大生や指導者の方が読むためのものではないかと思います。それらの方が読んだ上で、中高生の方へ指導したり自分の練習に取り入れるほうが良いのかな?と思います。

ですがやはり書かれている内容は素晴らしく、本当に参考になる一冊です。
楽器練習ではない時間にじっくり読んで理解していくことをおすすめします。

ということで今回は「朝練」に関して解説しました。
また、藤井氏本人のサイトがありますので、そちらを読んでみるのも良いかと思います。

それではまた来週!


当ブログの写真・記事等すべての無断利用、無断転載を禁止します。

at 12:13, 荻原明(おぎわらあきら), 教則本

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CHARLES COLIN/ADVANCED LIP FLEXIBILITIES








みなさんこんにちは!
この間までなんか楽器の吹き心地が悪いなあと思って久しぶりに楽器の中を徹底的に清掃したんです。そしたら全然変わりました。もちろん良い方に。
忙しさにかまけて掃除をサボってたのはダメですね;これからはもうちょっとこまめに掃除しようと思いました。みなさんも管内清掃はこまめにして下さいね。

さて、今回も教本の紹介をしようと思います。


《C.コリン/リップフレキシビリティーズ》

リップフレキシビリティーズ

日本語にすれば「唇の柔軟性の向上」というタイトルになりますかね?その名前から想像できるようにこの教本の中にはリップスラーしか掲載してありません。

リップスラーというのはトランペット奏者にとって絶対に必要な基礎練習のひとつですし、どんな教本にも必ずと言っていいほどリップスラー練習が書かれているのですが、紙面の都合なのか何なのか、リップスラーのパターンが限られているんですね。

しかし同じフィンガリング(運指)の音(=倍音)が連続していれば(違う倍音が含まれていてもスラーの音の跳躍であれば)どんなリズムでもどんな動きでも何でもかんでもリップスラー練習は成立します。
なので、ほぼ無限に演奏パターンがあるということです。

そしてリップスラー練習の大きな目的は音と音の移動がスムーズに演奏できることなのですが、もうひとつ「音域を広げる」というのも大切な目的です。
タンギングをすることなくブレスコントロールやアパチュア、口の中の動きなどを上手くコントロールして 低音域から高音域まで音質を変えることなく演奏できるようにするためにリップスラーはとても効果的な練習になります。

また、実際に曲を演奏する時は、作品の数だけ様々なフレージング、様々な音域で演奏するよう求められるわけですからできるだけ基礎練習の段階で沢山のパターンのリップスラーをマスターしておく必要があります。

それを習得するためにはこの「リップフレキシビリティズ」はとても効果的な教本と言えるでしょう。


《音域を広げる》
さて、実際にこの教本を使って練習してみようと思い本を広げてみると、最初のページはそんなに驚きはしませんが、すでに楽譜の書かれた2ページ目にして音域はほぼ2オクターブ、そして長いフレーズになっています。さらにページをめくるとBb管で吹いた場合High C(記譜でレの音)まで出てきます。

自分はこの教本を高校生の時に手にして練習をしていましたが、最初の頃は全然できませんでした。とりあえずHigh Cをマトモに出したことがありませんでしたし、そもそもリップスラーをそんなに真剣に練習した経験がありませんでしたから非常に苦労した覚えがあります。
でもとにかく練習してどうやったら低音域から高音域までリップスラーで上がれるのかを考えつつ吹きまくっているうちに結構楽に高音域まで行けるようになっていきました。

ただ、高音域というのは低音域に比べて倍音が隣接しているので(音が高くなると同じ運指で出せる音の幅が狭くなるということ)
、的確に出そうとしている音を当てるのが難しくなります。ちょっと気合いを入れすぎたりすると狙っていた音よりも上の音を「ピャー」っと出してしまったり、気を抜くと一つ下の音で上がれなくなってしまったり。。。。

高音域でリップスラーを練習するということは、単純にスムーズな音の移動を身につけるためだけでなくこれから自分の出そうとしている音をしっかりとイメージできているか、そのためのブレスコントロールや体全体のバランスを保つことなど総合的な練習につながるんだな、ということを無意識のうちにですが身につけることができたのではないかと思います。


《使い方》
高校生の時にこの教本を使っていた時は、アーバンのようにレッスンで見てもらってどんどん進めていくということはせず、とにかく最初のほうのページをじっくりと毎日練習していました。

というか、そんな簡単にどんどん進められるものじゃないですし、この教本。。。

ですからある程度の日数をかけて同じところを覚えるまで練習して基礎練習のメニューに取り込み、無理なく演奏できるようになってきたら次に行く、という流れで結局最初は教本の冒頭ばかりやっていました。


また、この教本もアーバンと同じく最初から順番に練習せず、途中途中でいくつかの異なるパターンが掲載されているので、音大生の頃はそれぞれのパターンをピックアップして全般的にやっていました。

特にリップスラーの合間に出てくるリップトリル(2つの倍音を素早く行き来する奏法)の練習はとても勉強になりました。
リップトリルは「アーバン金管教本」にも沢山書かれてはいるのですが、とにかく難しく大変なのでこちらでまずストレスなく演奏できるようにと沢山練習をしていました。

結果的にこの教本をすべて練習したわけではありませんが(最後のほうとか自分には無理です;)様々なリップスラーのパターンを覚えて、自分で様々な形、音域で毎日練習するようになっていきましたね。
今は特にこの教本をそのまま練習するということはほとんどありませんが、やはりこの本を長年使っていたからこそリップスラーの重要性や演奏のしかたを覚えることができ、実践で使える技術につながったんだなと思っています。


《ちょっと難しい?》
この教本の最初のページに書かれているエチュードは、音大の入試の課題になっています。
リップスラーはそれだけ重要なものではありますが、それだけに初心者の方にはちょっと難しい教本だと思います。
ある程度経験を積んだ高校生くらいから使い始めるのが良いかもしれません。

でも、まわりに指導をしてくれる人やこの教本の使い方を理解している人がいる場合は、この本に書かれているパターンをそれぞれの実力に合わせて少し簡単にして基礎練習に取り込むなどができればとても実用的になるのではないかと思います。

この教本に限ったことではありませんが、教本というのはそもそも書かれていることだけをそのまま練習しているようでは非常にもったいない使い方をしています。そのことに関しては後日解説します。

ともかく、リップスラーはこの本を使わなくてもトランペット奏者なら毎日しっかりと練習をしなければならないテクニックですので、自分に合ったレベルで書かれているものを見つけるなりして下さいね。

それではまた来週!



当ブログの写真・記事等すべての無断利用、無断転載を禁止します。

at 04:28, 荻原明(おぎわらあきら), 教則本

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H.L.クラーク/テクニカクスタディーズ








みなさんこんにちは!
受験シーズン、体調にはくれぐれも注意して入試を乗り切って下さいね。
それにしても東京に雪が降ったのも積もったのもホント久々です。寒いけどたまには良いものですね〜。


さて、前回からトランペットの定番(と自分が思っている)教則本の紹介をしています。今回もその続きです。

《H.L.Claeke/Technical Studies for The Cornet》

クラーク
日本語に訳せば「コルネットのための技巧的練習曲」とでも言うのでしょうか。自分や周りではこの教本を「クラーク」と呼んでいます。ぶっちゃけ正式名称を今初めてちゃんと把握しました(笑)
この教本の表紙を見ただけでは全然知らないという方でも、この中に書かれているメロディを聴くと「あ、どっかで聴いたことある」と思う方もいるかと思います。それだけメジャーに使われている教本です。

先週紹介した「アーバン金管教本」は総合的なテクニックを磨くための教本でしたが、このクラークはおおまかに言えば「フィンガリング(=運指)の練習」を集中的に練習するための教本と言えます。

全50ページちょっとの薄めな本で、10通りのパターン化されたテーマを徹底的に練習するように書かれています。


《最大の特徴》
この教本の最大の特徴は「1つの短いフレーズを全ての調で練習する」というところにあります。
ひとつひとつのメロディは非常に短いのですが、その短いメロディが半音ずつ上がっていくんです。

例えば表紙をめくって最初にある「FIRST STUDY(1番目の練習曲)」は半音階の練習です。
ひとつは楽譜にしてたったの5小節の非常にシンプルなメロディになっていて、練習番号1はトランペットの最低音から始まっています。
そして練習番号2はまったく同じフレーズで、練習番号1の半音上から開始されています。これがずっと続いて、最後の25番になると頂点がHigh Bbになっています。

このパターンで教本は最後まで書かれています(10個目の練習曲は別)


《フィンガリングの落とし穴》
普通、どんな曲を演奏するにしてもそれらの調はあらかじめ決まっています。しかも吹奏楽曲に関して言えば、かなりの確率で非常に吹きやすい調号(=フラットやシャーブの少ない調号)で書かれていることが多いです。フラット7個の曲とかってあんまり見た事ないですよね。ですから、あまりにテンポが速くて細かな動きのメロディが出てきた時は別として、フィンガリングに悩まされるということはそれほど多くないかと思うんです。

でもこれはトランペットを演奏する上で「落とし穴」になってしまうんです。

どういうことかと言うと、例えば「かえるの合唱」をBbから(in Bbの楽譜ではドの音=Bb dur(ドで始まる音階)で)演奏してみて下さい、と課題を出したとします。ある程度トランペットが吹ける人なら、かえるの合唱をBbから吹くことは簡単ですよね。
ではBbの半音上、のH(in Bbでド♯)から始まる調で吹いてみて下さいと言われて全員が完璧に吹くことはきっとできないと思うんです。上手く吹けたとしても、ほとんどの人がフィンガリングが難しいと感じるのではないでしょうか。ちなみにド♯から始まる音階を楽譜にすると、シャープ7つ(全部)に付いていることになります。そんな楽譜もらったらギョっとしませんか?

そもそも半音上がっただけなのに上手く吹けなくなる、難しく感じるのはなぜでしょうか。

それは「シャープやフラットが沢山ある調号に慣れていないから」「フィンガリングに慣れていないから」です。


《見慣れない調号》
ほとんどすべてのトランペット吹きは音が出せるようになると次は音階を吹けるようにするという課題を出されると思います。
で、Bb durをロングトーンとかでドレミファ…と音階練習をしているうちに1オクターブのBb durが吹けるようになります。

しかし、多くの人は他の調の練習をしないまま(もしくはあといくつかの調だけで)長い期間過ごしてしまっています。
まさしく自分自身がそうで、中学生の時は他の調、例えばC dur(in Bbでシャープ2つ)とかAs dur(in Bbでフラット2つ)とか、全然練習しませんでした。というか自分はもっとひどくて「調」というものを理解してなかったんです。
理解していなかったのは教えてくれる人が誰もいなかったというのもありますし、様々な音階でロングトーンなどを練習する機会が全然なかったというのも理由だと思いますが、まあそれは言い訳にしかなりませんね(笑)

なので部活で新しい曲をもらった時に調号のないBb dur以外の調の曲はすべて「臨時記号が常につきまとっている吹きにくい曲」のような感覚で練習をしていました。

例え調号が簡単な曲であっても部分的にシャープやフラットが連続して出てくる箇所があるかもしれませんし、半音階のようなメロディが出てこないとも限りませんから、どんな調のどんなメロディが出てきても指がひっかかることなく吹けるように準備しておくことは基礎練習としては絶対に必要なことのひとつと言えます。


《慣れないフィンガリング》
Bb durの音階を素早く吹くことって、慣れてくると結構できちゃいますよね。
でも、同じBb durであってもCの音から始めると(Bb管で臨時記号を何も付けずにレミファソラシドレ)どうでしょうか。ちょっとオタオタしませんか?

これは「Bbから始めるBb durの指の順番を感覚で覚えているから」なんです。いわゆる「慣れ」です。

まあそれはともかく、in Bbで下の「レ」の運指は「1,3」というトランペットを吹く時以外は日常あまり使わない指の動きですよね。
それなのに毎日毎日トランペットの練習をしているうちにそんな変わった指の動きだって普通にできるようになってしまいます。

これも完全に「慣れ」です。ドレミ、って結構速いテンポであっても吹けちゃうのは「一連の指の動きとしてインプットされている」からなんです。しかしあくまで「一連」なので、途中の音が1つ抜けている音階的なメロディやリズムが不規則な音階だったり、先程のような開始音が違う場合だと上手く吹けなくなってしまったりするんですね。

ですからトランペットを吹いていてどうしてもフィンガリングが上手くいかない箇所が出てきた時、それは単に慣れていないフィンガリングだ、ということです。
細かいことを言えば「3」の指(=薬指)は最も発達していない指なので、例えば「2,3」の運指が出てくると動かしにくく感じるのはある程度しかたのないことなのですが、でもこれも慣れてしまえば良いだけの話で、慣れてない、使ってい、ないから動かしにくいだけです。

慣れていないなら慣れてしまえば良いだけの話です(簡単に言うなって感じですけどね(笑))。それも基礎練習のひとつですから。


《クラーク教本》
そういったトランペットを吹く上で吹きにくいという意識を持ってしまいがちなフィンガリングや調号を徹底的に練習できるのがこの「クラーク教本」です。

先週紹介した「アーバン金管教本」とは違って、ひとりでも充分使える教本だと思います。
前述の通り演奏しづらいフレーズばかりが続きますのでそれこと「慣れる」まではかなり根気がいるかもしれませんが、じっくりとゆっくりと毎日練習を続けることによって確実に自分のテクニックにプラスされるはずです。
そして様々な調号にも慣れることができますし、自分が苦手な指の動きなどを具体的に知ることもできます。
ほとんどがスラーで書かれているためにリップスラーの練習にもなり、また全調で練習するということは低音域から高音域まですべてを吹かなければならないのでおのずと吹ける音域も広がっていくはずです(ちゃんとした吹き方で練習をすれば、ですけどね)。

また、楽譜に書かれている通りのフレージング(ほとんどスラー)で練習するだけでなく、これをスタッカートにしてみたりリズムを変えてみたりして練習することによって、よりフィンガリングを強化することができます(様々なリズムで練習する方法については後日詳しく紹介します)。すべて外国語(教本には3カ国語)で書かれているのでわかりにくいかもしれませんが、クラークさん自身も解説文にタンギングなどでもやりましょうといったことが書いてあったりします。

そしてこの教本を練習する時に注意してほしいことは、必ずメトロノームを使うということです。最初は非常にゆっくりで構いません。できるようになってきたら徐々にテンポを上げていって、速いテンポ(楽譜に指定されているテンポ)で吹けるようになればかなりテクニックがついてきていると思います。ともかく、どんなフィンガリングが来てもひっかかることなく一定のテンポで吹けるようにならなくては意味がありませんから、常にメトロノームを使って下さい。

ちなみに過去にこのブログで「ウォームアップ」について解説した時に、自分はすべての音をキレイに並べて吹くことと指馴らしを目的として毎日のウォームアップメニューにクラーク教本の一部分を使っていると書きました。
また、個人練習の時間を多く取れる時はかなりの割合でこの教本を使っています。


ということで「クラーク教本」ぜひ使ってみて下さい!
それではまた来週!



当ブログの写真・記事等すべての無断利用、無断転載を禁止します。

at 05:05, 荻原明(おぎわらあきら), 教則本

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