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課題曲5 メタモルフォーゼ 〜吹奏楽のために〜/川合清裕 前編(吹奏楽コンクール課題曲トランペット解説)






みなさんこんにちは!

只今、「吹奏楽コンクール課題曲トランペットパート解説2017」と題しまして記事を書いております。
すでに課題曲1「スケルツァンド」と課題曲2「マーチ・シャイニング・ロード」の記事は掲載していますので、以下のリンクよりぜひご覧ください。課題曲をご存知ない方にも理解でき、参考になる内容になっています。


課題曲1「スケルツァンド」/江原大介 前編
 演奏者はツアーガイド/楽譜を読む、ということ(テンポ、リズム、音の高低)

課題曲1「スケルツァンド」/江原大介 後編
 合奏は演奏者全員の個性を持ち寄る場/音をブレンドする?

課題曲2「マーチ・シャイニング・ロード」/木内涼 前編
 パート譜について/行進曲という音楽について

課題曲2「マーチ・シャイニング・ロード」/木内涼 後編
 拍のウラから入るときの吹き方/テンポが走ってしまう原因/ユニゾンを合わせるために大切な3つのこと



そして今回からは課題曲5「メタモルフォーゼ 〜吹奏楽のために〜/川合清裕」についてです。


《現代曲ってなんだろう》
いわゆる「現代曲(現代音楽)」と呼ばれる音楽作品やジャンル、これってなんなのでしょうか。


メロディが変?
リズムが変?
和音が変?
音の出し方や楽器の使い方が変?
楽譜が変?
作曲者が変?(失礼しました)


みなさんそれぞれ違うと思いますが、とりあえず「変」という表現が使われやすいのかな、と思います。

そして「変」というのは言い換えれば「今までにないこと」「ユニーク(唯一の)」とも解釈できます。

ですから現代曲とは「今までの常識では行われなかったこと」を積極的に用いている音楽ではないか、と思っています。


《発展》
では、いわゆる現代曲というジャンルは、それまでの時代にあった音楽とまったく違う存在なのでしょうか。

昔はとにかく美しい響きを求めて音楽が作られていたと考えられています。例えばバロック時代の音楽はとても純粋な音の並びや組み合わせで作られていますが、時代とともに「(汚いから)使っちゃダメ」と言われていた音の使い方を敢えて用いることにより、今までにないものを生み出そうとしてきました。

「これまでにないものを。」その姿勢で作曲活動に取り組めば、「だったら「調性」「拍子」などの既成概念も取り払ってしまおう」と思いつく人が出てくるのも自然な流れです。

例えば、1900年代に活躍した作曲家、シェーンベルクは「12音技法」という1オクターブ内にある12種類全ての音を1回ずつ使って音楽を作り、当たり前に使われている音楽の重要な要素である「調性」が存在しない、いわゆる「無調音楽」を作りました。

同じく1900年代に活躍した作曲家ストラヴィンスキーも、これまでにない発想で次々と作品を発表しますが、バレエ音楽「春の祭典」の初演は、当時としてはあまりにも突飛な音楽だったためにお客さんにまったく受け入れられず大失敗に終わったと言われています。

しかし、シェーンベルクもストラヴィンスキーも今では(確かに独特ではありますが)普通にコンサートプログラムに取り上げられています。当時斬新だったことは、今では受け入れられているのです。

そこから言えることは、現代音楽は決してデタラメに作ったものではなく、「進化」、「発展」したもの、ということです。


しかし、ここで現代音楽にとって不利な点が出てきます。

「楽譜」の存在です。


《楽譜とのジレンマ》
私たちが一般的に見ている楽譜は、およそ400年前のバロック音楽あたりに作られました。それまでは4線だったりと今とはだいぶ違っています。

実際のところ、そこから書き方はほとんど変わっていません。テンポ、リズム、拍子、音の高低さえ記せば、あとは少しの文字で通常の音楽に必要な情報はほぼ全て記載できるからです。

そして、作曲者は自分で生み出した音楽を演奏者に伝えるためには楽譜を介することが一番効率良く、確実です。

昔から変わらない楽譜と、発展し、チャレンジし続ける「作曲」が少しずつジレンマ(板挟み)を起こしているのかもしれません。
作曲家は、その昔から変わらない楽譜を用いて新しい音楽を書き記そうと頑張るので、結果的にオリジナルの記号を作る必要が出てきたり、連桁が変形していくような不思議な書き方をせざるを得なくなってしまいます。

演奏者はその「複雑化してしまった楽譜」を見て演奏するわけで、「難しい(普通の書き方の音楽に比べて)」「読みにくい(普通の書き方の音楽に比べて)」「理解しがたい(普通の書き方の音楽に比べて)」という意見が出て、結果的に「現代曲キライ」という発想に至ってしまう奏者が出てしまうのでしょう。


《ピカソ》
現代音楽と同じようなことは絵画の世界でも見られます。
例えば「ピカソ」。ピカソと言えば写実的でない不思議な「あの」絵をイメージする方も多いかと思います。
様々な視点から捉えたものを1つの面にしてしまうあの描き方は「キュビズム」と言いますが、これもやはり古典的な手法からの「発展」と言えるでしょう。決して絵が下手でデタラメに描いた結果ではありませんね。その証拠にピカソはキュビズムの手法を用いる前はいわゆる普通の絵画を沢山描いています。
ちなみに、先ほど紹介したストラヴィンスキーとピカソは同時代、同じ場所で影響し合っていた芸術仲間だったそうです。

また、これはギャグの世界ですが、現代音楽における楽譜とよく似たジレンマを感じる4コママンガです。(こちらをクリック)

大好きな吉田戦車氏の昔人気だった漫画です。
人間の発音はひらがなの組み合わせだけで表現できないものがたくさんあります。舌の位置や動かし方で無限に発音できてしまいますから、もしそれらを妥協せず文字化しようとしたら、このマンガのように新たに作らなければならないわけです。

文字や文法もどんどん発展し、進化していますから、いずれは今私たちが使っている文字や発音も「古語」と呼ばれる時代が来るのでしょうね。


《異質なところを見つける》
ということなので、いわゆる「現代曲」を演奏するときには、ぱっと見だけで「うわー(音符多くて楽譜が)黒い」とか「リズムわかんねー」とか言う前に、「一般的な楽譜と何が違うのか」異質なところを見つけてみてください。よーく見てみると、その異質なところ以外は、一般的な楽譜と変わりなかったりするものです。

複雑に見えるその楽譜も演奏される音楽も「発展」した結果である、と意識しましょう。

発展は基礎があってこそです。デタラメではないし、イジワルで複雑に書いているのではなく、作曲家自身が生み出した音楽を頑張って楽譜に記した結果である、と思ってください。


ということで、今回はいわゆる現代音楽とはどういったものか、書いてみました。

それでは、また来週!


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at 06:49, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2017

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