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吹奏楽コンクール課題曲2016トランペット解説【4.マーチ「クローバー グラウンド」 / 鹿島康奨】前編


















みなさんこんにちは!

さて、今回の記事より今年度の吹奏楽コンクール課題曲のトランペットパートについて、自分なりの見解を書いていきます。
最初は、課題曲4「クローバー グラウンド」です。

来週と今週の2回で1曲完結させますが、前編は、まず作品全体のこと。そしてそこから話を広げていきます。


《作曲者本人のコメントから読み取る》
フルスコアには最初にそれぞれの作曲者の短いコメントが掲載されています。この欄への書き方は自由のようで、演奏のアドバイスを詳細に書いている方もいれば、作品の世界観について述べている方もいらっしゃいます。

ともかく、作曲者本人のコメントには何かしら得るものがありますので、ぜひ読んでみてください。
今回の記事では特に、このコメントから作品を読み解いていこうと思います。


《「鳴らし過ぎず」》
コメント前半はいくつかの場面の、特定の楽器への指摘なので割愛し、最後の2行を全文掲載します。


『曲全体を通して無理に鳴らし過ぎず、各々の楽器の音色が正しく出るように、また、アーティキュレーションが役割によって変えてありますので、フレーズの歌い方などをよく研究していただければと思います。』


このように記してあります。

最初に感じたのは「ああ、、、フルート奏者だなあ」、ということ。「鳴らしすぎず」というのがそれを象徴しています。ようするにこれは、金管打楽器に対して特に言っているのでしょう。そして、金管打楽器が鳴らしすぎになった時のフルートをはじめとした木管楽器に対しても警告しているように感じます。

確かに吹奏楽は往々にしてドンチャン騒ぎになりがちです。特にマーチなどの元気良い印象を持つ作品の場合、金管打楽器はどうしても「活躍」「主役」の自覚を持ってしまうので「木管金管打楽器すべてのバランスが整ってこその吹奏楽」と、しっかりと自覚しておきたいものです。

金管打楽器がドンチャンしすぎると、出力の弱い木管楽器にとっては大変迷惑です。だって、どんなに頑張って吹いているのに音が聴こえないのですからね。結果、吹奏楽での木管楽器奏者はその楽器の本来持つ美しい音色よりも「聴こえる音量」を求め(られ)てしまうことが多いのです。


トランペットの話に戻すと、合奏をしていてよく指揮者に「トランペット、もっと(音量を)抑えて」と言われることがあるかもしれません。

みなさんはそんな音量バランスの指摘をされたとき、どんなことに気をつけていますか?

「うるさい」と言われれば音量を小さくする。きっとこれは誰でもやっていることでしょう。
しかし、どんなに頑張って音量を抑えても「うるさい」と言われ続けたり、逆に頑張って吹いているのに「聴こえない!もっと吹け!」と言われたことありませんか?

自分では頑張って音量をコントロールしているつもりなのに指揮者にOKをもらえない、これは指揮者がイジワルをしているのではありません(多分)。本当にバランスが整っていないのです。

こんなシーンを想像してみてください。
クラシックのコンサート会場や映画館、授業中の静まり返った空間でのヒソヒソ声。あれ、(話の内容はわからなくても)よく聴こえるし、耳障りですよね。

なぜか。音というのは「音量」以外に「音質」というものがあるからです。

ですから、音量を抑えても、音質が悪くなってしまうととても目立ってしまい、「(異質な存在として)うるさい」という指摘を受けるのです。
極端なことを言うと、とても素敵な音質であれば、少しくらい存在感が大きくても(デシベル的数値が大きくても)、その作品のその場面にそぐうのであれば邪魔だと感じにくいのです。「それはそれでアリ。そういうもの」という印象になります。

ということで、バランスについての指摘を受けたときには、音量だけではなく、音質について強くこだわってみてください。


《「各々の楽器の音色が正しく出るように」》
これはとても大切な指摘です。吹奏楽の世界で未だによく耳にするのが「音をブレンド」するという言葉からくる発想の勘違いです。

僕はそもそもアンサンブルにおいての「ブレンド」という言葉が誤解を招きやすいので好きではありません。あたかもそれぞれの楽器の個性をなくして、各楽器から出てくる音色そのものを似させるようなイメージに捉えてしまうからです。アンサンブルは飲み物ではありません。乳化してもらっては困るのです。

アンサンブルでイメージしてほしいのは、それぞれの楽器がそれぞれの楽器の持つ素晴らしい音色を鳴らした結果生まれた響きでなければならないのです。

吹奏楽でトランペットを吹いている人の中には、なぜか「フリューゲルホルン」のような音を出そうと一生懸命な奏者がいます。しかしトランペットの音というのはそんなに柔らかくはありません。真のあるきらびやかで金属的な音なのです。それは、トランペットという楽器の形状や材質が持つものなので絶対そうなってしまうのです。そうでなければコルネットやフリューゲルホルンの存在価値がありませんよね。

楽器の持つ「ベーシックな音」をまず鳴らせるようにすることが大前提で、そのために必要なのがこのブログでもしつこく言っている「音のツボ」に当てるという技術です。

すべての楽器は個性のある音色を持っています。それをまず尊重しなければアンサンブルは成り立ちません。


《「アーティキュレーションが役割によって変えてある」》
さて、今回一番書きたかったのはここからです。僕はこの作品のスコアを見て真っ先に「浄書ミスか?!」と思いました。しかしどうやらそうではないようなのです。

スコアを見てもらえば一目瞭然です。



トランペットが主旋律を担当している箇所ですが、同時に木管楽器のいくつかも同じメロディを演奏しています。
しかし、トランペットにはスラーが付いていません。この作品、全体を通してこのような書き方になっているのです。

ごく一部分でこの作品のようにフレージング(この作曲者は「アーティキュレーション」という言い方をしている)を「意図的に」変えて、効果を狙っている楽譜は見たことがありますが、ここまで徹底的に「トランペットを差別化」している楽譜は初めてです。

スコアのコメントには「アーティキュレーションが役割によって変えてありますので、フレーズの歌い方などをよく研究していただければと思います」と書いています。

うーん…正直無責任すぎやしませんか?いや、もしかすると一周回ってそれが狙いなのでしょうか。


《だれが「研究」するのか。そもそもこれは「研究」なのか》
なぜ無責任なのか。それは、「決める人が必要だから」です。

そもそも、大勢の奏者で音楽をつくるとき、どうあるべきかをまず考えてみましょう。

まずは「奏者ありき」を忘れてはなりません。実際に音を出している奏者それぞれがいてこその「そのメンバーで奏でる音」になるわけですからね。だから、個人個人のキャラクターを殺してしまうのはもってのほか。先ほど書いた「音のブレンド」の勘違いもこれに含まれます。
ということは、まずは奏者が「どう吹くのか」を主張し、それらを指揮者が「寄せていく」という順序になるわけです。

軍隊のように指揮官がいて、その人が「駒を動かす」ように軍人たちに指示するのとはまったく違います。

奏者は指揮者のシモベではないのです。音楽は絶対的なひとりの権力者のよる統制で作られるものではありません(部活動ではどうしても「先生」が指揮者であることが多いので、奏者が「従う」という形が当たり前であると勘違いしてしまいがちですが、演奏上ではそれは間違いです)。

軍隊は先頭に指揮官がいて、それに続くように軍人が一列に並んでいるのに対し、大人数の音楽作りは指揮者が中心にいて、それらを取り囲むように奏者が指揮者を見ている、という感じです。指揮者というプロデューサーが持つイメージを、奏者は自分の演奏にその音楽性を取り込むために見ているのです。奏者は音を出すロボットではありません。個性を潰してまで指示に従うのではない、ということです。
だから軍隊みたいな厳しい規律の中で音楽をつくる昭和な吹奏楽部は、特異な音楽になってしまうのです。そもそもの方法が違うからなんですね。

しかしこの作品の楽譜の書き方では、その「正しい音楽作りの」順序では作れないのです。
楽譜のどこを見ても、会報「すいそうがく」を読んでも、トランペットに対して何も指示がありません。
あれだけ特殊な書き方をしているのですから、何かしら指示なりコメントなりがほしいところです。

普通だったら、パート譜を奏者が受け取り、それをまず個人で譜読みをして、どんな音楽作りをするか各自が個性を発揮して作り上げ、それを合奏で持ち寄って、最終的な方向性や完成図のイメージを指揮者が提示して、奏者の個性と指揮者のプロデュースによって、その時のそのメンバーだから出せるサウンド、作品の完成を楽しむことができるのです。これが音楽の本来あるべき姿です。

しかしこの作品は、指揮者が研究(?)をして、それを指示するまで奏者は身動きが取れないのです。指揮者ならぬ指揮官の統制のもと、最初から作品を細部まで指示された通り演奏する順序でないと、例えばひとりの奏者が「ここはスタッカートで演奏するのが良いだろう」と思い、他の奏者は「木管のフレージングを尊重して、書いてはいないけれどスラーの箇所はスラーっぽくしよう」と、それぞれに思うこの楽譜の吹き方を決めて合奏に臨んでも、まずパート内がバラバラになりますし、それぞれの吹き方そのものが指揮者のイメージと違ったら、結局直さなければならなくなります。二度手間になるので、非効率的で避けたい練習です。


これって、どうなのでしょうか。

楽譜というものは、あくまでもその作品をつくるための「メモ書き」です。誰が演奏しても全く同じものが再現できる絶対的な存在ではありません。いくつもの選択肢や可能性という「隙(すき)」があります。
しかしその「隙」が大切であり面白いのです。隙があるから、奏者が自由に想像し、演奏できる。だから奏者や団体の数だけ新しい音楽が生まれる。クラシック音楽の醍醐味です。
何度演奏しても普遍なコンピューター音楽とは違うのです。

しかし、楽譜が方向性すら決められない無責任さであってはいけません。
穴埋め問題のような楽譜であっては、みんなバラバラな方向にいってしまいます。


このスコアを見たとき、いろいろと想像してしまいました。
この作曲者さんは一般バンドに所属し、フルート奏者でもあるようで、この作品も当初はそのバンドで演奏するために書いていたとのこと。

…このバンドは、トランペットや打楽器がうるさいのかなぁ(人数が多いのかなぁ)とか、個人練習ってあまりする人がいないのかなぁとか、指揮者の持つ力が強いのかなぁとか。。。いつもの曲作りの順序やバンドのいつもの練習の仕方や順序などいろいろと。トランペットという楽器に対する知識や印象も、きっとこのバンドから受けていることがとても強いのだろうなぁとか。ご本人様を存じ上げませんので、全部憶測です。全然違っていたら申し訳ありません。


ともかく、この作品をつくるにあたっては、合奏が始まる前に指揮者からの綿密な指示がないと、方向性が定まらないので「つくる順序」をしっかり決めて、計画性のある練習メニューをたてる必要があります。
指揮者や指導に関わるひとたちの「司令部」全員が同じ音楽の方向性を共有し、楽譜を渡すと同時に、どのように演奏をするか具体的な指示や書き込みをし、それから奏者の譜読みを始めてもらってください。

したがって、これからもし外部講師などを多数呼ぶ場合は特に注意してほしいのが、パート練習とかセクション練習をいろんなひとがするたびに、新しい解釈が生まれ、それを奏者に指示し、そのつどフレージング(アーティキュレーション)が変化する、という一番望まない結果を招いてしまうのだけは避けたいところです。


ええと、、指揮者さん頑張ってくださいね!

という作品です。


では、次回は作品を冒頭から解説します。
この楽譜をどう演奏するかについても次回詳しく書きますので引き続きご覧ください。

また来週!

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at 06:53, 荻原明(おぎわらあきら), 吹奏楽コンクール課題曲2016

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