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イメージと実際の演奏のギャップ 3


















みなさんこんにちは!

先々週から「イメージと実際の演奏のギャップ」と題した記事を書いています。
トランペットが難しいと感じられる原因のひとつが、自分のイメージをトランペットで表現しようとした時、体の使い方と結果が異なってくることがひとつ挙げられます。

日常の動作は、例えば重いものを持ち上げようとした時、強い力を使えば使うほど持ち上がる可能性が高くなるであろう、とイメージすると思います。しかし、トランペットを演奏する際にそれが逆の場合もあるのです。力をそれほど使わないほうが結果がついてくるということ。そして、力よりもバランスが重要である、ということ。

実はこれ、何もトランペットに限ったことではないんですよね。今もあるのかわかりませんが、僕が中学生の時には学校で運動能力や基礎体力を計測するスポーツテストなんてものがありました。
その中に、ソフトボール投げというのがあって、ただソフトボールをどれだけ遠くに長られるかを計測するだけなのですが、中にはボールを足元に叩きつけてしまう人がいたのです。飛距離1m。
これは、遠くに飛ばそうを思うあまり力を使いすぎて、投げる行為を超えた筋肉の働きがあったからだと思います。そもそも、ボールを遠くに飛ばすとか、速く投げるというのは筋肉をムキムキに使うというよりも、筋肉をしなやかに、そして手首のスナップをきかせる(柔軟にする)ことが必要なので、それほど「力(筋肉)を使っているぞ!」という感覚にはならないのです。

トランペットの話に戻すと、低音域と高音域になればなるほど力のかけかたやバランス感覚が顕著に変化します。
前回の記事ではそのバランスとは「圧力(体内の空気圧)」「息のスピード」「飛距離」「息と意識の角度(方向)」の4つであり、それぞれについて説明しました。

ということで、ここまでの内容はぜひ過去の記事を読んでみてください。特に、ここから先のバランスの要素に関しては前回の記事をご覧頂いた上で読んで頂くことをおすすめします。

イメージと実際の演奏のギャップ1
イメージと実際の演奏のギャップ2

それでは、今回はそれぞれの音域に対して、それぞれの要素がどんなバランスになると良いか、詳しく書いていきます。


《中音域のバランス》
中音域(おおよそ五線の中の音域)は比較的、体の使い方とイメージが一致しやすい場所です。強く積極的に使えば強い音がでます。したがって、以下のようになります。

・圧力
体内の空気圧を高めると、強い音になります。軽くすればそのぶん音圧は軽くなり、聴こえる音量も優しくなります。イメージする物体のサイズはこれから説明する低音域と高音域の中間です。ツボに当たっている音を基準にします。

・息のスピード
息のスピードは、低音域と高音域の間の状態です。おおよそ五線中央のFやGくらいの音を出している時のスピードを基準にします。

・飛距離
飛距離も低音域と高音域の中間です。これもFやG音あたりがしっかりツボに当たって鳴る音を基準にします。

・息と意識の方向
真正面に息が進むように意識します。音のツボは正面です。


《低音域のバランス》
低音域の特徴は圧力によるイメージの物体サイズです。これが一番大切です。

・圧力
イメージする圧力による物体のサイズは低音域になればなるほど大きく、そして重くなります。自分の体のサイズを圧倒的に超えるくらい大きな圧力が存在するイメージを持ち、ズシーーンと重量感のある息を体内に作り上げて下さい。

・息のスピード
息のスピードは音の高さを決めるものです。ですからスピードは遅くなります。圧力によって作り上げた大きくて重い物体が遅く、しかし確実に前に進んでいるようにイメージして下さい。

・飛距離
飛距離に関しては中音域とさほど変わりません。しっかり鳴らしたければそれなりの飛距離が出るように体をコントロールしましょう。

・息と意識の方向
低音域になると音のツボは、かなり上にあります。ですから、息や意識の方向が前方の斜め上に飛ぶようにコントロールして下さい。
そのために必要なのが舌の形です。舌の奥が沈み、「オ」の発音をしている状態で息を出せば、舌の形状が息の滑走路になり上に飛んでいきます。


《高音域のバランス》
高音域が一番イメージと実際の体の使い方に違いが生まれます。ひとつずつ確認してみましょう。

・圧力
圧力による物体サイズは、想像を絶する小ささで、例えるなら針のような感じです。
多くの方が、高い音を出そうとした時に、お腹をはじめとする全身に力を込めてしまうのですが、その行為から生まれる高圧の空気は、低音域を吹く時のような巨大な物体です。そういう体の使い方をしてしまっている自覚がもしありましたら考え方を一掃し、できるだけ小さくて鋭利な物体をイメージして下さい。
ただし、息の通り道が口の中で狭くなるぶん、「返し」が強くなるのも高音域の特徴です。ですから、吹くための圧力ではなく、「返し」の力に耐えるための圧力(腹筋)が必要になります。しかし、返しの力に耐えようとする意識は、音を出し続けようとする意思で充分カバーできますので、あえて最初から力をかけにいこうとする必要はありません。音が出はじめた瞬間に「おっと、力を入れておかないと『返し』の力に押し返されちゃうぞ」と絶対に感じますので、そういうことが起こるのだ、と覚悟しておくだけで良いと思います。

・息のスピード
息のスピードはとても速くなります。鋭く尖った針が「シュッ!」と素早く飛ぶようなイメージを持って下さい。

・飛距離
この飛距離が一番意外かもしれません。できる限り飛距離を出さないように心がけることで、高音域を当てることができます。
トランペットを吹いていると、いつも「遠くへ飛ばそう」と思い、イメージでも実際の体の使い方に関しても管の中を素早く流れ、ベルから一直線に遠くへ飛んで、、、なんて教わり方をした方も多いと思いますが、勘違いしやすいのが、「実際の音の飛び(客観的に聴こえる音)」と「コントロール上の息の飛距離」は高音域の時、まったく異なってしまうということです。
飛距離を出さないで当たった音は、ホールの遠くまでしっかりと聴こえるのです。

・息と意識の方向
高音域では、音のツボが下にあります。高い音を吹こうとすると、どうしても上へ上へと狙ってしまいがちですが、まったく逆ですので注意して下さい。


《高音域について再確認》
音域によって上記のようにバランスが変化することがわかったでしょうか。
特に注意して欲しいのがやはり高音域です。高音域では息のスピードを上げること以外は、圧力も飛距離も出さないように心がける必要があるので、がむしゃらに力を込めてしまう体の使い方が逆効果なのです。
「スピードは速いが、飛距離が短い」このバランスを作ることを目標に、高音域を出す練習をして下さい。


《要素が増えすぎた時の具体的な弊害》
前回の記事でこんなことを書きました。

『圧力が高くなれば基本的には音量が大きくなり、より張った音になります。』

圧力は、その名の通り聴こえる「音圧」を決めます。圧力が高いほうがムチッとした音になり、大勢で演奏している時にもしっかりと存在感のある音を出すことができます。
しかし、これも限度があります。高くなりすぎた圧力では、コントロールがきかなくなり、唇が反応しなくなっていきます。結果、こもった音になり、吹いている本人は苦しくてたまらなくなってしまいます。良い高圧の状態では苦しさを感じることはありません。注意して下さい。

そしてもうひとつ、こんなことを書きました。

『お腹に力を入れれば腹圧が高まりますので、その圧力を高くしていけば肺の中の空気は速く噴出することになります。しかしこの動きには、先ほど説明した圧力に対しても変化が生まれ、力がかかればそれだけ息の強さも増してしまうので、音量にも影響を与えます。
実はバランス崩れを起こしやすい一番の原因がここにあります。』

文章にすると難しく感じますが、要するにお腹の力を使えば使うほど、音量も大きくなってしまうのです。
お腹の力で何でも吹いてしまうクセを持っている人が多いように感じます。例えばリップスラーもお腹をグイっと使って上の音にたどり着いたり、音階やメロディの頂点に向かってお腹の力で一気に駆け上がるように吹くなど。
もちろんこの吹き方が悪いわけではありません。このテクニックはとても有効で、方法のひとつではあります。
しかしこの吹き方は同時に「クレッシェンド」というオマケが必ず付いてくるのです。
なので、もしもリップスラーやメロディの頂点に向かってデクレッシェンドが書いていたり、もしくはずっとピアノの音量で演奏するように求められたとき、これでは対応できなくなってしまうのです。

そのためにもうひとつのテクニックである「口の中のサイズ変化」を身につけておきたいですね。このブログでもよく出てくる「舌の動きを形状、それにともなうアゴの動き」です。口の中のコントロールでも充分息のスピードを変化させることができます。しかもこの方法だと音量の変化は生まれません。

この2つの方法を上手に組み合わせて演奏することができれば、表現の幅はとても広くなることでしょう。

ということで、3週にわたって書いてきました「イメージと実際の演奏のギャップ」、いかがでしたでしょうか。
ちょっと難しいお話になってしまいましたので、じっくり実践しながら時間をかけて体感していって下さい。

レッスンを受けてもらえると、実演を交えてより理解しやすくなると思いますので、よろしければ「プレスト音楽教室」までいらして下さい。

それでは、また来週!


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at 06:16, 荻原明(おぎわらあきら), ハイノート(ハイトーン)

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