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頬が膨らむ 2


















みなさんこんにちは!
今回もこちらの記事に頂いたコメントのお返事をしたいと思います(現在は質問を受け付けておりません)。


前回からのご質問はこちらです。

======================================
私は昔からのくせで左頬が少し膨らんでしまいます。治そうとおもって口を膨らまさないようにすると音がきたなくなってしまい困っています。
(中略)
この間、ある先生に「頬が膨らむのなおしたほうがいんじゃない?」と言われました。なおそうとすると音がきたなくなってしまうし、でも将来は音大に進みたいと考えているのでこのまま頬を膨らませて演奏しているといけないんじゃないか、と思っています。どうしたらいいんでしょうか!
======================================


頬が膨らむ2のコピー.png

先週の記事では、「片方の頬が膨らむ原因」について詳しく書きましたので、今回は次の「直そうとすると音色が悪くなる」原因を考えてみましょう。


《音色を作っている場所はどこか》
まずは音色というものがどこで作られているのか考えてみましょう。もちろん、楽器の質やマウスピースもそれが決まるひとつの要素です。骨格や息の入れ方もそうですし、言ってしまえば吹いている部屋、環境、温度湿度など、本当に様々なことでその時の音色が決まります。ただ、少なからずそれらの中には「耳に聴こえてくる音」が変化しているにすぎないもの(自分の音色そのものが変わったのではなく、環境によって変えられたもの)も含まれますので注意して下さい。
話がそれてしまいましたが、音色が決定される一番重要なパーツは「唇」であり「唇の状態(コンディション)」です。サックスやクラリネットなどの木管楽器で言えば私たちの唇という部分はリードということになります。このリードはお店に行くと様々な硬さに分けられ、さらに奏者は好みの硬さの中から厳選した質の良い(使える)リードを選別することになります。

しかし、トランペットはそうはいきませんね。自分の唇はひとつしかありませんから、自己責任で管理し、質を良くしていく必要があります(傷を付けたり荒れてしまわないようにケアすることは言うまでもありません)。そして、上質な唇を使って、良いサウンドを作るための吹き方をしなければならないのです。こうやって書くとなんだかとても難しいことのように感じますが、ほとんどの場合、もともと持っている唇が悪いという方はとても少ないのです。それなのに音色に納得ができない人が多いのは、「無意識に悪い音を出す方法で楽器を吹いてしまっているから」なんです。


《唇の振動が発生する仕組み》
僕が初めてトランペットを手にした中学生の時、金管楽器を吹くためにはどうすればいいのか、という説明を先輩から教わりました。どう教わったか、と言うと、

「唇をビービーふるわせることができれば、トランペットからも音が出せる」

ということ。
要するに唇を「自力で(自分の筋力で)」振動させ、それをマウスピースの中でもすればいい、ということだったのですが、こう教わった方って、とても多いのではないでしょうか。
ですから、トランペットを担当すると決まってからしばらくは、マウスピースすら与えられず「指でVサインを作り、それを唇の中央に当てて、ビービー音が出せるようになったらマウスピースを吹かせてあげる」という条件を出されたり「唇を強く引っ張り、食いしばることができなければトランペットを吹いていてもすぐにバテてしまう」ということで、アンブシュアのような形を作り、唇の筋力だけでエンピツをくわえ続けるトレーニングをしたものです。まあ、25年も前の話ですし、今は音大生やプロ奏者が沢山指導に来てくれる時代なので、ここまで嘘の情報が蔓延しているとは思えませんが、でもやはり正しい仕組みを理解している人は結構少ないように感じます。

どういうことかと言うと、トランペットを吹くための唇の振動は、正しくは「楽器とマウスピースがあって、初めて振動が開始する」のであって、振動させられる状態を自力でまず作る、ということは必要ないのです。マウスピースに上下の唇がバランス良く触れ、その間にバランス良いアパチュアが存在し、それらのバランスに合ったバランスの良い息のスピードや量が流れることで、唇の振動が自然に発生するのです。
ですから、唇の周りに過剰に力を込める必要などなく、アンブシュアというものは「バランス」を良くすることのみが求められているだけにすぎないのです。もちろん完全に力を抜いてしまっては上下の唇がバランス良く「保ち続ける」ことができませんが、それは本当にたいした筋力ではありません(振動させるだけならば)。


《音色が悪くなる原因》
トランペットから音を出している時、指先などでほんの少し唇周辺のどこかを軽く押してみて下さい。もうそれだけで途端に詰まった音が出たり、鳴らない音に変化したり、とりあえず悪い方向に変化しませんか?
トランペットの音色というのは非常に繊細なバランスによって成り立っていることがわかると思います。ですから、口周辺に自分の意思で(無意識だったとしても)必要のない力を込める行為は、それだけで充分音色を悪くしているのです。
先程書いたように、トランペットから音を出すにあたって、無駄に力を込める必要はないのですが、音の出る正しいシステムそのものを勘違いしていては、いつまでたっても音色も改善することはできません。

質問にあった「昔からのくせで左頬が少し膨らんでしまいます。治そうとおもって口を膨らまさないようにすると音がきたなくなってしまい困っています。」というのも、頬を膨らまさないようにしようと口周辺の力の込め具合を意図的に変えてしまっていると思われますから、音色が悪くなってしまうのはある意味当たり前のことだと言えます。
もし質問を書いていただいた まこ♪ さんの片頬が膨らんでしまうことが、演奏面で問題ないのだとしたら(実際に見てみないと言い切ることができませので、あくまでも仮説です)、見た目が一般的でないことだけで無理に直す必要はないと思われます。このような「その人にとってのみ、必要である条件」というのは結構あるんです(何度も言うように、頬が膨らむことが必要かどうかは見てみないとわかりませんが)。

演奏上のコントロールが問題なくできて、音色も良いのでしたら特に気にしない、というのがひとまず結論です。

それではまた来週!

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at 11:00, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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