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トランペット ウォームアップ本 (MyISBN - デザインエッグ社) (JUGEMレビュー »)
荻原 明
【販売部数1000部達成!】「ラッパの吹き方」ブログ著者、荻原明 初の教則本!ウォームアップと奏法の基礎を身につけられる一冊です!
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2013.02.26 Tuesday
トランペットのカスタマイズ(改造)
みなさんこんにちは!
突然ですが、みなさんが使っているトランペット、カスタマイズ(改造)していますか?
吹奏楽部などで学校や団体が所有している楽器を借りて演奏している方には縁のないことだと思うのですが、トランペットをはじめとする金管楽器は様々なパーツを交換したり付け足しすことが可能なんです。中でもトランペットはカスタマイズがしやすいのか、カスタマイズしたい人が多いのかわかりませんが、結構多くの方が何かしら店頭に置いてあった時とは違う状態にしているように見受けられます。
カスタマイズをする目的はもちろん、より良い音が出せるようにとか、よりコントロールしやすくするためにとか、プラスになるためにしているはずです。
では最初に、トランペットで主にカスタマイズしているパーツを挙げてみようと思います。
ちなみに、写真のトランペットは僕が使っている楽器で、一切カスタマイズしていない基本中の基本のV.Bach(バック)ですので、実際の改造パーツがどんなものなのか、ある程度はリンクを貼ってみます。ただ、当ブログとは無関係なリンクですので、リンク切れ等の保証は致しかねます。
そして写真の楽器がめっちゃ汚いのは思っても口にしちゃダメです(笑)
磨くのが楽器にとってあまり良いことだと思わないので。。。
《カスタマイズされることの多いパーツ》
■マウスピース
マウスピースの改造は、こだわる人は本当にこだわります。リム(唇の当たる場所)の大きさ、厚みに始まり、カップの大きさや形、そしてスロート(筒になってるとこ)の直径や形状など。手のひらサイズのマウスピースですが、こだわり始めると細部に至るまでカスタマイズする方もいらっしゃいます。
そして、それらすべてのパーツがネジで分解できるように改造こともできます(そういった技術を持ったリペアマンなどがいれば)。
市販のマウスピースはどれも納得がいかないとか、口当たりは良いんだけど、このカップの形状は気に入らない、なんて思う方がオリジナルで作ってもらっています。
自分が納得するまでとことん追求するか、ある程度自分に合っていればまあこれでいいかと思えるか(マウスピースのせいだけにしないでいられるか)。それは奏者の性格にもよるんでしょうかね。
■重り
いつだったか、楽器メーカーのBachが「メガトーン」というマウスピースを発売しました。通常のマウスピースに比べると、カップの外側の金属量が多いのでとても重いんです。
今はもう(多分ですが)製造していません。Monette(モネ/モネット)のマウスピースもメガトーンと形状がとても似ています。
なんでこんなにでっかくて変な形をしているのかと言うと、音の反応が良くなるんだそうです。実際僕自身もメガトーンを吹いたことがありますが、確かにいつものマウスピースよりメガトーンのほうがベルの更に向こうで音が鳴っている感覚を持ちました。
おお、これはすごい。と思いましたがこれを使って演奏したいとは思えず、結局普通のマウスピースを使い続けてます。
これらのマウスピースは製品自体がいわゆる金属の重りを付けていますが、自分が今使っているマウスピースに簡単に付けられる重りも売っています。
エッジフェクターと言うらしいのですが(ごめんなさい正式な名前を今知りました)、これだとリング状になっているので、マウスピースのスロートに差し込むだけで、ぐっと重くなります。
そしてマウスピースだけでなく、楽器に重量感を持たせることは、鳴らすためのプラス要素だ、という考え方を持っている技術者やプレイヤーも多くいます。
■ボトムキャップ
楽器に重量感を持たせる一番注目される部分はボトムキャップです。ピストン下のフタのようになっている部分。ここの重さが音の響きに影響を与えると言います。
ボトムキャップは3つとも替える人より、どこかひとつだけ変更する人が多いように思います。
響きが豊かになるだとか何とか。試しにやってみたことはありますが、いまいちよくわかりません。
逆に軽くしているボトムキャップもあるようです。
■ピストンボタン
ピストンボタンは、右手の指で押しているところです。ここはネジでついているのですぐに取り外すことができます。写真のピストンボタンはXO(エックスオー)のコルネットで最初に付いていたもの。
この写真のピストンボタンで演奏しようとしたところ、僕の場合ツルツルすべって演奏しにくかったので、付属品の(多分)貝がついているものに交換しました。
■ピストンのバネ(バルブ スプリング)
先程のピストンボタンと一緒に写っていたバネですが、これもXO製品の付属です。この写真だと何のことやらわかりにくいのですが、バネの強度が違うので、ピストンを押した時の重さ(指にかかる負荷)が変わるんですね。それによってどうなるかと言うとピストンアクションが軽くなったり重くなったりする、と、まあそれだけのことです。
他にも、ピストンボタンが直接当たるワッシャと呼ばれる部分や、内部のフェルトなども厚みや素材を替えることによりピストンアクションが変化するパーツが売られています。
フェルトは時間の経過(使用頻度による)と共に潰れてきてしまい、ピストンが返ってきた時のコツコツした振動が激しくなってきます。そうなったら交換したほうが良い部分ではありますが、違う素材にして何か変わるのか、という点については試したことがないのでよくわかりません。
■支柱
トランペットの支柱はチューニングスライドやその近くにくっついています。
先程「重り」について書きましたが、この支柱が付いているかどうか、何本付いているかで演奏時の音の抵抗感や響きに影響を与えると言われています。ざっくり言えば支柱がないほうが軽く吹けて、支柱が多ければ抵抗感が増す、といったところでしょうか。
初心者の楽器には(金額的な面もあると思いますが)支柱が付いていない場合が多いです。
この支柱、自分で買ってきて付けることもできるんですよね。
■マウスパイプ
マウスパイプとは、マウスピースを取り付ける一直線の管のことです。
楽器屋さんのトランペットコーナーでトランペットと一緒にただのパイプが置いてあるのを見たことがある方もいると思います。見た目に違いがわからないので、一体なぜこの部分だけが置いてあるのか疑問に思ったことありませんか?
これらは金属の材質が違うんですね。
息を入れて最初に通過するマウスパイプですから、一番影響を与えやすいということでしょう。ただ、マウスパイプを交換するには、楽器のハンダをはずして付け替える作業が必要で、技術料もマウスパイプ自体も結構お金がかかります。
試しにやってみよう、というのは難しいですね。
■ベル
マウスパイプと同じように、ベルそのものを交換することができます。様々な素材でできたベルにより、音質などが変わるということだそうですが、これも試したことがないのでよくわかりません。以前、違う素材でできた同じメーカーの楽器を吹き比べましたが、やっぱりよくわかりませんでした。
ベルも付け根からハンダを外して取り付けるため、結構な時間と金額がかかります(楽器製造メーカーによっては、オーダーメイド的にベルを選択して注文することもできます)。
メーカーによってはネジ状になってベルを交換できたり、付け根から取り外せるようになっているものもあります。
■メッキがけ
トランペットの表面は基本的にラッカー、シルバー(銀メッキ)、ゴールド(金メッキ)、まれにノーラッカーがあります。
楽器をコーティングしている素材によって音色や響きに違いがあると言われています。
メッキがけは後からでもすることが可能で、銀メッキの楽器の上から金メッキをかけることもできます。部分的に金にすることもできます。
ですが、メッキ on メッキが果たして良いものかどうかはわかりません。
これもかなりの金額と日数がかかると思われます。
マウスピースにも同じ様にメッキをかけることができます。これも部分的に(例えばリムだけに)かけることが可能です。
金属アレルギーを持っている方は、銀によってアレルギー反応が出てしまうので、そういった場合は金製品を使うことをおすすめします。したがって、楽器を購入する際は銀メッキの楽器を選ばないこと、そしてマウスピースも、最低でも唇が直接当たるリム部分が金メッキの商品を使うようにして下さい。
ちなみに、マウスピースのリムが金になると、銀に比べてツルツル滑りやすくなります。
《カスタマイズは賛否両論》
ここまで、主なカスタマイズパーツについて書きましたが、これらの改造を行うことについては賛否両論があります。
そっけない感じで解説してきたのでお気づきでしょうが、僕自身は一部を除いてあまり賛成できません。
なぜなら、自分の楽器をカスタマイズするということは、練習によっては解決できない、もしくは自分の実力をのばすことができる何かを具体的にどう改造することによって解決できるのかを理解していなければ意味がないからです。
興味本位や流行、プロ奏者がこんなことをしている、などの情報だけでカスタマイズを行い「何かよくなった感じがする」というレベルでは時間とお金の無駄だと思います。
しかも、ハンダをはずして行う大幅な改造は、万が一納得いかない結果になってもそう簡単に戻せない(見た目に直せても完全には戻らない)リスクもあります。
それでもトランペットを沢山持っていて、経済的にも余裕があってカスタマイズが趣味で特に何かを求めているわけではないDIY的、日曜大工的な感覚あれば別に構いません。そうではなく「練習することに努力や時間をかけず、カスタマイズで上達した気になってしまう他力本願」になってしまうのはとてもよくない、と言いたいんです。
ほとんどのことは練習と努力によって解決する(身につける)ことができます。定価2万円の楽器を使っても一流のトランペット奏者が演奏するとそれなりのレベルで演奏できてしまうことを目の当たりにした身としては、楽器の善し悪し、カスタマイズは練習や努力によって身につけた自分の実力、音楽性を表現しやすくできるツールかどうかでしかありません。
ま、要するに「カスタマイズしている時間があるなら練習しましょう」と言いたいだけです。カスタマイズするお金があるなら、それを個人レッスンの受講料に使ったほうがよっぽどレベルアップにはつながると思いますよ。
《市販の楽器もある意味カスタマイズしたもの》
ご存知のように楽器というのは様々なメーカーから沢山の種類が販売されています。
それら複数の楽器はパッと見ただけでもデザインやパーツの組み方が異なるものも多くあります。
なぜなら各メーカーは技術者とアドバイザー(プロ奏者)によって「この作り方が(様々な意図、目的による)トランペットのベストな設計」と考え、作り上げています。
安い楽器はコストを押さえつつ、抵抗感を少なくして初心者でも吹きやすく作っていますし、オーケストラで良い音が出せるように考えている楽器があったり、ジャズで良い音を出せるように、など。。。
これはある意味、トランペットを熟知している「技術者によるカスタマイズされた楽器」とも言えます。
自分としてはそういった様々な楽器を(技術者の考え方をできるだけ理解しつつ)自分の演奏環境や目的、奏法に合っているのか試奏して選んだほうがいいのではないか、と思うんです。というか自分はそれで充分。
だから今使っている楽器に不満がないとは言えませんが、カスタマイズしようとも思わないんです。本当に不満なら買い替えます(その前に練習ですけど)。
まあでも、楽器屋さんで何か面白そうなパーツを見つけて試させてもらえる程度なら楽しいですけどね。もしもそれが自分に本当に良さそうだと思ったら使ってみても良いかもしれません。結局は自己責任です。
《ロータリー、ピッコロトランペットのカスタマイズ》
最初に写真付きで解説したのは、Bb管やC管のピストンバルブに関してでした。
トランペットは他にもロータリー、ピッコロなどがあるのはご存知でしょうが、それら独特なカスタマイズについて簡単に書いてみようと思います。
■ロータリーのキー
ロータリーはピストンに比べて値の張る楽器ですが、さらにその中でも上位レベルの楽器には、チューニングスライドにキーがついているものがあります。
これは、high CキーやAキーなどと呼ばれるもので、右手の小指の近くに押す場所があります。
このキーを押しながらhigh CやA(五線上の音)を出すと音の抜けや音色が安定するといったもの。もし、付いていない楽器にキーを付けるカスタマイズをした場合、相当な値段になります。
余談ですが、high Dの音を出す時は、ウォーターキー(ツバ抜き)を押して解放させると出しやすい裏技(?)があります。ただ、high D音と共に一緒にツバが吹き出す恐れはあります(笑)
■ピッコロトランペットのフィンガーフック(トリガーフック)
ピッコロトランペットはメーカーや製品によって形状が非常に異なります。例えば僕が使っているSchile(シルキー)というメーカーのピッコロ(P5-4)は写真のようなデザインです。この楽器を持った時の左手は「にぎる」だけの状態ですよね。普通のBb管でしたら左手は3番管のトリガーを動かす仕事がありますが、ピッコロでも同じようにフックやリングを付けて抜き差ししたいと考えるならば、カスタマイズすることもできます。
今のところ自分はそれをやっていませんが、確かにあったら便利なのかな?と思ったりもします。
実際、シルキーの他のラインナップでは最初からリングが付いています。
でも一度リング付きのシルキーのピッコロを持ったとき、今の自分の持ち方とリングの位置がかなり違ったのでしばらく使ってみないと本当に良いかどうかはわからないですね。ピッコロは低音域のピッチが非常に不安定なので、そういった点ではトリガーを動かしたいと常々思っているのですが。。。
ということで、今回は楽器のカスタマイズについて書いてみました。
カスタマイズを実際に行っている方、興味を持っている方にはちょっと今回の記事はイラっとさせてしまったかもしれません、ごめんなさい。
でも楽器そのものに興味があって、更に自分のレベルアップを図るためのプラスアルファな要素である可能性は否めませんので、お金や時間に余裕がある方はぜひ技術の高いリペアマンのいる楽器店でいろいろ相談してみてはいかがでしょうか。
質問した人の回答がアバウトだったり、単に「いいよこれ!」といってパーツを売ってこようとする場合は注意しましょうね。
それではまた来週!
突然ですが、みなさんが使っているトランペット、カスタマイズ(改造)していますか?
吹奏楽部などで学校や団体が所有している楽器を借りて演奏している方には縁のないことだと思うのですが、トランペットをはじめとする金管楽器は様々なパーツを交換したり付け足しすことが可能なんです。中でもトランペットはカスタマイズがしやすいのか、カスタマイズしたい人が多いのかわかりませんが、結構多くの方が何かしら店頭に置いてあった時とは違う状態にしているように見受けられます。
カスタマイズをする目的はもちろん、より良い音が出せるようにとか、よりコントロールしやすくするためにとか、プラスになるためにしているはずです。
では最初に、トランペットで主にカスタマイズしているパーツを挙げてみようと思います。
ちなみに、写真のトランペットは僕が使っている楽器で、一切カスタマイズしていない基本中の基本のV.Bach(バック)ですので、実際の改造パーツがどんなものなのか、ある程度はリンクを貼ってみます。ただ、当ブログとは無関係なリンクですので、リンク切れ等の保証は致しかねます。
そして写真の楽器がめっちゃ汚いのは思っても口にしちゃダメです(笑)
磨くのが楽器にとってあまり良いことだと思わないので。。。
《カスタマイズされることの多いパーツ》
■マウスピース
マウスピースの改造は、こだわる人は本当にこだわります。リム(唇の当たる場所)の大きさ、厚みに始まり、カップの大きさや形、そしてスロート(筒になってるとこ)の直径や形状など。手のひらサイズのマウスピースですが、こだわり始めると細部に至るまでカスタマイズする方もいらっしゃいます。
そして、それらすべてのパーツがネジで分解できるように改造こともできます(そういった技術を持ったリペアマンなどがいれば)。
市販のマウスピースはどれも納得がいかないとか、口当たりは良いんだけど、このカップの形状は気に入らない、なんて思う方がオリジナルで作ってもらっています。
自分が納得するまでとことん追求するか、ある程度自分に合っていればまあこれでいいかと思えるか(マウスピースのせいだけにしないでいられるか)。それは奏者の性格にもよるんでしょうかね。
■重り
いつだったか、楽器メーカーのBachが「メガトーン」というマウスピースを発売しました。通常のマウスピースに比べると、カップの外側の金属量が多いのでとても重いんです。
今はもう(多分ですが)製造していません。Monette(モネ/モネット)のマウスピースもメガトーンと形状がとても似ています。
なんでこんなにでっかくて変な形をしているのかと言うと、音の反応が良くなるんだそうです。実際僕自身もメガトーンを吹いたことがありますが、確かにいつものマウスピースよりメガトーンのほうがベルの更に向こうで音が鳴っている感覚を持ちました。
おお、これはすごい。と思いましたがこれを使って演奏したいとは思えず、結局普通のマウスピースを使い続けてます。
これらのマウスピースは製品自体がいわゆる金属の重りを付けていますが、自分が今使っているマウスピースに簡単に付けられる重りも売っています。
エッジフェクターと言うらしいのですが(ごめんなさい正式な名前を今知りました)、これだとリング状になっているので、マウスピースのスロートに差し込むだけで、ぐっと重くなります。
そしてマウスピースだけでなく、楽器に重量感を持たせることは、鳴らすためのプラス要素だ、という考え方を持っている技術者やプレイヤーも多くいます。
■ボトムキャップ
楽器に重量感を持たせる一番注目される部分はボトムキャップです。ピストン下のフタのようになっている部分。ここの重さが音の響きに影響を与えると言います。
ボトムキャップは3つとも替える人より、どこかひとつだけ変更する人が多いように思います。
響きが豊かになるだとか何とか。試しにやってみたことはありますが、いまいちよくわかりません。
逆に軽くしているボトムキャップもあるようです。
■ピストンボタン
ピストンボタンは、右手の指で押しているところです。ここはネジでついているのですぐに取り外すことができます。写真のピストンボタンはXO(エックスオー)のコルネットで最初に付いていたもの。
この写真のピストンボタンで演奏しようとしたところ、僕の場合ツルツルすべって演奏しにくかったので、付属品の(多分)貝がついているものに交換しました。
■ピストンのバネ(バルブ スプリング)
先程のピストンボタンと一緒に写っていたバネですが、これもXO製品の付属です。この写真だと何のことやらわかりにくいのですが、バネの強度が違うので、ピストンを押した時の重さ(指にかかる負荷)が変わるんですね。それによってどうなるかと言うとピストンアクションが軽くなったり重くなったりする、と、まあそれだけのことです。
他にも、ピストンボタンが直接当たるワッシャと呼ばれる部分や、内部のフェルトなども厚みや素材を替えることによりピストンアクションが変化するパーツが売られています。
フェルトは時間の経過(使用頻度による)と共に潰れてきてしまい、ピストンが返ってきた時のコツコツした振動が激しくなってきます。そうなったら交換したほうが良い部分ではありますが、違う素材にして何か変わるのか、という点については試したことがないのでよくわかりません。
■支柱
トランペットの支柱はチューニングスライドやその近くにくっついています。
先程「重り」について書きましたが、この支柱が付いているかどうか、何本付いているかで演奏時の音の抵抗感や響きに影響を与えると言われています。ざっくり言えば支柱がないほうが軽く吹けて、支柱が多ければ抵抗感が増す、といったところでしょうか。
初心者の楽器には(金額的な面もあると思いますが)支柱が付いていない場合が多いです。
この支柱、自分で買ってきて付けることもできるんですよね。
■マウスパイプ
マウスパイプとは、マウスピースを取り付ける一直線の管のことです。
楽器屋さんのトランペットコーナーでトランペットと一緒にただのパイプが置いてあるのを見たことがある方もいると思います。見た目に違いがわからないので、一体なぜこの部分だけが置いてあるのか疑問に思ったことありませんか?
これらは金属の材質が違うんですね。
息を入れて最初に通過するマウスパイプですから、一番影響を与えやすいということでしょう。ただ、マウスパイプを交換するには、楽器のハンダをはずして付け替える作業が必要で、技術料もマウスパイプ自体も結構お金がかかります。
試しにやってみよう、というのは難しいですね。
■ベル
マウスパイプと同じように、ベルそのものを交換することができます。様々な素材でできたベルにより、音質などが変わるということだそうですが、これも試したことがないのでよくわかりません。以前、違う素材でできた同じメーカーの楽器を吹き比べましたが、やっぱりよくわかりませんでした。
ベルも付け根からハンダを外して取り付けるため、結構な時間と金額がかかります(楽器製造メーカーによっては、オーダーメイド的にベルを選択して注文することもできます)。
メーカーによってはネジ状になってベルを交換できたり、付け根から取り外せるようになっているものもあります。
■メッキがけ
トランペットの表面は基本的にラッカー、シルバー(銀メッキ)、ゴールド(金メッキ)、まれにノーラッカーがあります。
楽器をコーティングしている素材によって音色や響きに違いがあると言われています。
メッキがけは後からでもすることが可能で、銀メッキの楽器の上から金メッキをかけることもできます。部分的に金にすることもできます。
ですが、メッキ on メッキが果たして良いものかどうかはわかりません。
これもかなりの金額と日数がかかると思われます。
マウスピースにも同じ様にメッキをかけることができます。これも部分的に(例えばリムだけに)かけることが可能です。
金属アレルギーを持っている方は、銀によってアレルギー反応が出てしまうので、そういった場合は金製品を使うことをおすすめします。したがって、楽器を購入する際は銀メッキの楽器を選ばないこと、そしてマウスピースも、最低でも唇が直接当たるリム部分が金メッキの商品を使うようにして下さい。
ちなみに、マウスピースのリムが金になると、銀に比べてツルツル滑りやすくなります。
《カスタマイズは賛否両論》
ここまで、主なカスタマイズパーツについて書きましたが、これらの改造を行うことについては賛否両論があります。
そっけない感じで解説してきたのでお気づきでしょうが、僕自身は一部を除いてあまり賛成できません。
なぜなら、自分の楽器をカスタマイズするということは、練習によっては解決できない、もしくは自分の実力をのばすことができる何かを具体的にどう改造することによって解決できるのかを理解していなければ意味がないからです。
興味本位や流行、プロ奏者がこんなことをしている、などの情報だけでカスタマイズを行い「何かよくなった感じがする」というレベルでは時間とお金の無駄だと思います。
しかも、ハンダをはずして行う大幅な改造は、万が一納得いかない結果になってもそう簡単に戻せない(見た目に直せても完全には戻らない)リスクもあります。
それでもトランペットを沢山持っていて、経済的にも余裕があってカスタマイズが趣味で特に何かを求めているわけではないDIY的、日曜大工的な感覚あれば別に構いません。そうではなく「練習することに努力や時間をかけず、カスタマイズで上達した気になってしまう他力本願」になってしまうのはとてもよくない、と言いたいんです。
ほとんどのことは練習と努力によって解決する(身につける)ことができます。定価2万円の楽器を使っても一流のトランペット奏者が演奏するとそれなりのレベルで演奏できてしまうことを目の当たりにした身としては、楽器の善し悪し、カスタマイズは練習や努力によって身につけた自分の実力、音楽性を表現しやすくできるツールかどうかでしかありません。
ま、要するに「カスタマイズしている時間があるなら練習しましょう」と言いたいだけです。カスタマイズするお金があるなら、それを個人レッスンの受講料に使ったほうがよっぽどレベルアップにはつながると思いますよ。
《市販の楽器もある意味カスタマイズしたもの》
ご存知のように楽器というのは様々なメーカーから沢山の種類が販売されています。
それら複数の楽器はパッと見ただけでもデザインやパーツの組み方が異なるものも多くあります。
なぜなら各メーカーは技術者とアドバイザー(プロ奏者)によって「この作り方が(様々な意図、目的による)トランペットのベストな設計」と考え、作り上げています。
安い楽器はコストを押さえつつ、抵抗感を少なくして初心者でも吹きやすく作っていますし、オーケストラで良い音が出せるように考えている楽器があったり、ジャズで良い音を出せるように、など。。。
これはある意味、トランペットを熟知している「技術者によるカスタマイズされた楽器」とも言えます。
自分としてはそういった様々な楽器を(技術者の考え方をできるだけ理解しつつ)自分の演奏環境や目的、奏法に合っているのか試奏して選んだほうがいいのではないか、と思うんです。というか自分はそれで充分。
だから今使っている楽器に不満がないとは言えませんが、カスタマイズしようとも思わないんです。本当に不満なら買い替えます(その前に練習ですけど)。
まあでも、楽器屋さんで何か面白そうなパーツを見つけて試させてもらえる程度なら楽しいですけどね。もしもそれが自分に本当に良さそうだと思ったら使ってみても良いかもしれません。結局は自己責任です。
《ロータリー、ピッコロトランペットのカスタマイズ》
最初に写真付きで解説したのは、Bb管やC管のピストンバルブに関してでした。
トランペットは他にもロータリー、ピッコロなどがあるのはご存知でしょうが、それら独特なカスタマイズについて簡単に書いてみようと思います。
■ロータリーのキー
ロータリーはピストンに比べて値の張る楽器ですが、さらにその中でも上位レベルの楽器には、チューニングスライドにキーがついているものがあります。
これは、high CキーやAキーなどと呼ばれるもので、右手の小指の近くに押す場所があります。
このキーを押しながらhigh CやA(五線上の音)を出すと音の抜けや音色が安定するといったもの。もし、付いていない楽器にキーを付けるカスタマイズをした場合、相当な値段になります。
余談ですが、high Dの音を出す時は、ウォーターキー(ツバ抜き)を押して解放させると出しやすい裏技(?)があります。ただ、high D音と共に一緒にツバが吹き出す恐れはあります(笑)
■ピッコロトランペットのフィンガーフック(トリガーフック)
ピッコロトランペットはメーカーや製品によって形状が非常に異なります。例えば僕が使っているSchile(シルキー)というメーカーのピッコロ(P5-4)は写真のようなデザインです。この楽器を持った時の左手は「にぎる」だけの状態ですよね。普通のBb管でしたら左手は3番管のトリガーを動かす仕事がありますが、ピッコロでも同じようにフックやリングを付けて抜き差ししたいと考えるならば、カスタマイズすることもできます。
今のところ自分はそれをやっていませんが、確かにあったら便利なのかな?と思ったりもします。
実際、シルキーの他のラインナップでは最初からリングが付いています。
でも一度リング付きのシルキーのピッコロを持ったとき、今の自分の持ち方とリングの位置がかなり違ったのでしばらく使ってみないと本当に良いかどうかはわからないですね。ピッコロは低音域のピッチが非常に不安定なので、そういった点ではトリガーを動かしたいと常々思っているのですが。。。
ということで、今回は楽器のカスタマイズについて書いてみました。
カスタマイズを実際に行っている方、興味を持っている方にはちょっと今回の記事はイラっとさせてしまったかもしれません、ごめんなさい。
でも楽器そのものに興味があって、更に自分のレベルアップを図るためのプラスアルファな要素である可能性は否めませんので、お金や時間に余裕がある方はぜひ技術の高いリペアマンのいる楽器店でいろいろ相談してみてはいかがでしょうか。
質問した人の回答がアバウトだったり、単に「いいよこれ!」といってパーツを売ってこようとする場合は注意しましょうね。
それではまた来週!
当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。
at 12:46, 荻原明(おぎわらあきら), 楽器・アクセサリー・ツール
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2012.10.09 Tuesday
ミュート 2
みなさんこんにちは!
先日7日、8日に講師をしているプレスト音楽教室のアンサンブル発表会がありました。
トランペットクラスは7日に出演しまして、トランペットアンサンブルだけでなく、サックスとトロンボーン、ピアノとの講師演奏も行い、気付けばほぼずっとステージにいる自分(笑)
トランペットの生徒さんも頑張っていましたし、講師演奏では「発表会だったのを忘れるくらい楽しかった」「コンサートを聴きにきた気になってた」と言ってくれる方もいまして自分自身も楽しい一日を過ごせました。どんなステージでも音楽ってやっぱり楽しくないとダメですよね。生徒さんや聴きにいらして頂いた方々にもそれを感じてもらえれば嬉しいです。
次回の本番は来週日曜(14日)の「親子で楽しむアニメコンサート」。チケットまだ少しありますので、ぜひいらして下さい!スタジオジブリ作品ばかりの朗読付きコンサートです。年齢制限ありませんし、どなたでも楽しめるコンサートです!子どもが小さいからいつもはコンサートに行けないという方もぜひ!詳しくはこちらをご覧下さい。
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さて、前回の記事でミュートについて解説しました。
ミュートと言うと、楽譜に指示があるから付けて、はずす指示があるからOpenにして、それ以上でもそれ以下でもないような感覚の方がほとんどなのではと思いますがどうでしょうか。
というのも、トランペットを吹いていて通常のOpen状態では「音色」とか「ピッチ」「響き」を追求している人でも「ミュートを付けている時の良い演奏」を心がけていないのを目にする事が結構あるんですよね。
Openでもミュートでも自分のトランペットを演奏していることにまったく変わりはありません。ですから、ミュートの時にはミュートの時のベストな吹き方を知っておく必要があると思うんです。
《中学生の時のミュートの話》
トランペットを始めた中学校の吹奏楽部は、学校にミュートが1つもありませんでした。
そもそもこの学校は当時、ミュートという存在を知らなかったのだと思います。
楽譜には度々「Mute」と書いてあるのに、誰もそれについては疑問を持たず、ずっとOpenで吹いていたのですが過去の記事にも書いたように自分はこれから演奏する曲の音源をできる限り事前に聴いておくスタンスで吹奏楽をやっていたため、ミュートを付けた時とそうでない時のイメージの大きな違いが知識がないなりにも理解していたんだと思います。
でも、そのミュートというのがいったいどんなものなのか、そこまでの知識はありませんでした。
なんせ当時はインターネットなんてありませんし、吹奏楽や管楽器の知識を得るにはバンドジャーナルのような雑誌くらいしかなかったんです。
中1の時、頼れる先輩もいませんでしたし(3年は幽霊部員、2年は他の楽器の3年生が意味もなく怖すぎて後輩にアドバイスをするなんてことまったくしてくれませんでしたから...←ばかばかしい)どうにかしてミュートというものを手に入れたかったんですよね。
当時の横浜には横浜駅まで行けばヤマハとか、もう少し足をのばせば管楽器専門店(横浜近辺の方はセントラル楽器ってご存知ですよね)とかあったんですが、中1だとなかなか行く機会も機動力もなかったんです。電車にひとりで乗るってこの頃ちょっと勇気いりません?交通費もかかるし。電車通学している方はそんなことないんでしょうけど。。。(24年も前の話なんで!ちびまる子ちゃん的イメージでよろしくお願いします)
唯一ひとりで動けたのは自転車で頑張って走ったところにある伊勢佐木町のでっかいレコード屋(CDが流通し始めたた頃ですから!)さん兼楽譜屋さん兼楽器屋さん。
楽器屋さんと言ってもこういうお店ですからね。どちらかと言うとロックバンド屋です。だからトランペット、サックスくらいは置いてあったんですが変な展示してたり扱いめちゃくちゃだったり、知らないメーカーだったり。
自転車で移動していたので交通費もかかりませんから見るだけならタダ。休日にこのお店に行くのが好きだったんです。楽譜を読み漁ったりCD(レコード)物色したり、管楽器を眺めていたり。
そしたら、トランペットのところに変なアルミの物体が置いてあって「ミュート」とポップに書かれていたんです。「あ!これがミュートなんだ!」と初めて実物を見ることができて、どうしても手に入れたくなりましたがお金がない。
後日親にお願いしてお金をもらい、迷わずゲットしてドヤ顔で「ミュートだぜえ」と部活に持っていったんですけど。。。
まずですね、吹奏楽でミュートを使うって基本全員一斉に、じゃないですか。ひとりでミュートしててもしょうがないというか、逆に空気読めない人ですよね。だから使い道がない。
なんだかな。
それ以上にですね、ミュートという物体がいろんなメーカーからいろんな種類が出ているなんて思いもよらず。
先程書いたようにミュートを買ったところはロックバンドの楽器が並ぶお店ですから、こだわった管楽器関連商品を仕入れているはずもなく、結果として手に入れたものはとてもよろしくない製品だったんですよね(メーカー名は伏せます)。
カップとストレートが組み合わせで変えることができる仕様で(デニスじゃないですよ)、ショボいアルミでできていて、どちらもとても中途半端で変な音。というのは高校生になってから知ったんですが。
それほどミュートについての知識がない中学時代でした。
《ローマの松》
ミュートって、ごく一部、数小節にしか使われていないものが多いですよね。そういう点で毎日の練習時にはあまり気にすることなく、楽譜に書いてあるからミュートを用意して使って、って感じになってしまうのかもしれませんが、例えばレスピーギという作曲家の管弦楽作品「ローマの松」1曲目「ボルゲーゼ荘の松」は、ほぼすべてストレートミュートでの演奏です。その中にはメロディもソロ的な部分も含まれていますし、フォルテで鳴らしまくる箇所が大部分を占めています。しかも難しいパッセージばかり。
日常あまりミュートについて考えていないと、いざこういった作品を演奏することになった場合、Open状態なら結構吹けるという人もてこずる可能性があります。思ったように鳴らせないとか、はずしちゃうとか、ピッチが合わせにくいとか。
ですので、毎日でなくても構いませんが、不安要素を払拭する意味も含めミュートでもしっかりと演奏できる練習は必ずすべきだと思います。
《ピッチの変化》
これはご存知の方も多いと思いますが、ミュートを付けるという行為はベルから出てくる音が少なからず抵抗を受けるためにピッチが通常時とは異なる、ということをまず知っておくべきでしょう。
基本的にはストレートミュートはピッチが上がりやすく、カップミュートはものによりますが下がる傾向にあります。
ただ、これはメーカーや形状によっても変わってくるものですから、まずはOpen状態できちんとチューニングをして、吹き方を変えずにそれぞれのミュートを付けた時のピッチがどれくらい変化するのか調べておきましょう。
調べ終わったら、今度は抜差管(チューニングスライド)をどのくらい出し入れすればピッチが安定するのかをチューナーで調べて下さい。
そして、楽曲中実際にミュートを使うことになったら調べた通りに抜差管の長さも変えてから演奏しましょう。
(ただしこれはきちんとした奏法を身につけていないと難しいかもしれません。そのためにまず一番必要なことは「音のツボに当てる技術」を持つこと。実はミュートを使うとOpen時よりも音のツボに当たっているかどうかがはっきりわかるんです。その話は後ほど。)
作品や場面によってはMuteとOpenの指示がすぐに出てきてしまう時もあります。その場合、抜差管のことは気にせず周りの音をしっかりと聴き、「耳」で合わせていくようにして下さい。決して「口」で合わせるのではありません!
《ツボを捉える》
過去の記事「ハイノート(ハイトーン)へのアプローチ6」で詳しく書いた「音のツボ」というのがミュートの時には顕著に現れます。
その前に、ミュートを付けた時の「良いサウンド」ってイメージできますか?これがないとどうにもならないので、可能であるならプロの演奏を聴くとか、レッスンを受けられると良いのですが。。。
例えばストレートミュートを付けて吹いた時に、くぐもった音、こもった音がしている時はツボに当たっていません。ストレートミュートは「ビーーーン」と固く金属的に響くサウンドがするものです(メーカーや材質により様々です)。抜差管の操作やピッチの調整以前に自分が今どんな質のサウンドを出しているのか耳を使ってしっかり聴いて下さい。
Openの状態で「ツボ」に当たっているのかいまいちわからないという方は逆の発想で、ミュートでツボに当てられたらそのままOpenにして同じ感覚で吹いてみましょう。ツボに当たった時の音というのがわかると思います。ミュートの時のほうがこれがわかりやすいのでこの方法は使えるかもしれませんよ。
ミュートを付けた時に吹きやすい音域なのに音がはずれてしまうとか、ピッチが合わないとか、そういった時はまず「ツボ」を意識して練習するようにしましょう。
ところで、現在このブログの今後についてご意見を募集しております。この項目に関しては「ようこさん」から頂いたコメントを元に書かせて頂きました。ありがとうございます。
引き続きご意見募集中ですので、コメントもしくはフォームからお寄せ頂ければと思います。よろしくお願いします。
《ミュートを選ぶ》
中学生の時によくわからず買ってしまったミュートの話を先程書きましたが、やはりミュートに関してもきちんとしたメーカーのものを使うことが大切です。
どのメーカーが良い、というのは完全に好みですし楽曲によっても演奏するジャンルによっても変わってきます。
ですから、可能ならば楽器屋さんに言っていろいろなミュートを試奏させてもらいましょう。
また、楽団や部活動では所有しているミュートがすでにある、という場合もあるでしょう。
そのミュートたち、コンディションはどうですか?コルクが取れかかっていたり表面がベッコベコになっていたり、穴の空いているところが歪んでいたりしませんか?
楽器やマウスピースは大事にするのにミュートは無関心、というのはちょっとおかしいですよね。ミュートだって凹みがあればそれだけサウンドやピッチに影響を与えてしまいます。大切に扱って下さい。もし本当に酷い状態なら、思い切って買い直すのも手ですね。
表面がベコベコになっているのはきっと落としてしまったからだと思います。そうならないためにはやはりミュートを落としにくい状態であるべきです。それに関しては前回の記事に書いてありますのでぜひ読んでみて下さい。
これからミュートを買おうと思っている方、団体は、一緒に演奏する人が使っているものと同じもの(メーカー)を購入するのがおすすめです(きちんとしたメーカーに限る)。極端な話、ミュートというのはアルミ、銅、木、籐(とう)など実に様々な材質で作られていて、例えばアルミと木では同じストレートミュートでも全然違うサウンドがします。ですので、一緒に同じ作品を演奏する場合は可能な限り同じサウンドのするミュートであるべきです。絶対、というわけではないのですが材質くらいは合わせておいた方がいいですね。もしくは試奏してみてお互いが違和感のないサウンド、響きであることを確かめてから購入しましょう。
ということで、ミュートについて書いてみました。
金管楽器にしかないミュートの魅力を充分に発揮できるように研究、練習を欠かさないで下さいね!
それではまた来週!
先日7日、8日に講師をしているプレスト音楽教室のアンサンブル発表会がありました。
トランペットクラスは7日に出演しまして、トランペットアンサンブルだけでなく、サックスとトロンボーン、ピアノとの講師演奏も行い、気付けばほぼずっとステージにいる自分(笑)
トランペットの生徒さんも頑張っていましたし、講師演奏では「発表会だったのを忘れるくらい楽しかった」「コンサートを聴きにきた気になってた」と言ってくれる方もいまして自分自身も楽しい一日を過ごせました。どんなステージでも音楽ってやっぱり楽しくないとダメですよね。生徒さんや聴きにいらして頂いた方々にもそれを感じてもらえれば嬉しいです。
次回の本番は来週日曜(14日)の「親子で楽しむアニメコンサート」。チケットまだ少しありますので、ぜひいらして下さい!スタジオジブリ作品ばかりの朗読付きコンサートです。年齢制限ありませんし、どなたでも楽しめるコンサートです!子どもが小さいからいつもはコンサートに行けないという方もぜひ!詳しくはこちらをご覧下さい。
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さて、前回の記事でミュートについて解説しました。
ミュートと言うと、楽譜に指示があるから付けて、はずす指示があるからOpenにして、それ以上でもそれ以下でもないような感覚の方がほとんどなのではと思いますがどうでしょうか。
というのも、トランペットを吹いていて通常のOpen状態では「音色」とか「ピッチ」「響き」を追求している人でも「ミュートを付けている時の良い演奏」を心がけていないのを目にする事が結構あるんですよね。
Openでもミュートでも自分のトランペットを演奏していることにまったく変わりはありません。ですから、ミュートの時にはミュートの時のベストな吹き方を知っておく必要があると思うんです。
《中学生の時のミュートの話》
トランペットを始めた中学校の吹奏楽部は、学校にミュートが1つもありませんでした。
そもそもこの学校は当時、ミュートという存在を知らなかったのだと思います。
楽譜には度々「Mute」と書いてあるのに、誰もそれについては疑問を持たず、ずっとOpenで吹いていたのですが過去の記事にも書いたように自分はこれから演奏する曲の音源をできる限り事前に聴いておくスタンスで吹奏楽をやっていたため、ミュートを付けた時とそうでない時のイメージの大きな違いが知識がないなりにも理解していたんだと思います。
でも、そのミュートというのがいったいどんなものなのか、そこまでの知識はありませんでした。
なんせ当時はインターネットなんてありませんし、吹奏楽や管楽器の知識を得るにはバンドジャーナルのような雑誌くらいしかなかったんです。
中1の時、頼れる先輩もいませんでしたし(3年は幽霊部員、2年は他の楽器の3年生が意味もなく怖すぎて後輩にアドバイスをするなんてことまったくしてくれませんでしたから...←ばかばかしい)どうにかしてミュートというものを手に入れたかったんですよね。
当時の横浜には横浜駅まで行けばヤマハとか、もう少し足をのばせば管楽器専門店(横浜近辺の方はセントラル楽器ってご存知ですよね)とかあったんですが、中1だとなかなか行く機会も機動力もなかったんです。電車にひとりで乗るってこの頃ちょっと勇気いりません?交通費もかかるし。電車通学している方はそんなことないんでしょうけど。。。(24年も前の話なんで!ちびまる子ちゃん的イメージでよろしくお願いします)
唯一ひとりで動けたのは自転車で頑張って走ったところにある伊勢佐木町のでっかいレコード屋(CDが流通し始めたた頃ですから!)さん兼楽譜屋さん兼楽器屋さん。
楽器屋さんと言ってもこういうお店ですからね。どちらかと言うとロックバンド屋です。だからトランペット、サックスくらいは置いてあったんですが変な展示してたり扱いめちゃくちゃだったり、知らないメーカーだったり。
自転車で移動していたので交通費もかかりませんから見るだけならタダ。休日にこのお店に行くのが好きだったんです。楽譜を読み漁ったりCD(レコード)物色したり、管楽器を眺めていたり。
そしたら、トランペットのところに変なアルミの物体が置いてあって「ミュート」とポップに書かれていたんです。「あ!これがミュートなんだ!」と初めて実物を見ることができて、どうしても手に入れたくなりましたがお金がない。
後日親にお願いしてお金をもらい、迷わずゲットしてドヤ顔で「ミュートだぜえ」と部活に持っていったんですけど。。。
まずですね、吹奏楽でミュートを使うって基本全員一斉に、じゃないですか。ひとりでミュートしててもしょうがないというか、逆に空気読めない人ですよね。だから使い道がない。
なんだかな。
それ以上にですね、ミュートという物体がいろんなメーカーからいろんな種類が出ているなんて思いもよらず。
先程書いたようにミュートを買ったところはロックバンドの楽器が並ぶお店ですから、こだわった管楽器関連商品を仕入れているはずもなく、結果として手に入れたものはとてもよろしくない製品だったんですよね(メーカー名は伏せます)。
カップとストレートが組み合わせで変えることができる仕様で(デニスじゃないですよ)、ショボいアルミでできていて、どちらもとても中途半端で変な音。というのは高校生になってから知ったんですが。
それほどミュートについての知識がない中学時代でした。
《ローマの松》
ミュートって、ごく一部、数小節にしか使われていないものが多いですよね。そういう点で毎日の練習時にはあまり気にすることなく、楽譜に書いてあるからミュートを用意して使って、って感じになってしまうのかもしれませんが、例えばレスピーギという作曲家の管弦楽作品「ローマの松」1曲目「ボルゲーゼ荘の松」は、ほぼすべてストレートミュートでの演奏です。その中にはメロディもソロ的な部分も含まれていますし、フォルテで鳴らしまくる箇所が大部分を占めています。しかも難しいパッセージばかり。
日常あまりミュートについて考えていないと、いざこういった作品を演奏することになった場合、Open状態なら結構吹けるという人もてこずる可能性があります。思ったように鳴らせないとか、はずしちゃうとか、ピッチが合わせにくいとか。
ですので、毎日でなくても構いませんが、不安要素を払拭する意味も含めミュートでもしっかりと演奏できる練習は必ずすべきだと思います。
《ピッチの変化》
これはご存知の方も多いと思いますが、ミュートを付けるという行為はベルから出てくる音が少なからず抵抗を受けるためにピッチが通常時とは異なる、ということをまず知っておくべきでしょう。
基本的にはストレートミュートはピッチが上がりやすく、カップミュートはものによりますが下がる傾向にあります。
ただ、これはメーカーや形状によっても変わってくるものですから、まずはOpen状態できちんとチューニングをして、吹き方を変えずにそれぞれのミュートを付けた時のピッチがどれくらい変化するのか調べておきましょう。
調べ終わったら、今度は抜差管(チューニングスライド)をどのくらい出し入れすればピッチが安定するのかをチューナーで調べて下さい。
そして、楽曲中実際にミュートを使うことになったら調べた通りに抜差管の長さも変えてから演奏しましょう。
(ただしこれはきちんとした奏法を身につけていないと難しいかもしれません。そのためにまず一番必要なことは「音のツボに当てる技術」を持つこと。実はミュートを使うとOpen時よりも音のツボに当たっているかどうかがはっきりわかるんです。その話は後ほど。)
作品や場面によってはMuteとOpenの指示がすぐに出てきてしまう時もあります。その場合、抜差管のことは気にせず周りの音をしっかりと聴き、「耳」で合わせていくようにして下さい。決して「口」で合わせるのではありません!
《ツボを捉える》
過去の記事「ハイノート(ハイトーン)へのアプローチ6」で詳しく書いた「音のツボ」というのがミュートの時には顕著に現れます。
その前に、ミュートを付けた時の「良いサウンド」ってイメージできますか?これがないとどうにもならないので、可能であるならプロの演奏を聴くとか、レッスンを受けられると良いのですが。。。
例えばストレートミュートを付けて吹いた時に、くぐもった音、こもった音がしている時はツボに当たっていません。ストレートミュートは「ビーーーン」と固く金属的に響くサウンドがするものです(メーカーや材質により様々です)。抜差管の操作やピッチの調整以前に自分が今どんな質のサウンドを出しているのか耳を使ってしっかり聴いて下さい。
Openの状態で「ツボ」に当たっているのかいまいちわからないという方は逆の発想で、ミュートでツボに当てられたらそのままOpenにして同じ感覚で吹いてみましょう。ツボに当たった時の音というのがわかると思います。ミュートの時のほうがこれがわかりやすいのでこの方法は使えるかもしれませんよ。
ミュートを付けた時に吹きやすい音域なのに音がはずれてしまうとか、ピッチが合わないとか、そういった時はまず「ツボ」を意識して練習するようにしましょう。
ところで、現在このブログの今後についてご意見を募集しております。この項目に関しては「ようこさん」から頂いたコメントを元に書かせて頂きました。ありがとうございます。
引き続きご意見募集中ですので、コメントもしくはフォームからお寄せ頂ければと思います。よろしくお願いします。
《ミュートを選ぶ》
中学生の時によくわからず買ってしまったミュートの話を先程書きましたが、やはりミュートに関してもきちんとしたメーカーのものを使うことが大切です。
どのメーカーが良い、というのは完全に好みですし楽曲によっても演奏するジャンルによっても変わってきます。
ですから、可能ならば楽器屋さんに言っていろいろなミュートを試奏させてもらいましょう。
また、楽団や部活動では所有しているミュートがすでにある、という場合もあるでしょう。
そのミュートたち、コンディションはどうですか?コルクが取れかかっていたり表面がベッコベコになっていたり、穴の空いているところが歪んでいたりしませんか?
楽器やマウスピースは大事にするのにミュートは無関心、というのはちょっとおかしいですよね。ミュートだって凹みがあればそれだけサウンドやピッチに影響を与えてしまいます。大切に扱って下さい。もし本当に酷い状態なら、思い切って買い直すのも手ですね。
表面がベコベコになっているのはきっと落としてしまったからだと思います。そうならないためにはやはりミュートを落としにくい状態であるべきです。それに関しては前回の記事に書いてありますのでぜひ読んでみて下さい。
これからミュートを買おうと思っている方、団体は、一緒に演奏する人が使っているものと同じもの(メーカー)を購入するのがおすすめです(きちんとしたメーカーに限る)。極端な話、ミュートというのはアルミ、銅、木、籐(とう)など実に様々な材質で作られていて、例えばアルミと木では同じストレートミュートでも全然違うサウンドがします。ですので、一緒に同じ作品を演奏する場合は可能な限り同じサウンドのするミュートであるべきです。絶対、というわけではないのですが材質くらいは合わせておいた方がいいですね。もしくは試奏してみてお互いが違和感のないサウンド、響きであることを確かめてから購入しましょう。
ということで、ミュートについて書いてみました。
金管楽器にしかないミュートの魅力を充分に発揮できるように研究、練習を欠かさないで下さいね!
それではまた来週!
当ブログの写真・記事等すべての営利目的による無断利用、ネット上などへの無断転載を禁止します。
at 10:35, 荻原明(おぎわらあきら), 楽器・アクセサリー・ツール
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2012.10.02 Tuesday
ミュート 1
みなさんこんにちは!
さて、今回はミュートについて書いていきます。
《ミュート》
金管楽器は他の種類の楽器にはないミュートという道具を使って演奏することが多々ありますね。
一般的に音楽でのミュートというのは音を小さくする「弱音器」という意味で使われます。実際に弦楽器では駒にミュートをするとくぐもった鳴らない音になります。
しかし、演奏上でのミュートというのはは音を小さくするというよりも、通常とは違うサウンドを出す効果を狙った場合がほとんどです。
そのために、金管楽器のミュートにはストレート、カップ、ワウワウ(中のロウトみたいなのを抜けばハーマン)、プランジャーなど多くの種類があるんですね。
吹奏楽やジャズではそれらのミュートが特に多用されています。
昔、楽譜に指示があってバケットミュートってのを使ったことがありましたが効果がよくわかりませんでした。あれ何ですか?その時以来出会わないのですが(笑)
ミュートは、ご存知の通り基本、ベルの中に差し込みますが、知ってか知らずか作曲家の中にはホントに付け外しを頻繁にさせる人もいます。マーラーとか。
これ、プレイヤーの立場にならないと理解してくれないのでしょうが(逆にこのブログを読んで頂いている方の多くは共感してもらえると思いますが)、ミュートの付け外しって結構負担かかるんですよね。
あまりに頻繁だと演奏に集中できなくなる瞬間ができてしまうこともあります。
だからって、今更マーラーに電話したところで「はいわかりました。じゃあミュート無しでいいですよ」とは言ってくれるはずもなく、いや、多分本人に会えたとしてもそうは言ってくれないでしょうが。
既存の楽譜を演奏することになって、ミュートの付け外し指示があったらやはりそれに従わなければなりません。
だったらできる限りスムーズに、負担なくミュートを使いたいですよね。今回はそんなことを書いてみます。
過去の記事で、演奏用ではない練習用ミュート(プラクティスミュート)について少し書いたことがあります。
よろしければそちらもお読み下さい。過去の記事「1日吹かないと3日戻る?」
《演奏中に落とさないために》
経験あるかもしれませんが、ミュートをしている演奏中にベルが落ちてしまうと、急に生音になるし落とした衝撃音はするしで結構焦ります。拾ってる時間もないし(自分のパートの音がなくなっちゃうし)、かと言ってこのまま吹いたらセクションで自分だけ生音になっちゃうし…そんなことを考えていたらマトモな演奏はできません。
自分は昔、プロオーケストラでミュートを落とした挙句、転がって前にいたファゴット吹きさんの足下まで行ってしまったことがあります。
本番中じゃないから助かりましたが、かなり焦りました。
トランペットのミュートは小さいのでまだ良いのですがトロンボーンのミュート結構な大きさです。
本番中、あのでっかいのが落ちたことがあって、組み立て式のひな壇だったこともあり、
「ッゴンッ!」
とても良い音でホール中に鳴り響き、とても驚いた経験もあります。
ホールで演奏する時って床が木などの硬い素材の場合が多いですよね。
いつも使っているミュートなのに、今日に限ってハマりが悪いってことがあります。これは、コルク部分が乾燥しすぎてベルの内側と上手くくっついてくれないことが原因です。
とくに冬場の暖房が入っている室内などで演奏する時は、例えば湿らせた布をコルクに巻いておくとか、隣にいるトロンボーンの人に霧吹きを借りてシュシュッとしておくとか、コルクを湿らせてあげればたいがい解決します。
あとは、ミュートを差し込む直前に「ハァ」とベルの内側に息を当ててくもらせるとかも効果があるかもしれません。
ミュートのハマりが悪い時には試してみてください。
あと、ミュートを入れる時、抜く時には軽くねじ込むように入れるといいですよ。
《上手なon,offの仕方》
さて、先ほど書いたマーラーのようなミュートの付け外しが頻繁に起こる作品を演奏する時や、瞬間的にミュートを入れなければならないと時など、効率良く、しかも演奏に負担をかけないようにする持ち方を書いておきます。
座って吹いている時、ミュートを床に置いていると腰を曲げて拾って、という動作が効率悪くしてしまいますよね。
ですので、これからミュートをつけなきゃいけないという前になったらこの写真のようにミュートを準備しておくと良いと思います。
こうすることで上半身を動かさずにミュートを手に取ることができます。
女の子でスカートをはいている場合、これは逆にやりにくいでしょうから、この時は足(股)の間に置いておくと良いと思います。
次に、休みがなく、瞬間的にミュートをつけなければいけない時ですが、このように準備しておくと良いと思います。
あとは手首を曲げればとりあえずはミュートの音が出せます。ただし、演奏中ずっとミュートを押さえていなければ抜け落ちてしまうので注意して下さい。
小中学生で小柄な方だと手が届かない場合があるのでその場合はしかたないのですが…
そんな時は一番楽で確実な方法があります。
《ミュートホルダー》
それはミュートホルダーという道具なんですが、これがあれば膝裏に挟んだりしなくてもよくなりますよ。
この写真のように2つまでミュートを付けられるもの以外に、1つ用、3つ用など様々なタイプがあります。
写真のように譜面台の柱に付けるタイプ以外に、譜面を乗せせているところに差し込むタイプや、輪っかにミュートを通すのではなく、棒にミュートの穴を差し込むタイプなどもあります。
どれもそんなに高額ではないので、自分用を持っていても良いと思いますよ。特に吹奏楽をやっている方はミュートを使わない日はないくらいの頻度で楽譜に指示がありますからね。
ということで今回はミュートについていくつか書いてみました。
今回触れていない楽譜上のミュートの指示についてが書かれている過去の記事もありますので合わせて読んでみて下さい。
「楽譜の書き込み2」
「楽語2」
講師をしているプレスト音楽教室の発表会で以前、生徒とボザ作曲の「対話」という2重奏を演奏したことがあり、その動画が教室のサイトにもアップロードしてありますのでここにも掲載してみます。
この曲、ミュートの付け外しが激しいので先程掲載した写真より参考になるところがあるかもしれません。
マイクが音楽用ではないのでとても音質が悪く、演奏そのものもたいして良くないのですが…(笑)
ちなみに2,3楽章のみの抜粋です。
ということでまた来週!
さて、今回はミュートについて書いていきます。
《ミュート》
金管楽器は他の種類の楽器にはないミュートという道具を使って演奏することが多々ありますね。
一般的に音楽でのミュートというのは音を小さくする「弱音器」という意味で使われます。実際に弦楽器では駒にミュートをするとくぐもった鳴らない音になります。
しかし、演奏上でのミュートというのはは音を小さくするというよりも、通常とは違うサウンドを出す効果を狙った場合がほとんどです。
そのために、金管楽器のミュートにはストレート、カップ、ワウワウ(中のロウトみたいなのを抜けばハーマン)、プランジャーなど多くの種類があるんですね。
吹奏楽やジャズではそれらのミュートが特に多用されています。
昔、楽譜に指示があってバケットミュートってのを使ったことがありましたが効果がよくわかりませんでした。あれ何ですか?その時以来出会わないのですが(笑)
ミュートは、ご存知の通り基本、ベルの中に差し込みますが、知ってか知らずか作曲家の中にはホントに付け外しを頻繁にさせる人もいます。マーラーとか。
これ、プレイヤーの立場にならないと理解してくれないのでしょうが(逆にこのブログを読んで頂いている方の多くは共感してもらえると思いますが)、ミュートの付け外しって結構負担かかるんですよね。
あまりに頻繁だと演奏に集中できなくなる瞬間ができてしまうこともあります。
だからって、今更マーラーに電話したところで「はいわかりました。じゃあミュート無しでいいですよ」とは言ってくれるはずもなく、いや、多分本人に会えたとしてもそうは言ってくれないでしょうが。
既存の楽譜を演奏することになって、ミュートの付け外し指示があったらやはりそれに従わなければなりません。
だったらできる限りスムーズに、負担なくミュートを使いたいですよね。今回はそんなことを書いてみます。
過去の記事で、演奏用ではない練習用ミュート(プラクティスミュート)について少し書いたことがあります。
よろしければそちらもお読み下さい。過去の記事「1日吹かないと3日戻る?」
《演奏中に落とさないために》
経験あるかもしれませんが、ミュートをしている演奏中にベルが落ちてしまうと、急に生音になるし落とした衝撃音はするしで結構焦ります。拾ってる時間もないし(自分のパートの音がなくなっちゃうし)、かと言ってこのまま吹いたらセクションで自分だけ生音になっちゃうし…そんなことを考えていたらマトモな演奏はできません。
自分は昔、プロオーケストラでミュートを落とした挙句、転がって前にいたファゴット吹きさんの足下まで行ってしまったことがあります。
本番中じゃないから助かりましたが、かなり焦りました。
トランペットのミュートは小さいのでまだ良いのですがトロンボーンのミュート結構な大きさです。
本番中、あのでっかいのが落ちたことがあって、組み立て式のひな壇だったこともあり、
「ッゴンッ!」
とても良い音でホール中に鳴り響き、とても驚いた経験もあります。
ホールで演奏する時って床が木などの硬い素材の場合が多いですよね。
いつも使っているミュートなのに、今日に限ってハマりが悪いってことがあります。これは、コルク部分が乾燥しすぎてベルの内側と上手くくっついてくれないことが原因です。
とくに冬場の暖房が入っている室内などで演奏する時は、例えば湿らせた布をコルクに巻いておくとか、隣にいるトロンボーンの人に霧吹きを借りてシュシュッとしておくとか、コルクを湿らせてあげればたいがい解決します。
あとは、ミュートを差し込む直前に「ハァ」とベルの内側に息を当ててくもらせるとかも効果があるかもしれません。
ミュートのハマりが悪い時には試してみてください。
あと、ミュートを入れる時、抜く時には軽くねじ込むように入れるといいですよ。
《上手なon,offの仕方》
さて、先ほど書いたマーラーのようなミュートの付け外しが頻繁に起こる作品を演奏する時や、瞬間的にミュートを入れなければならないと時など、効率良く、しかも演奏に負担をかけないようにする持ち方を書いておきます。
座って吹いている時、ミュートを床に置いていると腰を曲げて拾って、という動作が効率悪くしてしまいますよね。
ですので、これからミュートをつけなきゃいけないという前になったらこの写真のようにミュートを準備しておくと良いと思います。
こうすることで上半身を動かさずにミュートを手に取ることができます。
女の子でスカートをはいている場合、これは逆にやりにくいでしょうから、この時は足(股)の間に置いておくと良いと思います。
次に、休みがなく、瞬間的にミュートをつけなければいけない時ですが、このように準備しておくと良いと思います。
あとは手首を曲げればとりあえずはミュートの音が出せます。ただし、演奏中ずっとミュートを押さえていなければ抜け落ちてしまうので注意して下さい。
小中学生で小柄な方だと手が届かない場合があるのでその場合はしかたないのですが…
そんな時は一番楽で確実な方法があります。
《ミュートホルダー》
それはミュートホルダーという道具なんですが、これがあれば膝裏に挟んだりしなくてもよくなりますよ。
この写真のように2つまでミュートを付けられるもの以外に、1つ用、3つ用など様々なタイプがあります。
写真のように譜面台の柱に付けるタイプ以外に、譜面を乗せせているところに差し込むタイプや、輪っかにミュートを通すのではなく、棒にミュートの穴を差し込むタイプなどもあります。
どれもそんなに高額ではないので、自分用を持っていても良いと思いますよ。特に吹奏楽をやっている方はミュートを使わない日はないくらいの頻度で楽譜に指示がありますからね。
ということで今回はミュートについていくつか書いてみました。
今回触れていない楽譜上のミュートの指示についてが書かれている過去の記事もありますので合わせて読んでみて下さい。
「楽譜の書き込み2」
「楽語2」
講師をしているプレスト音楽教室の発表会で以前、生徒とボザ作曲の「対話」という2重奏を演奏したことがあり、その動画が教室のサイトにもアップロードしてありますのでここにも掲載してみます。
この曲、ミュートの付け外しが激しいので先程掲載した写真より参考になるところがあるかもしれません。
マイクが音楽用ではないのでとても音質が悪く、演奏そのものもたいして良くないのですが…(笑)
ちなみに2,3楽章のみの抜粋です。
ということでまた来週!
当ブログの写真・記事等すべての営利目的による無断利用、ネット上などへの無断転載を禁止します。
at 09:04, 荻原明(おぎわらあきら), 楽器・アクセサリー・ツール
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2012.06.05 Tuesday
コルネット/フリューゲルホルン 2
みなさんこんにちは!
前回はコルネットとフリューゲルホルンがどんな楽器なのか、ということを詳しく書いてみました。
コルネットの音色、聴いてみましたか?
今回は実際にコルネットやフリューゲルホルンを演奏する時に心に留めておいて欲しい点などを中心に書きますね。
※前回も書きましたが、この記事ではあくまでもトランペットをいつも吹いている人が吹奏楽などで「持ち替え楽器」として演奏する前提で書いていきます。ご了承下さい。
《奏法を変えない》
コルネットがトランペットとは構造が違うというのは前回の記事の通りです。このことは、トランペットを吹いている人が普通にコルネットを持ち替えればおのずと「コルネットの音」がするということにつながります。
したがって演奏する人がアンブシュアだとか息の入れ方だとか、そういった基本的な奏法を変えて演奏しなければいけない、ということは特にないんです。これまでこのブログでさんざん書いてきた通り「その楽器がちゃんと鳴る場所を捉えて演奏する」ことに終始していれば奏者自身の体の使い方を変える必要はありませんし、そんなことをしてしまうとかえって自分自身の奏法に支障が出てしまいかねません。
例えるならこれは「衣装チェンジをする」ようなもので、自分自身が違う人間に変身するわけではない、ということです。変身なんてできませんよね。
どんな楽器だって普通に吹けばその楽器はその楽器らしく答えてくれるものです。
《注意すべき点》
ただし、これは「コルネットは(正しく演奏した場合)どんな音色が出る楽器なのか」しっかりしたイメージを持っていることが大前提。そしてコルネットという楽器がそれぞれの作品にどういった立場で求められているのかを理解していることも大切です。
例えば吹奏楽の中で言えば「木管楽器(Bbクラリネットなど)と同じ動き」が書いてあることがあります。オーケストラの編曲作品に多く見られ、これは木管楽器の補強の場合が多いのではないかと思います。また、同様な意味でホルンやサックスと同じ動きの場合もあります。
トランペットが演奏していない時にコルネットがソロ(ソリ)的な役割で出てくることもあります。これはトランペットとは違うコルネットの音色を求めているから、という意味合いが強いのではないでしょうか。
このように「コルネットの音色」を知っておくこと、そして「楽曲や場面ごとにコルネットが求められていること」をしっかりと理解していることが非常に大切で、それができなければわざわざコルネットを持ち替える意味もなくなってしまいます。
音大生の時に初めてきちんとコルネットの音色を考えた、なんて前回の記事にも書きましたが、当時、大学が管理しているコルネットを借りてきて吹いていた時、通りがかりの先輩に「コルネットの音してないな」と指摘されたことがありました。そんなこと言ったって今コルネットを吹いているし、マウスピースだってそんなに浅いものを使っていたわけではないし、何が違うんだ?と思ったんですが、考えてみればコルネットがどんな音を出す楽器なのか、間近で聴いたことがなかったんですよね。要するにイメージがないまま吹いていたから、先輩に指摘をされてしまったのでした。
ですから、コルネットを演奏する時にはまず「コルネットのサウンド」をすぐイメージできるくらいにしておきましょう。そのためにはコルネットがどんなサウンドなのかを知らなくてはいけませんから、沢山の一流の演奏を聴いておきましょう(できれば生演奏が良いですがCDでもいいと思います)。これは新しい楽譜が配られて「おまえコルネットね」と言われてから研究が始まるようでは遅いので、日頃からコルネットの音に親しんでおくことが大切です。
個人的におすすめなのは、ウィントン・マルサリスがイーストマンウインド(ハンスバーガー指揮)と共演しているCDで、全てコルネットで演奏しています。もうとにかく超絶技巧の連続なので聴いていて爽快ですし、カンタービレで演奏するところも本当に素敵です。機会があったらぜひぜひ聴いてみて下さい。
《体型的な問題がカバーできる楽器》
こればコルネットだけに当てはまることですが、小学生くらいの年齢で小柄なお子さんがトランペットを演奏する時に、あえてコルネットから入ってみるというのはとても良い手段です。
トランペットは全長が長いので、手が小さく、握力も弱いお子さんが持つには結構大変です。楽器が重く感じられ、ベルが下がってきてしまい、口に当てているマウスピースの支点が下唇になってしまいます。
この状態で音を出す習慣が身に付いてしまうと、一定のレベル以上の上達が難しくなる可能性が高いんですね。
(マウスピースと唇の関係については過去の記事「アンブシュア3」をご覧下さい。)
コルネットは全長が短く持った時のバランスが良いだけでなく、息が入りやすく機能性も高いですから(マウスピースも深めなものを選ぶことで音を出すことが比較的容易になるので)可能であればコルネットから始める方が良いと思います。
ということで2回にわたってコルネットについて書いてみました。フリューゲルについてあまり触れませんでしたが、持ち替え楽器としての心構えについてはまったく同じです。
ともかく、経験と研究あるのみですね。機会があったらどんどん吹いてみて下さい。
それではまた来週!
前回はコルネットとフリューゲルホルンがどんな楽器なのか、ということを詳しく書いてみました。
コルネットの音色、聴いてみましたか?
今回は実際にコルネットやフリューゲルホルンを演奏する時に心に留めておいて欲しい点などを中心に書きますね。
※前回も書きましたが、この記事ではあくまでもトランペットをいつも吹いている人が吹奏楽などで「持ち替え楽器」として演奏する前提で書いていきます。ご了承下さい。
《奏法を変えない》
コルネットがトランペットとは構造が違うというのは前回の記事の通りです。このことは、トランペットを吹いている人が普通にコルネットを持ち替えればおのずと「コルネットの音」がするということにつながります。
したがって演奏する人がアンブシュアだとか息の入れ方だとか、そういった基本的な奏法を変えて演奏しなければいけない、ということは特にないんです。これまでこのブログでさんざん書いてきた通り「その楽器がちゃんと鳴る場所を捉えて演奏する」ことに終始していれば奏者自身の体の使い方を変える必要はありませんし、そんなことをしてしまうとかえって自分自身の奏法に支障が出てしまいかねません。
例えるならこれは「衣装チェンジをする」ようなもので、自分自身が違う人間に変身するわけではない、ということです。変身なんてできませんよね。
どんな楽器だって普通に吹けばその楽器はその楽器らしく答えてくれるものです。
《注意すべき点》
ただし、これは「コルネットは(正しく演奏した場合)どんな音色が出る楽器なのか」しっかりしたイメージを持っていることが大前提。そしてコルネットという楽器がそれぞれの作品にどういった立場で求められているのかを理解していることも大切です。
例えば吹奏楽の中で言えば「木管楽器(Bbクラリネットなど)と同じ動き」が書いてあることがあります。オーケストラの編曲作品に多く見られ、これは木管楽器の補強の場合が多いのではないかと思います。また、同様な意味でホルンやサックスと同じ動きの場合もあります。
トランペットが演奏していない時にコルネットがソロ(ソリ)的な役割で出てくることもあります。これはトランペットとは違うコルネットの音色を求めているから、という意味合いが強いのではないでしょうか。
このように「コルネットの音色」を知っておくこと、そして「楽曲や場面ごとにコルネットが求められていること」をしっかりと理解していることが非常に大切で、それができなければわざわざコルネットを持ち替える意味もなくなってしまいます。
音大生の時に初めてきちんとコルネットの音色を考えた、なんて前回の記事にも書きましたが、当時、大学が管理しているコルネットを借りてきて吹いていた時、通りがかりの先輩に「コルネットの音してないな」と指摘されたことがありました。そんなこと言ったって今コルネットを吹いているし、マウスピースだってそんなに浅いものを使っていたわけではないし、何が違うんだ?と思ったんですが、考えてみればコルネットがどんな音を出す楽器なのか、間近で聴いたことがなかったんですよね。要するにイメージがないまま吹いていたから、先輩に指摘をされてしまったのでした。
ですから、コルネットを演奏する時にはまず「コルネットのサウンド」をすぐイメージできるくらいにしておきましょう。そのためにはコルネットがどんなサウンドなのかを知らなくてはいけませんから、沢山の一流の演奏を聴いておきましょう(できれば生演奏が良いですがCDでもいいと思います)。これは新しい楽譜が配られて「おまえコルネットね」と言われてから研究が始まるようでは遅いので、日頃からコルネットの音に親しんでおくことが大切です。
個人的におすすめなのは、ウィントン・マルサリスがイーストマンウインド(ハンスバーガー指揮)と共演しているCDで、全てコルネットで演奏しています。もうとにかく超絶技巧の連続なので聴いていて爽快ですし、カンタービレで演奏するところも本当に素敵です。機会があったらぜひぜひ聴いてみて下さい。
《体型的な問題がカバーできる楽器》
こればコルネットだけに当てはまることですが、小学生くらいの年齢で小柄なお子さんがトランペットを演奏する時に、あえてコルネットから入ってみるというのはとても良い手段です。
トランペットは全長が長いので、手が小さく、握力も弱いお子さんが持つには結構大変です。楽器が重く感じられ、ベルが下がってきてしまい、口に当てているマウスピースの支点が下唇になってしまいます。
この状態で音を出す習慣が身に付いてしまうと、一定のレベル以上の上達が難しくなる可能性が高いんですね。
(マウスピースと唇の関係については過去の記事「アンブシュア3」をご覧下さい。)
コルネットは全長が短く持った時のバランスが良いだけでなく、息が入りやすく機能性も高いですから(マウスピースも深めなものを選ぶことで音を出すことが比較的容易になるので)可能であればコルネットから始める方が良いと思います。
ということで2回にわたってコルネットについて書いてみました。フリューゲルについてあまり触れませんでしたが、持ち替え楽器としての心構えについてはまったく同じです。
ともかく、経験と研究あるのみですね。機会があったらどんどん吹いてみて下さい。
それではまた来週!
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at 10:42, 荻原明(おぎわらあきら), 楽器・アクセサリー・ツール
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2012.05.29 Tuesday
コルネット/フリューゲルホルン 1
みなさんこんにちは!
トランペットを吹いていると、吹いている環境にもよりますがいわゆるBb管トランペットだけでなくC管やピッコロトランペットを吹く機会も多くあります。ロータリートランペットを吹くこともありますし、学生の時はEb管やらD管やら本当にいろんなトランペットを経験していました。最近は自分、BbとCとピッコロばっかりですけどね。
その中で、吹奏楽をやっている方は特に「コルネット」「フリューゲルホルン」を吹くこともあるかと思います。
自分も高校生の時のコンクールでコルネットパートを担当して、何ヶ月かトランペットをほとんど吹かなかった経験もあるんですが、実際のところコルネットやフリューゲルとトランペットって何がどう違うの?と思っている方も多いのではないでしょうか。
ということで今回はコルネットを中心にフリューゲルホルンについて書いていこうと思います。
と言っても、コルネットやフリューゲルについてどれくらい詳しいの?と聞かれると、すごい自信を持って細かく書いていくことはできません。というのもこれらの楽器を本当に専門にしているのは「ブリティッシュスタイル」と呼ばれる金管バンドで演奏されている方なんです。自分は金管バンドの経験が皆無なので、その方々に比べたら稚拙な内容になってしまう恐れもあるんですが、そこは視点を変えて「吹奏楽やオーケストラでトランペットを演奏している人」目線のいわゆる「持ち替え楽器」としての解説をしていこうと思いますのでご了承下さい。
そして、この記事ではコルネットを中心に文章を書いていきますが、フリューゲルホルンも同じ仲間の楽器ですので共通することが非常に多くあります。ですのである程度は「コルネット」を「フリューゲル」に置き換えて読んで頂いても良いかと思います。
※この記事で言う「コルネット」はBb管コルネットのことを指して解説していきます。コルネットにはEb管コルネット(ソプラノコルネット)という種類もありますが、金管バンドで使われることがメインですので、今回は割愛します。
《コルネット》
コルネット、吹いたことありますか?トランペットとの違いは何ですか?と聞かれていくつ答えられますか?
まず見た目が全然違いますよね。トランペットに比べて丸っこい。
では、その丸っこさがどんな違いを生むのか、わかりますか?
■音色
ホルンを想像してもらえると分かりやすいと思いますが、管のカーブが多いとサウンドが柔らかくなるんです。なので、トランペットやトロンボーンのように真っすぐの部分が多い楽器に比べてホルンやユーフォニアムといったカーブの多い楽器は柔らかな響きが基本のサウンドになるんですね。
従って、コルネットも管の巻きが多いぶん、トランペットより柔らかなサウンドになる、ということです。
■円錐系の管
あと、じっくり見比べないとわからないかもしれませんが、コルネットの管というのはベルに向かってほぼ円錐(えんすい)の形をしているんです。トランペットはほとんど同じ直径の管が続いてて、最後の最後、ベルに近いところで管が太くなっています。
この結果どうなるのかと言うと、トランペットよりも機能性が高くなります。例えば、Bb管トランペットで五線の中にあるBbとCをトリルで演奏しようとすると、ひっかかりやすいですよね。でも同じ動きをコルネットで吹くとかなり簡単にできてしまうんです。ざっくり言ってしまえば「吹きやすい」楽器と言えるかもしれません。結果、吹奏楽やオーケストラでのコルネットは木管楽器と同じような非常に細かいパッセージを要求されることも少なくありません。
■シャンクの違い
トランペットのマウスピースはコルネットに入りません。
マウスピースを楽器に差し込む部分のことを「シャンク」と呼びますが、このシャンク、一般的に「トランペットシャンク」「コルネットシャンク」と呼ばれています。コルネットはトランペットよりも細いシャンク径ですので、トランペットから持ち替える時はマウスピースも違うものにする必要があります。
用途や個人差はありますが、コルネットに用いるマウスピースはトランペットよりも深いカップのものを選ぶことが一般的です。それはトランペットとは求められるサウンドが違うからなんですが、これについては後述します。
余談ですがピッコロトランペットはこの両方のシャンク径の楽器があります。
《サックス?》
■サックスさん
アドフル・サックスという人物をご存知ですか?名前からも想像できるでしょうが、1800年代活躍したサクソフォンを作った楽器製作者です。この人はサクソフォンに留まらず、金管楽器も作りました。それが「サクソルン属」と呼ばれるもので、この中にはコルネットやフリューゲルホルンも含まれます。
したがってコルネットはトランペットとはまったく違う生まれ方をした楽器で(トランペットの先祖はもっともっと昔からありました)、このサクソルンの特徴というのは何と言っても同じ発想から作られた結果「高音サクソルンから低音サクソルンまで存在する」ということで、すべての音域で音色の統一が図られている、という点です。サクソフォンと同じですね。
■吹奏楽でのサクソルン
サクソルン属が開発された当時は軍楽隊が主に使用していた結果、吹奏楽に用いられるようになりました。ご存知の方も多いでしょうが、G.ホルスト作曲の「吹奏楽のための組曲」やF.シュミット作曲の「ディオニソスの祭」などはサクソルンを沢山使う編成で初版は書かれています。
以前ホルストの組曲第1番を演奏する事があってパート譜を見てみたら、トランペット、コルネット、フリューゲルの3種類のパート譜があって、1stコルネットで言えば場所によって3つに分かれてるんですよね(したがって1stだけでも最低3人いないと演奏できない)。なので、記憶が曖昧ですが最低でも10人くらいいないと成り立たなかった覚えがあります(現在は小さい編成のエディションもあります)。
■ギャルド
パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽はご存知ですか?ちょいちょい来日しているので実際に聴いたという方もいるでしょう。自分も中学生の時に初めてギャルドの「トッカータとフーガ/バッハ」の編曲版をCDで聴いたんですが(ジュリアン・ブランの時代)、「え?オルガン入ってる?吹奏楽?えっ?えっ????」と耳を疑いました。今までに聴いたことのない完全にブレンドされた管楽器のサウンドで、若干パニック。
で、このサクソルンという存在を知り、ギャルドが来日するというのでホールまで聴きに行き、当時見たこともないような金管楽器が大勢いることに驚きました。それがサクソルン属でした。
サクソルンが沢山いることによって、楽器同士の音色の調和が非常に良く、ギャルドの演奏は他の吹奏楽団にはない独特な響きでした。もちろん、それぞれのプレイヤーのレベルが非常に高い、というのもありますが。
もしギャルドの演奏を聴いたことがない方はぜひCDを手に入れてみて下さい(特に古い録音がオススメ)。聴いて損はないですよ。
■オーケストラ
吹奏楽で発展してきたサクソルンですが、オーケストラでもたびたび使われます。ロシアの作曲家チャイコフスキーやフランスのベルリオーズ、イギリスのエルガーなどはコルネットを使用した作品が多いです。また、サクソルンという範囲で言えばテナーテューバなどを用いた作品も多く、結構オーケストラの中でも出番があります。
ただ、オーケストラでのコルネットはトランペットのように激しく演奏する部分がほとんどなので、金管バンドのような柔らかくブレンドされたサウンドでは太刀打ちできないんです。ですからマウスピースもトランペットに近い浅めのものを選ぶ人が多いですし、場合によってはトランペットで代用することも少なくありません。
コルネットという楽器とマウスピースの完成については後述します。
《イギリスとアメリカ》
コルネットというのは複数の奏者で柔らかく深いサウンドを演奏する金管バンドから、トランペットに近いサウンドを求められるオーケストラといったように使い方は様々です。
これは、楽器そのものが新しいということもあって、その時代の作曲家がコルネットをどう使うのが良いのか、試行錯誤した結果なのではないか、と自分では思っています。
したがってコルネットはそれぞれの用途に、より近いサウンドを追求して作られたものがあるんです。
これらは完全に個人的な見解になりますが、イギリスの楽器メーカー「ベッソン」が作っているコルネットというのは、金管バンド向けだと思います。この楽器には例えば「デニスウィック」というメーカーのマウスピースが相性が良いように感じます。ミュートでも有名ですよね、デニスウィック。ホルンのマウスピースのようにとにかく深いものが主流です。したがって深みのある温かな音が出ます。
また、アメリカのメーカー「バック」や日本のメーカー「ヤマハ」が最近作っているコルネットは、ベッソンに比べるともっと明るくはっきりしたサウンドに感じます。これらのメーカーのほうが吹奏楽やオーケストラで演奏するには向いているのではないかと思いますし、マウスピースもトランペットに近いカップサイズで演奏することに向いているように感じます。
機会があったらいろいろなメーカーのコルネットとマウスピースの組み合わせを体験してみて下さい。
ちなみに、自分はXOというメーカーのコルネットを使っています。とても軽くて明るい音が出るのでお気に入り。マウスピースはデニスウィックも持っていますが、XOとは相性があまり良くないので、バックの1-1/2C(トランペットのマウスピースと同じサイズ)や5A(サイズは小さいけれどカップが深い)などを使い分けています。
《アーバン》
トランペット教本の中で非常に有名な「アーバン金管教本」。これはもともとコルネットのために書かれた教本です。というのも、この教本を書いたアーバンさんはコルネットという楽器を自らの演奏で世の中に浸透させた人物で、教本を見たことがある方ならおわかりでしょうが、超絶技巧的な作品を演奏し「コルネットってこんなにすげーことできるんだぜぇ。ヴァイオリンみたいだろぉ」と言ったか言わないか知りませんが、そういった経緯から未来の素晴らしいコルネット奏者育成のために書いた教本だったんです。
ですから、アーバン教本にはもともとコルネットに限らず他のサクソルンも使えるように書いてありますし、サクソルン属それぞれの音域なども書いてあるんです。
《兵士の物語》
ロシアの作曲家ストラヴィンスキーが書いた「兵士の物語」という作品をご存知でしょうか。
非常に変わった編成で、ヴァイオリン、コントラバス、クラリネット、ファゴット、コルネット、トロンボーン、打楽器それぞれ1名に、語り手、パントマイムなどがいる音楽劇です。
自分がコルネットという楽器をいろいろと経験することになったきっかけの作品で、これまで何回もの本番を経験してきました。そして毎回違うコルネットで演奏していました。先程書いたベッソンやヤマハがここまで違うのか、と実感したのもこの時です。
実はこの作品をトランペットで演奏したこともあるのですが、クラリネットやヴァイオリンとの相性があまりに良くないため(トランペットの音が立ちすぎてしまうため)ストラヴィンスキーがコルネットと指定していたのも納得できます。
とても不思議で面白い作品ですので、ぜひ聴いてみて下さい。聴くだけなら楽しいですよ。楽譜はすごいことになってますが(笑)
先日亡くなられたモーリス・アンドレ氏が演奏しているCDも出ています。
《音を聴こう》
ということでゴチャゴチャ書いてしまいましたが、ともかくブリティッシュ・スタイルの金管バンドをいろいろ聴いてサウンドを知りましょう。あとは先程書いた「兵士の物語」もぜひ聴いてみて下さい。
余裕があったら、吹奏楽曲やオーケストラのコルネットが入っている作品を探して、スコアを見ながら演奏を聴いてみると、それぞれの作曲家がコルネットとトランペットをどう使い分けていたかが見えてくるかもしれません。
吹奏楽をやってる方は演奏したり聴いたことが多い作曲家P.スパークはもともとブリティッシュバンドのために曲を書いていたものを吹奏楽に書き直している作品(ドラゴンの年、オリエント急行など)が多いですから、聴き比べてみるのも良いでしょう。コルネット協奏曲なんてのも書いてます。
また、フリューゲルホルンは吹奏楽に限らずジャズでもよく使われます。フリューゲル奏者がいるくらいです。
クラシック音楽とはまたひと味違うフリューゲルのサウンドを聴いてみるのも面白いでしょう。
ということで今回はコルネット、フリューゲルについて解説的に書きました。
次回はコルネットを実際に演奏する時、心がけてほしいことなどを書いていきます。
それではまた来週!
トランペットを吹いていると、吹いている環境にもよりますがいわゆるBb管トランペットだけでなくC管やピッコロトランペットを吹く機会も多くあります。ロータリートランペットを吹くこともありますし、学生の時はEb管やらD管やら本当にいろんなトランペットを経験していました。最近は自分、BbとCとピッコロばっかりですけどね。
その中で、吹奏楽をやっている方は特に「コルネット」「フリューゲルホルン」を吹くこともあるかと思います。
自分も高校生の時のコンクールでコルネットパートを担当して、何ヶ月かトランペットをほとんど吹かなかった経験もあるんですが、実際のところコルネットやフリューゲルとトランペットって何がどう違うの?と思っている方も多いのではないでしょうか。
ということで今回はコルネットを中心にフリューゲルホルンについて書いていこうと思います。
と言っても、コルネットやフリューゲルについてどれくらい詳しいの?と聞かれると、すごい自信を持って細かく書いていくことはできません。というのもこれらの楽器を本当に専門にしているのは「ブリティッシュスタイル」と呼ばれる金管バンドで演奏されている方なんです。自分は金管バンドの経験が皆無なので、その方々に比べたら稚拙な内容になってしまう恐れもあるんですが、そこは視点を変えて「吹奏楽やオーケストラでトランペットを演奏している人」目線のいわゆる「持ち替え楽器」としての解説をしていこうと思いますのでご了承下さい。
そして、この記事ではコルネットを中心に文章を書いていきますが、フリューゲルホルンも同じ仲間の楽器ですので共通することが非常に多くあります。ですのである程度は「コルネット」を「フリューゲル」に置き換えて読んで頂いても良いかと思います。
※この記事で言う「コルネット」はBb管コルネットのことを指して解説していきます。コルネットにはEb管コルネット(ソプラノコルネット)という種類もありますが、金管バンドで使われることがメインですので、今回は割愛します。
《コルネット》
コルネット、吹いたことありますか?トランペットとの違いは何ですか?と聞かれていくつ答えられますか?
まず見た目が全然違いますよね。トランペットに比べて丸っこい。
では、その丸っこさがどんな違いを生むのか、わかりますか?
■音色
ホルンを想像してもらえると分かりやすいと思いますが、管のカーブが多いとサウンドが柔らかくなるんです。なので、トランペットやトロンボーンのように真っすぐの部分が多い楽器に比べてホルンやユーフォニアムといったカーブの多い楽器は柔らかな響きが基本のサウンドになるんですね。
従って、コルネットも管の巻きが多いぶん、トランペットより柔らかなサウンドになる、ということです。
■円錐系の管
あと、じっくり見比べないとわからないかもしれませんが、コルネットの管というのはベルに向かってほぼ円錐(えんすい)の形をしているんです。トランペットはほとんど同じ直径の管が続いてて、最後の最後、ベルに近いところで管が太くなっています。
この結果どうなるのかと言うと、トランペットよりも機能性が高くなります。例えば、Bb管トランペットで五線の中にあるBbとCをトリルで演奏しようとすると、ひっかかりやすいですよね。でも同じ動きをコルネットで吹くとかなり簡単にできてしまうんです。ざっくり言ってしまえば「吹きやすい」楽器と言えるかもしれません。結果、吹奏楽やオーケストラでのコルネットは木管楽器と同じような非常に細かいパッセージを要求されることも少なくありません。
■シャンクの違い
トランペットのマウスピースはコルネットに入りません。
マウスピースを楽器に差し込む部分のことを「シャンク」と呼びますが、このシャンク、一般的に「トランペットシャンク」「コルネットシャンク」と呼ばれています。コルネットはトランペットよりも細いシャンク径ですので、トランペットから持ち替える時はマウスピースも違うものにする必要があります。
用途や個人差はありますが、コルネットに用いるマウスピースはトランペットよりも深いカップのものを選ぶことが一般的です。それはトランペットとは求められるサウンドが違うからなんですが、これについては後述します。
余談ですがピッコロトランペットはこの両方のシャンク径の楽器があります。
《サックス?》
■サックスさん
アドフル・サックスという人物をご存知ですか?名前からも想像できるでしょうが、1800年代活躍したサクソフォンを作った楽器製作者です。この人はサクソフォンに留まらず、金管楽器も作りました。それが「サクソルン属」と呼ばれるもので、この中にはコルネットやフリューゲルホルンも含まれます。
したがってコルネットはトランペットとはまったく違う生まれ方をした楽器で(トランペットの先祖はもっともっと昔からありました)、このサクソルンの特徴というのは何と言っても同じ発想から作られた結果「高音サクソルンから低音サクソルンまで存在する」ということで、すべての音域で音色の統一が図られている、という点です。サクソフォンと同じですね。
■吹奏楽でのサクソルン
サクソルン属が開発された当時は軍楽隊が主に使用していた結果、吹奏楽に用いられるようになりました。ご存知の方も多いでしょうが、G.ホルスト作曲の「吹奏楽のための組曲」やF.シュミット作曲の「ディオニソスの祭」などはサクソルンを沢山使う編成で初版は書かれています。
以前ホルストの組曲第1番を演奏する事があってパート譜を見てみたら、トランペット、コルネット、フリューゲルの3種類のパート譜があって、1stコルネットで言えば場所によって3つに分かれてるんですよね(したがって1stだけでも最低3人いないと演奏できない)。なので、記憶が曖昧ですが最低でも10人くらいいないと成り立たなかった覚えがあります(現在は小さい編成のエディションもあります)。
■ギャルド
パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽はご存知ですか?ちょいちょい来日しているので実際に聴いたという方もいるでしょう。自分も中学生の時に初めてギャルドの「トッカータとフーガ/バッハ」の編曲版をCDで聴いたんですが(ジュリアン・ブランの時代)、「え?オルガン入ってる?吹奏楽?えっ?えっ????」と耳を疑いました。今までに聴いたことのない完全にブレンドされた管楽器のサウンドで、若干パニック。
で、このサクソルンという存在を知り、ギャルドが来日するというのでホールまで聴きに行き、当時見たこともないような金管楽器が大勢いることに驚きました。それがサクソルン属でした。
サクソルンが沢山いることによって、楽器同士の音色の調和が非常に良く、ギャルドの演奏は他の吹奏楽団にはない独特な響きでした。もちろん、それぞれのプレイヤーのレベルが非常に高い、というのもありますが。
もしギャルドの演奏を聴いたことがない方はぜひCDを手に入れてみて下さい(特に古い録音がオススメ)。聴いて損はないですよ。
■オーケストラ
吹奏楽で発展してきたサクソルンですが、オーケストラでもたびたび使われます。ロシアの作曲家チャイコフスキーやフランスのベルリオーズ、イギリスのエルガーなどはコルネットを使用した作品が多いです。また、サクソルンという範囲で言えばテナーテューバなどを用いた作品も多く、結構オーケストラの中でも出番があります。
ただ、オーケストラでのコルネットはトランペットのように激しく演奏する部分がほとんどなので、金管バンドのような柔らかくブレンドされたサウンドでは太刀打ちできないんです。ですからマウスピースもトランペットに近い浅めのものを選ぶ人が多いですし、場合によってはトランペットで代用することも少なくありません。
コルネットという楽器とマウスピースの完成については後述します。
《イギリスとアメリカ》
コルネットというのは複数の奏者で柔らかく深いサウンドを演奏する金管バンドから、トランペットに近いサウンドを求められるオーケストラといったように使い方は様々です。
これは、楽器そのものが新しいということもあって、その時代の作曲家がコルネットをどう使うのが良いのか、試行錯誤した結果なのではないか、と自分では思っています。
したがってコルネットはそれぞれの用途に、より近いサウンドを追求して作られたものがあるんです。
これらは完全に個人的な見解になりますが、イギリスの楽器メーカー「ベッソン」が作っているコルネットというのは、金管バンド向けだと思います。この楽器には例えば「デニスウィック」というメーカーのマウスピースが相性が良いように感じます。ミュートでも有名ですよね、デニスウィック。ホルンのマウスピースのようにとにかく深いものが主流です。したがって深みのある温かな音が出ます。
また、アメリカのメーカー「バック」や日本のメーカー「ヤマハ」が最近作っているコルネットは、ベッソンに比べるともっと明るくはっきりしたサウンドに感じます。これらのメーカーのほうが吹奏楽やオーケストラで演奏するには向いているのではないかと思いますし、マウスピースもトランペットに近いカップサイズで演奏することに向いているように感じます。
機会があったらいろいろなメーカーのコルネットとマウスピースの組み合わせを体験してみて下さい。
ちなみに、自分はXOというメーカーのコルネットを使っています。とても軽くて明るい音が出るのでお気に入り。マウスピースはデニスウィックも持っていますが、XOとは相性があまり良くないので、バックの1-1/2C(トランペットのマウスピースと同じサイズ)や5A(サイズは小さいけれどカップが深い)などを使い分けています。
《アーバン》
トランペット教本の中で非常に有名な「アーバン金管教本」。これはもともとコルネットのために書かれた教本です。というのも、この教本を書いたアーバンさんはコルネットという楽器を自らの演奏で世の中に浸透させた人物で、教本を見たことがある方ならおわかりでしょうが、超絶技巧的な作品を演奏し「コルネットってこんなにすげーことできるんだぜぇ。ヴァイオリンみたいだろぉ」と言ったか言わないか知りませんが、そういった経緯から未来の素晴らしいコルネット奏者育成のために書いた教本だったんです。
ですから、アーバン教本にはもともとコルネットに限らず他のサクソルンも使えるように書いてありますし、サクソルン属それぞれの音域なども書いてあるんです。
《兵士の物語》
ロシアの作曲家ストラヴィンスキーが書いた「兵士の物語」という作品をご存知でしょうか。
非常に変わった編成で、ヴァイオリン、コントラバス、クラリネット、ファゴット、コルネット、トロンボーン、打楽器それぞれ1名に、語り手、パントマイムなどがいる音楽劇です。
自分がコルネットという楽器をいろいろと経験することになったきっかけの作品で、これまで何回もの本番を経験してきました。そして毎回違うコルネットで演奏していました。先程書いたベッソンやヤマハがここまで違うのか、と実感したのもこの時です。
実はこの作品をトランペットで演奏したこともあるのですが、クラリネットやヴァイオリンとの相性があまりに良くないため(トランペットの音が立ちすぎてしまうため)ストラヴィンスキーがコルネットと指定していたのも納得できます。
とても不思議で面白い作品ですので、ぜひ聴いてみて下さい。聴くだけなら楽しいですよ。楽譜はすごいことになってますが(笑)
先日亡くなられたモーリス・アンドレ氏が演奏しているCDも出ています。
《音を聴こう》
ということでゴチャゴチャ書いてしまいましたが、ともかくブリティッシュ・スタイルの金管バンドをいろいろ聴いてサウンドを知りましょう。あとは先程書いた「兵士の物語」もぜひ聴いてみて下さい。
余裕があったら、吹奏楽曲やオーケストラのコルネットが入っている作品を探して、スコアを見ながら演奏を聴いてみると、それぞれの作曲家がコルネットとトランペットをどう使い分けていたかが見えてくるかもしれません。
吹奏楽をやってる方は演奏したり聴いたことが多い作曲家P.スパークはもともとブリティッシュバンドのために曲を書いていたものを吹奏楽に書き直している作品(ドラゴンの年、オリエント急行など)が多いですから、聴き比べてみるのも良いでしょう。コルネット協奏曲なんてのも書いてます。
また、フリューゲルホルンは吹奏楽に限らずジャズでもよく使われます。フリューゲル奏者がいるくらいです。
クラシック音楽とはまたひと味違うフリューゲルのサウンドを聴いてみるのも面白いでしょう。
ということで今回はコルネット、フリューゲルについて解説的に書きました。
次回はコルネットを実際に演奏する時、心がけてほしいことなどを書いていきます。
それではまた来週!
当ブログの写真・記事等すべての営利目的による無断利用、ネット上などへの無断転載を禁止します。
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