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音痴って何?








みなさま、明けましておめでとうございます!
「ラッパの吹き方」は今年4月の公開から10年目を迎えます。すごい。
10年目に合わせてこのブログもリニューアルする予定ですが、ひとまずこちらでどうぞよろしくお願い致します。

「ラッパの吹き方」はお正月も関係なく更新しますよ!

ということで、今日のテーマはこちら。


《音痴》



正月早々いきなりこんなテーマかい!って感じですいません。

このなんだか侮辱したような印象を持ってしまう言葉。音楽をする身としては使いたくないし、ましてや使われたくないですよね。

しかし、「美しい演奏」がある以上、言葉には相反するものもありますので「音痴」という言葉も存在せざるを得ません。


この「音痴」という言葉は、「なんだか合ってない」「しっくりこない」といった漠然とした使われ方が多く、いわゆる「絶対音感」を持っていないと、なぜ音痴に聴こえるのかを理解することはなかなか難しいと思います。


じゃあ絶対音感以外の人はみんな音痴になるか、というとそんなことありませんよね。誰でも音痴にならないためのポイントがあります。


そこで、今回は音楽を演奏する側が音痴な演奏にならないための原因と解決方法についてお話しします。


《音痴に感じる理由》

ある音のピッチが、楽譜に書かれているものから外れると「音痴だな」と感じます。

しかし、単発で聴こえた音に対して

「今の音は、今回基準にしているA=442Hz(Hz=ヘルツ=周波数=1秒間の空気振動数)とは違う周波数だ」

と判断できる人はそうそういるわけではありません。僕は無理です。これがわかるのが先ほども話題に出した「絶対音感」を持っている人で、その中でもかなり高度な音感を持っていないと難しいかもしれません(絶対音感を持っている人の中にもさらにレベルがあります)。

ですから、単音に対する多少の基準周波数の違いだけでは音痴と感じることはない、と言えます。


では我々はどのような場面で「音痴だな」と感じるのでしょうか。


その答えは「音程」にあります。


《音程とは》

音程とは、2つの音の隔たり、距離を指し、「度」という単位を用いて距離を表現します。

同じ音同士なら「1度」、オクターブの関係の音は「8度」です。数字が大きくなればそれだけ音の距離も広くなります。

我々は「音程」という言葉を知らなくても、聴こえてくる音と音の距離感を順番に聴いたその羅列で、音楽を味わっています。

「美しい」と感じる音楽がある一方で、「音痴だな」と感じる瞬間もこのときに生まれるわけです。


《音痴の真犯人は意外にも》

「音痴だな」と思ったその瞬間は、必ず音程を構築している2つの音の「後の音」に対して感じます

しかし実は「後の音」は「前の音」に影響を受けてしまっただけで、ほとんどの場合真犯人は「前の音」にあることのほうが多いのです。



その仕組みを考えてみましょう。



前述のように音程は2つの音の関係ですから、最初の音を出した時点ではまだそれは「単音」でしかありません。

そして単音での周波数のズレはほとんどの場合気づかれませんし、「ともあれ、この音から始まるんだな」と、最初の音を基準として置くことから始まるので、どうしても後に出た音にジャッジが下されてしまうのです。


例えば、1オクターブ上に上がるメロディ(星に願いを、虹の彼方になど)を演奏するとし、「最初の音が基準よりかなり高めなピッチで出てしまった(でも気づいてない)」となると「その音を基準として、1オクターブ上の音を演奏する」すると、「上の音めっちゃ高くね?」ということになりがちです。

音痴だなと思われてしまいがちですが、しかし見る角度を少し変えると、こんなことが言えます。


「音程感は良い」


音程は2つの音の距離感です。ですから、最初の音から1オクターブ上の音をきちんと意識したから、音が2つとも高かったわけです。これが例えば、それぞれ単発の音としてしか捉えていなかったら、「最初の音はとてもピッチが高い」「でも上の音は正確なピッチで演奏できた」となってしまい、音程としてはかえって美しくないものが生まれてしまうわけです。

そうならないのは音程感が良いから。最初の音がどうであれオクターブの音を感じている、と考えられます。

そういった方がとても多いので、音程感って意外にみんないいもの持ってるんです。



《良い音程を奏でるためには》

しかし結局のところこれはどちらが良いとか悪いとかの話ではありません。求めたいのは正しいピッチで美しい音程感の演奏です。


ですから目標はすべての音を正しいピッチで演奏することです。
先ほど書いたように「音程感は良いものを持っている」人が多いので、その前提があれば、もう音痴にはならないと思います。

では、すべての音が正しいピッチで鳴るためには、どうすれば良いか。それは


「音のツボに当てる」


ことです。まずは絶対にこれです。

音のツボとは、これまでにもブログで随分話してきたのでご存知かと思いますが、「楽器が一番鳴るポイント」です。「センター」と言う人もいるようです。

楽器が一番良く鳴るポイントで吹くわけですから、自分勝手なことや、無理難題をトランペットに押し付けて強引に音を出させていては一向にツボに当てることはできません。
楽器を鳴らすのではなく、楽器が鳴るように自分の体をコントロールすることを意識してください。

ほとんどの楽器はきちんと安定したピッチが鳴るように設計されています。すでに用意されたところに自分が工夫して音を出すだけで、ほとんどの場合ピッチは安定するということです。


参考までに過去の記事リンクを貼っております。

音楽的なチューニングをするために大切なこと 5(音のツボに当てる方法 その1)
音楽的なチューニングをするために大切なこと 6(音のツボに当てる方法 その2)

ぜひ研究して少しずつ音のツボにあてられるようにしてください。
いきなりはできないかもしれませんが、要するにこの意識を持っていつも楽器を吹くこと、これが何よりも大切ということです。


《美しい音程感》

音のツボい当て続ける力を持てるようになったら、次に「美しい音程感」を持って演奏します。

大切なのは「美しい」という点です。音程感の美しさは、実はすべてが正しいピッチ同士からだけ生まれるとは限りません。
本当に美しいと感じる音楽の音程はチューナーの針が±0でないことのほうが多いのです。
よって、メロディをより魅力的に歌うときも、ハーモニーを上質なものにするためにも、柔軟性のある音程感を持つことが大切です。

これはとても音楽的で簡単に習得できるものではないかもしれませんが、まずはなによりも「プロの演奏をたくさん聴く」ことから入ってください。
トランペットだけでなく、声楽や弦楽器などをたくさん聴いて、美しい音程を感じる心を育てましょう。


チューナーでは実現不可能な、人間だからできることなのです。


そして、美しい音程感を持つための基本として大切なものをひとつ書いておきます。
それは、

「五線の間隔に惑わされない」

という点です。

ご存知のように五線は、音の高さも表しています。
しかし、五線の間隔は音程的な等分ではありません。

例えばこの音。


実音読みで「ファ」ですね。
この「ファ」のひとつ上「ソ」との音程間隔は、「長(ちょう)2度」と呼ばれ、半音+半音の音程になっています。

一方「ファ」のひとつ下「ミ」との音程間隔は、「短2度」と呼ばれ、半音の音程になっています。

ですから、「ドレミファソ」と演奏する際、楽譜上では単純に音符がひとつずつ上にずれていくだけなのですが、音程で考えると

ド→レ「長2度」
レ→ミ「長2度」
ミ→ファ「短2度」
ファ→ソ「長2度」

になっています。
このように楽譜の見た目からは得られにくい音程間隔を、頭の中でイメージできるかがとても大切です。楽譜はどうしてもざっくり見てしまったり、特定の音の高さやそのフィンガリング、またはリズムなどに意識が行ってしまいがちなので、ぜひとも丁寧に音程を意識して吹くようにしてください。そのためのロングトーン練習や音階練習は有効だと思います。

これらについて、過去により詳しく解説した記事がありますので、ぜひ読んでみてください。

「ファ」、高くないですか?



《ほかの理由》
音痴だと感じさせてしまう理由はこれだけではありません。すべてを書くことは不可能なので、いくつか思いついた例を挙げてみたいと思います。


[ほかの奏者と合わない]
2人以上で演奏しているときに起こりやすいのが、リズムやテンポに乗り遅れる、もしくは走ってしまうなど音楽にきちんとはまっていない状態だと、音痴に聴こえる場合があります。

[ピストンアクション]
音を出している最中にピストンをとてもゆっくり動かすと、独特なピッチ変化が起こる場合があります。これを「ハーフバルブ」と呼んで演奏効果として取り入れる場合もありますが、やはり基本はピストンを叩きつけるくら素早く動かすことが大切です。押し方が緩いとその瞬間に非常に悪いピッチが出てしまい、音痴に聴こえます。

[リップスラー]
リップスラーに時間がかかると、その間がとてもピッチが悪くなります。スラーの場面であっても、テンポに合わせてしっかりし素早く音を移動できるように意識しないとやはり音痴に聴こえてしまいます。


このほかにもいろいろと原因はあるかと思いますが、そうならないための一番大切なことは「自分の音を客観的に聴く力」を持つことです。
演奏に必死で、自分がどんな演奏をしているのかわからないようでは、音痴以前の問題ですからね。




ということで、今回は「音痴」と呼ばれないために意識しておきたいことを書きました。
ぜひ参考にしてください。


それでは、今回はここまでです。
来週は「ハイノート本」の更新です。ぜひ”note”をご覧ください!
こちらでは”次の次の週”にお会いしましょう!


当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。

at 07:02, 荻原明(おぎわらあきら), ピッチと音程

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安直な解決方法を優先しない








みなさんこんにちは!


さて、今回はブログ経由で頂いたご質問からお答えしようと思います(現在は質問を受け付けておりません)。


======================================
現在高2でトランペットを吹いていますが、チューニングのBbを合わせるときにいつもみんなより高めになってしまい、大げさに言うと、だいたいみんなの倍ぐらい管を抜いています(約2cmくらい)。
先輩や先生、同級生にも音が上ずっているから高くなると言われてはいたのですが、具体的にどうすればいいのか分からないのが現状です。
たぶん口の周りに力が入りすぎているのは分かるのですが、これも対処方法がわからずじまいです。

アドバイスをいただけたら嬉しいです!
(抜粋し、一部文章を修正しています)
======================================



《原因の特定より解決を優先してしまうと》




ピッチが安定せずに悩んでいる方、多いのではないでしょうか。中でもトランペットは高めのピッチになる方が多いように感じます。

ピッチが安定しないことには必ず原因があり、それを特定することが大切です。
「そんなのあたりまえでしょ!」とおっしゃるかもしれませんが、多くの方は原因を特定することを後回しにして、解決することを最優先にしているように思います。わかっちゃいるけど、、、という感じで。
例えば合奏中に指揮者や指導者から「ピッチが高い!」と言われたら、その場ですぐに何が何でもピッチを下げなければ!という焦りに頭の中が支配され、強引な行為で解決し、その場をしのいでしまうのです。

個人練習をしていても、次の合奏、パート・セクション練習、本番まで時間がなく、短時間で解決しなければと焦ると結局同じように、とにかく解決最優先となってしまうんですね。

このように原因の特定をせず、その場しのぎの解決方法を優先してしまうと、いくつもの矛盾が生まれ、楽器の成長の妨げて悪循環に陥ることが数多くあります。

限られた忙しい時間で何とか与えられた楽譜を吹けるようにしなければならないので、気持ちはわかるのですが、やはり原因が何なのかを特定することが先決ですし、それを見つけられればずっと安定した吹き方ができるのです。

とは言うものの、こうなってしまうのはしかたがないとも言えます。なぜなら具体的な改善方法を伝えず、現状や結果のみを伝え逃げをする指導側に原因があるからです。方法を教えてくれなきゃ、いくら高い低い言われても直し方なんてわかりませんからね。

こういった原因の特定や正しい解決方法に導いてくれるには的確に指導できるプロの先生による個人レッスンがやはり効果的なんです。部活だけで充分と思う管楽器奏者が多いのですが、そうではない、と思うんですよね。



《ピッチが高い低いと言う前に》
話を戻しますが、ピッチが高い(低い)からと言って、むやみにチューニングスライド(主管)を沢山抜差しするのは良くありません。
確かに、管楽器は管の長さを変化させればピッチも変化しますが、それ以上にピッチ変化に重要な部分があることを忘れてはいけません。

そもそも、ピッチが高い低いという言葉に囚われてしまうのが良くありません、要するに「不安定」なのですから、「安定」したピッチで演奏できる方法を見つけることが先決です。


《音のツボを見つける》
ということで、このブログを以前より読んで頂いている方は、もう馴染みの言葉になりました。「音のツボ」に当てることが安定したピッチを手に入れる方法なのです。

そしてその音のツボを見つけるには「舌」の存在が欠かせません。

舌の位置が変われば、ピッチも音色も大きく変化します。
では舌がどうなればどうなるのか、それは過去に沢山書きましたので参考にして下さい。

「舌」の役割 1 
※「舌の役割」は上記リンクの「1」から「7」まで記事があります。ぜひ読んでみて下さい。


結局のところ、舌の状態だけでピッチを安定させることはできると思います。
しかし、先程も書いたように、その場しのぎの解決方法を沢山してしまうと、やがてそれがクセになってしまい、成長を妨げてしまう原因になります。

今回の質問を書いて下さった方はピッチが常に高めになっているというお悩みなのですが、それも結局「クセ」=「必要のない行為」がそうさせていると思われます。
多分「音を出すために+(プラス)の行為ばかりを詰め込みすぎた結果」ではないでしょうか。

憶測ですが、音を出す時の流れがこのようになっていませんか?


 とにかく音を出さなければと息のスピードをとても速くする
 ↓
 それに耐えられるプレスが必要になる
 ↓
 それに耐えられる口周辺の力が必要になる(口角を左右に引っ張ってしまっているかも)
 ↓
 腕や肩、首に力が入る
 ↓
 大きな呼吸ができなくなる
 ↓
 常に細く、スピードが速い息になってしまう
 ↓
 最初に戻る


この悪循環はピッチが高い人の特徴です。中学生の時の僕です。
当時僕は、トランペットは体力がいるものであり、耐えることで鍛えられ、上達するものであると信じて疑いませんでした。
そして成長しませんでした(笑)

上記すべてに当てはまらないかもしれませんが、ピッチが高いのには必ず原因があります。
その原因を自力、もしくはそれを見抜ける指導者にレッスンを受けることで、本当の解決につながります。


安直な解決をすることなく、原因を見つけ、的確に修正できるようにしたいものですね。

ということで、今回はここまで。


また来週!

当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。

at 07:14, 荻原明(おぎわらあきら), ピッチと音程

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「ファ」、高くないですか?








みなさんこんにちは!


《「ファ」、高くないですか?》
唐突ですが、トランペットで吹いた「ファ」の音、高くありませんか?ファと言うのはBb管であれば「Es(エス/イーフラット)」の音で、僕が言っているのは五線の中にあるほうです。



解放音(Bb音)のピッチを確認して、チューニングを終えた状態で、下のBbから「ドレミファー」と吹いた時のファの音のピッチをチューナーでチェックしてみてください。あまり深く考えず、いつも通りに吹いて下さい。

いかがでしょうか。高くなりませんか?

トランペットには、いくつか「高くなりやすい音」というのがあります。
例えばこれです。



これらの音はほとんどの楽器でピッチが高くなる傾向にあります。
他の音が安定したピッチで演奏していたとしても、高くなってしまうので、トリガーを使用してピッチ調節をします。

他にも、1,2番ピストンで出す音は比較的上ずりやすい傾向がありますが、楽器の個体差でもだいぶ違うので、上記の音に比べればたいしたことはないと言えます。
他の音に関しても同じで、それぞれの楽器のクセのようなものはあるにせよ、一概に「この音は上がり(下がり)やすい」と言うことはできません。前回の記事で書いたように奏者の演奏の仕方によっても、ソルフェージュ力によってもこれらは変化しまいます。

しかし、多分ですが「ファ」の音が高くなりやすい方、多いのではないかと思います。特に「ドレミファー」と下から音階を吹いた時に顕著ではないかと。


《なぜ「ファ」が上ずるのか》
それではなぜ「ファ」音のピッチが高くなりやすいのでしょうか。ひとつは「半音」です。

我々はトランペットを初めて吹いた時、とにかく音を出せるように、という課題に一生懸命だったはずです。鍵盤楽器やリコーダー、打楽器のように、何かアクションをすればとりあえず音が出るものと違い、音を出すだけでいきなり苦戦を強いられるのが管楽器。ですから、音階を吹けるようになるのも一苦労でしたよね。
初心者の頃は音楽的に音階を吹けるようにするという意思はこの時点ではほぼなく、ドの音が出たから次はレ、ミ…と、運指を覚えて、単に隣の音を出せるようにしようといった意識で練習をしていませんでしたか?

そうすることによって「運指の組み合わせを変更することで音階を演奏する」という感覚になります。楽譜とか、鍵盤とか、音を出すのにそういうものは必要なく、単に「ドレミファ」を順番に吹くことが目的になっているだけです。

しばらくこの練習を続けていくと音を出すことにもだいぶ慣れ、とりあえず音階を吹くくらいは余裕になってきます。しかもBb durの運指を感覚的に記憶しているので結構速いスピードで、パラパラと吹けるようになりました。

ここが落とし穴。


《平均律の仕組み》
音階、具体的には西洋音楽で一般的に使われている「平均律」という音階での音階は、隣り合う音が全音(長2度/半音+半音)のところと、半音のところがあります。
鍵盤をイメージするとわかりやすいと思います。



そして平均律には「長音階(長調、durの音階)」と、「短音階(短調、mollの音階)」があり、長音階の音と音の間は以下のような順番で並んでいます。

「全 全 半 全 全 全 半 全」

僕は中学生の音楽の授業でこんな覚え方を教わりました。「全」は全音の音程で「半」は半音の音程。この間隔で隣り合う鍵盤を押せば、どの音から開始しても同じように長音階が演奏できる、これが平均律の仕組みです。

では一番わかりやすい、鍵盤でいう「C」音からスタートした長音階の順番を見てみましょう。



それぞれの音程を確認してみましょう

ドとレは全音
レとミも全音
ミとファは半音

こうなります。ミとファの音程は半音であるからこそ、長音階に聴こえる。これがポイントです。


《音程感覚の大切さ》
話を戻します。トランペットでやっとのこと音が出せるようになって、ドレミファを順番に出せるようになるまでの間、多くの人はこの音階の仕組みをしっかり学んで吹いていたわけではないと思うのです。しかし、音階がドレミファソラシドという呼び方で並んでいることや、長音階のなんとなくの聴こえ方はほとんどの人は知っています。
だから安易にトランペットでドレミファを吹いてしまうのですが、「ミとファの間は半音」=ドとレ、レとミの半分しか音が離れていないのです。全音と半音では、聴こえ方はだいぶ違う、これを感じていなければならないのです。

しかし、一度覚えてしまうと、もう余裕と言わんばかりに「ドレミファソー!」と音程感覚を持たずに勢い良く吹いてしまったり、ミとファの音程も全音の感覚で吹いてしまいがちなのです。

そして更に追い打ちをかけるようにトランペットの(Bb管での)「C音(in Bb楽譜上でのレ)」と「D音(in Bb楽譜上でのミ)」は少なからずピッチが高めに出てしまう楽器特有のクセがあるので、尚のこと全体的にピッチが高めのままファまで流れ込んでいってしまいます。

結果、ファの音が半音以上に離れてしまい、高いピッチになりがちなのです。

これは奏法が悪いわけではなく、「ソルフェージュ力」が影響を与えているのだと思います。

トランペットは、ある音を出すためにはピストンを押す組み合わせを変える必要があります。しかし、それ以上にソルフェージュする力、頭の中で音を取る力が、実際に出る音に影響を与えていると考えます。

音階は基礎中の基礎で、しかも馴染みのあるものですから、あまり深く考えなくてもそれなりに吹けてしまいます。しかし、音階にもしっかりとした音程感覚がなければ、音楽的に聴かせることができません。


《音程感覚は機械ではわからない》
しかし、音程感覚をしっかり感じようと、チューナーを使ってはいけません!
前回、前々回の記事ともつながるところがありますが、チューナーを使うと、意図的にピッチを合わせようと、口周辺の力を強くしたり、唇を変形させてみたり、プレスを強くしたみたりと、使う必要のないところで変化させてしまいがちです。そうでなくとも、ひとつひとつの音を修正させてピッチを正すという方法はトランペットには不向きで、それをするなら「鳴る音(ツボにはまった音)」を常に出し続けられることを目標にしていくべきだと考えます。
金管楽器にとってチューナーというのは、自分のピッチの悪さを修正するためのものではなく、今出している音がどうなのか(高いのか低いのか合っているのか)確認するための道具です。もしピッチが悪かった時には、その針を±0に吹きながら移動させるのではなく、一旦吹くのをやめて、なぜピッチが悪かったのか原因を探るようにしましょう。

そして、音程というのは正確なピッチを追求するだけではどうしても機械的になってしまいます。若干ですが音程というのは場面によって狭かったり広かったりするもので、それらが人間味を出していると思っています。

例えば、音階の7番目の音。ドレミで言うなら「シ」の音は、次のゴール(主音)である「ド」の音へ一番向かっていく力が強い「導音」と呼ばれる音です。「シ」の音は「ド」のことがとても好きで、他の音に比べるとくっつきあってるように僕は感じます。ですから、音程も、他の半音に比べると少し狭いくらいがちょうどいいのが僕の中の感覚です。

他にも「刺繍音(ししゅうおん)」と呼ばれる音の流れも臨時記号を使った半音が出てきますが(下に向かう時に多い)、これも浅めのピッチで演奏すると聴こえが良いと思っています。(刺繍音に関してはぜひいろいろ調べてみて下さい。)

他のサイトにあった譜例がわかりやすいです(こちらをクリック)


もちろんこれらは正確なピッチ、正確な音程感があってこその話ではありますが、機械のように正確なピッチだけを追い求めるのではなく、「こう聴こえると美しい」「すんなり聴こえる」など人間味のある音程を表現できるようにしたいものです。それがないと、今回のお話「ファ」の音はずっと高いままになってしまうかもしれません。

ということで、今回はここまで。

それでは!


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at 07:02, 荻原明(おぎわらあきら), ピッチと音程

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