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ノイズ(雑音)を発生させないためには








みなさんこんにちは!

皆様から多くのご質問を頂いておりましたので、今日はそのひとつをご紹介します。(現在は募集しておりません)


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こんにちは。中3で部活でトランペットを吹いている者です。
音に雑音が入る時があるのですが、どのようにすれば直りますか?少し前まで全くなかったので不安です。
雑音が鳴っている時に楽器からマウスピースを放して、マウスピースだけで吹いてもやはり雑音が含まれています。
(メールより一部抜粋、修正)
//////////////////////////////////////////////////////////////////////


このメールが届いたのは今年の1月なので、投稿していただいた方はすでに高校生かと思いますが、当時お送りした返信メールで改善が見られたのか少し気になるところです(お送りしたメールに対して、参考になった、改善した、言ってることがわからないなどのお返事があると、とても嬉しいです)。

トランペットを吹いていて雑音(ノイズ)が含まれてしまう時ってありますよね。
常にノイズが含まれているということはないにしても、一定の音域以上(以下)になると突然ノイズが発生したり、ノイズとまでは言えないけれど、サウンドそのものがあまりクリアに鳴っていないことが悩み、という方も多いのではないでしょうか。

ということで今回は「ノイズ」について書いてみます。


《ノイズが発生している場所はどこか》

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まずはじめに知っておきたいことは「ノイズはどこから発生しているのか」。
実際には、その時の状況を見てみないとわかりませんが、楽器そのものに問題がないのであれば一番可能性が高いのは、ずばり

「唇の振動している部分」

です。唇はトランペットを演奏する上での音の発信源です。音を作り出している工場に何か異物の混入があったのでしょうか。工場の機械が不調なのでしょうか。

なぜノイズが発生してしまうのか、考えてみましょう。


《シングルリード楽器を参考にする》
その前に、他の楽器の音の発信源がどうなっているのか考えてみましょう。
吹奏楽やオーケストラ、ビッグバンドなどをされている方には身近な楽器、サックスやクラリネットといったシングルリード楽器は、3つのパーツを組み立てて音を出す仕組みを作り出しています。

ひとつはマウスピース、消耗品であるリード、そしてそれらを固定するリガチャーという器具です。

サックスやクラリネットを組み立てているところを見たことがある、という方は多いと思いますが、マウスピースとリードの位置をとても慎重に組み合わせていますよね。一度音を出して、再度位置を直しているところもみかけます。一度良い位置がきまれば、それがずれないようにリガチャーでしっかりと固定します。

これがシングルリード楽器の音の発信源でした。


《なぜノイズが発生するのか》
話をトランペットに戻します。
多くの場合、最初からノイズが入っていることは少なく、時間の経過とともにノイズが含まれてきたり、何かのアクションがあった時から突然発生することがほとんどです。

みなさんも経験ありませんか?急にノイズが含まれた音を出して、嫌な音だなあと思いながら演奏したこと。

音の発信源にノイズを生み出す何かがあるとして、途中からノイズが発生してしまったということは、

「何か変化があった」

と考えられます。
その変化が一番多く見られるのが「音域が上がってきた時」「高音域を出そうとしている時(出している時)」です。


《固定する場所》
そこで先ほどのシングルリード楽器を思い出してほしいのですが、音の発信源であるリードとマウスピースは、リガチャーによって「固定」されています。その状態はどんな音域を演奏していても一定の状態です。
音域が変化する時、リガチャーのネジをキツくしたり緩めたりしているところなんて見たことありませんよね。

これは、トランペット関しても同じことが言えると思います。

トランペットのリード部分である唇、もう少し具体的に言えば、アパチュア周辺にある唇が振動することで音を作り出していますが、この振動する部分は、サックスやクラリネットのように一定の状態(サイズ)をキープしておくよう心がけることが大切なのです。
なぜなら、ここは「音を発生させる場所」であって、「音域を変化させる場所ではない」からです。

「音を発生させる場所」の仕組みが変化してしまったら、それまで出せていた音質ではなくなりますし、ひどい場合には音が出なくなる可能性もあります。それはリガチャーの固定する力に変化が生まれて、マウスピースとリードがずれてしまったのと同じ状態です。

では、トランペットで言うところのリガチャーとはどこでしょうか。


《唇の貼りつき》
ラッパの吹き方ブログでは、これまでも幾度となく、「舌とアゴ」について書いてきました。音域(ピッチ)を変化するために不可欠なこれらのパーツは、低音域に行くと下がり、高音域では舌と上顎の接近によって生まれる小さな空気の通り道で目的の音の高さを出すことができます。
舌やアゴが動けば、その周辺のパーツも影響を受けることになります。

例えば、顔の表面、特にアゴとその周辺の筋肉や皮膚などは、一緒に引っ張られたり戻ったりと忙しい動きを見せます。

もしその動きにマウスピースリムと接している唇の部分までもが持っていかれてしまうと、マウスピースから唇が滑ってずれたり、離れたりしてしまいます。これではリガチャーがない、もしくはゆるすぎる状態です。

そこで大切なのは「マウスピースのリムに唇が貼りついている状態をキープする」という点です。

口の周りがどんなに大きな動きをしていても、マウスピースのリムと唇が貼りついて動かなければ、一定の唇の反応をキープすることができる、いわばシングルリード楽器のリガチャー部分と言えます。

マウスピースはよく、「プレスをしすぎない」とか、ひどい場合には「プレスをできるだけしない」なんてことを言う人もいます。しかし、それは音質や音域コントロールの不安定感を助長することにつながり、体への負担が大きくなります。要するにバテやすいのです。

なぜなら、リガチャーがない状態でサックスやクラリネットのマウスピースとリードの位置を変えないようにする努力をしているのと同じです。口周辺の筋力でなんとかするしかないのですが、あまりにも無理がありすぎですよね。
トランペットも、口周辺の力を強く使って、良い音が出る状態、音の反応が良い状態をキープするなんて、負担が重すぎです。そうではなく、マウスピースのリムと唇が貼りついていれば、もうそれだけで「固定」されているのですから、強い力など必要ないのです。

しかし、プレスもやたらと強くしてしまうのは問題があります。振動する部分を潰してしまうこともありますし、反応が悪くなります。そして何よりも体への負担が大きくなってしまいます。結局のところプレスは強すぎず弱すぎず、なんですね。


《使う必要がないように仕向けていく》
マウスピースと唇が貼りついて固定されている状態であれば、もうその部分に関してはそれ以上考える必要はありません。考えるというのは「意識的にコントロールする」につながってしまうので、息が通過したら音が発生する状態であるならば、ここにはそれ以上求めないので放置しておきます(もちろん、良い音を追求することは必要です)。

ノイズが発生してしまいやすい人は、この「口周辺の力」で音域変化をさせようとする方が多いはずです。

じゃあ、もう今後は口周辺は意識しないで、動かさないようにしましょう!

と言われても、長い間使い続けてきてしまったその「習慣(クセ)」を直すには結構大変です。意識しないようにと意識するというのもなんだかおかしな話ですし。

ですから、こういった場合は

「ほかの部分が大活躍することで、使う必要がないように仕向けていく」

この順序にしましょう。

音域を変化させた時、特に高音域を出そうとすると口周辺に力が入ってしまうのであれば、舌をアゴだけで充分高音域が出せるように練習をすることです。意識すべきは舌とアゴ、そしてその動きに合わせたブレスコントロール。これだけで音域の変化をができるようになれば、わざわざ不安定になること、疲れることはしなくなるはずです。


《警告を聴き逃さない》
ノイズだけでなく、音質が変化した瞬間、音を出すシステムのバランスが変化したからです。
特に、音がくぐもったようなモッサリした音になった時は注意してください。クリアではない音がしている時というのは、唇の振動が充分でない時に起こります。

その理由はいくつかあり、マウスピースのプレスが強すぎたり、体の中の空気圧が高すぎる時なども音の変化が起こります。

しかし、何にせよ、良い音が出ていないということは、何かのバランスが悪くなっている警告です。
最初は自分で納得している音を出していても、気に入らない音に変化してしまったら、すぐに何が原因だったのか、今何をしたかなどを追求し、確認してみましょう。

必死に楽譜を追っている時や、チューナーやメトロノームのことばかり見ていたりと、意識する方向が音色に向かっていない時に音は崩れやすくなります。しかし、音色を一定にキープできない状態でチューナーでピッチをチェックしていても全く意味がなく、練習とは呼べません。

常に良い状態で音を出すこと。これをまず真っ先に意識してください。


《ほかの原因》
音域などが変化した時に発生するノイズですが、最初から、いつもの自分の音質でなかったり、ノイズが常に出てしまう、といった場合は、唇そのものに原因があるかもしれません。
一番よくあるのが「唇の荒れ」です。冬場など特に感想し、ヒビ割れたリードで演奏しているようなものですから、ボロボロな唇では良い音は絶対出ませんね。

また、体調や食生活が悪く、唇が腫れぼったい時もあります。
僕の場合は睡眠不足の時に唇が腫れぼったくて、良い音が出ない経験をよくします。


ということで今回はノイズについて書きました。
ノイズが発生しない演奏をするために一番大切なことは「理想の音色を持ち続ける」ことと「自分の音を客観的に聴く力を持つ」ことです。
奏法というのはあくまでも良い演奏をしている時にこんな使い方をしていましたよ、といういろんな人からの主観的表現を元に作られていることですので、何よりも大切な「音楽をする」ということ「最高のイメージを持ち続ける」ことを忘れず、演奏してください。

それでは、また来週です!


当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。

at 06:37, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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アンブシュアを直すべきか 4(まとめ)








みなさんこんにちは!

現在、「ラッパの吹き方」では「アンブシュアは直すべきか」というテーマで記事を書いています。今回はまとめ。
頂いた質問はこちらでした。


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アンブシュアをなおしたいと考えているのですが、アンブシュアを変えてきちんと吹けない期間が出来てしまうのが怖いです。そこで質問なのですが、アンブシュアを変えた場合どのくらいの期間で新しいアンブシュアに慣れることが出来るでしょうか。
========================================



《見た目にこだわってしまう》
トランペットを吹いていて、いつでも絶好調なわけではありませんよね。やはり調子の悪い時は必ずあるわけで、そんな時、真っ先にアンブシュアが悪いのでは?と疑ってしまうこともよくあります。何がどう悪いのか、それをどうすれば解決して、調子の良かった時に戻れるのかなんて根拠は何もなく、ただアンブシュアに対して「おまえが悪いんだろう」と疑念を抱いてしまいます。
ただ、そう思ってしまうのもある意味しかたがないもので、実際に、調子が悪い時というのは、マウスピースを口に当てた時、もしくはその前後あたりで、何だかバランスや感触が違うな、と感覚的に捉えてしまうところから始まることが多く、アンブシュアが崩れているように感じるんですね。唇という非常に繊細な部分しか、実際に演奏するために触れている部分がないのですから、アンブシュアや唇がいつもと違うのであろうと思ってしまうのも無理はありません。
僕自身もマウスピースを唇に当てた時、何やら違和感があると思い、一応音が出せても、まるで自分の口ではないような、そんな気分になって、今どんな崩れ方しているんだろうと鏡で見てみたんです。そうしたら、いつもと何が違っているのか、見た目にはさっぱりわからないんですよね。そんなものです、アンブシュアなんて。自分の中で感じているほど見た目は崩れないんです。

そもそもアンブシュアというのはどこを指しているのでしょうか。それすらもかなり曖昧な状態でお話していますし、仮にアンケートを取っても、明確に「ここからここまでの範囲です」と共通した回答が来ることは望めません。しかも今話している内容は「表面」のことだけです。鏡を見てわかるのも、表面の状態だけです。
しかし、トランペットを吹いている時のその表面を作り出しているのは、鏡では見ることのできない筋肉の働きや、顎関節の動き、舌の状態、歯並びなど、内部の状態が作り出した結果である、ということを決して忘れてはいけません。それなのに、鏡を見て、どこか、何かを変えようとしても、思うような結果が表れないのは、当然のことと言えます。

アンブシュアには奥行きがある、ということを忘れてはいけません。


《意識するポイントを分散しよう》
では、アンブシュアに違和感を覚えた時、もしくはアンブシュアに問題があるのでは、と感じた時にどうしたら良いか、ということですが、

「アンブシュア以外に意識を分散」してみましょう。

前回書いたように、アンブシュアは製造工場で言うところの、製品の「出荷口」です。この場所を息が通っている時には、すでに製品は完成しているのです。「アンブシュアに違和感」というのは、結局のところ「(いつもより)思うように吹けない、コントロールが上手くいかない」ということですから、その原因は他のいくつもの場所にあるのだ、と思うことが大切です。



□ これから演奏するために必要なガソリン(=吸気)は、ふさわしい量が入っていますか?
□ これから演奏するために必要な息の流れを生み出す姿勢、腹筋(みぞおち等)のバランスはいかがですか?
□ それによって流れている呼気は、まとまりのある密度の濃い、圧力を持っていますか?
□ リラックスと支えは区別できていますか?
□ これからどのような音、どのような演奏をするか、理想の完成図が頭の中にありますか?
□ 目的と意味を持ったウォームアップを充分に行いましたか?
□ 自分自身が、ではなく、聴いてくれる方が「楽に音を出しているな」と感じてもらえるサウンドですか?(奏法ではなく)



まだまだ沢山あると思いますが、このように意識を分散させてあげることで、アンブシュアにこだわっているヒマもなくなります。そしてこの分散させたどこかに問題があると気付くかもしれませんし、意識を分散させてことで、しらないうちにアンブシュアが安定している(ように感じる気持ちが復活した)かもしれません。


《まとめ》
何らかの理由で「自分の性格を直そう」と思って、スイッチを切り替えるかのように直せるなんてことは不可能ですね。「こんな人になりたい」「自分はこういう人間でありたい」「周りにこんな人だと思われたい(うわべではなく、実際にそうでありたいという考えの下)」、そんなふうに思ったこと、多くの方があると思います。
「優しい人間になりたい」と思っても、先程書いたように明日から急に優しくなれるか、と言えば、それなりの努力で継続することは可能でも、それが本当に自分のものになった上での「優しさ」ではないことは自分自身が充分に感じることでしょう。なぜなら、生まれてきてから今までの生活環境、接してきた家族、親戚、友人、読んできた本、見てきたテレビや映画、遊んできたおもちゃ、場所、好んでいたもの、嫌いなもの、食べたもの、その自分に関わるすべての人、もの、空間すべてが今ある自分の性格につながっていきます。それを一日そこらで変えようなんてことは到底不可能なのはわかりますよね。というか、そういったこれまでの人生を全部(一部だとしても)否定してしまうのは、どんなことだったとしても、良いことだとは思いません(強制させなければならない性格が、とかそういうでっかい話はここでする気はありません)。それが個性であり魅力であり、成長のきっかけであったことは明確だからです。
しかし、悪いことは良いものに変えたいのがあたりまえですから、「もっと優しい人間になりたいんだ」と思うのであれば、「優しさ」とはいったい何なのかを知ること、考えること、触れること、学ぶこと(「優しさ」の方向へ導いてくれる人が欲しいですね)、経験することが必須です。そうやって方向性や結果を模索していくうちに、少しずつ、ほんの少しずつかもしれませんが、優しい人に一歩一歩近づいていくのではないでしょうか。その過程では、やはり変わる前の自分が、しょっちゅう見え隠れしてしまうことでしょう。そうすることでまた反省し、でもなかなか直らなくて悔しんだりの繰り返し。性格を直すってのは生半可な気持ちでは無理です。ホントに大変ですよね。(半ば自分自身に言ってます。すいません)

本題からはずれましたが、アンブシュアも結局同じです。直そうと思って一日で直るわけもなく、体や頭(理想の完成イメージ)など様々なところを良いものにし、良い演奏、良い音楽をしたいと強く思うことによって得られる貴重なご褒美だと考えて、焦らずに音楽をトランペットを楽しんで下さい。

そして一番覚えておいて欲しいことがあります。過去のブログでも書きましたが、アンブシュアというのは、

「良い音、良い演奏ができている時、それが自分にとっても正しいアンブシュアである」

ということです。これを決して忘れないようにして下さい。


それでは、4回に渡って書きました「アンブシュアを直すべきか」」は今回で完了です。
お読み頂き、ありがとうございました。


アンブシュアについての記事はカテゴリー分けされています。ぜひこちらからまとめて読んでみて下さい。


次回からは新しい内容になります。引き続き「ラッパの吹き方」をよろしくお願いします!
それではまた来週!



当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。

at 06:17, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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アンブシュアを直すべきか 3








みなさんこんにちは!

学生の方は夏休みまっただ中といったところでしょうか。うらやましい!
コンクールで大変な毎日を過ごしている方は、ぜひ体を休めるということも頭に入れて演奏して下さいね。
体も頭も疲労がピークになると、音がどんどん出せなく(出しにくくなる)「潰れ」という状態になりかねません。せっかく一生懸命練習してきたコンクール曲ですから、万全のコンディションで演奏できるように、ウォームアップをしっかりと行いましょう。
個人練習の時間が取れないからと、合奏中の休憩時間に練習したり、お昼休みを早めに切り上げて個人練習したり、そういったことは極力控えるようにして、とにかく体をいたわってあげて下さいね。勉強も楽器も、一夜漬けでは何も得られませんから、ギリギリになって焦るのは精神力の無駄ですよ。

それでは、今週も頂いたご質問から、アンブシュアについて書いていきます。今回が3回目。内容はこちらでした。
========================================
アンブシュアをなおしたいと考えているのですが、アンブシュアを変えてきちんと吹けない期間が出来てしまうのが怖いです。そこで質問なのですが、アンブシュアを変えた場合どのくらいの期間で新しいアンブシュアに慣れることが出来るでしょうか。
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前々回では「アンブシュアは直さない」ということを書きました。前回の記事では「アンブシュアは完成した製品を出荷する出口でしかない(ここであれやこれや作る場所ではない)」ということを書きました。もしお読みでない方はぜひ過去の記事を先に読んで下さい。

アンブシュアは直すべきか1」 
アンブシュアは直すべきか2」 


《指導者からの指摘》
世の中のトランペット指導をしている人の中には「あなたのそのアンブシュアじゃ、まともに吹けないから変えなさい」と軽く言ってしまう人がいます。しかし、これまで見聞き経験してきた中で、そうしてアンブシュアを「意識的に」変えて良くなった!という人を見たことがありません。僕が知らないだけで世の中にはいらっしゃるのかもしれませんが、多くは(本人がどう思っているかは別として)以前のほうがよかったんじゃないかなぁ、と感じてしまうことばかりでした。

なぜアンブシュアを変えても良くなる可能性が低いのか。それは、これまでにも書いたように「人によって良いアンブシュアが違うから(=模範解答がないから)」なんです。
もしかすると、今の科学技術ならば、その人それぞれに最適なアンブシュアを見つけ出すことができるのかもしれません。演奏しやすいアンブシュアというものが科学的、論理的に解明されるかもしれません。
スポーツの世界では、結構そういった方法で成績を伸ばしていることも多いようですが(聞きかじり)、とりあえずトランペットの演奏に関するアンブシュアではそういったことはまだ聞いたことありません。
だから、根拠はありませんがアンブシュアに関してはそういうの無理なんじゃないか、とも思います。

話を戻しますと、結局「見た目を直そう」としているからおかしくなっちゃうわけで、顔の表面的な動きや形にこだわっている限りはアンブシュアに関しては解決しないと思います。したがって、僕の場合はレッスンで現状のアンブシュアで大きな苦労をされている方には直接的に「直しましょう」とは言いません。ほとんどの場合は、他の話題(口の中の舌、顎など)に着目してもらい、アンブシュアをあまり意識しないように練習を続けてもらうことで、(時間はかかりますが)改善していきます。ただし、生徒さんの状態やいろいろな面を考慮して、頭の片隅に置いておく程度にアンブシュアに対して伝えること(今のアンブシュアだと苦労していませんか?など)はあります。


《方向性、共通性》
「アンブシュアは人それぞれ」と言い続けていますが、これまでに見てきた沢山の一流トランペット奏者の吹き方を見ていると、ある程度の方向性、共通性というのがあると感じています。ひとつは

「口角を横に引っ張らない」

という点。そして

「顎の部分しか使わない」

という点。これらは共通しているように感じます。実際に聞き歩いたわけではないので、立証はありません。あくまでも見た目と動きだけです。

僕は中学校に入り、初めてトランペットを手にした時に先輩から「口をおもいきり横に引っ張って唇を振動させて音を出す」と教わって、それをひたすら信じて(特に懐疑的にもならず)高校も音大の最初の頃もそれで吹いていたように感じます。高校生に入ってからは音大受験のためにレッスンを受け始めたことがきっかけで、徐々にアンブシュアも安定してきていたのかもしれませんが、結局のところアンブシュアを意識的に直そうと思ってはいませんでしたから、そのなごりは常にあったはずです。

顎に関してはこれまでも沢山書いてきましたが、人間は顎(舌、下の歯、下唇、下半分の口輪筋など全て含め)はとても発達し、自由で繊細でしなやかな動きができるので、この部分のみを使う気持ちでいるべきだと思っています。したがって、頭蓋骨部分(上唇、鼻の下、上半分の口周辺筋肉全般、上の歯など)は、反応はしますが(結果として動きはありますが)、意図的に力(筋力)をかけて動かしたり、顎や下唇以上に頭蓋骨部分をメインとして使うべきではありません。ということで、

「口角を引っ張らない」
「顎の部分しか使わない」

この2点はみなさんに意識していて欲しいと思っています。逆に言えば、今「使うべきではない」と言った部分をトランペットを吹く時に使っている方が、「アンブシュアを変えなさい」と指摘されている可能性が高いです。その時、前回までの記事でも書いたように「意識的に直す」のではなく、その使ってしまっている部分はひとまず放置し、本来使うべき部分を積極的に使っていく姿勢でいられるように心がけて下さい。
そうすることで、今まで負担をかけて使ってきた、本来使うべきではない部分の力が軽減され、より使いやすい顎の部分全般で演奏するように少しずつ変化してくるはずです(僕はそういう経緯で今に至ります)。時間はかかるかもしれませんが、そうすることが負担なくアンブシュアを良いものにしていく方法ではないか、と思うのです。

最初の話に戻りますが、「アンブシュアを変えなさい」という先生に出会ってしまった場合、見守ってくれているタイプであれば、いつしか「アンブシュア、良くなってきたね」と言ってもらえる日を信じて上記のようなアプローチで練習に励んでもらえればと思いますが、「僕の真似をしなさい」とか「僕が言う通りにすぐ変えなさい」と強制する人であれば、無視するか離れたほうが良いかもしれません。最終的は判断はおまかせしますが、少なくとも僕の考えでは、良い方向にいかないだろうな、と思ってしまうもので。

ということで、今週もアンブシュアに関して書きました。
次回はアンブシュアのまとめを書きたいと思いますので、引き続きおつきあい下さい。

それでは、また来週!


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at 06:27, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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アンブシュアを直すべきか 2








みなさんこんにちは!
先週からの続きにいきます。こちらのご質問について回答しています。

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アンブシュアをなおしたいと考えているのですが、アンブシュアを変えてきちんと吹けない期間が出来てしまうのが怖いです。そこで質問なのですが、アンブシュアを変えた場合どのくらいの期間で新しいアンブシュアに慣れることが出来るでしょうか。
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先週とにかく伝えたかったことは

「アンブシュアは直さない!」

ということでした。直接的に直すのではなく、その人にとっての「良いアンブシュア」に徐々に変化していくように(悪影響を与えている状態を少しずつ緩和していくように)、様々な面からアプローチしていく、ということが大切です。
時間がかかってしまうかもしれませんが、「なんだか前よりも吹きやすくなった(コントロールしやすくなった/音が良くなった/バテにくくなった)なあ」と感じられる瞬間瞬間を期待し、練習を続けてほしいと思っています。


《アンブシュアは製品の出荷口》
僕はレッスンの時に、楽器を吹くための様々な体の部分は、役割がそれぞれ違う、ということをイメージしやすいように「工場」を例えとして伝えることがあります。
具体的に言うと、

 ■頭(脳)→設計図、完成図
 ■肺(取り入れた空気)→原料、材料(の調達、貯蔵庫)
 ■空気をコントロールしている腹筋(みぞおち等)→これから作り出す製品に合わせた原料を生成するところ
 ■喉→ただの通路
 ■舌などの口の中と顎→製造所、組み立て、製品の完成
 ■アンブシュアと唇、その周辺→完成品の出荷口

こんな感じで役割が異なっていると伝えています。
今回はアンブシュアの話なので、その点に絞って話を進めますと、アンブシュアというのは「完成した製品を(ダンボールにつめて)出荷する出口」であり、大切なポイントが2点あります。

「この場所を通過する時には、すでに製品が完成している」
「様々な製品がスムーズに出荷できる出口でなければならない→ダンボールや製品が潰れたり、こぼれたりしてしまう」

トランペットの演奏に言葉を変えると、

「アンブシュアの部分であれこれサウンドを作ったり、そもそも音をコントロールする場所ではない」

ということです。どんな音が「出荷される=トランペットの音として聴く人の耳に届ける」のか、それはすでに舌の使い方や顎など、口の中ですでに完成されており、もっと辿っていけば、その製品を作るための原材料をどう取り入れたのか、更には、それを(質の良いものとして)精製されていたかによってすでに決まっているのです。

確かに、アンブシュアは振動している唇がある部分ですから、最終的に音を作り出す部分ではあります。しかし言い換えれば「振動して音に変換しているだけの部分」なのです。ここまできて(出荷直前になって)あれこれいじるのは良くないですよ、ということ。アンブシュアは、すでに完成された商品を自信を持って出荷する(聴く人に届ける)場所であって欲しいと思います。

ハイノートを吹く時に、マウスピースをグイグイ押し付けてしまったり(過剰なプレス)、大きな音を出そうとした時に口周辺に力を込めてしまったり、音の高さを変化させる時に口周辺をグニグニ動かしてしまう、こういった行為をすることは質を悪くするだけだ(せっかく良くできた製品を壊したり、ダンボールを潰してしまう)、ということを覚えて、極力やらない意識を持つ事が大切です(しつこいようですがアンブシュアは製品を出荷するところです)。
しかし、合奏や曲を吹いている時というのは、どうしても「音楽」に頭が支配されてしまいますから、ついついクセが出てしまいやすいものです。ですから、これらアンブシュアに負担をかけないように心がけるために、曲練習をする前の個人練習(ウォームアップ)の時に意識的に練習すると良いのではないかと思います。言い換えれば、合奏で音楽作りをしているのに、奏法のことを考えているようでは、音楽は完成しませんから、「音楽」と「奏法」を練習する時間をしっかり切り替えられるようにしましょう。

では、アンブシュアは動かさないほうがいいのか、と思ってしまうかもしれませんが、それは違います。
「アンブシュアを動かさないように、動かさないように…」と念じていると、「動かさない」ということが結果的に「力を入れて固定する」になりがちですから、逆効果です。

これまでも書いてきた通り、演奏している時には舌や顎、体の様々な部分が「柔軟な筋肉」によって動いています。ですから、アンブシュアも固定されているのではなく、舌や顎がうごけば口周辺はそのぶんだけ伸び縮みする「フレキシブルな状態」が良い状態です。
常に柔軟な筋肉でいられるよう、心がけて下さい。

ということで今回はここまで。
来週も引き続きアンブシュアについて書いていきます。

また来週!

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at 06:06, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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アンブシュアを直すべきか 1








みなさんこんにちは!
今回も、こちらのブログにいただいた質問からひとつピックアップをして回答させて頂きます。

「ラッパの吹き方」では随時ご質問を受け付けております。各記事の最下にある「メールフォーム(こちらをクリックしても入れます)」に書き込んで頂ければ、必ずお返事致します。また、これまでにないご質問であれば、いずれ記事として掲載させて頂くと思いますので、ご了承下さい。


それでは、今回は「アンブシュア」に関するご質問です。

========================================
アンブシュアをなおしたいと考えているのですが、アンブシュアを変えてきちんと吹けない期間が出来てしまうのが怖いです。そこで質問なのですが、アンブシュアを変えた場合どのくらいの期間で新しいアンブシュアに慣れることが出来るでしょうか。
========================================


アンブシュアに悩み、それを指摘されたり、もしくはこれでは充分な演奏ができないのでは、と自覚をして「直したい」と思う方は本当に沢山いらっしゃると思います。もしかすると、トランペットを始めた時からアンブシュアに悩んだことがないよ、ずっと変わってないし不自由してないよ、という方のほうが少ないかもしれませんね。それだけアンブシュアというのはトランペットを演奏する時の重大なテーマのひとつなのです。

ですから、これまでにもアンブシュアに関しては沢山の記事を書いてきました。
アンブシュアはカテゴリーにしてありますので、こちらをクリックして頂けければ記事をまとめて読むことができます。お時間があればぜひ読んでみて下さい。


《アンブシュアを直すか、直さないか》
まず、最初に言っておきます。

「アンブシュアを直すのは危険なのでやめましょう」

習慣になっている体の使い方を否定し、使い方を変えなさいと言われたら、あなたはそれを直し、続ける自信がありますか?例えば、歩き方、お箸の持ち方など。仮にできたとしても、相当意識的に生活しなければならないでしょうし、ふとしたところで元の動きが出てしまうことと思いますし、何らかの支障が生まれてしまうかもしれません。もちろん、医学的に何らかの支障があるのであればリハビリのような形で使い方を修正していく必要がある場合も考えられますが。
ともかく、使い方を直すことばかりを考えなければならないので相当ストレスが溜まることでしょう。

アンブシュアを直す、というのも体を使っているという点で同じである、と言えます。

したがって、アンブシュアは直すもの、という考え方にしないことが大切です。


《そもそも...》
そう言われても、今のアンブシュアを直さないと!と思っている方、いらっしゃることでしょう。

ずばりお聞きします。

「直す」というのは、今のアンブシュアをどう直すのでしょうか。明確で具体的な改善点と問題点があり、それを修正する具体的な方法が用意されていますか?

きっと、ないはずです。

憶測ですが、何かからの情報により「今のアンブシュアではダメだ」と思ったり、誰かから指摘されたりしたから、「直さなきゃ」と思ったのではないでしょうか。

アンブシュアが良い状態になれば、ハイノートも、音色も、なんだって今より上手にできるんだ!という、「どこかに私の望んでいるユートピアがあるに違いない。ガンダーラ〜♪」と妄想しているだけではないですか?

そもそも、アンブシュアとは、一体何なのでしょう。


《考え方を逆にしましょう》
上記の一番の問題点は「良いアンブシュア→良い演奏」という考え方になっている点です。

しかし、人間は個人個人で体型も骨格も顔の形も声も何もかも他の人と同じではありません。個人差があります。

アンブシュアはその個人差のある人たちが同じトランペットという楽器から音を出そうとするのですから、同じになるわけがありません。したがって「これが正解のアンブシュアです」という全員に共通した形や方法はないのです。

よって、アンブシュアには正解も不正解もなく、その人が理想とする良い音、スムーズな演奏ができているその時、その人限定での「正しい(良い)アンブシュア」ができている、ということになります。

「良い演奏→良いアンブシュア」なのです。


何やら言葉遊びのような記事になってしまいましたが、ともかく、アンブシュアは安易に直そうと考えないことが大切です。
来週はもっと深く掘り下げてアンブシュアについて考えてみたいと思いますので、どうぞおつきあい下さい。


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at 07:44, 荻原明(おぎわらあきら), アンブシュア

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