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トランペット ウォームアップ本 (MyISBN - デザインエッグ社) (JUGEMレビュー »)
荻原 明
【販売部数1000部達成!】「ラッパの吹き方」ブログ著者、荻原明 初の教則本!ウォームアップと奏法の基礎を身につけられる一冊です!
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2015.10.27 Tuesday
楽器を構えていると軸が傾いてしまう
みなさんこんにちは!
今回は頂いた質問から。楽器の構え方についてです。
============================================
手首と楽器の傾きについて質問です。
構えた時に(自分から見て)右に傾いてしまうことがあります。両手首、ピストンボタンが右側に傾く状態です。
その状態が一定しているならいいのですがまっすぐに構えても演奏中に傾いていったり、最初から傾いていたりと不安定です。
吹き始めは安定していることが多く、楽に吹けない音域に挑戦したあとになりやすいです。
どうしたらよいでしょうか。(一部修正、抜粋)
============================================
構え方なんて楽器持てればなんでもよくね?と思う方も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、個人レッスンをしていて感じることは、この楽器の構え方がパフォーマンスの向上を邪魔しいる原因であることも結構多いということ。
そこで今回は、楽器の構え方、持ち方について書いてみます。確認の意味も込めてぜひ読んでみて下さい。
《基本はまっすぐ》
結論から入りますが、トランペットの構え方(今回はマウスピースを軸として回転する角度について)は基本、まっすぐ(ピストンがまっすぐ上を向いている状態)であるべきだと考えています。
その理由は簡単です。以下の写真のように右腕の手首の角度を変えてみて下さい。
このようにまっすぐ持つのが基本です。
今回の質問者さんはこのような状態になってしまうとのこと。
このように逆に手首が折れてしまう場合も考えられます。
これらの写真の状態で、楽器があればピストンを押してみましょう。手元になければ押す時の動きで構いません。
この中でどれが一番楽に動かすことができますか?
まっすぐですよね。手首が曲がっていると、腱(けん)のうごきが鈍くなるので、トランペットのピストンアクションにも大いに影響が出てしまう、ということです。素早い動きだけでなく、リズムに合わせて正確に運指を変化させていくことにも影響が出ます。フィンガリングが苦手、という方、もしかして構え方が原因だったりするのかもしれません。
《左手首の動きが楽器の角度を変えている》
右手首について書きましたが、楽器の角度を変えているのは逆の腕、左手と考えられます。トランペットはどちらかと言えば左腕を中心に楽器を構えています。
そして今回の質問者さんは、「楽に吹けない音域の時に楽器が傾きやすい」と書いてありました。楽に吹けない音域というのは、きっとハイノートの時でしょう。
《手首が内側に動く時》
ところで、手首が内側に動く(動かされる)時って体にどんな力をかけた時だと思いますか?どんな動作をした時に手首が内側に向かうでしょう。
それは、強く握りこぶしを作った時ではないかと思います。では、握りこぶしを作った時、もう少し範囲を広げて観察するとどんなことが起きているでしょう。
まず、腕全体の筋肉が強く働いています。上腕に力こぶを作る時など、まさにその力です。そして肩に力がかかっていきます。肩に力がかかっている時、脇周辺、肩、胸、背中、首などにも力がかかっていることがわかると思います。上半身のかなり大きい範囲に力が入っているのです。
ですから、質問者さんはハイノートを吹く時に、これらの力がかかった状態になっている可能性があるのです。単なる楽器の傾きと考えていても、よく観察してみると演奏上、不利になる力を使ってしまっていたのかもしれないということです。
《楽器を構える時に必要な力》
楽器を構える時に最低限必要な力は、
・楽器を落とさない
・一定の角度を保ち続ける
この2点だけです。
楽器を落とさないのは当たり前なのですが、そのために強く握りしめる必要はありませんね。筋力で落とさないようにするのではなく、持ち方を工夫して落ちないように心がけるほうが合理的です。いくつかの支えるポイントが安定していれば、持っているトランペットが落ちるなんてことはまず起こりません。
(余談ですが、楽器の持ち方(指の位置)で、結構大変そうな方が多いように感じます。例えば、手が小さいのに左手薬指と小指を3番管の下に持っていく、いわゆる「マシンガングリップ」という持ち方。プロでもこういった持ち方をしている方がいらっしゃるので、もしかするとそれを真似しているのかな?と思ったりもするのですが、マシンガンが持ちやすいと感じてその持ち方をしている方は、基本、手が大きいのだと思います。中に収まらないからそうしているとかも考えられます。
要するに、自分が一番安定する握り方を研究し、決して憧れのプロの奏者がそうしているから、という理由だけで真似しないほうがいい、ということです。アンブシュアや姿勢に関しても同じです。余談でした。)
安定した楽器の持ち方ができたら、肘だけをゆっくり曲げて楽器を持ち上げてみてください。その動きだけでマウスピースと口がかなり近づくと思います。あとはほんの少しの微調整だけで吹ける状態になるはずです。
ですから、肩の力はかける必要がないのです。
トランペットから音を出すことに関しては、これまでにも幾度となく書いてきましたが、息が流れて唇が振動すれば音は出ますし、その音の高さを変化させるためには舌やアゴの動きが中心となっていますから、音の高さによって肩や背中、胸、首に力をかける、ということはまったく必要がないのです。
《傾きは警告》
今回の「吹いているうちに楽器の角度が変わってしまう」という悩みを解決するためには、体の使い方を見直すことが必要だとわかりました。
「楽器の角度が傾くから(そう指摘されたから)じゃあまっすぐに直そう」このストレートな発想だと、一向に直らないか、かなりの時間がかかってしまうと思われます。
ですから、楽器が傾いていることに気づいたら、それは体の使い方に対しての警告と捉えることが良いと思います。
楽器の角度が変わってしまう根本的な原因を見つけて、そこから意識し、直していく。この流れは今回のお話に限らず、楽器の練習、音楽の練習において非常に役立つ考え方です。
今悩んでいること、解決したいこと、練習中に気づいた(良くないな、と感じた)ことを解決したい場合、ぜひその原因の根本はどこにあるのかを見つけるようにこころがけてください。仮にそれが見つけられなくても、直すことができなくても、この考える行為そのものが必ず成長する要素になります。
ということで、また来週!
今回は頂いた質問から。楽器の構え方についてです。
============================================
手首と楽器の傾きについて質問です。
構えた時に(自分から見て)右に傾いてしまうことがあります。両手首、ピストンボタンが右側に傾く状態です。
その状態が一定しているならいいのですがまっすぐに構えても演奏中に傾いていったり、最初から傾いていたりと不安定です。
吹き始めは安定していることが多く、楽に吹けない音域に挑戦したあとになりやすいです。
どうしたらよいでしょうか。(一部修正、抜粋)
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構え方なんて楽器持てればなんでもよくね?と思う方も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、個人レッスンをしていて感じることは、この楽器の構え方がパフォーマンスの向上を邪魔しいる原因であることも結構多いということ。
そこで今回は、楽器の構え方、持ち方について書いてみます。確認の意味も込めてぜひ読んでみて下さい。
《基本はまっすぐ》
結論から入りますが、トランペットの構え方(今回はマウスピースを軸として回転する角度について)は基本、まっすぐ(ピストンがまっすぐ上を向いている状態)であるべきだと考えています。
その理由は簡単です。以下の写真のように右腕の手首の角度を変えてみて下さい。
このようにまっすぐ持つのが基本です。
今回の質問者さんはこのような状態になってしまうとのこと。
このように逆に手首が折れてしまう場合も考えられます。
これらの写真の状態で、楽器があればピストンを押してみましょう。手元になければ押す時の動きで構いません。
この中でどれが一番楽に動かすことができますか?
まっすぐですよね。手首が曲がっていると、腱(けん)のうごきが鈍くなるので、トランペットのピストンアクションにも大いに影響が出てしまう、ということです。素早い動きだけでなく、リズムに合わせて正確に運指を変化させていくことにも影響が出ます。フィンガリングが苦手、という方、もしかして構え方が原因だったりするのかもしれません。
《左手首の動きが楽器の角度を変えている》
右手首について書きましたが、楽器の角度を変えているのは逆の腕、左手と考えられます。トランペットはどちらかと言えば左腕を中心に楽器を構えています。
そして今回の質問者さんは、「楽に吹けない音域の時に楽器が傾きやすい」と書いてありました。楽に吹けない音域というのは、きっとハイノートの時でしょう。
《手首が内側に動く時》
ところで、手首が内側に動く(動かされる)時って体にどんな力をかけた時だと思いますか?どんな動作をした時に手首が内側に向かうでしょう。
それは、強く握りこぶしを作った時ではないかと思います。では、握りこぶしを作った時、もう少し範囲を広げて観察するとどんなことが起きているでしょう。
まず、腕全体の筋肉が強く働いています。上腕に力こぶを作る時など、まさにその力です。そして肩に力がかかっていきます。肩に力がかかっている時、脇周辺、肩、胸、背中、首などにも力がかかっていることがわかると思います。上半身のかなり大きい範囲に力が入っているのです。
ですから、質問者さんはハイノートを吹く時に、これらの力がかかった状態になっている可能性があるのです。単なる楽器の傾きと考えていても、よく観察してみると演奏上、不利になる力を使ってしまっていたのかもしれないということです。
《楽器を構える時に必要な力》
楽器を構える時に最低限必要な力は、
・楽器を落とさない
・一定の角度を保ち続ける
この2点だけです。
楽器を落とさないのは当たり前なのですが、そのために強く握りしめる必要はありませんね。筋力で落とさないようにするのではなく、持ち方を工夫して落ちないように心がけるほうが合理的です。いくつかの支えるポイントが安定していれば、持っているトランペットが落ちるなんてことはまず起こりません。
(余談ですが、楽器の持ち方(指の位置)で、結構大変そうな方が多いように感じます。例えば、手が小さいのに左手薬指と小指を3番管の下に持っていく、いわゆる「マシンガングリップ」という持ち方。プロでもこういった持ち方をしている方がいらっしゃるので、もしかするとそれを真似しているのかな?と思ったりもするのですが、マシンガンが持ちやすいと感じてその持ち方をしている方は、基本、手が大きいのだと思います。中に収まらないからそうしているとかも考えられます。
要するに、自分が一番安定する握り方を研究し、決して憧れのプロの奏者がそうしているから、という理由だけで真似しないほうがいい、ということです。アンブシュアや姿勢に関しても同じです。余談でした。)
安定した楽器の持ち方ができたら、肘だけをゆっくり曲げて楽器を持ち上げてみてください。その動きだけでマウスピースと口がかなり近づくと思います。あとはほんの少しの微調整だけで吹ける状態になるはずです。
ですから、肩の力はかける必要がないのです。
トランペットから音を出すことに関しては、これまでにも幾度となく書いてきましたが、息が流れて唇が振動すれば音は出ますし、その音の高さを変化させるためには舌やアゴの動きが中心となっていますから、音の高さによって肩や背中、胸、首に力をかける、ということはまったく必要がないのです。
《傾きは警告》
今回の「吹いているうちに楽器の角度が変わってしまう」という悩みを解決するためには、体の使い方を見直すことが必要だとわかりました。
「楽器の角度が傾くから(そう指摘されたから)じゃあまっすぐに直そう」このストレートな発想だと、一向に直らないか、かなりの時間がかかってしまうと思われます。
ですから、楽器が傾いていることに気づいたら、それは体の使い方に対しての警告と捉えることが良いと思います。
楽器の角度が変わってしまう根本的な原因を見つけて、そこから意識し、直していく。この流れは今回のお話に限らず、楽器の練習、音楽の練習において非常に役立つ考え方です。
今悩んでいること、解決したいこと、練習中に気づいた(良くないな、と感じた)ことを解決したい場合、ぜひその原因の根本はどこにあるのかを見つけるようにこころがけてください。仮にそれが見つけられなくても、直すことができなくても、この考える行為そのものが必ず成長する要素になります。
ということで、また来週!
当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。
at 07:02, 荻原明(おぎわらあきら), 構え方・操作
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2014.08.26 Tuesday
楽器を構えるとベルが大きく下がってしまう
みなさんこんにちは!
さて、今回は頂いたご質問からひとつピックアップして、書いていきます。
今回はこちらのご質問です。
===================================================================
小学校6年でトランペットを吹いています。
3年生の時からやっているんですが、吹くときにベルが下がってしまいます。
ベルを上げようとすると、顔がすごく上をむいてしまって、顔の向きを戻そうとすると、音がきたなくなってしまいます。
唇の形などが合ってないのかなとか思うんですが、私はトランペットにむいていないんでしょうか?(抜粋)
===================================================================
ありがとうございました。
とりあえず最初にお伝えしておきます。「向いてなくないですから安心して下さい!」
お会いしたこともないのに、大丈夫と言い切るのは無責任で良くないのかもしれませんが、僕が言いたいのは「すぐに決めつけるのはやめましょう」ということです。もし向いていないのでは、という疑問を持つのでしたら、あと10年は吹き続けてからにしましょう。大丈夫です。
では、楽器を吹く上で、悩みよりも楽しみが増えるように、いくつかの考え方や対策を書いていきます。
《トランペットはもともとバランスが悪い》
この質問を書いて頂いた方だけでなく、自覚があるかないかは別として、吹く時にベルが必要以上に下がってしまう方、結構多いです。特に小中学生に多く見られるのですが、その理由のひとつに「楽器が重い」ことが挙げられます。更に、トランペットは横長な形状をしている割に、持つべき場所が若干手前にあるので、どうしても構えるとベルが重く感じるバランスになってしまうんですね。
結果、筋力(腕や握力)の弱いお子さんが持つと、ことさらベルが下がってきてしまう、ということです。
ある意味これはしかたのないことかもしれません。ベルが下がらないようにするには筋力をアップするか、下がってきてしまう前に一旦構えをリセットさせるなど、自覚するしかないからです。
ただ、解決まではいかないかもしれませんが、対策はあります。それは「持ち方」を研究する、ということです。
先程も述べたようにトランペットはバランスの悪い楽器です。それならば、持ち方を工夫して、バランスの良い状態に近づけていければ良いのでは、と思うのです。
トランペットの構え方については過去に記事を書いてあります。ぜひそちらを参考に、自身に合った持ち方を研究してみて下さい。
「トランペットの構え方」
《ベルが下がってしまう他の理由》
ベルが下がってしまう理由が、筋力ではない場合に考えられることは「支点が下唇にある」ということです。
いかがでしょうか、吹いている時の状態を観察してみて下さい。
トランペットを吹く時、マウスピースをまず上唇の中央に軽く触れて(置いて)あげて下さい。それが「支点」です。上唇はこの場所をキープしてあげるだけで充分です。では下唇は何をしているかと言うと、この部分は顎(あご)という土台にある下唇や舌、顎そのものの動きなどによって音色や音の高さなど様々な要素をコントロールする部分なのです。
マウスピースを当てると単純に考えてしまうと「口の周り」というあまりにもざっくりしたイメージだけでトランペットから音を出そうとしてしまいますが、それぞれの役割はだいぶ違う、ということを覚えておいて下さい。
詳しくは過去の記事「アンブシュア 3」を読んでみて下さい。
さて、マウスピースの支点が下唇にあるということは、下唇を押さえつけていることにつながります。本来ならば「音楽的なコントロール」をする大切な場所を「支える(支点)」という仕事を下唇に任せてしまうと、それだけでもう顎全体はいっぱいいっぱいになってしまうのです。その状態で演奏をしようとするならば、無理矢理に力を込めて顎をガチガチにしてしまったり、使っていなかった上唇(鼻の下)で様々なコントロールをしようとする上下逆の状態になってしまう恐れがあります。しかし、鼻の下周辺の筋力というのは顎や下唇周辺に比べると弱いので、どうしてもすぐバテてしまいますし、そもそもコントロールが上手くいきません(顎のように鼻の下を大きく自由に変形させたり開けたりできますか?)。
ということで、支点は上になる、ということです。
この話題を出したのは、質問の中に「ベルを上げようとすると、顔がすごく上をむいてしまって」というくだりがあったからです。
もちろん、誰でも吹いている時にベルアップをしようとすれば頭が後ろに行くので、楽な姿勢ではありませんが、きっとこの方は「ベルをまっすぐ向けようとしても顔がすごく上を向く吹き方をしている」と予想できます。したがって、マウスピースの支点が下唇になっているのではないか、と思いました。
「顔の向きを戻そうとすると、音がきたなくなる」というのが、いまいちイメージできないのですが、きっとこれも支点がずれてしまったか、一時的に上唇に支点が戻ったことが原因ではないかと考えられます。(吹いていて突然)大きなノイズが出てしまったり、ドッペル音(2つの高さの異なる音が同時に出てしまう)、音域変化(インターバルや音域の広い音階など)で音色が大きく変わってしまう(高音域がくぐもったような細い音など)などの「大きな変化」に関しては、唇とその周辺の変化、特に意図的に変化させてしまった時に起こる現象と思って良いでしょう。
そして、質問を頂いた方がなぜこのような吹き方になってしまったのか、という点については、実際に吹いているところを見ない限りわかりません。もしかすると歯並びの問題があるのかもしれませんし、先程書いた筋力の問題かもしれません、姿勢かもしれませんし、単なる長年(この時点ですでに楽器歴3年)のクセかもしれません(高音域を無理に吹かされすぎてしまった等)。
《支点を戻す》
支点を変える(戻す)というのは、ある意味アンブシュアを強制的に直すことにもつながってしまいますから、いきなり「今日から支点変えます!」は危険です。コントロールができなくなり、一時的に「潰れ」の状態になってしまいます。
ですから、あまり深く考えずに、まずは楽器を構える時に「上唇にマウスピースを最初に触れる」ということだけ常にイメージしてみて下さい。
あとは、顎や舌を大活躍させて演奏することをウォームアップなどの時間で覚え、感覚的に使えるようになっていくことを意識していれば、少しずつですがきっと、本来の良い吹き方(ここでは上記のような体の部分それぞれが一番活躍できる働きを見せる吹き方)になっていくと思います。気長にいきましょう。
ということで、今回は「楽器の構え方」と「マウスピースの支点」について書きました。少し前に似たような記事を書いていますので、今回の記事が気になるという方はぜひこちらもお読み下さい。
参考記事「楽器を構えると疲れてしまう」
それでは、また来週!
さて、今回は頂いたご質問からひとつピックアップして、書いていきます。
今回はこちらのご質問です。
===================================================================
小学校6年でトランペットを吹いています。
3年生の時からやっているんですが、吹くときにベルが下がってしまいます。
ベルを上げようとすると、顔がすごく上をむいてしまって、顔の向きを戻そうとすると、音がきたなくなってしまいます。
唇の形などが合ってないのかなとか思うんですが、私はトランペットにむいていないんでしょうか?(抜粋)
===================================================================
ありがとうございました。
とりあえず最初にお伝えしておきます。「向いてなくないですから安心して下さい!」
お会いしたこともないのに、大丈夫と言い切るのは無責任で良くないのかもしれませんが、僕が言いたいのは「すぐに決めつけるのはやめましょう」ということです。もし向いていないのでは、という疑問を持つのでしたら、あと10年は吹き続けてからにしましょう。大丈夫です。
では、楽器を吹く上で、悩みよりも楽しみが増えるように、いくつかの考え方や対策を書いていきます。
《トランペットはもともとバランスが悪い》
この質問を書いて頂いた方だけでなく、自覚があるかないかは別として、吹く時にベルが必要以上に下がってしまう方、結構多いです。特に小中学生に多く見られるのですが、その理由のひとつに「楽器が重い」ことが挙げられます。更に、トランペットは横長な形状をしている割に、持つべき場所が若干手前にあるので、どうしても構えるとベルが重く感じるバランスになってしまうんですね。
結果、筋力(腕や握力)の弱いお子さんが持つと、ことさらベルが下がってきてしまう、ということです。
ある意味これはしかたのないことかもしれません。ベルが下がらないようにするには筋力をアップするか、下がってきてしまう前に一旦構えをリセットさせるなど、自覚するしかないからです。
ただ、解決まではいかないかもしれませんが、対策はあります。それは「持ち方」を研究する、ということです。
先程も述べたようにトランペットはバランスの悪い楽器です。それならば、持ち方を工夫して、バランスの良い状態に近づけていければ良いのでは、と思うのです。
トランペットの構え方については過去に記事を書いてあります。ぜひそちらを参考に、自身に合った持ち方を研究してみて下さい。
「トランペットの構え方」
《ベルが下がってしまう他の理由》
ベルが下がってしまう理由が、筋力ではない場合に考えられることは「支点が下唇にある」ということです。
いかがでしょうか、吹いている時の状態を観察してみて下さい。
トランペットを吹く時、マウスピースをまず上唇の中央に軽く触れて(置いて)あげて下さい。それが「支点」です。上唇はこの場所をキープしてあげるだけで充分です。では下唇は何をしているかと言うと、この部分は顎(あご)という土台にある下唇や舌、顎そのものの動きなどによって音色や音の高さなど様々な要素をコントロールする部分なのです。
マウスピースを当てると単純に考えてしまうと「口の周り」というあまりにもざっくりしたイメージだけでトランペットから音を出そうとしてしまいますが、それぞれの役割はだいぶ違う、ということを覚えておいて下さい。
詳しくは過去の記事「アンブシュア 3」を読んでみて下さい。
さて、マウスピースの支点が下唇にあるということは、下唇を押さえつけていることにつながります。本来ならば「音楽的なコントロール」をする大切な場所を「支える(支点)」という仕事を下唇に任せてしまうと、それだけでもう顎全体はいっぱいいっぱいになってしまうのです。その状態で演奏をしようとするならば、無理矢理に力を込めて顎をガチガチにしてしまったり、使っていなかった上唇(鼻の下)で様々なコントロールをしようとする上下逆の状態になってしまう恐れがあります。しかし、鼻の下周辺の筋力というのは顎や下唇周辺に比べると弱いので、どうしてもすぐバテてしまいますし、そもそもコントロールが上手くいきません(顎のように鼻の下を大きく自由に変形させたり開けたりできますか?)。
ということで、支点は上になる、ということです。
この話題を出したのは、質問の中に「ベルを上げようとすると、顔がすごく上をむいてしまって」というくだりがあったからです。
もちろん、誰でも吹いている時にベルアップをしようとすれば頭が後ろに行くので、楽な姿勢ではありませんが、きっとこの方は「ベルをまっすぐ向けようとしても顔がすごく上を向く吹き方をしている」と予想できます。したがって、マウスピースの支点が下唇になっているのではないか、と思いました。
「顔の向きを戻そうとすると、音がきたなくなる」というのが、いまいちイメージできないのですが、きっとこれも支点がずれてしまったか、一時的に上唇に支点が戻ったことが原因ではないかと考えられます。(吹いていて突然)大きなノイズが出てしまったり、ドッペル音(2つの高さの異なる音が同時に出てしまう)、音域変化(インターバルや音域の広い音階など)で音色が大きく変わってしまう(高音域がくぐもったような細い音など)などの「大きな変化」に関しては、唇とその周辺の変化、特に意図的に変化させてしまった時に起こる現象と思って良いでしょう。
そして、質問を頂いた方がなぜこのような吹き方になってしまったのか、という点については、実際に吹いているところを見ない限りわかりません。もしかすると歯並びの問題があるのかもしれませんし、先程書いた筋力の問題かもしれません、姿勢かもしれませんし、単なる長年(この時点ですでに楽器歴3年)のクセかもしれません(高音域を無理に吹かされすぎてしまった等)。
《支点を戻す》
支点を変える(戻す)というのは、ある意味アンブシュアを強制的に直すことにもつながってしまいますから、いきなり「今日から支点変えます!」は危険です。コントロールができなくなり、一時的に「潰れ」の状態になってしまいます。
ですから、あまり深く考えずに、まずは楽器を構える時に「上唇にマウスピースを最初に触れる」ということだけ常にイメージしてみて下さい。
あとは、顎や舌を大活躍させて演奏することをウォームアップなどの時間で覚え、感覚的に使えるようになっていくことを意識していれば、少しずつですがきっと、本来の良い吹き方(ここでは上記のような体の部分それぞれが一番活躍できる働きを見せる吹き方)になっていくと思います。気長にいきましょう。
ということで、今回は「楽器の構え方」と「マウスピースの支点」について書きました。少し前に似たような記事を書いていますので、今回の記事が気になるという方はぜひこちらもお読み下さい。
参考記事「楽器を構えると疲れてしまう」
それでは、また来週!
当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。
at 09:15, 荻原明(おぎわらあきら), 構え方・操作
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2014.03.18 Tuesday
楽器を構えると疲れてしまう
みなさんこんにちは!
今回もこちらの記事に頂いたコメントのお返事をしたいと思います。
その前に告知をさせて下さい。昨年初めて行って好評を頂いた「吹奏楽コンクール課題曲 トランペットパート解説」を今年も行います!詳細は後日こちらのブログにてお伝え致しますが、予定としては4月から開始致します。コンクール課題曲を演奏する方はもちろんのこと、具体的に楽曲を演奏する際に必要なテクニック、それらの練習方法についても触れていきますので、ぜひご覧下さい!
当ブログでは随時ご意見ご質問受付中です。練習していて疑問に思ったこと、記事の中でわかりにくい内容など、何でも構いません。こちらの記事のみコメントができる状態になっておりますので、ご自由にお書き下さい。お返事は必ず致します。なお、コメントは公開されてしまうのでちょっと、と思う方はこちらのメールフォームからも受け付けておりますのでどうぞご利用下さい(記事として質問内容を公開する可能性がございます。予めご了承下さい)。
今回のご質問はこちらです。
========================================
姿勢について、どう頑張っても、楽器を持ち上げると肩が上がってしまいます。先輩にそんなに上がっていたらすぐに疲れてしまうといわれたのですが、下げようとすると楽器も下がってしまいます。私自身、すぐ疲れてしまうのでなおしたいのですが、どうしたらいいでしょうか。
(抜粋:一部修正)
========================================
姿勢、というよりも楽器を持つと肩に力が入ってしまう、というお悩みです。
実際に吹いているところを見ていないので正確なアドバイスができませんが、可能性のあるいくつかについて書いてみようと思います。トランペットを吹いた後、肩や体が疲れている方は自分が関係していることがないか確認してみて下さい。
《呼吸からの力み》
呼吸をする、という行為は人間にとって必要不可欠な行為です。往々にして生きるために必要なことというのは「苦痛にならない」行為である、と考えられます。ですから、呼吸というものは辛く苦しい行為ではない、ということですが、しかしながらトランペットを吹くために呼吸をすると、途端に苦しさ、辛さを感じてしまう方が少なくありません。結論から言えば、呼吸が辛いと感じるのであれば、それは正しい呼吸をしてないということです。正しい呼吸ではないので、体に負担がかかってしまい、疲れたり、良い結果を得られなかったりするのです。
呼吸がうまく行かないと、方や体に無駄な負担をかけて息を吸ったり吐いたりしてしまいます。その結果、首や肩にも力が入り、トランペットを吹いている時だけ姿勢がおかしなことになっている、ということです。
呼吸については過去の記事としてまとめていますので、ぜひこちらから読んでみて下さい。
《アンブシュアからの力み》
トランペットから音を出すには、口周辺に力を込めて(引っ張って)唇を振動させることで音になる。と思っていませんか?トランペットは自分の筋力のみで唇を振動させたものを楽器に接続して発音するのではありません。マウスピースや楽器へ息を流した時に発生する抵抗感が唇の振動を発生させているのです。
口周辺に無理な力をかけてしまうと、首から肩、胸など、どんどん力みが全身に伝わってきてしまい、その結果楽器の持ち方が大変な状態になってしまっている可能性があります。
筋肉は影響し合うので、どんどんと体全体が固くなってしまいがち、ということを覚えておいて下さい。
《楽器の持ち方の問題》
コメントには「すぐに疲れてしまう」という表現から、先程書いたような「無理な力をかけている」という可能性と、もうひとつ「筋力が弱い」という可能性があります。こちらのコメントを書いて下さった方は現在中1の女性(名前から推測)なので、もしかすると、少し小柄で力が弱いのかな?とも思われます。その場合は多少乱暴な言い方になってしまいますが、慣れて下さい、とか、少し筋トレしてみましょう。というアドバイスになってしまいます。しかし、他にも可能性はあります。それが「楽器の持ち方」がどうか、という点です。
トランペットというのは、家電製品やスポーツ用品のように「持ちやすさ」「使いやすさ」を追求したものではありません。あくまでも「良い音が出せるか」「正しい演奏コントロールができるか」を最優先で作っており、なんとか持てるように形を整えているものなのです。構造上しかたがないです。ですから、トランペットに関して言えば、ベルが重いんですね、どうしても。そして自立しません。机に立たせたらとても不安定ですよね。ですから、そもそも持ち方が難しいのです。
言い換えれば「持ち方を研究するのも奏者の使命」だと思って下さい。少し大げさかもしれませんが、自分の手、筋力でもできるだけ長時間負担を少なくして持ち続けられ、しかもピストンを押してもブレない持ち方とは。という課題を持って研究して欲しいんです。
どこまで参考になるかわかりませんが、僕の持ち方、一番良いのではないか、と思われる持ち方も記事にしてありますのでぜひ読んでみて下さい。
《楽器の構え方》
いろいろと学校や指導する人、ジャンルなどでも言うことがわかれるのですが、トランペット(マウスピースのリム部分)を口に持ってくる方法はとても簡単でシンプルなほうが良いと考えています。脇を開けて肘を横に、、、なんて言う人がまだいるかもしれませんが(マーチングは別)、できるだけ負担なく構えればそれで良いのです。余計なことはしない。
したがって、トランペットをしっかり両手で握って、肘だけ曲げてみて下さい。個人差は多少あるにせよ、それだけでマウスピースは唇に接近しますよね。それで十分です。あとは力をできるだけ込めないようにして微調整して下さい。
《アンブシュアの可能性》
コメントでひとつ気になったのが「楽器が下がる」という表現です。楽器が下がるのは、重いから、という理由だけなのかもしれませんが、この文章からの推測になってしまいますが、結果として、演奏中に楽器が下がったまま吹いている時間が少なからずある、ということですよね。
考えられるのは2つ。ふさわしくない角度で吹いてしまっている、という可能性。もうひとつは「その下がった状態のところが正しい角度」ということです。
トランペットの構える角度は、その人の噛み合わせによって決まります。噛んだ時に上の前歯が下の前歯に被さる方(日本人に一番多い)は、ベルが少し下がり気味になります。噛んだ時にどちらにも被らない方はまっすぐ。下の前歯が上に被さる方はベルが上がり気味になります。なぜそうなるか、横から見れば一目瞭然です。
ただし、ひとつ注意してほしいことがあります。それは「支点は上唇である」という点です。下唇に負担をかけずに(フリーにして)おくことがトランペットを吹く上ではとても大切なことなので、どういった状態でも上唇にまず支え(マウスピースが当たっている状態)を作ってから下唇にも同じくらいのプレスをしてあげられることが良い音を出すためにも、良いコントロールをする上でも必要なことです。したがって、ベルが下がりすぎる、すなわち下唇が支点になっている状態で絶対に避けて下さい。ダブルアンブシュアになってしまいます。
体の小さい小学生がトランペットを持つとどうしてもこの結果になってしまうので、コルネットを推奨しているところが多い、というも理解できますね。
「ベルはまっすぐ向けなさい」という指導をしている先生、それは間違ってます!もしコメントして下さった方がその指導の下で悩んでしまっているようだったら、ベルは下がってても上がってても良い(歯並びが決めることで他人にとやかく言われることではない)、ということを知って下さい。
さて、いろいろと原因を考えてみましたが、該当するものがあったでしょうか。
他の可能性がないとも言えませんが、まずはこれらを検証してみて下さい。
それでは、また来週!
今回もこちらの記事に頂いたコメントのお返事をしたいと思います。
その前に告知をさせて下さい。昨年初めて行って好評を頂いた「吹奏楽コンクール課題曲 トランペットパート解説」を今年も行います!詳細は後日こちらのブログにてお伝え致しますが、予定としては4月から開始致します。コンクール課題曲を演奏する方はもちろんのこと、具体的に楽曲を演奏する際に必要なテクニック、それらの練習方法についても触れていきますので、ぜひご覧下さい!
当ブログでは随時ご意見ご質問受付中です。練習していて疑問に思ったこと、記事の中でわかりにくい内容など、何でも構いません。こちらの記事のみコメントができる状態になっておりますので、ご自由にお書き下さい。お返事は必ず致します。なお、コメントは公開されてしまうのでちょっと、と思う方はこちらのメールフォームからも受け付けておりますのでどうぞご利用下さい(記事として質問内容を公開する可能性がございます。予めご了承下さい)。
今回のご質問はこちらです。
========================================
姿勢について、どう頑張っても、楽器を持ち上げると肩が上がってしまいます。先輩にそんなに上がっていたらすぐに疲れてしまうといわれたのですが、下げようとすると楽器も下がってしまいます。私自身、すぐ疲れてしまうのでなおしたいのですが、どうしたらいいでしょうか。
(抜粋:一部修正)
========================================
姿勢、というよりも楽器を持つと肩に力が入ってしまう、というお悩みです。
実際に吹いているところを見ていないので正確なアドバイスができませんが、可能性のあるいくつかについて書いてみようと思います。トランペットを吹いた後、肩や体が疲れている方は自分が関係していることがないか確認してみて下さい。
《呼吸からの力み》
呼吸をする、という行為は人間にとって必要不可欠な行為です。往々にして生きるために必要なことというのは「苦痛にならない」行為である、と考えられます。ですから、呼吸というものは辛く苦しい行為ではない、ということですが、しかしながらトランペットを吹くために呼吸をすると、途端に苦しさ、辛さを感じてしまう方が少なくありません。結論から言えば、呼吸が辛いと感じるのであれば、それは正しい呼吸をしてないということです。正しい呼吸ではないので、体に負担がかかってしまい、疲れたり、良い結果を得られなかったりするのです。
呼吸がうまく行かないと、方や体に無駄な負担をかけて息を吸ったり吐いたりしてしまいます。その結果、首や肩にも力が入り、トランペットを吹いている時だけ姿勢がおかしなことになっている、ということです。
呼吸については過去の記事としてまとめていますので、ぜひこちらから読んでみて下さい。
《アンブシュアからの力み》
トランペットから音を出すには、口周辺に力を込めて(引っ張って)唇を振動させることで音になる。と思っていませんか?トランペットは自分の筋力のみで唇を振動させたものを楽器に接続して発音するのではありません。マウスピースや楽器へ息を流した時に発生する抵抗感が唇の振動を発生させているのです。
口周辺に無理な力をかけてしまうと、首から肩、胸など、どんどん力みが全身に伝わってきてしまい、その結果楽器の持ち方が大変な状態になってしまっている可能性があります。
筋肉は影響し合うので、どんどんと体全体が固くなってしまいがち、ということを覚えておいて下さい。
《楽器の持ち方の問題》
コメントには「すぐに疲れてしまう」という表現から、先程書いたような「無理な力をかけている」という可能性と、もうひとつ「筋力が弱い」という可能性があります。こちらのコメントを書いて下さった方は現在中1の女性(名前から推測)なので、もしかすると、少し小柄で力が弱いのかな?とも思われます。その場合は多少乱暴な言い方になってしまいますが、慣れて下さい、とか、少し筋トレしてみましょう。というアドバイスになってしまいます。しかし、他にも可能性はあります。それが「楽器の持ち方」がどうか、という点です。
トランペットというのは、家電製品やスポーツ用品のように「持ちやすさ」「使いやすさ」を追求したものではありません。あくまでも「良い音が出せるか」「正しい演奏コントロールができるか」を最優先で作っており、なんとか持てるように形を整えているものなのです。構造上しかたがないです。ですから、トランペットに関して言えば、ベルが重いんですね、どうしても。そして自立しません。机に立たせたらとても不安定ですよね。ですから、そもそも持ち方が難しいのです。
言い換えれば「持ち方を研究するのも奏者の使命」だと思って下さい。少し大げさかもしれませんが、自分の手、筋力でもできるだけ長時間負担を少なくして持ち続けられ、しかもピストンを押してもブレない持ち方とは。という課題を持って研究して欲しいんです。
どこまで参考になるかわかりませんが、僕の持ち方、一番良いのではないか、と思われる持ち方も記事にしてありますのでぜひ読んでみて下さい。
《楽器の構え方》
いろいろと学校や指導する人、ジャンルなどでも言うことがわかれるのですが、トランペット(マウスピースのリム部分)を口に持ってくる方法はとても簡単でシンプルなほうが良いと考えています。脇を開けて肘を横に、、、なんて言う人がまだいるかもしれませんが(マーチングは別)、できるだけ負担なく構えればそれで良いのです。余計なことはしない。
したがって、トランペットをしっかり両手で握って、肘だけ曲げてみて下さい。個人差は多少あるにせよ、それだけでマウスピースは唇に接近しますよね。それで十分です。あとは力をできるだけ込めないようにして微調整して下さい。
《アンブシュアの可能性》
コメントでひとつ気になったのが「楽器が下がる」という表現です。楽器が下がるのは、重いから、という理由だけなのかもしれませんが、この文章からの推測になってしまいますが、結果として、演奏中に楽器が下がったまま吹いている時間が少なからずある、ということですよね。
考えられるのは2つ。ふさわしくない角度で吹いてしまっている、という可能性。もうひとつは「その下がった状態のところが正しい角度」ということです。
トランペットの構える角度は、その人の噛み合わせによって決まります。噛んだ時に上の前歯が下の前歯に被さる方(日本人に一番多い)は、ベルが少し下がり気味になります。噛んだ時にどちらにも被らない方はまっすぐ。下の前歯が上に被さる方はベルが上がり気味になります。なぜそうなるか、横から見れば一目瞭然です。
ただし、ひとつ注意してほしいことがあります。それは「支点は上唇である」という点です。下唇に負担をかけずに(フリーにして)おくことがトランペットを吹く上ではとても大切なことなので、どういった状態でも上唇にまず支え(マウスピースが当たっている状態)を作ってから下唇にも同じくらいのプレスをしてあげられることが良い音を出すためにも、良いコントロールをする上でも必要なことです。したがって、ベルが下がりすぎる、すなわち下唇が支点になっている状態で絶対に避けて下さい。ダブルアンブシュアになってしまいます。
体の小さい小学生がトランペットを持つとどうしてもこの結果になってしまうので、コルネットを推奨しているところが多い、というも理解できますね。
「ベルはまっすぐ向けなさい」という指導をしている先生、それは間違ってます!もしコメントして下さった方がその指導の下で悩んでしまっているようだったら、ベルは下がってても上がってても良い(歯並びが決めることで他人にとやかく言われることではない)、ということを知って下さい。
さて、いろいろと原因を考えてみましたが、該当するものがあったでしょうか。
他の可能性がないとも言えませんが、まずはこれらを検証してみて下さい。
それでは、また来週!
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at 10:59, 荻原明(おぎわらあきら), 構え方・操作
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2011.07.26 Tuesday
替え指 2
みなさんこんにちは!
さて、前回から「替え指」について書いています。
替え指が沢山あること、知らなかった方は知識として様々なパターンを覚えておくと良いと思います。
また、知識としてだけでなく実際の演奏や練習で替え指が有効になることがいくつかありますので今回はその点について解説していきます。
《3番ピストン》
替え指を使う上で一番有効なものが「3番ピストン」だと思います。
とりあえず譜例を見て下さい。
こういった動きが出てきた時、すべてをリップスラーで演奏するのはミスしやすいというリスクが伴います。
ですから、この中の「(五線上の)ミ」の音を開放で取らずに「3番ピストン」で行うという方法が考えられます。
ただ、実際問題3番ピストンでこのDの音を出すのはたいして楽に吹けるというわけではありません。
この譜例はあくまでも替え指をどんな時に使うか、というひとつの例にすぎませんので参考程度に留めて下さい。
ちなみに替え指を使って演奏しやすくなったからと言っても、通常の運指でもきちんと演奏できるように(この譜例で言えばリップスラーの)練習を怠らないで下さいね。あくまでもリスク回避の方法のひとつと考えて下さい。
そして、次の譜例のような動きの時にも有効です。
ここでの「(五線上の)ラ」の音を通常の運指1,2で取ると次に出てくる「(五線上の)ソのシャープ」が運指2,3ですので、もしこの譜例のテンポがかなり速かった場合は特に難しい動きになると思います。
こういった場合にも3番ピストンを使うのは有効です。
この練習は「アーバン金管教本1」に沢山出てきますので、興味のある方はぜひやってみて下さい。
次の譜例も同じ考えです。
トリルというのは隣り合う音と素早く行き来する演奏指示記号で、この楽譜の場合はトリル記号の上に小さなナチュラルが付いています。こういった場合は「ソのシャープとラ(ナチュラル)の音を行き来する」という指示になります。
トリルは吹奏楽では登場することが少ないのですが、バロック音楽や古典派音楽のソロ曲などでは頻繁に登場し、特にピッコロトランペットを演奏する時には(楽譜に書いていなくても)使わなければいけない場面も出てくるのでトランペット奏者には避けて通れない奏法と言えます。
で、この譜例の時にも2,3と1,2の運指を素早く行き来するのはかなり困難ですから、3の運指で行うほうがスムーズです。
《リップトリルでの替え指》
次に、実際の演奏で使うというよりも、基礎的な練習での替え指について解説します。
楽譜の中でこういった動きが出てきた時、実際の演奏では「ソ」の音を開放、「シ」の音を2で取ると思うのですが「リップトリル」の練習を行う時に譜例のようにわざと同じ運指にすると有効な練習ができます。
リップトリルというのは「タンギングをせずに2つ(以上)の音をすばやく行き来する」奏法で、基本的には同じ運指であることが多いです。
リップトリルの練習は、柔軟な口(アンブシュア)を得るための非常に有効なもので、トランペット奏者としては必ず習得したい奏法のひとつです。
リップトリルを徹底的に練習したい方はこちらも「アーバン金管教本1」に沢山掲載されていますのでぜひチャレンジしてみて下さい。
《リスク回避のための替え指》
これは賛否両論あるかもしれませんが、かなりのリスキーな演奏を求められる場合、替え指を使って成功する確率を上げるという方法があります。
以前、バレエの本番で演奏する仕事の時に、バンダを担当したことがあります。
「バンダ(banda)」というのはオーケストラの中にいるプレイヤーとは違う場所から演奏する役割のことで、例えば客席から演奏してみたり、舞台袖から音だけを聴かせたりして音の距離感を効果的に演出して演奏効果を高めることができます。
時にはオペラなどで歌手の方たちと一緒に舞台の上でトランペットを演奏する「役者」としてちゃんと衣装を着てメイクをして出演することもあります。
これは単にその公演の演出というわけでなく作曲家がスコア上に独立したパートとして書いてあり、トランペットは非常にこの役割を担うことが多いんです。
で、この時のバレエ音楽のバンダは「遠くからトランペットの音が聴こえる」という役割で、舞台袖から演奏しました。
ものすごい静かなシーンで、少人数の女声合唱も舞台袖から優しく歌い、それに合わせて小さい音量でトランペットも吹かなければいけなかったんですが、音が上の「G」の音のロングトーンとかあって、結構リスキーだったんですよね。
自分はオーケストラの時ほとんどC管で演奏するので、この時のGの音は開放(ピストンを押さない)で出すのが通常ですが、結構ピッチを安定させるのも難しく(バンダはオーケストラよりも遠く、距離があるので若干ピッチを高めにしておかないと合わないんです)、それを開放で出そうとすると怖いんですよね。。。
なのでこの時取ったのは、Gの音を1.3で出してトリガーを使う、という方法でした。
先週の記事に掲載した「替え指一覧」を実際に出してみた方はわかるかと思いますが、替え指というのはピッチが安定していないことが多いんですね。
それを逆手に取ってGを1.3で取ることによって普通に音を出してもピッチが高めになる、そして微調整をする時にトリガーを使えるというメリットもあるので、少しでもリスクを回避するという方法を取りました。
これはちょっと難易度が高いですし、替え指とその場の状況などが合致していないとできないパターンですから一般的ではないかもしれませんが、こんなことも替え指でできるという例として書いてみました。
《ピッチ安定のための替え指》
先程書いたように替え指というのは同じ音が出ても同じピッチではないというのがひとつの特徴です。
ということは、ハーモニーを作る時のピッチの微調整に有効な場合もあります。
例えば「ド、ミ、ソ」のハーモニーを作る時「ミ」の音を1,2で取るよりも3で取ったほうが(ピッチが低くなるので)安定する可能性が高いんです。
なぜそのようなことが起こるのか説明するとちょっとややこしいのですが、簡単に言えばハーモニーはピッチがちょっとずれただけで不快な響きになったり、ものすごくキレイな響きになったりするんですね。「純正律(純正調)」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、この響きを得るための替え指という考え方もある、ということです。
あまりに複雑で言葉にすると難しいのでここでは割愛させてもらいますが、知識としてだけでも持っていると良いかもしれませんね。
機会があったらこのブログでも今後書いてみようと思います。
《特殊な奏法》
あまり専門的ではないのでサラっと流しちゃいますが、ジャズでも替え指を使うと演奏しやすい場合があります。
例えば「シェイク」という奏法。
シェイクというのは先程書いたリップトリルに近いものですが、口やその周辺、口の中で変化させるのではなく、手で楽器を微妙に動かし、結果マウスピースの位置やプレスの圧力が若干変化することで音の高さが変わる奏法です。
これによってリップトリルよりも乱雑で激しい演奏ができ、ジャズでは効果的になる場合があります。
例えば上の譜例の場合、開放で取ってしまうと次に出る上の倍音は通常「シのフラット」ですが、1,3の運指で取ることによってもっと倍音の幅が狭くなり、シェイクがしやすくなるんですが。。。
これはジャズプレイヤーの方に言わせれば「違う」のかもしれません。あくまでも自分がシェイクをしなければならない時に取っている方法です。
あともうひとつこんな奏法もジャズではあります。
これは同じ音をタンギングではなく替え指で連続する方法で、「トレモロ」に分類されるかと思います。
楽譜上で出てくるものというよりはアドリブソロで使うことが多く、タンギングよりも激しい奏法ができます。
ただ、アドリブソロを求められる本番をめったに経験しない自分にとって実際に使ったことはありませんが、替え指はこんなこともできるという例として出しました。
《C管やピッコロトランペットの替え指》
これまで、Bb管前提で替え指について書いてきましたが、他の管のトランペット特有の替え指というのもあります。
詳しくは後日解説しますが、例えばC管トランペットの五線の中の上にある「ミ」や「ミのフラット」はBb管と同じ運指で取ると若干不安定な(ピッチが低めになる)場合があります(楽器による)。ですから、基本的な運指として最初から「ミは1.2」「ミのフラットは2,3」として使用するなんてこともあります(自分はそうしています)。
また、ピッコロトランペットを演奏する時はもっと多くの替え指が存在します(4番ピストンが存在するため、ピッチが不安定な音域が多いため、など)。そして、先程少し触れましたがピッコロトランペットはバロック時代の音楽を演奏することが非常に多いのでトリルが頻繁に出てきます。
そういった様々な場面で工夫して替え指を使うことがあります(自分はそうしています)。
《替え指はあくまでも替え指》
このように「替え指」はトランペットを吹く上で非常に便利な方法ではありますが、あくまでも「正式な運指の代替」であることを忘れてはいけません。
ですから替え指で常に吹く、というのは良くありません。
それは、先程も書いたように「ピッチが安定しない」ということもありますし、音の響き(楽器の鳴り方)にも影響がありますので注意しましょう。
ということで前回から2回にわたって替え指について書いてみました。
みなさんも場面にあった有効的な替え指が使えると便利ですから知識としてだけでなく実際に使ってみて下さいね。
それではまた来週!
さて、前回から「替え指」について書いています。
替え指が沢山あること、知らなかった方は知識として様々なパターンを覚えておくと良いと思います。
また、知識としてだけでなく実際の演奏や練習で替え指が有効になることがいくつかありますので今回はその点について解説していきます。
《3番ピストン》
替え指を使う上で一番有効なものが「3番ピストン」だと思います。
とりあえず譜例を見て下さい。
こういった動きが出てきた時、すべてをリップスラーで演奏するのはミスしやすいというリスクが伴います。
ですから、この中の「(五線上の)ミ」の音を開放で取らずに「3番ピストン」で行うという方法が考えられます。
ただ、実際問題3番ピストンでこのDの音を出すのはたいして楽に吹けるというわけではありません。
この譜例はあくまでも替え指をどんな時に使うか、というひとつの例にすぎませんので参考程度に留めて下さい。
ちなみに替え指を使って演奏しやすくなったからと言っても、通常の運指でもきちんと演奏できるように(この譜例で言えばリップスラーの)練習を怠らないで下さいね。あくまでもリスク回避の方法のひとつと考えて下さい。
そして、次の譜例のような動きの時にも有効です。
ここでの「(五線上の)ラ」の音を通常の運指1,2で取ると次に出てくる「(五線上の)ソのシャープ」が運指2,3ですので、もしこの譜例のテンポがかなり速かった場合は特に難しい動きになると思います。
こういった場合にも3番ピストンを使うのは有効です。
この練習は「アーバン金管教本1」に沢山出てきますので、興味のある方はぜひやってみて下さい。
次の譜例も同じ考えです。
トリルというのは隣り合う音と素早く行き来する演奏指示記号で、この楽譜の場合はトリル記号の上に小さなナチュラルが付いています。こういった場合は「ソのシャープとラ(ナチュラル)の音を行き来する」という指示になります。
トリルは吹奏楽では登場することが少ないのですが、バロック音楽や古典派音楽のソロ曲などでは頻繁に登場し、特にピッコロトランペットを演奏する時には(楽譜に書いていなくても)使わなければいけない場面も出てくるのでトランペット奏者には避けて通れない奏法と言えます。
で、この譜例の時にも2,3と1,2の運指を素早く行き来するのはかなり困難ですから、3の運指で行うほうがスムーズです。
《リップトリルでの替え指》
次に、実際の演奏で使うというよりも、基礎的な練習での替え指について解説します。
楽譜の中でこういった動きが出てきた時、実際の演奏では「ソ」の音を開放、「シ」の音を2で取ると思うのですが「リップトリル」の練習を行う時に譜例のようにわざと同じ運指にすると有効な練習ができます。
リップトリルというのは「タンギングをせずに2つ(以上)の音をすばやく行き来する」奏法で、基本的には同じ運指であることが多いです。
リップトリルの練習は、柔軟な口(アンブシュア)を得るための非常に有効なもので、トランペット奏者としては必ず習得したい奏法のひとつです。
リップトリルを徹底的に練習したい方はこちらも「アーバン金管教本1」に沢山掲載されていますのでぜひチャレンジしてみて下さい。
《リスク回避のための替え指》
これは賛否両論あるかもしれませんが、かなりのリスキーな演奏を求められる場合、替え指を使って成功する確率を上げるという方法があります。
以前、バレエの本番で演奏する仕事の時に、バンダを担当したことがあります。
「バンダ(banda)」というのはオーケストラの中にいるプレイヤーとは違う場所から演奏する役割のことで、例えば客席から演奏してみたり、舞台袖から音だけを聴かせたりして音の距離感を効果的に演出して演奏効果を高めることができます。
時にはオペラなどで歌手の方たちと一緒に舞台の上でトランペットを演奏する「役者」としてちゃんと衣装を着てメイクをして出演することもあります。
これは単にその公演の演出というわけでなく作曲家がスコア上に独立したパートとして書いてあり、トランペットは非常にこの役割を担うことが多いんです。
で、この時のバレエ音楽のバンダは「遠くからトランペットの音が聴こえる」という役割で、舞台袖から演奏しました。
ものすごい静かなシーンで、少人数の女声合唱も舞台袖から優しく歌い、それに合わせて小さい音量でトランペットも吹かなければいけなかったんですが、音が上の「G」の音のロングトーンとかあって、結構リスキーだったんですよね。
自分はオーケストラの時ほとんどC管で演奏するので、この時のGの音は開放(ピストンを押さない)で出すのが通常ですが、結構ピッチを安定させるのも難しく(バンダはオーケストラよりも遠く、距離があるので若干ピッチを高めにしておかないと合わないんです)、それを開放で出そうとすると怖いんですよね。。。
なのでこの時取ったのは、Gの音を1.3で出してトリガーを使う、という方法でした。
先週の記事に掲載した「替え指一覧」を実際に出してみた方はわかるかと思いますが、替え指というのはピッチが安定していないことが多いんですね。
それを逆手に取ってGを1.3で取ることによって普通に音を出してもピッチが高めになる、そして微調整をする時にトリガーを使えるというメリットもあるので、少しでもリスクを回避するという方法を取りました。
これはちょっと難易度が高いですし、替え指とその場の状況などが合致していないとできないパターンですから一般的ではないかもしれませんが、こんなことも替え指でできるという例として書いてみました。
《ピッチ安定のための替え指》
先程書いたように替え指というのは同じ音が出ても同じピッチではないというのがひとつの特徴です。
ということは、ハーモニーを作る時のピッチの微調整に有効な場合もあります。
例えば「ド、ミ、ソ」のハーモニーを作る時「ミ」の音を1,2で取るよりも3で取ったほうが(ピッチが低くなるので)安定する可能性が高いんです。
なぜそのようなことが起こるのか説明するとちょっとややこしいのですが、簡単に言えばハーモニーはピッチがちょっとずれただけで不快な響きになったり、ものすごくキレイな響きになったりするんですね。「純正律(純正調)」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、この響きを得るための替え指という考え方もある、ということです。
あまりに複雑で言葉にすると難しいのでここでは割愛させてもらいますが、知識としてだけでも持っていると良いかもしれませんね。
機会があったらこのブログでも今後書いてみようと思います。
《特殊な奏法》
あまり専門的ではないのでサラっと流しちゃいますが、ジャズでも替え指を使うと演奏しやすい場合があります。
例えば「シェイク」という奏法。
シェイクというのは先程書いたリップトリルに近いものですが、口やその周辺、口の中で変化させるのではなく、手で楽器を微妙に動かし、結果マウスピースの位置やプレスの圧力が若干変化することで音の高さが変わる奏法です。
これによってリップトリルよりも乱雑で激しい演奏ができ、ジャズでは効果的になる場合があります。
例えば上の譜例の場合、開放で取ってしまうと次に出る上の倍音は通常「シのフラット」ですが、1,3の運指で取ることによってもっと倍音の幅が狭くなり、シェイクがしやすくなるんですが。。。
これはジャズプレイヤーの方に言わせれば「違う」のかもしれません。あくまでも自分がシェイクをしなければならない時に取っている方法です。
あともうひとつこんな奏法もジャズではあります。
これは同じ音をタンギングではなく替え指で連続する方法で、「トレモロ」に分類されるかと思います。
楽譜上で出てくるものというよりはアドリブソロで使うことが多く、タンギングよりも激しい奏法ができます。
ただ、アドリブソロを求められる本番をめったに経験しない自分にとって実際に使ったことはありませんが、替え指はこんなこともできるという例として出しました。
《C管やピッコロトランペットの替え指》
これまで、Bb管前提で替え指について書いてきましたが、他の管のトランペット特有の替え指というのもあります。
詳しくは後日解説しますが、例えばC管トランペットの五線の中の上にある「ミ」や「ミのフラット」はBb管と同じ運指で取ると若干不安定な(ピッチが低めになる)場合があります(楽器による)。ですから、基本的な運指として最初から「ミは1.2」「ミのフラットは2,3」として使用するなんてこともあります(自分はそうしています)。
また、ピッコロトランペットを演奏する時はもっと多くの替え指が存在します(4番ピストンが存在するため、ピッチが不安定な音域が多いため、など)。そして、先程少し触れましたがピッコロトランペットはバロック時代の音楽を演奏することが非常に多いのでトリルが頻繁に出てきます。
そういった様々な場面で工夫して替え指を使うことがあります(自分はそうしています)。
《替え指はあくまでも替え指》
このように「替え指」はトランペットを吹く上で非常に便利な方法ではありますが、あくまでも「正式な運指の代替」であることを忘れてはいけません。
ですから替え指で常に吹く、というのは良くありません。
それは、先程も書いたように「ピッチが安定しない」ということもありますし、音の響き(楽器の鳴り方)にも影響がありますので注意しましょう。
ということで前回から2回にわたって替え指について書いてみました。
みなさんも場面にあった有効的な替え指が使えると便利ですから知識としてだけでなく実際に使ってみて下さいね。
それではまた来週!
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2011.07.19 Tuesday
替え指 1
みなさんこんにちは!
さて前回まで3週に渡って「トリガーの操作」について解説しました。
トリガーが自由に使えるようになると様々な場面でピッチを安定させることができるようになります。
これまで書いてきたようにトランペットの性質上、どうしてもトリガーを使わないとピッチを安定させることができない音というのはもちろんありますが、他の音に関しては通常の運指で音のツボに的確に当てることができればおおよそ正しいピッチで吹くことができます。(過去の記事「ハイノート(ハイトーン)へのアプローチ6」参照)
ただ、教本などに掲載してある運指表通りの運指だけで演奏するのが時に困難になる場合があります。
そんな時に便利なのが「替え指」です。
《替え指》
みなさんは替え指ってご存知ですか?
替え指というのは「通常(運指表に掲載されている運指)とは異なる運指で目的の音を出す」ということです。
どんな時に替え指をすると良いのか、それを解説する前に替え指という運指がなぜ出せるのかを簡単に書いてみようと思います。
まず、トランペットのピストンに付いている管を見て下さい。
それぞれのピストンにはそれぞれに独立して管(他のピストンやベル、マウスパイプなどに接続していない管)がついているのがわかると思います。1番、3番管に関しては前回まで書いてきたトリガーがついているところですね。2番ピストンにも小さい管が付いています。
これらの3つの管は、それぞれのピストンを押した時のみ空気が通過するようになっています。
ですから、ピストンを押せば空気の通る管の長さが変化し(長くなる)、更にその組み合わせによって様々な音が出せるというシステムなんですね。
考えやすくするために、それぞれのピストンについている管を
1番ピストンの管の長さ→「1(長2度(半音+半音))」
2番ピストンの管の長さ→「0.5(短2度(半音))」
3番ピストンの管の長さ→「1.5(短3度(半音+半音+半音))」
とします。
管が長くなれば音は低くなるのですから(トランペットよりも管が長いトロンボーンは全体的に低い音域が出る、と考えればわかりやすいですね)、ピストンを押せばそのぶん低い音になります。
なのでBb管トランペットの開放(ピストンを押さない状態)だとBbの音(記譜上ド)が出るのに対し、1番ピストンを押すとそれだけ管が長くなってAbの音(記譜上シのフラット)に下がる(=長2度下がる)という考え方です。
これをここでは1番ピストンの管の長さを「1」として考えています。
他の音で例えるなら、Bb管で五線下のD(記譜上ミ)の音は「運指1,2」で通常出しますね。
これを先程の数字で表すなら1番ピストンが「1」、2番ピストンが「0.5」なので「1+0.5=1.5」となります。
1,2番ピストンを押すと「1.5」の長さになるのですから、それは3番ピストン「1.5」だけを押しても同じことになりますよね。
実際に1,2番の運指で出せる音はすべて3の運指でも出すことができます。知らなかった方は試しにやってみて下さい。
文章だけで解説するとややこしいですね。わかります?
まあ、理屈はともかく下に一覧表を掲載してみようと思います。
《替え指の運指表》
下記に掲載した一覧表はその音を出す時に可能な運指を示しています。
一応、Bb管で言うHigh Bbまで書いてみました。
というのも、これ以上高い音になってくると替え指がどんどん増えてくるのでキリがないんですね(倍音の関係。詳しく知りたい方は「楽典」という本を読んでみて下さい)。
※一番上に掲載している運指は通常の運指です。
他にも可能性として出すことができる運指はあるのですが、掲載する音を限定しました。
他にもどんな運指で替え指が成立するか試してみるのも面白いかと思います。
これらの運指はすべて使うということはなかなかありませんが、この中の運指には特定の場面で非常に便利になるものがあるんですね。
次回はそういった点について解説してみようと思います。
それではまた来週!
さて前回まで3週に渡って「トリガーの操作」について解説しました。
トリガーが自由に使えるようになると様々な場面でピッチを安定させることができるようになります。
これまで書いてきたようにトランペットの性質上、どうしてもトリガーを使わないとピッチを安定させることができない音というのはもちろんありますが、他の音に関しては通常の運指で音のツボに的確に当てることができればおおよそ正しいピッチで吹くことができます。(過去の記事「ハイノート(ハイトーン)へのアプローチ6」参照)
ただ、教本などに掲載してある運指表通りの運指だけで演奏するのが時に困難になる場合があります。
そんな時に便利なのが「替え指」です。
《替え指》
みなさんは替え指ってご存知ですか?
替え指というのは「通常(運指表に掲載されている運指)とは異なる運指で目的の音を出す」ということです。
どんな時に替え指をすると良いのか、それを解説する前に替え指という運指がなぜ出せるのかを簡単に書いてみようと思います。
まず、トランペットのピストンに付いている管を見て下さい。
それぞれのピストンにはそれぞれに独立して管(他のピストンやベル、マウスパイプなどに接続していない管)がついているのがわかると思います。1番、3番管に関しては前回まで書いてきたトリガーがついているところですね。2番ピストンにも小さい管が付いています。
これらの3つの管は、それぞれのピストンを押した時のみ空気が通過するようになっています。
ですから、ピストンを押せば空気の通る管の長さが変化し(長くなる)、更にその組み合わせによって様々な音が出せるというシステムなんですね。
考えやすくするために、それぞれのピストンについている管を
1番ピストンの管の長さ→「1(長2度(半音+半音))」
2番ピストンの管の長さ→「0.5(短2度(半音))」
3番ピストンの管の長さ→「1.5(短3度(半音+半音+半音))」
とします。
管が長くなれば音は低くなるのですから(トランペットよりも管が長いトロンボーンは全体的に低い音域が出る、と考えればわかりやすいですね)、ピストンを押せばそのぶん低い音になります。
なのでBb管トランペットの開放(ピストンを押さない状態)だとBbの音(記譜上ド)が出るのに対し、1番ピストンを押すとそれだけ管が長くなってAbの音(記譜上シのフラット)に下がる(=長2度下がる)という考え方です。
これをここでは1番ピストンの管の長さを「1」として考えています。
他の音で例えるなら、Bb管で五線下のD(記譜上ミ)の音は「運指1,2」で通常出しますね。
これを先程の数字で表すなら1番ピストンが「1」、2番ピストンが「0.5」なので「1+0.5=1.5」となります。
1,2番ピストンを押すと「1.5」の長さになるのですから、それは3番ピストン「1.5」だけを押しても同じことになりますよね。
実際に1,2番の運指で出せる音はすべて3の運指でも出すことができます。知らなかった方は試しにやってみて下さい。
文章だけで解説するとややこしいですね。わかります?
まあ、理屈はともかく下に一覧表を掲載してみようと思います。
《替え指の運指表》
下記に掲載した一覧表はその音を出す時に可能な運指を示しています。
一応、Bb管で言うHigh Bbまで書いてみました。
というのも、これ以上高い音になってくると替え指がどんどん増えてくるのでキリがないんですね(倍音の関係。詳しく知りたい方は「楽典」という本を読んでみて下さい)。
※一番上に掲載している運指は通常の運指です。
他にも可能性として出すことができる運指はあるのですが、掲載する音を限定しました。
他にもどんな運指で替え指が成立するか試してみるのも面白いかと思います。
これらの運指はすべて使うということはなかなかありませんが、この中の運指には特定の場面で非常に便利になるものがあるんですね。
次回はそういった点について解説してみようと思います。
それではまた来週!
当ブログの写真・記事等すべての営利目的による無断利用、ネット上などへの無断転載を禁止します。
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