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トランペット ウォームアップ本 (MyISBN - デザインエッグ社) (JUGEMレビュー »)
荻原 明
【販売部数1000部達成!】「ラッパの吹き方」ブログ著者、荻原明 初の教則本!ウォームアップと奏法の基礎を身につけられる一冊です!
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2016.10.11 Tuesday
空気の使い方 4
みなさんこんにちは!
今回で4回目。空気についてはひとまず最終回とします。
《ブレスの勘違い》
ブレスを無意識に「足りなくなったら吸う」としている方がとても多いように感じます。
車でもそうですが、ガソリンがなくなったら給油するなんてことしません。いちいちガス欠の恐れを感じながら快適ドライブなんてできませんからね。ブレスもガソリンも計画的に補給していきたいものです。
よって、ブレスは演奏に使える呼気がなくなる前に行います。
《ブレス位置の勘違い》
もしかするとブレスを苦手と感じている方は「次のブレスまで空気をもたせなければならない」と思っているからかもしれません。
「次のブレス」とは、たとえば「休符」「ブレス記号」「フレーズの隙間」といったところです。
ひとつずつ解説してみます。
[休符]
休符は音を出さないところだから、空気を取り込む隙間としては便利だと思います。たしかに、休符でブレスをすることはとても多いのですが、注意してほしいことが2つあります。
ひとつは「休符があるたびにブレスをする」という行為。マーチとかワルツの裏打ちなど、同じ単純なリズムのときになりやすいです。しかも無意識にやっている方が多いのですが、「今空気入れておかないと次いつ吸えるかわからない」というオイルショック的発想(古い?)があるのかもしれません。こまかく空気を取り込む行為は、ブレスコントロールをしにくくする恐れがありますので、よくありません。
もうひとつは「休符はフレーズの中にもある=休符が必ずしもフレーズの切れ目ではない」という点。
フレーズというのは、文章で言うところの「、」や「。」までの「一区切り」のことを指します。音楽のメロディも音符同士が繋がりあってひとつのメロディになっていますから、同じようにフレーズが存在します。
しかし、音符が並ぶだけが音楽ではありませんね。休符による「間(ま)」が音楽の流れに重要なものであることも多いのです。フレーズの中に休符が存在している場合、そこでおおっぴらにブレスをしてしまうと不本意なフレーズ切れを起こしてしまうのです。
休符だからブレスをしてもいい、と安直に思わないようにしましょう。
[ブレス記号]
ブレス記号の位置で空気を取り込むのは間違いではありませんが、ブレス記号は「この記号のところでしかブレスしちゃだめ!」という意味ではありません。
ブレス記号は「ここでブレスをすれば音楽としては自然にながれると思うよ」という作曲家や編曲者の「提案」です。指示ではありません。
例えば、ブレス記号の書いてある作品を指定テンポよりもゆったりと(もしくは速く)演奏することになったり、音量がとても大きく(小さく)なったり、例えばオーボエの楽譜をトランペットで吹くことになった場合、どうでしょうか。もはやブレス記号の位置はまったく参考になりませんね。
フレーズの切れ目をブレス記号で表している場合もありますから、結局は「参考」にしかならないということです。
[フレーズの間]
フレーズとフレーズの間でブレスを取る、これが一番一般的で自然なブレスです。
しかし、例えばフレーズから次のフレーズに発展的につなげて吹いたほうが効果的な場面も多々あります。そういった場面でブレスをしてしまうと「吹き直し」「やり直し」「区切り」のような印象を与えてしまい、テンションが下がってしまいます。
ブレスをするかしないかを考えるまえに、音楽が持っている流れ、作曲物が求めている流れ、そして自分自身がどのような流れにしたいかを考えることのほうが先決です。
そしてフレーズに関してもうひとつは、「フレーズの途中であってもブレスはできる」という点。例えば楽譜にスラーでフレーズを書いている場合、基本的にはタンギングをしないで吹き続けることになりますが、その間であってもブレスをすることは可能です。しかし、フレーズが続いていることには変わりないので、フレーズを切りたくない!!ととても強いフレーズ感と歌の流れ(ベクトル)を持った上での素早いブレスが必要になります。
多少の技術がいるものの、要はブレスというのはどこでもできるし、絶対ここでしかできない、という場合もほとんどないのです。
《空気が余っても大丈夫》
そもそも、空気を最後まで使い切る、という発想はどこから生まれてしまったのでしょうか。
トランペットを吹いていて、ブレスをしようと体の緊張を解除し、口を開けたその瞬間、余っている空気は勝手に放出されます。この余った空気に関しては深く考える必要も意識する必要もありません。
余った空気が放出されるのはほんの一瞬の出来事ですから、その後すぐにブレスをすることが可能です。なので、次のブレスのためにわざわざ肺の中の空気を最後まで搾り出そうとする発想は良くありません(前回までの記事でも、「はい、全部出して」の指示について指摘しました)。
肺の中に空気がまったくなくなることはありません。肺の中には常に空気が存在しています。
《指導側の問題》
なぜ呼吸に対してぎこちない解釈が蔓延しているのでしょうか。
これは憶測ですが、ひとつに吹奏楽部で行なっている謎のロングトーン練習が問題ではないかと思うのです。
ロングトーン練習で、16拍だ32拍とやたら長い時間音をのばさせたりするのを良く見ますし、僕もやらされていました。もう競争みたいになっていて、主旨もなければ目的もない(男子が躍起になる)。アパチュアの周辺に力をかけ、ものすごく小さくし、空気をできるだけ出さないようにして音だかなんだかわからないピーピーしたものを出し続け、「やった!俺128拍伸ばせたもんね!」とか、本当に無意味を通り越して奏法のバランスを壊して自滅しますからおやめなさい。
これは指導する側がいけません。方法や呼吸のシステムをきちんと説明もせずにやたらと長く吹かせようとすれば、呼吸やブレスに対する考え方は偏るに決まっています。「管楽器の呼吸法」なんていう、仰々しく特殊めいた専門用語的呼び方をするところも、このあたりから生まれたのではないでしょうか。結局は指導者の知識と勉強不足なんですよね。
ここでもう一度はっきり言っておきます。
「呼吸は呼吸です。人間の呼吸運動のシステムはひとつしかありません。日常の生活をしているときも、管楽器を演奏するのも同じ器官が同じように働いているのです。特に吸気(ブレス)はまったく同じです。」
《まずは計画的なブレスをマスターする》
ブレスを自然に行えるようになるためには、まずは計画的なブレスで演奏ができることが必要です。
例えば、アーバン金管教本の冒頭部分にある50の練習曲。それぞれが同じパターンで続くので、あらかじめ2小節や4小節で必ずブレスを取る、と決めておき、計画的に吹けるブレスを練習するには最適です。
それができたら、今度は単純なメロディを使ってフレーズが途切れないような練習をします。
そうしいくうちに自然と音楽的な面から生まれる「ブレスをしたいところ(しなければならないところではない!)」が感じられるようになってくるはずです。
《結局はフレーズ》
今回のお話は、結局すべて「フレーズ」がネックになっています。
フレーズを感じていないとブレスはできませんし、フレーズを感じていれば自然とブレスしたくなるところが見えてくる、ということです。
そして、「ブレス」もフレーズや音楽の流れの中の存在として認めてあげることです。
ブレスは「しないほうがいいもの」「演奏上、しかたなくやっているもの」と考えてはいけません(カンニングブレスとか意味わかんない)。ブレスというのはすべての人間が常におこなっている自然であたりまえの行為です。ですから、呼吸を感じられない音楽はその名の通り「息苦しい」だけなのです。
ぜひブレスも音楽に取り込んでください。
ブレスを感じられる音楽の流れは、聴く人に安心感を与えます。
《もっと詳しく学びたい方は》
「呼吸」の講習会をしております。もう間近になりましたが、今月10月14日(金)19:00より、文京区にあるプレスト音楽教室にて「呼吸」講習会を開催します。くわしくはこちらの特設ページをご覧ください。
ということで、呼吸に関してはひとまず終わりにしたいと思います。
また機会がありましたら書きますね。
それではまた来週!
今回で4回目。空気についてはひとまず最終回とします。
《ブレスの勘違い》
ブレスを無意識に「足りなくなったら吸う」としている方がとても多いように感じます。
車でもそうですが、ガソリンがなくなったら給油するなんてことしません。いちいちガス欠の恐れを感じながら快適ドライブなんてできませんからね。ブレスもガソリンも計画的に補給していきたいものです。
よって、ブレスは演奏に使える呼気がなくなる前に行います。
《ブレス位置の勘違い》
もしかするとブレスを苦手と感じている方は「次のブレスまで空気をもたせなければならない」と思っているからかもしれません。
「次のブレス」とは、たとえば「休符」「ブレス記号」「フレーズの隙間」といったところです。
ひとつずつ解説してみます。
[休符]
休符は音を出さないところだから、空気を取り込む隙間としては便利だと思います。たしかに、休符でブレスをすることはとても多いのですが、注意してほしいことが2つあります。
ひとつは「休符があるたびにブレスをする」という行為。マーチとかワルツの裏打ちなど、同じ単純なリズムのときになりやすいです。しかも無意識にやっている方が多いのですが、「今空気入れておかないと次いつ吸えるかわからない」というオイルショック的発想(古い?)があるのかもしれません。こまかく空気を取り込む行為は、ブレスコントロールをしにくくする恐れがありますので、よくありません。
もうひとつは「休符はフレーズの中にもある=休符が必ずしもフレーズの切れ目ではない」という点。
フレーズというのは、文章で言うところの「、」や「。」までの「一区切り」のことを指します。音楽のメロディも音符同士が繋がりあってひとつのメロディになっていますから、同じようにフレーズが存在します。
しかし、音符が並ぶだけが音楽ではありませんね。休符による「間(ま)」が音楽の流れに重要なものであることも多いのです。フレーズの中に休符が存在している場合、そこでおおっぴらにブレスをしてしまうと不本意なフレーズ切れを起こしてしまうのです。
休符だからブレスをしてもいい、と安直に思わないようにしましょう。
[ブレス記号]
ブレス記号の位置で空気を取り込むのは間違いではありませんが、ブレス記号は「この記号のところでしかブレスしちゃだめ!」という意味ではありません。
ブレス記号は「ここでブレスをすれば音楽としては自然にながれると思うよ」という作曲家や編曲者の「提案」です。指示ではありません。
例えば、ブレス記号の書いてある作品を指定テンポよりもゆったりと(もしくは速く)演奏することになったり、音量がとても大きく(小さく)なったり、例えばオーボエの楽譜をトランペットで吹くことになった場合、どうでしょうか。もはやブレス記号の位置はまったく参考になりませんね。
フレーズの切れ目をブレス記号で表している場合もありますから、結局は「参考」にしかならないということです。
[フレーズの間]
フレーズとフレーズの間でブレスを取る、これが一番一般的で自然なブレスです。
しかし、例えばフレーズから次のフレーズに発展的につなげて吹いたほうが効果的な場面も多々あります。そういった場面でブレスをしてしまうと「吹き直し」「やり直し」「区切り」のような印象を与えてしまい、テンションが下がってしまいます。
ブレスをするかしないかを考えるまえに、音楽が持っている流れ、作曲物が求めている流れ、そして自分自身がどのような流れにしたいかを考えることのほうが先決です。
そしてフレーズに関してもうひとつは、「フレーズの途中であってもブレスはできる」という点。例えば楽譜にスラーでフレーズを書いている場合、基本的にはタンギングをしないで吹き続けることになりますが、その間であってもブレスをすることは可能です。しかし、フレーズが続いていることには変わりないので、フレーズを切りたくない!!ととても強いフレーズ感と歌の流れ(ベクトル)を持った上での素早いブレスが必要になります。
多少の技術がいるものの、要はブレスというのはどこでもできるし、絶対ここでしかできない、という場合もほとんどないのです。
《空気が余っても大丈夫》
そもそも、空気を最後まで使い切る、という発想はどこから生まれてしまったのでしょうか。
トランペットを吹いていて、ブレスをしようと体の緊張を解除し、口を開けたその瞬間、余っている空気は勝手に放出されます。この余った空気に関しては深く考える必要も意識する必要もありません。
余った空気が放出されるのはほんの一瞬の出来事ですから、その後すぐにブレスをすることが可能です。なので、次のブレスのためにわざわざ肺の中の空気を最後まで搾り出そうとする発想は良くありません(前回までの記事でも、「はい、全部出して」の指示について指摘しました)。
肺の中に空気がまったくなくなることはありません。肺の中には常に空気が存在しています。
《指導側の問題》
なぜ呼吸に対してぎこちない解釈が蔓延しているのでしょうか。
これは憶測ですが、ひとつに吹奏楽部で行なっている謎のロングトーン練習が問題ではないかと思うのです。
ロングトーン練習で、16拍だ32拍とやたら長い時間音をのばさせたりするのを良く見ますし、僕もやらされていました。もう競争みたいになっていて、主旨もなければ目的もない(男子が躍起になる)。アパチュアの周辺に力をかけ、ものすごく小さくし、空気をできるだけ出さないようにして音だかなんだかわからないピーピーしたものを出し続け、「やった!俺128拍伸ばせたもんね!」とか、本当に無意味を通り越して奏法のバランスを壊して自滅しますからおやめなさい。
これは指導する側がいけません。方法や呼吸のシステムをきちんと説明もせずにやたらと長く吹かせようとすれば、呼吸やブレスに対する考え方は偏るに決まっています。「管楽器の呼吸法」なんていう、仰々しく特殊めいた専門用語的呼び方をするところも、このあたりから生まれたのではないでしょうか。結局は指導者の知識と勉強不足なんですよね。
ここでもう一度はっきり言っておきます。
「呼吸は呼吸です。人間の呼吸運動のシステムはひとつしかありません。日常の生活をしているときも、管楽器を演奏するのも同じ器官が同じように働いているのです。特に吸気(ブレス)はまったく同じです。」
《まずは計画的なブレスをマスターする》
ブレスを自然に行えるようになるためには、まずは計画的なブレスで演奏ができることが必要です。
例えば、アーバン金管教本の冒頭部分にある50の練習曲。それぞれが同じパターンで続くので、あらかじめ2小節や4小節で必ずブレスを取る、と決めておき、計画的に吹けるブレスを練習するには最適です。
それができたら、今度は単純なメロディを使ってフレーズが途切れないような練習をします。
そうしいくうちに自然と音楽的な面から生まれる「ブレスをしたいところ(しなければならないところではない!)」が感じられるようになってくるはずです。
《結局はフレーズ》
今回のお話は、結局すべて「フレーズ」がネックになっています。
フレーズを感じていないとブレスはできませんし、フレーズを感じていれば自然とブレスしたくなるところが見えてくる、ということです。
そして、「ブレス」もフレーズや音楽の流れの中の存在として認めてあげることです。
ブレスは「しないほうがいいもの」「演奏上、しかたなくやっているもの」と考えてはいけません(カンニングブレスとか意味わかんない)。ブレスというのはすべての人間が常におこなっている自然であたりまえの行為です。ですから、呼吸を感じられない音楽はその名の通り「息苦しい」だけなのです。
ぜひブレスも音楽に取り込んでください。
ブレスを感じられる音楽の流れは、聴く人に安心感を与えます。
《もっと詳しく学びたい方は》
「呼吸」の講習会をしております。もう間近になりましたが、今月10月14日(金)19:00より、文京区にあるプレスト音楽教室にて「呼吸」講習会を開催します。くわしくはこちらの特設ページをご覧ください。
ということで、呼吸に関してはひとまず終わりにしたいと思います。
また機会がありましたら書きますね。
それではまた来週!
当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。
at 07:38, 荻原明(おぎわらあきら), 呼吸
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2016.10.04 Tuesday
空気の使い方 3
みなさんこんにちは!
今回は「空気の使い方」の3回目です。
《必要分のみ取り込む》
演奏する、と言っても長いメロディを吹くこともあれば、8分音符1発だけ吹くときもありますね。
ですから、そのときそのときで吸気量も吸気にかかる時間も変化します。
8分音符1発吹くだけで深呼吸みたいに大量に空気を取り入れても無駄ですから。
「何を今さら当たり前なこと言ってるんだ」と思うかもしれません。
しかし、結構見かけるんですよ。どんなときでも目一杯、一生懸命、とても沢山空気を入れようとしている方が!
それって日帰りの遠足に10日間のサバイバル登山の道具を持っていくようなものです。とても意味がない行為ですし、不必要な負担をかけてしまいます。
そしてもうひとつ。
「肺の中をからっぽに」とか「これから息を吸うから、一旦全部出しちゃいましょう」とかよく聞きませんか?
管楽器の呼吸について話すときの常套句みたいになっていますが、これって本当に必要なことなのでしょうか。
これは必要ないことと言えます。そもそも、肺の中に空気がまったくない状態になんてできません。常に空気は入っているのです。
だって喋るとき、いちいち大きな呼吸をして蓄えないと喋れませんか?そんなことありませんよね。
空気を全部出してしまうという発想は、意味がないどころか体に負担をかけているので逆効果と言えます。
少々乱暴な言い方をすれば、いちいち空気を取り込まなくても、少しくらいの演奏はできるんです。肺には常に空気が入っているわけですから。
同じようなことで、演奏開始時、指揮者のザッツが出るまで息を止めてしまう人がいます。これも呼吸を乱したり、体に負担や不必要な力をかける原因のひとつになります。前回の記事で、呼吸は不随意運動(無意識に呼吸をしている)と、随意運動(意識的に呼吸を行う)の両方ができる、と書きました。自分の意思で空気を取り込むその直前まで、通常の呼吸はそのまま放置(無意識に)させておけばいいのです。呼吸がとまっていなくても、不随意運動で吸気状態でも呼気状態でも、深呼吸のような大きな随意運動は開始できます。
漢字ばっかりでややこしいですね。要するに、息を止めなくてもどんなタイミングでも空気を取り込むことはできる、ということです。
したがって、演奏前に呼吸を止めないように注意してください。
「吸う」ということを重要視しすぎて、呼吸がどんどん大変な行為になるのは良くありません!
《マックスまで取り込むのはなぜか》
今年の春に出版しました僕の著書「トランペット ウォームアップ本」の中には、自分のもっている呼吸の最大値で吹くウォームアップのステップがあります。要するにマックスまで空気を取り込んで、それを効率よく非常に長いフレーズを演奏する、というもの。
さきほど、空気なんて取り込まなくても肺にあるんだからそんなに沢山取り込まなくていい、と書きました。まるで矛盾しているかのようですが、必要分だけ取り込むためのコントロールができるようにするためには、ウォームアップ時に自分の持つ最大値で呼吸ができるようにしておくことが大切なのです。
テレビって「こんなに大きな音量にしないのに」というくらい大きな音が出るようになっていますよね。車のエンジンも「こんなにスピード出したら捕まっちゃう」くらい出せるようになっています。
あれは、その最大値を非常に大きく設定しておくことで、小さい音量や遅いスピードを安定させるためだそうです。そうしないと、通常モードでエンジンフル稼働になってしまい、オーバーヒートしてしまう想像ができますよね。
呼吸も同じで、まずは最大値まで使えるようにしておくことが大切なのです。
ただ、この吸気量はあくまでも「演奏ができる(コントロールがきく)最大値」です。本当にギリギリまで空気を取り入れてしまうとコントロールがきかなくなってしまうので、その点は注意してください。
ということで今週はここまでです。
次回、呼吸の最終回です。
それでは、また来週!
今回は「空気の使い方」の3回目です。
《必要分のみ取り込む》
演奏する、と言っても長いメロディを吹くこともあれば、8分音符1発だけ吹くときもありますね。
ですから、そのときそのときで吸気量も吸気にかかる時間も変化します。
8分音符1発吹くだけで深呼吸みたいに大量に空気を取り入れても無駄ですから。
「何を今さら当たり前なこと言ってるんだ」と思うかもしれません。
しかし、結構見かけるんですよ。どんなときでも目一杯、一生懸命、とても沢山空気を入れようとしている方が!
それって日帰りの遠足に10日間のサバイバル登山の道具を持っていくようなものです。とても意味がない行為ですし、不必要な負担をかけてしまいます。
そしてもうひとつ。
「肺の中をからっぽに」とか「これから息を吸うから、一旦全部出しちゃいましょう」とかよく聞きませんか?
管楽器の呼吸について話すときの常套句みたいになっていますが、これって本当に必要なことなのでしょうか。
これは必要ないことと言えます。そもそも、肺の中に空気がまったくない状態になんてできません。常に空気は入っているのです。
だって喋るとき、いちいち大きな呼吸をして蓄えないと喋れませんか?そんなことありませんよね。
空気を全部出してしまうという発想は、意味がないどころか体に負担をかけているので逆効果と言えます。
少々乱暴な言い方をすれば、いちいち空気を取り込まなくても、少しくらいの演奏はできるんです。肺には常に空気が入っているわけですから。
同じようなことで、演奏開始時、指揮者のザッツが出るまで息を止めてしまう人がいます。これも呼吸を乱したり、体に負担や不必要な力をかける原因のひとつになります。前回の記事で、呼吸は不随意運動(無意識に呼吸をしている)と、随意運動(意識的に呼吸を行う)の両方ができる、と書きました。自分の意思で空気を取り込むその直前まで、通常の呼吸はそのまま放置(無意識に)させておけばいいのです。呼吸がとまっていなくても、不随意運動で吸気状態でも呼気状態でも、深呼吸のような大きな随意運動は開始できます。
漢字ばっかりでややこしいですね。要するに、息を止めなくてもどんなタイミングでも空気を取り込むことはできる、ということです。
したがって、演奏前に呼吸を止めないように注意してください。
「吸う」ということを重要視しすぎて、呼吸がどんどん大変な行為になるのは良くありません!
《マックスまで取り込むのはなぜか》
今年の春に出版しました僕の著書「トランペット ウォームアップ本」の中には、自分のもっている呼吸の最大値で吹くウォームアップのステップがあります。要するにマックスまで空気を取り込んで、それを効率よく非常に長いフレーズを演奏する、というもの。
さきほど、空気なんて取り込まなくても肺にあるんだからそんなに沢山取り込まなくていい、と書きました。まるで矛盾しているかのようですが、必要分だけ取り込むためのコントロールができるようにするためには、ウォームアップ時に自分の持つ最大値で呼吸ができるようにしておくことが大切なのです。
テレビって「こんなに大きな音量にしないのに」というくらい大きな音が出るようになっていますよね。車のエンジンも「こんなにスピード出したら捕まっちゃう」くらい出せるようになっています。
あれは、その最大値を非常に大きく設定しておくことで、小さい音量や遅いスピードを安定させるためだそうです。そうしないと、通常モードでエンジンフル稼働になってしまい、オーバーヒートしてしまう想像ができますよね。
呼吸も同じで、まずは最大値まで使えるようにしておくことが大切なのです。
ただ、この吸気量はあくまでも「演奏ができる(コントロールがきく)最大値」です。本当にギリギリまで空気を取り入れてしまうとコントロールがきかなくなってしまうので、その点は注意してください。
ということで今週はここまでです。
次回、呼吸の最終回です。
それでは、また来週!
当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。
at 06:25, 荻原明(おぎわらあきら), 呼吸
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2016.09.27 Tuesday
空気の使い方 2
みなさんこんにちは!
先週より「空気の使い方」について書いています。
前回は「空気はタダ(無料)なんだから、いくら使ってもいい(沢山使いなさいの比喩)」が、いつしか「トランペットは大量の空気を必要としている」解釈に変わってしまってはいないか?といった内容を書きました。
本来は軽い空気圧であってもアパチュアサイズや形状、そしてマウスピースや楽器の抵抗感とのバランスが整えば、唇は振動を自然に開始するわけですから、一生懸命力をふり絞って高圧な空気を送り出さないと音が出ない状況よりもずっと燃費が良くてスタミナも維持できます。
では、今回は具体的に効率よい呼吸はどうすればできるのか、解説していきます。
《呼吸は無意識》
みなさん、息してますか?止まってませんか?
止まってませんよね。生きてるんだから。
でも今、「息していますか?」と質問されるまで、呼吸について意識していなかったと思います。「ああ、呼吸してたね、そういえば。」程度ではありませんか?
呼吸というのはそれくらい無意識に行われているんです。
意識しなくても呼吸が繰り返されているのは、脳が直接呼吸を司る体のいくつかの部分に指令を出しているからで、そういった行為を不随意運動と言います。心臓とか腸もそうやって無意識に働いてくれています。
しかし、「では深呼吸しましょう」
と言われて深呼吸できますよね。今度は自分の意思で深呼吸をしました。これを随意運動と言います。
呼吸は不随意運動でも随意運動でも行うことができるユニークな運動です。
もちろんトランペットは意識的な呼吸のコントロールである随意運動で演奏をします。
《脳からの指令》
呼吸をするためには、何か特別な運動をする必要はないのです。
前回の記事で書いたように筋肉を使って口の中へと吸い込む「吸引」行為は通常の呼吸とは全く異なる方法ですから、これで演奏すると様々な問題が発生してしまいます。
「深呼吸しましょう」と言われて呼吸を開始したということは、これは脳からの指令で呼吸をコントロールしている様々な体のパーツが運動を開始した、と言えるわけですから、したがって、呼吸をするためには「頭の中で『呼吸をしよう』」と念じるしか方法がないということです。
《たくさん取り込むには》
では、空気を沢山体の中に取り込むためにはどうしたら良いか。
頭からの指令はきちんと出て、深呼吸をする運動を行っていても、その呼吸を邪魔している何かがあれば吸気が充分にできません。
その「邪魔している何か」が、腹筋に始まる上半身の筋肉です。
筋肉が緊張(筋肉が働いている状態、力を入れている状態)していれば内側から空気を取り込んで膨らもうとしてもそれを抑えつけてしまいます。入ろうとしているのに入らない状態です。風船を手で握りしめて膨らまそうとしているようなものです。
「脳はきちんと指令を出しているのに、それを自分が意識的に阻止してしまっている」ということであり、まさに自分で自分の首を絞めているのです。
ということで、深く効率的な呼吸をするためには
1.体に吸気を阻害する力が入っていない
2.「取り込もう(吸おう)」と念じる
ということになります。
空気を取り込む行為である「吸気」は、トランペットを吹く上でもまったく変わりません。
トランペットを演奏するためには特殊な技術が必要になる、と思っている方が多いのですが、どれも基本的なところは日常生活で行っている運動の一部分を集めた状態です。みなさんがこれまでに一度は必ずやったことがある(であろう)体のうごきや行為でできることばかりです。ぜひ特別な意識を持たないで自分の持っている「うごき」の引き出しの中から見つけてみてください。
それでは、次回も空気について書きます。
また来週!
先週より「空気の使い方」について書いています。
前回は「空気はタダ(無料)なんだから、いくら使ってもいい(沢山使いなさいの比喩)」が、いつしか「トランペットは大量の空気を必要としている」解釈に変わってしまってはいないか?といった内容を書きました。
本来は軽い空気圧であってもアパチュアサイズや形状、そしてマウスピースや楽器の抵抗感とのバランスが整えば、唇は振動を自然に開始するわけですから、一生懸命力をふり絞って高圧な空気を送り出さないと音が出ない状況よりもずっと燃費が良くてスタミナも維持できます。
では、今回は具体的に効率よい呼吸はどうすればできるのか、解説していきます。
《呼吸は無意識》
みなさん、息してますか?止まってませんか?
止まってませんよね。生きてるんだから。
でも今、「息していますか?」と質問されるまで、呼吸について意識していなかったと思います。「ああ、呼吸してたね、そういえば。」程度ではありませんか?
呼吸というのはそれくらい無意識に行われているんです。
意識しなくても呼吸が繰り返されているのは、脳が直接呼吸を司る体のいくつかの部分に指令を出しているからで、そういった行為を不随意運動と言います。心臓とか腸もそうやって無意識に働いてくれています。
しかし、「では深呼吸しましょう」
と言われて深呼吸できますよね。今度は自分の意思で深呼吸をしました。これを随意運動と言います。
呼吸は不随意運動でも随意運動でも行うことができるユニークな運動です。
もちろんトランペットは意識的な呼吸のコントロールである随意運動で演奏をします。
《脳からの指令》
呼吸をするためには、何か特別な運動をする必要はないのです。
前回の記事で書いたように筋肉を使って口の中へと吸い込む「吸引」行為は通常の呼吸とは全く異なる方法ですから、これで演奏すると様々な問題が発生してしまいます。
「深呼吸しましょう」と言われて呼吸を開始したということは、これは脳からの指令で呼吸をコントロールしている様々な体のパーツが運動を開始した、と言えるわけですから、したがって、呼吸をするためには「頭の中で『呼吸をしよう』」と念じるしか方法がないということです。
《たくさん取り込むには》
では、空気を沢山体の中に取り込むためにはどうしたら良いか。
頭からの指令はきちんと出て、深呼吸をする運動を行っていても、その呼吸を邪魔している何かがあれば吸気が充分にできません。
その「邪魔している何か」が、腹筋に始まる上半身の筋肉です。
筋肉が緊張(筋肉が働いている状態、力を入れている状態)していれば内側から空気を取り込んで膨らもうとしてもそれを抑えつけてしまいます。入ろうとしているのに入らない状態です。風船を手で握りしめて膨らまそうとしているようなものです。
「脳はきちんと指令を出しているのに、それを自分が意識的に阻止してしまっている」ということであり、まさに自分で自分の首を絞めているのです。
ということで、深く効率的な呼吸をするためには
1.体に吸気を阻害する力が入っていない
2.「取り込もう(吸おう)」と念じる
ということになります。
空気を取り込む行為である「吸気」は、トランペットを吹く上でもまったく変わりません。
トランペットを演奏するためには特殊な技術が必要になる、と思っている方が多いのですが、どれも基本的なところは日常生活で行っている運動の一部分を集めた状態です。みなさんがこれまでに一度は必ずやったことがある(であろう)体のうごきや行為でできることばかりです。ぜひ特別な意識を持たないで自分の持っている「うごき」の引き出しの中から見つけてみてください。
それでは、次回も空気について書きます。
また来週!
当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。
at 07:06, 荻原明(おぎわらあきら), 呼吸
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2016.09.20 Tuesday
空気の使い方 1
みなさんこんにちは!
トランペットをはじめとした管楽器は体内で「空気」の圧力をコントロールすることで音を発生させています。この空気は車を走らせるガソリンや機械を動かすための電気のような存在と言ってもいいかもしれません。
ですから、どうしても管楽器の話題になれば「空気」というワードが出てくるわけですが、あまりにその話題が多すぎて混乱している場面が多いように感じます。
そこで今週から楽器を演奏する上で必要な「空気」について考えてみたいと思います。
《空気ってなんだろう》
そもそもトランペットを演奏する上での「空気」とは何でしょうか。なぜ空気が必要なのでしょうか。
A.音を出すため。
正解です。ではもっと具体的に空気が何をしてくれているのでしょうか。
A.唇を振動させてくれる。
正解。ではもっと具体的に、空気がどのようにして唇を振動させているのでしょうか。
A.……。
このような流れで、どんどん突き詰めていくと、どこかで答えに行き詰まってしまうことが多いのですが、実はこの突き詰めた先に様々な事柄が解決できるポイントを含んでいることもあるのです。
体内にある空気に圧力がかかり、その空気が唇を通過しただけでは振動は起こりません。大切なのは、マウスピースや楽器の持っている抵抗感なんです。体内の空気圧と楽器の抵抗感のバランスが整ったとき、その間にある唇(アパチュア)が振動を自然発生させるというのが音を出す原理と言えます。
しかしこう思った方がいるはず。
「楽器がなくてもバズィングできるよ!(しているよ!/させているよ!)」
実はこの自力でバズィングを発声させる行為(差別化するために僕はセルフバズィングと呼んでいます)は、トランペットから音を出すことは可能ですが、正しい音の出し方ではありません。僕もトランペットを初めて手にした中学1年のとき、このセルフバズィングをまず教わりました。これができるようにならないとマウスピースは渡せないよ、という条件付きで。
マウスピースの中でセルフバズィングを行うことが、トランペットから音を出す方法なのだ、と学んだわけです。
最初の教わり方がこれだったものですから、修正して、正しい演奏の仕方を習得するのに相当な時間がかかることになりました。
セルフバズィングで音を出すことによって起こる様々な弊害(表現力の狭さ、音色の悪化、ピッチの悪化、筋力バテの誘発、コントロール不能からくるハイノートへの難解さなど)と解決する方法がない不毛な争いをしながら楽器を吹いていても楽しくないはずです。
ぜひとも唇は「うごき」によって形成されたアパチュアという「単なる穴」を用意しておくだけの勇気を持つようにしましょう。
もし今、セフルバズィングで楽器を吹いている方は、一度リセットして、ゆっくり時間をかけ、唇が振動を発生する空気圧とアパチュアサイズのバランスを見つけてください。
この奏法を見つけるのはそれほど大変なことではありません。ただの「動き」なので、今よりもずっと楽な音の出し方ができるようになるはずです。
ということで少し脇道にそれてしまいましたが、空気というのは、「唇を振動させて音を発生させることができるもの」ということです。この空気の使い方で以下のような変化を起こすことができます。
空気が流れる時間=音の長さ
空気の流れるスピード=音の高さ
《空気はタダ…だけど》
「空気はタダなんだから(思い切り使いなさい)」と言われたことはありますか?
要は「もっと息吸ってたくさん吐け」の意味で使っているのですが、この言葉が管楽器を演奏する上で結構邪魔をしているように感じています。
僕の知っている限り、レッスンや講習会などで拝見したトランペット吹きの方の(きっと)全員は、当初とてもたくさん空気を吸っているか、沢山使おうと頑張っています。もう「吸いすぎ」なくらい吸っているか、吸おうとしています。吸引しすぎ。
きっと頭の片隅に(無意識に)「トランペットはどんなときでも大量の空気を必要とする」と、思い込んでいるからかもしれません。
しかし本当にそうでしょうか。
先ほどの話を思い出してください。空気がアパチュアという穴を通過する際、バランスが整うと自然発生的に唇が振動する(=音が出る)というのは、何も強い圧力である必要はありません。非常に低圧でも、バランスさえ整えば良いわけです。
僕はレッスンでも、先日発売した「トランペットウォームアップ本」でも解説していますが、「ほんの少しの空気でも音が出る状態」を目指すよう発信しています。そうすれば究極に燃費の良い状態になり、楽器を吹くことがとても楽になるからです。
少しの空気で充分演奏できるわけですから、いつも大量にこれでもかと空気を体内に吸い込む必要などありません。
空気を大量に必要とするのは、長いフレーズを吹く時と、(高音域に比べて)低音域を吹くとき、(小さい音量に比べて)大きな音量で吹くときです。
要するにこれから演奏するものによってどのくらいの空気を取り込むかは常に変化する、ということであり、いつも大量に取り込む必要はないのです。
そしてもうひとつの問題があります。たくさん吸ったからたくさん使おうと思いすぎるあまり、吹くときに必要以上に大量の空気を使ってしまい、上手くコントロールができなくなってしまうことです。圧力はかければ良いというものではありません。高圧状態はパワープレイの元になってしまいます。しかも高音域になればなるほど圧力をかけようとしてしまうので、バランスが崩れて上手に出せません。
こういった「呼気(空気を出す行為)」の時にも「空気はタダ」の発想が邪魔をしてしまうのです。
《吸引しない吸気》
そして、「空気は沢山吸うもの(=大量に使わないと吹けない)」と思っていると、どんなときでも一生懸命大量の空気を取り込もうとするものですから、体に負担(力)をかけて「吸引」をしてしまうことが多くなります。
しかし吸引は食事をするときの力をかけて口の中へ「吸い上げる」行為です。これは肺(胸膜腔)の陰圧によって起こる通常の呼吸運動とは違うものです。空気を肺に入れる目的は同じであっても、体の使い方がまるで異なっており、吸引によって入れると苦労しているわりにはそもそも量が入らず、無理に入れたので肺が痛みを覚えたりと、体への負担が強いのです。
ただ、吸引してしまう気持ちもわからなくありません。
力で吸引すると「おおおお、自分今すげー空気吸ってる!超頑張ってる!」そんな意識になるんです。頑張って力を使っているという強い実感。
しかし呼吸は体にとって自然な行為、人間が生きるために必要な行為は、そもそも自覚がないことが多いんです。胃酸が放出されたその刺激を感じますか?腸のゼンドウ運動が気になりますか?心臓の鼓動が気になって生活できませんか?息をしている回数をいちいち数えられますか?ね。
ということで今回はここまでです。
次週も呼吸の続き。「効率良い呼吸の方法」について解説します。
それではまた来週!
トランペットをはじめとした管楽器は体内で「空気」の圧力をコントロールすることで音を発生させています。この空気は車を走らせるガソリンや機械を動かすための電気のような存在と言ってもいいかもしれません。
ですから、どうしても管楽器の話題になれば「空気」というワードが出てくるわけですが、あまりにその話題が多すぎて混乱している場面が多いように感じます。
そこで今週から楽器を演奏する上で必要な「空気」について考えてみたいと思います。
《空気ってなんだろう》
そもそもトランペットを演奏する上での「空気」とは何でしょうか。なぜ空気が必要なのでしょうか。
A.音を出すため。
正解です。ではもっと具体的に空気が何をしてくれているのでしょうか。
A.唇を振動させてくれる。
正解。ではもっと具体的に、空気がどのようにして唇を振動させているのでしょうか。
A.……。
このような流れで、どんどん突き詰めていくと、どこかで答えに行き詰まってしまうことが多いのですが、実はこの突き詰めた先に様々な事柄が解決できるポイントを含んでいることもあるのです。
体内にある空気に圧力がかかり、その空気が唇を通過しただけでは振動は起こりません。大切なのは、マウスピースや楽器の持っている抵抗感なんです。体内の空気圧と楽器の抵抗感のバランスが整ったとき、その間にある唇(アパチュア)が振動を自然発生させるというのが音を出す原理と言えます。
しかしこう思った方がいるはず。
「楽器がなくてもバズィングできるよ!(しているよ!/させているよ!)」
実はこの自力でバズィングを発声させる行為(差別化するために僕はセルフバズィングと呼んでいます)は、トランペットから音を出すことは可能ですが、正しい音の出し方ではありません。僕もトランペットを初めて手にした中学1年のとき、このセルフバズィングをまず教わりました。これができるようにならないとマウスピースは渡せないよ、という条件付きで。
マウスピースの中でセルフバズィングを行うことが、トランペットから音を出す方法なのだ、と学んだわけです。
最初の教わり方がこれだったものですから、修正して、正しい演奏の仕方を習得するのに相当な時間がかかることになりました。
セルフバズィングで音を出すことによって起こる様々な弊害(表現力の狭さ、音色の悪化、ピッチの悪化、筋力バテの誘発、コントロール不能からくるハイノートへの難解さなど)と解決する方法がない不毛な争いをしながら楽器を吹いていても楽しくないはずです。
ぜひとも唇は「うごき」によって形成されたアパチュアという「単なる穴」を用意しておくだけの勇気を持つようにしましょう。
もし今、セフルバズィングで楽器を吹いている方は、一度リセットして、ゆっくり時間をかけ、唇が振動を発生する空気圧とアパチュアサイズのバランスを見つけてください。
この奏法を見つけるのはそれほど大変なことではありません。ただの「動き」なので、今よりもずっと楽な音の出し方ができるようになるはずです。
ということで少し脇道にそれてしまいましたが、空気というのは、「唇を振動させて音を発生させることができるもの」ということです。この空気の使い方で以下のような変化を起こすことができます。
空気が流れる時間=音の長さ
空気の流れるスピード=音の高さ
《空気はタダ…だけど》
「空気はタダなんだから(思い切り使いなさい)」と言われたことはありますか?
要は「もっと息吸ってたくさん吐け」の意味で使っているのですが、この言葉が管楽器を演奏する上で結構邪魔をしているように感じています。
僕の知っている限り、レッスンや講習会などで拝見したトランペット吹きの方の(きっと)全員は、当初とてもたくさん空気を吸っているか、沢山使おうと頑張っています。もう「吸いすぎ」なくらい吸っているか、吸おうとしています。吸引しすぎ。
きっと頭の片隅に(無意識に)「トランペットはどんなときでも大量の空気を必要とする」と、思い込んでいるからかもしれません。
しかし本当にそうでしょうか。
先ほどの話を思い出してください。空気がアパチュアという穴を通過する際、バランスが整うと自然発生的に唇が振動する(=音が出る)というのは、何も強い圧力である必要はありません。非常に低圧でも、バランスさえ整えば良いわけです。
僕はレッスンでも、先日発売した「トランペットウォームアップ本」でも解説していますが、「ほんの少しの空気でも音が出る状態」を目指すよう発信しています。そうすれば究極に燃費の良い状態になり、楽器を吹くことがとても楽になるからです。
少しの空気で充分演奏できるわけですから、いつも大量にこれでもかと空気を体内に吸い込む必要などありません。
空気を大量に必要とするのは、長いフレーズを吹く時と、(高音域に比べて)低音域を吹くとき、(小さい音量に比べて)大きな音量で吹くときです。
要するにこれから演奏するものによってどのくらいの空気を取り込むかは常に変化する、ということであり、いつも大量に取り込む必要はないのです。
そしてもうひとつの問題があります。たくさん吸ったからたくさん使おうと思いすぎるあまり、吹くときに必要以上に大量の空気を使ってしまい、上手くコントロールができなくなってしまうことです。圧力はかければ良いというものではありません。高圧状態はパワープレイの元になってしまいます。しかも高音域になればなるほど圧力をかけようとしてしまうので、バランスが崩れて上手に出せません。
こういった「呼気(空気を出す行為)」の時にも「空気はタダ」の発想が邪魔をしてしまうのです。
《吸引しない吸気》
そして、「空気は沢山吸うもの(=大量に使わないと吹けない)」と思っていると、どんなときでも一生懸命大量の空気を取り込もうとするものですから、体に負担(力)をかけて「吸引」をしてしまうことが多くなります。
しかし吸引は食事をするときの力をかけて口の中へ「吸い上げる」行為です。これは肺(胸膜腔)の陰圧によって起こる通常の呼吸運動とは違うものです。空気を肺に入れる目的は同じであっても、体の使い方がまるで異なっており、吸引によって入れると苦労しているわりにはそもそも量が入らず、無理に入れたので肺が痛みを覚えたりと、体への負担が強いのです。
ただ、吸引してしまう気持ちもわからなくありません。
力で吸引すると「おおおお、自分今すげー空気吸ってる!超頑張ってる!」そんな意識になるんです。頑張って力を使っているという強い実感。
しかし呼吸は体にとって自然な行為、人間が生きるために必要な行為は、そもそも自覚がないことが多いんです。胃酸が放出されたその刺激を感じますか?腸のゼンドウ運動が気になりますか?心臓の鼓動が気になって生活できませんか?息をしている回数をいちいち数えられますか?ね。
ということで今回はここまでです。
次週も呼吸の続き。「効率良い呼吸の方法」について解説します。
それではまた来週!
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at 08:56, 荻原明(おぎわらあきら), 呼吸
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2016.01.05 Tuesday
ブレスをするのは悪いこと? 5
みなさん、明けましておめでとうございます!
今年も「ラッパの吹き方」をどうぞよろしくお願い致します。
さて新年最初の記事は、昨年末から続いている「曲中のブレスについて」の最終回です。
これまでの記事をご覧になっていない方は、可能でしたら最初からお読み頂けると理解がスムーズかと思います。
ブレスをするのは悪いこと? 1
ブレスをするのは悪いこと? 2
ブレスをするのは悪いこと? 3
ブレスをするのは悪いこと? 4
前回の最後に、急いでブレスをすると「ブレスモドキ」になってしまい、実際には全然空気を取り込めていない、と書きました。
では、具体的にきちんと空気を取り込むにはどうすればいいのか、今回はこれをメインに書いていきます。
《呼吸のしくみ》
これまでも「ラッパの吹き方」ブログでは呼吸についてたくさん書いてきました(呼吸カテゴリの記事をまとめて読むにはこちらをクリック)。なので、ここでは簡潔に説明しますが、呼吸というのは
「力を使って吸い込むのではない」
ことをまず理解して下さい。
呼吸は体のいろいろな部分が働くことによって「自然に」起こることなのです。寝ていても、無意識でも呼吸が止まることがないのがその証拠で、具体的には「脳や呼吸中枢からの指令で横隔膜や肋間筋が収縮することで肺が外側に引っ張られて、陰圧が起こり、空気が自然と入ってくる」のです。
全部を理解する必要はないので安心して下さい。単に空気が入るために意識的にどこかに力を込めてはいない、ということを理解してもらえればOKです。
では、どうするか。簡単です「空気を取り込もう」と思えばいいのです。
そんなんで入るか!と思うかもしれませんが、これが正しい呼吸の仕組みなのです。
なぜなら呼吸を司る横隔膜や肋間筋などは、脳や呼吸中枢(首の後ろの延髄に密集している)という場所の指令によって神経を伝って働いているので、例えば握りこぶしを作るときのようなピンポイントに力を込めるのとはだいぶ違うからです。
日常の呼吸は無意識に脳や呼吸中枢からの指令で行われていて、さらに意識的にも呼吸をコントロールすることができる特殊な部分なのです。
《瞬間的なブレスの方法》
では、演奏をしている最中、瞬間的にブレスをするにはどうすればいいのでしょうか。
まずは空気を取り込む時に「力をかけない」ということが前提になります。
しかしこれはあくまでも「効率よく空気を取り込むため」が理由で、仮に体中に力がかかっていても呼吸運動を行うことはできます。
しかし、体に力が入っていると、横隔膜や肋間筋が動きにくくなってしまうので、充分な空気を取り込めない(=損してしまう)のです。
そして、次に「空気がはいりやすい状態」にしてあげます。
具体的には、空気の通り道を広げてあげることです。喉を開けるのですが、これをするためには「舌の奥を軽く下げる」だけで充分です。力をかけすぎると喉が絞まりますので。
そして、先程書いたように全身の力を抜きます。
あとは「空気を入れよう」と思うだけです。空気の塊のようなもの(目には見えない)が喉を通って肺の中にストンと落ちたような感じ(個人的感覚なのでご了承を)を持てればそれで充分です。
人間が生きるために行っている行為のほとんどは「自然な感じ」がするものです。しかし人間はどうしても納得するために「実感を求めてしまいがち」なので、呼吸に関しても「吸ったぞ!」と感じたくて「力」をかけてしまいちがです。しかし、実際の呼吸はそれほど実感を持てるようなものでもなく、「知らないうちに入っている」くらいがちょうどいいのです。
ですから、この時のブレスも「あれ?入った?」と思ってしまうかもしれません。そんな時は鏡を見ながら実践してみて下さい。おなかや胸回りがふくらむ動きをしていれば空気は入っています。もうそれで充分です。
この解説からわかるように「意識的に吸う」という運動はどこにもありません。
演奏中に瞬間的にブレスをするには、そのポイントで「舌の奥を軽く下げ、全身の力を抜き、空気を取り込もうと思う」これでOKです。これだけですから、慣れてくれば瞬間で空気をしっかり取り込むことができます。
《瞬間的なブレスの注意点》
ブレスは、どうしても大量に取り込みたいと思いがちです。不安になるし、せっかくなら沢山入ったほうが良いと思ってしまうからかもしれません。
しかし、その時に必要なブレス量は様々で、大量に取り込まなければならないとき(ブレスをしないことが良いとされる音楽を演奏するとき)というのは、めったにありません。ですから、次のブレスポイントまで健康でいられる量が入れば充分なのです。
そして、燃費よく吹くことが重要です。
どんなに効率よく空気を取り込めたとしても、空気を必要以上に沢山使わないと演奏ができない吹き方をしてしまうのは良くありません。軽く吹いただけでも効率よく音を出し、コントロールするためには一日の初めに行うウォームアップをしっかり行うことが特に重要です。
力で無理に音を出してしまう習慣がある方は、ブレスに悩みを持っている場合が多いように感じます。
《まとめ》
「一息が長い=上手い人」みたいな傾向があるように感じます。
もちろん、一息が長いのは、ブレスコントロールが充分にできている証拠ではあります(きちんと音が出せていれば、の話)。しかし、それが「ブレスをすることは良くない」という考えになってしまうのは話が違います。
憶測ですが、吹奏楽部などでやたらと長い「ロングトーン」をしているところが多いからだと思うのです。なぜロングトーン練習をしているのか、という明確な目的を説明しないまま、単なる日課としてダラダラと音をのばして疲れて時間を無駄に浪費してしてしまうのは避けるべきで、そんなことだから36拍ロングトーン大会みたいなことをし始めてしまうのだと思います。空気は音域や音量、そして楽器によって消費量が大きく異なります。それもわからず「管楽器」とひとくくりにして息の耐久レースをしてしまうものだから、その楽器がいちばん生き生きと鳴るための方法なんてそっちのけでただ(どんな質の悪い音であっても)長くのばせた人が勝ちみたいなことをしてしまうのだと思います。
ブレスを含めて初めて音楽になります。それは管楽器に限ったことではありません。音楽が呼吸をしているのです。
ですので、まとめると
「ブレスは堂々と自信を持って取り込んでOK。しかし、音楽は壊さないようにしましょう」
こんな感じでしょうか。
とうことで5回にわけて書いてきました曲中のブレスについて。参考になるところがあれば幸いです。
次回は久しぶりにブログから送っていただいた質問にお答えします。
それでは、今年も「ラッパの吹き方」をどうぞよろしくお願い致します!
また来週!
今年も「ラッパの吹き方」をどうぞよろしくお願い致します。
さて新年最初の記事は、昨年末から続いている「曲中のブレスについて」の最終回です。
これまでの記事をご覧になっていない方は、可能でしたら最初からお読み頂けると理解がスムーズかと思います。
ブレスをするのは悪いこと? 1
ブレスをするのは悪いこと? 2
ブレスをするのは悪いこと? 3
ブレスをするのは悪いこと? 4
前回の最後に、急いでブレスをすると「ブレスモドキ」になってしまい、実際には全然空気を取り込めていない、と書きました。
では、具体的にきちんと空気を取り込むにはどうすればいいのか、今回はこれをメインに書いていきます。
《呼吸のしくみ》
これまでも「ラッパの吹き方」ブログでは呼吸についてたくさん書いてきました(呼吸カテゴリの記事をまとめて読むにはこちらをクリック)。なので、ここでは簡潔に説明しますが、呼吸というのは
「力を使って吸い込むのではない」
ことをまず理解して下さい。
呼吸は体のいろいろな部分が働くことによって「自然に」起こることなのです。寝ていても、無意識でも呼吸が止まることがないのがその証拠で、具体的には「脳や呼吸中枢からの指令で横隔膜や肋間筋が収縮することで肺が外側に引っ張られて、陰圧が起こり、空気が自然と入ってくる」のです。
全部を理解する必要はないので安心して下さい。単に空気が入るために意識的にどこかに力を込めてはいない、ということを理解してもらえればOKです。
では、どうするか。簡単です「空気を取り込もう」と思えばいいのです。
そんなんで入るか!と思うかもしれませんが、これが正しい呼吸の仕組みなのです。
なぜなら呼吸を司る横隔膜や肋間筋などは、脳や呼吸中枢(首の後ろの延髄に密集している)という場所の指令によって神経を伝って働いているので、例えば握りこぶしを作るときのようなピンポイントに力を込めるのとはだいぶ違うからです。
日常の呼吸は無意識に脳や呼吸中枢からの指令で行われていて、さらに意識的にも呼吸をコントロールすることができる特殊な部分なのです。
《瞬間的なブレスの方法》
では、演奏をしている最中、瞬間的にブレスをするにはどうすればいいのでしょうか。
まずは空気を取り込む時に「力をかけない」ということが前提になります。
しかしこれはあくまでも「効率よく空気を取り込むため」が理由で、仮に体中に力がかかっていても呼吸運動を行うことはできます。
しかし、体に力が入っていると、横隔膜や肋間筋が動きにくくなってしまうので、充分な空気を取り込めない(=損してしまう)のです。
そして、次に「空気がはいりやすい状態」にしてあげます。
具体的には、空気の通り道を広げてあげることです。喉を開けるのですが、これをするためには「舌の奥を軽く下げる」だけで充分です。力をかけすぎると喉が絞まりますので。
そして、先程書いたように全身の力を抜きます。
あとは「空気を入れよう」と思うだけです。空気の塊のようなもの(目には見えない)が喉を通って肺の中にストンと落ちたような感じ(個人的感覚なのでご了承を)を持てればそれで充分です。
人間が生きるために行っている行為のほとんどは「自然な感じ」がするものです。しかし人間はどうしても納得するために「実感を求めてしまいがち」なので、呼吸に関しても「吸ったぞ!」と感じたくて「力」をかけてしまいちがです。しかし、実際の呼吸はそれほど実感を持てるようなものでもなく、「知らないうちに入っている」くらいがちょうどいいのです。
ですから、この時のブレスも「あれ?入った?」と思ってしまうかもしれません。そんな時は鏡を見ながら実践してみて下さい。おなかや胸回りがふくらむ動きをしていれば空気は入っています。もうそれで充分です。
この解説からわかるように「意識的に吸う」という運動はどこにもありません。
演奏中に瞬間的にブレスをするには、そのポイントで「舌の奥を軽く下げ、全身の力を抜き、空気を取り込もうと思う」これでOKです。これだけですから、慣れてくれば瞬間で空気をしっかり取り込むことができます。
《瞬間的なブレスの注意点》
ブレスは、どうしても大量に取り込みたいと思いがちです。不安になるし、せっかくなら沢山入ったほうが良いと思ってしまうからかもしれません。
しかし、その時に必要なブレス量は様々で、大量に取り込まなければならないとき(ブレスをしないことが良いとされる音楽を演奏するとき)というのは、めったにありません。ですから、次のブレスポイントまで健康でいられる量が入れば充分なのです。
そして、燃費よく吹くことが重要です。
どんなに効率よく空気を取り込めたとしても、空気を必要以上に沢山使わないと演奏ができない吹き方をしてしまうのは良くありません。軽く吹いただけでも効率よく音を出し、コントロールするためには一日の初めに行うウォームアップをしっかり行うことが特に重要です。
力で無理に音を出してしまう習慣がある方は、ブレスに悩みを持っている場合が多いように感じます。
《まとめ》
「一息が長い=上手い人」みたいな傾向があるように感じます。
もちろん、一息が長いのは、ブレスコントロールが充分にできている証拠ではあります(きちんと音が出せていれば、の話)。しかし、それが「ブレスをすることは良くない」という考えになってしまうのは話が違います。
憶測ですが、吹奏楽部などでやたらと長い「ロングトーン」をしているところが多いからだと思うのです。なぜロングトーン練習をしているのか、という明確な目的を説明しないまま、単なる日課としてダラダラと音をのばして疲れて時間を無駄に浪費してしてしまうのは避けるべきで、そんなことだから36拍ロングトーン大会みたいなことをし始めてしまうのだと思います。空気は音域や音量、そして楽器によって消費量が大きく異なります。それもわからず「管楽器」とひとくくりにして息の耐久レースをしてしまうものだから、その楽器がいちばん生き生きと鳴るための方法なんてそっちのけでただ(どんな質の悪い音であっても)長くのばせた人が勝ちみたいなことをしてしまうのだと思います。
ブレスを含めて初めて音楽になります。それは管楽器に限ったことではありません。音楽が呼吸をしているのです。
ですので、まとめると
「ブレスは堂々と自信を持って取り込んでOK。しかし、音楽は壊さないようにしましょう」
こんな感じでしょうか。
とうことで5回にわけて書いてきました曲中のブレスについて。参考になるところがあれば幸いです。
次回は久しぶりにブログから送っていただいた質問にお答えします。
それでは、今年も「ラッパの吹き方」をどうぞよろしくお願い致します!
また来週!
当ブログの写真・記事等の(全部、一部問わず)無断利用、ネット上(TwitterやFacebookなどのSNSを含む)などへの無断転載を禁止します。
at 06:02, 荻原明(おぎわらあきら), 呼吸
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